作家でごはん!鍛練場
安本牡丹

少年漫画の第一話風に構想したもの

 その日は朗らかな秋日和であった。農村の並木は赤く鮮やかに色づいた葉を連綿と飾り、風が吹き抜けるたびに、さらさらと乾いた音を混じり気のない綺麗な空気に流し込んでいた。空は雲一つなく晴れている。水色の晴れ空である。真上に昇った白い太陽がきらきらと輝いていた。

 金属を弾き合う高らかな音が、村の広場をひっきりなしに木霊し続けている。かたやまだ十にも満たない小さな童女、かたや黒い髭を生やした精悍な男であった。童女の方は縦横無尽に目まぐるしく動き、急に飛び出しては襲いかかり、そして退く動作を繰り返した。

「それっ!」

 しかし、男はびくとも動じない。むしろ微笑ましくて仕方がないというように、童女の攻撃を鷹揚にいなしていた。

「くっそう!」
「さて、次はこっちの番だ」

 これまで攻撃を受けていただけの男は、童女の剣を目掛けて逆袈裟に跳ね上げた。こればかりは刃引きしていても全く関係ない。男とて本気ではないが握力が違い過ぎる。ゆるく握っていた童女は、剣を手放してしまった。観衆はああ、と残念そうに声を上げた。

「ん?」

 しかし、当事者の男だけは、不自然な手ごたえに感づいていた。まるで童女は最初からこの攻撃が来ることが分かっていたというように、にやりと小さく口を歪め、前へ踏み込んだ。観衆の中に何が起こったか理解できた者はいない。ただ二人だけが理解していた。

「不覚だな」
「そうくるかなーと思って」

 男の右手は剣を振り抜いたことで伸びきっていた。逆に剣を捨てることで接近した童女は、男の胸の中心に手刀を据えていた。男の油断と未熟、童女の機転と直感が絶妙に噛み合った奇跡的な結果である。

「ナイフ持ってたらわたしの勝ち!」
「そうだな。こりゃしてやられた」

 観衆がざわめく。おお、と歓声が上がる。男は逆に照れくさそうに剣をしまって頭をぽりぽりかいた。

「これも勇者の血筋」
「あの家紋はやはり伊達ではなかったか」
「ミカちゃんはすごいなぁ」

 村人たちが口々に言った。童女は満面に笑みをたたえて大きく手を挙げた。

「ありがとう。みんなが応援してくれたおかげだよ!」

 村人たちは目を細めてその姿を拝んだ。何よりも輝いている。童女を中心に光が集まっているかと錯覚してしまうほど、祝福され、愛されている、一番の人気者。才能あり、努力あり、器量の方も将来が楽しみであった。

「ミカ!」
「あ、兄さん」

 一人の少年が駆け寄ってきた。外見は似ていないが、童女の実の兄である。

「さすがだな。また強くなったじゃん」
「えへへ」

 ぽんと頭に手を置かれ、優しく撫でてもらう。それだけで童女はご満悦であった。

「今日は疲れてるだろ。俺が昼飯を作ってやろう」
「やった!」
「何がいい。お寿司? ステーキ? カレー? お好み焼き? ラーメン? そば?」
「う、うどんでいいよ」

 二人は仲良しだなあ、と誰かが呟いた。事実、二人は一度も喧嘩したことが無い。才能溢れる妹と優しく面倒見のいい兄、まさに理想的な兄妹関係であった。

 ――正義の味方になりたい。わたしは正義の味方になって、みんなを笑顔にするの!
 ――ああ、出来るさ。ミカならきっと、いつか。

 嬉々として将来の夢を語った。兄は一度も無理だとは言わなかった。優しさと希望の充実した時代であった。

 しかし、時の流れは人を変えてしまう。時の流れの中で人は成長する。成長すればそれまでの自分ではいられなくなる。

 五年後。

「どうしてこうなっちまったんだ?」
「うるさいですね。あなた誰ですか?」
「お前の兄貴だよ! 毎日会ってるだろうが!」
「邪魔です。どっか行ってください」
「いやいやいや!」
「気持ち悪いので、部屋の前で待ち伏せしないでもらえますか」
「あのなぁ……」

 兄は肩を落とし、どこで育て間違えたのか分からない妹をちらりと見た。妹はもう五年前と違う。世を拗ねたような僻んだ少女に変質していた。短かった髪は肩の下まで伸ばし、太陽のような明るさを失った代わりに、月のような静謐な美しさを得ていた。

「何ですか。じろじろ見ないでください」
「分かったよもう。ああそれでな、きのう勇者に関する古い文献を見つけたんだが」
「はぁ、まだそんなこと言ってるんですか? 夢見がちのお馬鹿さんは、ドラゴンに噛み砕かれて死んじゃえばいいです」
「そうは言っても」
「わたしは勇者になれませんし、なるつもりもないです。正義の味方なんて糞食らえです。何度言えば分かるんですか」

 ミカはぴしゃりと言い切った。兄は取りつく島もなかった。この話題を出すたびにその分だけ拒絶される。過剰とも言えるほどの強い拒絶である。

「だけど、うちの家紋は」
「あんなのは偽物です。英雄の栄光にあやかりたかった凡人の恥ずかしい作り物です」
「ひどい言い草だな。まあ、この本は置いてくから気が向いたら読めばいい」

 兄は茶色い革表紙の古びた本を部屋に持ち込もうとして、部屋の惨状に顔をしかめた。

「とっ散らかってやがるな」
「わたしは天才ですから、底辺の馬鹿どもと頭の出来が違うんです。だから何がどこにあるのか片付けなくても分かるんです」
「はいはい、天才天才」
「言い方は気に入りませんがまあいいです。それで、用はそれだけですか?」
「ああいや、ちょっと長いあいだ家を空ける。いい子に留守番できるな」
「いつ帰ってくるんですか」
「多分三日後くらいだな。そんなに遅くはならないよ。なんだ心配してくれるのか?」
「夜道に気をつけてください」
「なんてこった、ミカがついに元通りに」
「あとで暗殺者を雇っておきますから」
「戻ってなかった」

 ミカは兄が「じゃあな」と玄関から出て行く時、そのうしろ姿をじっとりと見つめた。名残惜しいというか、何か気になるというか、多分に含蓄のある目線であった。

 両親は五年前にすでに他界している。一人になるとこの家が少し広く感じるのは、仕方がないことだった。

「別にいいです。一人の方が集中できますから」

 ミカはその日、日没まで、森に面した裏庭で竹刀の素振りを続けた。一人で食事をとった。机に向かって分厚い本と格闘した。その後は本の山を退かして狭い布団で寝た。

 次の日も同じだった。兄がいるといないとに関わらず日課は日課であった。ただ食事を自分で作り、家事を自分でこなし、話し相手が少し減っただけ。何も問題なんて無い。

 次の日、兄が部屋に残していった本が妙に気になり始めた。朝、何となくそれに手を伸ばしてやっぱりやめにした。これは日課ではない。勇者を諦めたいま、合理的に考えればその本を手に取る必要性が無い。

 部屋を片付けることにした。本棚に一つずつ本を戻していく。そういえば、と思い出した。この本棚はかつて兄が作ってくれたものである。最初は不恰好だと馬鹿にしていたが、それも結局使い続ければ愛着が湧いてきた。

 空気を入れ替えたくなった。窓を開ける。このカーテンはかつて兄が取り付けてくれたものである。この部屋は何から何まで自分の縄張りではなかったのか、確かにそのはずだが、嫌に鬱陶しく兄の影がちらついている。どんなに一人でいても、いつの間にか出来た隙間に兄が当然のように入り込んできた。

 引き続いて部屋を整理整頓していると、窓際でがさがさと奇妙な音がした。見れば桟の上に一匹の鳥がいた。村の広場によく集団で屯している、餌を与えたらくるくると鳴いて喜ぶ、無害で無邪気な馴染みの種であった。

「やっぱり一人はいいです。静かです。あなたもそう思いますか?」

 ミカの問いに鳥はうんともすんとも言わず、ただぴょんぴょんと跳ねてかくかくと首を振った。それは肯定か否定かミカには分からなかった。

「まあいいです。朝ごはん、一緒に食べましょう」

 朝食の後は素振りをして、本を読んで、あっという間に夜になった。ミカは手頃な文庫を部屋から持ってきて玄関に座った。その本は一度読んだことがあった。そのせいか遅めにページをめくっていたのに全部読み終わってしまった。しかし兄はいつまで待っても帰ってこなかった。

 次の日も、その次の日も、同じことを繰り返した。部屋は綺麗に片付いていた。いつもよりも広くなった。広くなったから物足りなく感じた。兄からもらった本だけはまだ手をつけずに机の端に置いてある。

 机の引き出しを開けた。ミカの貯金は底をついていた。銀貨二枚、しかしこれが農村に暮らす者の限界でもあった。

 だから本を売ることにした。可能な限りを布に包んで外へ出た。本の入った布を背負い、村の通りを歩く。すぐに出口に着くと、門番をしていた村人に止められた。

「おうミカちゃん、久しぶりだな。外に行くのか?」
「うるさいですね。あなたに関係あるんですか?」
「あはは、相変わらずだなぁ。まあ最近は物騒だし、それどころか今はあんまり外に出るのは勧めないが」
「ん。何かあったんですか?」
「例の盗賊団だよ。レジスタンス盗賊団とか言ったか? 自分たちは悪の権力に屈しないだのなんだのって」
「あれですか。でも別に、害はないでしょう」
「あれ自体はな。だが規模がでかくなりすぎて、鎮圧のために王国軍が出動したって話だ。流血沙汰になってるらしいし」
「へぇ。そうですか」

 一瞬嫌な考えが頭の中をよぎった。そしてすぐに打ち消した。兄は盗賊団とも王国軍とも縁はない。何も関係はないはずなのだ。

「でも別にわたしには全く関係ないです。盗賊団も王国軍も、別にどうでもいいです。そういうことで隣町まで行ってきます」
「ああ待てよ! その隣町の近くでどんぱちやってるんだよ。結構離れてるし、行くならせめて馬車でも」
「運賃がもったいないです。わたしは本を売りに行くのです」
「それもそうか。じゃなくて、それくらい落ち着いてからでもいいだろ。いまは危険なんだぞ?」
「はぁ? わたしを誰だと思っているんですか?」

 じっと睨んでやる。貧相な槍を持った門番の村人はそれだけで生きた心地がしなかっただろう。

 ミカはじっとりとした目で門番を見ながら、簡素な木で出来たアーチ型の門をくぐった。その先は見渡す限りの草原である。ここを歩き続ければ隣町に着く。

 腹がぐぅと鳴った。一日二食、しっかり食べているはずだが、成長するにつれて物足りなく感じるようにもなった。隣町に着くまでに体力は持続するだろうか?





 それはどこか思考の底で予期していた図式であり、感情の底で頑なに否定していた由々しき事態であった。罪なき一般市民、人々が血を流して倒れていた。石造りの丸い櫓から煙が立ち上っていた。燃える民家があった。入り口に検閲の門番はいなかった。それもそのはず、要所はすでに盗賊団に占拠されていたのである。

 隣町についた頃にはすでに夜になっていた。門の両側で篝火が揺れていた。月が出ている。変な形に欠けている。星はあまり見えなかった。などと夜空を見上げながらぼんやりしていると、横合いから急に男の声が掛かった。

「お嬢さん、用が済んだらさっさと帰った方がいい。いつ王国軍が攻めてくるか分からんからな」
「あなたは?」
「レジスタンス盗賊団の者だ。軍が出てきたもんだから、おれたちも引くに引けなくなったんだよ。だからまあ、あんたも気をつけろよ」
「それはそうですけど」

 視界の端に一箇所に固まる女と子供が見えた。井戸端会議に花を咲かせているようにも見えるし、この状況に恐れ慄いているようでもあった。

「気になるか?」
「はい」
「ちなみにおれの女房もガキもあの中にいるはずだ。おれたちは自分で、守らなきゃいけないんだ。王族も、貴族も、人の上に立つやつらがみんな腐ってやがった。金持ちのやつらが貧乏人から金を奪う、どう考えてもおかしいよなぁ?」

 男の瞳はただ怒りに燃えていた。きっと彼は良くも悪くも平民であった。そして正義感が多少前面に出てしまった。

「だからおれたち盗賊団は、金持ちから奪う。奪って、いや、奪い返して、貧乏人に配るんだよ」

 その短絡的な思考が民意であるとすれば、そして多数派が是とされるのが世の道理であるとすれば、彼の判断はきわめて正しいものであった。もっともそこまで考えているとミカには思えなかったが。などとあれこれ考えていると、不意に腹が恨めしそうにぐるると音を立てた。男はそれを聞くと、苦笑して右手でミカの斜め後ろを指差した。

「食料ならあそこにある。だからって取りすぎるなよ?」
「ありがとうございます」
「ああそれと、何か悩み事があれば首領を頼ればいい。食料庫の近くだ。きっと力になってくれるさ」
「はい」

 ミカはそそくさと門の前から退散した。別に今すぐに食べ物に手をつけたかったからではない。

「首領。ふん、絶対悪いやつです」

 レジスタンス盗賊団とかいうふざけた団体のせいで、戦火が起こり、兄が家に帰ってこなくなった。そう考えれば強く脈打つ心臓がさらにぎくしゃくする気がした。病気持ちでもないのに呼吸が少し苦しくなって、栄えた市街の景色も、馬が駆ける音も、燻る煙の匂いも、すべてが認識の下にあって意識の上にあるような気がした。いつの間にか遠い世界の真ん中に立たされている。

 兄はいまどこで何をしているのだろう。似顔絵を描かなければ確実ではないが、特徴を伝えるだけでもその首領とやらは力になってくれるのだろうか。人当たりがいいだけで、短絡的でいい加減な馬鹿だったら困る。力になるとか適当な甘言で信頼を集めている阿呆だったら悲しい。

 街角を曲がった。ミカは思わずあっと叫び出しそうだった。向こうから歩いてくる美少年に目を奪われたのである。もっとも出会い的な色恋ではない。しかし長年にわたる思慕ではあるだろう。何よりずっと求めていた。こんな所で出くわす予定ではなかった。

 彼は微笑しながら何人かの仲間を引き連れて歩いていた。彼は仲間から慕われているようだった。仲間は彼に向かって親しげに話していた。

「いやあしかし、すごかったですね|首《﹅》|領《﹅》。あなたがいれば王国軍ともこのまま戦えるでしょう」
「馬鹿いえ、どうせ鎮圧される。だからその前に折り合いつけてさっさとずらかるんだよ」
「え、戦わないんですか?」
「継戦は無意味だろ――」

 彼も前を向いて気づいたようだった。目を大きく見開き、ミカを見て茫然としていた。

「ん、どうしたんすか首領」
「こんなところに女の子が。あっ、もしかして首領のコレですか、コレ」
「ヒューヒュー」
「熱い熱い」

 彼を茶化す取り巻き。彼とミカの時間だけが切り取られて止まったように動かなかった。あるいは取り巻きの時間だけが誰も聞いていないカセットテープのように流れていて、二人の時間だけが一定以上の意味を込めて前に向かって進んでいるようでもあった。

「どうして――」





「俺たちの行動を支援しようとする者が予想以上に多かった。俺たちの行動をよく思わなかった者が予想以上に有能だった。悪い。全部俺の読み違い、馬鹿な俺の見通しが甘かった」

 つもる話もあるだろうと兄に連れてこられたのは暗い裏通りであった。二人とも木箱に腰を掛けて互いに下を向きながら対面した。表情は見えなくても兄の悔しさと申し訳なさは声色から十分に伝わってきた。

「いつから。……一体いつからそうだったんですか」
「計画を立てたのは去年、大々的に実行したのは今年に入ってからだよ」
「わたしは天才なんかじゃないです。どうしようもない馬鹿です。ずっと前から、そんな」
「まあ俺も巧妙に隠してしな。ただのうつけに見えたか?」
「はい」
「なら間違っちゃいないよ。うつけを演じていたんじゃない。俺はうつけだったんだよ」
「それなら、シャノさんは今まで通りのシャノさんでいられますか?」
「それはどうだろうな」

 兄の真剣な顔は初めて見た。兄のこんな姿を一度も見たことがなかったからこそ、ただ真面目に話すだけのこの状況に息がつまりそうだった。

「ここを解放してとんずらするのがいいです。シャノさんは社会的に死んじゃいますけど」
「いや、俺だけじゃない。王国側は皆殺しだって言ってるよ。王直々の命令で」
「そんな」
「だから引くに引けない。ここで全滅するっていう最悪のシナリオも、あの狂った王様なら実現しかねないさ」

 兄は木箱から立ち上がってミカに近づいてきた。武人としての勘が、何かただならない雰囲気を感じ取った。頭の上に伸びてくる兄の手に思わず身構えてしまい――

「ミカは俺の一番大事な妹だよ」

 久しぶりに、頭を撫でられた。さらさらと、優しく、愛を込めるように。ミカは一瞬でも兄を警戒して緊張したことを後悔した。後悔してほっとした。ほっとして身体の芯が温まるような気がした。

「だから真っ当に生きて欲しい。誰かと違ってさ」

 身体がぽかぽかする。心地よく、柔らかい眠気が頭の底に染み込んできた。ミカは兄に身体を預けるように前のめりに倒れ込み、霧のような意識をゆっくりと手放した。





 ミカは自分の居室で目を覚ました。数日ぶりによく寝られた気がした。東の窓から眩しい朝日が差し込んでいる。小鳥たちのさえずりも聞こえた。今日はいい朝――はっと跳ね起きて思い留まった。

 昨日、確かに兄に会った。それからどうした? どうもしなかった。ミカは約束の時刻を寝過ごした後に冷たい水を頭から被ったような気分だった。

『やあ。ミカ』

 どたばたと、慌てて部屋を出ようとしたら何かに呼び止められた。ミカはびくりと立ち止まって振り返った。

『ここだよ。こ、こ!』

 兄が勇者に関する文献とか言いながら部屋に持ち込んだ本が、ひとりでに開いて、風も吹いていないのに勝手にページがめくれて、その上に紫色の光の玉がふわふわと浮いているのが見えた。

「ななななんですかっ⁉︎」

 ミカは青ざめて後ずさり、背中を扉にぶつけたところでようやく少し落ち着いた。

「本の分際で喋るなんてダメです。そんなことしたらごみ箱に捨てちゃいます」
『それは勘弁願いたいな。ぼくは悪いものじゃないよ』
「悪いものは大抵みんなそう言うんです。あなたは一体……」
『ぼくか。ぼくはこの本に取り憑いた精霊、みたいなものかな?』

 紫色の小さな光は自らを精霊と名乗った。確かにそれを中心に風の流れなのか、光の流れなのか、異様な波動が外側へ行き所を求めるように発せられている気がした。

『きみが頑なに勇者の本を開いてくれないから、ぼくもう我慢の限界で』
「知りません。勇者なんて知りません。そんなの荒唐無稽です」
『まあまあ。ぼくはね、きみに正義の味方になってほしいわけではないんだよ』

 正義の味方という言葉にミカは過度に敏感だった。それは恥じるべき黒歴史を蒸し返されたようでもあり、未だに拭い去れない古びた罪意識をつつかれているようでもあった。

 ――正義の味方になりたい。わたしは正義の味方になって、みんなを笑顔にするの!

 何回も口にした。何百回も言い続けた。君なら出来ると誰かが言った。兄も出来るといってくれた。

 しかしあの頃は幼かった。村に化け物が攻めてきたとき、自分の足でしっかりと立つことすら出来なかった。だから兄に背負われてそこら中を逃げ回った。父と母を盾にして自分だけが生き延びた。そうして安らぎを得た自分がいた。

「うるさいです」
『おや?』
「あなたはうるさいですね。嫌なことばかり、わたしに思い出させて」
『ミカ。そんなことを言って、きみはこれからも逃げ続けるのかい?』

 精霊の言葉に胸が痛くなった。自分が悪いのか悪くないのかも分からない。ただ時が進めば進むほど、理想的な自分と現実の自分がかけ離れていくことだけは確かなのだ。

「裏庭で話しましょう」

 ミカは精霊を連れて裏庭に出た。日課としていつも竹刀の素振りを繰り返しているこの場所、森に面した薄暗くて少し不気味なこの場所には――

『きみのお父さんとお母さんのお墓だね』
「はい。わたしのせいで、みんな死んじゃったんです。だからわたしにはもう、正義の味方になる資格はないんです。でも強くなる資格ならあるかなと思って、それで、いまも私が頑張っている姿を、二人に見せてあげないといけないと思って」
『きみは頑張っていたわけだ。それも全力でありながら、決して本気ではなく』
「馬鹿ですよね。笑っちゃいます。わたしは山を越えるために、一度も山には登らないで、全身全霊で山のふもとを走り続けていたんです。そしていまになって、山の登り方も忘れて、もうどうすればいいのか分からなくなっちゃったんです」

 涼しげな風が吹き抜けて鬱蒼と茂る森を揺らし、また少女の美しい銀色の髪を流し、しかし髪は憂いを帯びたその瞳を隠すことは無かった。

『それならさ。いまからまた、山を登ってみたらとうだい?』
「無理ですよ。わたしなんか」
『もしもきみの大切な人がその山の向こう側で助けを求めていたてしても?』

 兄の顔が思い浮かぶ。優しく包むように頭を撫でてくれた、大切な妹だと言ってくれた兄の顔が。

『ぼくは勇者の本だ。きみの努力と思いと、その身体に流れる血に報いることができる』

 ――正義の味方になりたい。わたしは正義の味方になって……

「でも、わたしなんかに、そんな資格は」
『きみは一体全体、何を勘違いしているんだい? 確かにぼくは勇者の本さ。でもきみに正義の味方になれとは言っていない』

 どういうことなのか。少女は振り返った。

『きみはきみのやり方で、果たすべきことを果たせばいい。正義だの何だの、そんな虚構の重荷を背負って一歩も前に進めないのがきみの望んだことなのかい?』
「違う。違うんです」
『だったら、精一杯、立ち向かえばいい。それがどんなに険しくても、登りきれないと分かっていても、泥臭く、きみだけのエゴを突き通して見せるんだ。きみはお兄さんのことをどう思っているんだい?』
「好きです。大好きです。たった一人のわたしの家族です」
『ではきみはどうしたい?』
「力になりたいです。……今度こそ」
『ならば|剣《けん》を取れ。素振りをするための竹刀ではいけない。真の覚悟を持った者のみが持つことを許される、まさに真剣だよ。ぼくはきみのその覚悟をはかるためにここにいる。さあ、きみの覚悟を見せておくれ』
「どうすればいいですか?」
『突拍子もない話だけど、きみがこのまま進むのなら、ぼくはきみの身体をめちゃくちゃに改造しないといけない。正確には二つの力を受け入れてもらうんだけど』

 それは悪魔の契約さながら、取り結ぶ者のエゴと覚悟は並大抵ではあり得ない。

「それはどういう風に」
『相手を傷つけた分だけ自分も傷つき、自分が傷ついた分だけ相手も傷つく力だ。ぼくはこれを《受け戻し》の力と読んでいる』
「そんな、そんな身体にされちゃったらわたしは死んじゃいますよ!」
『だから、そのためにもう一つの力がある。それは《復活》の力だ。きみの怪我は致命傷でもあっという間に完治する。ただし痛みを感じなくなるわけではないけどね』
「傷つけて、傷つけられて、治って、また傷ついて、そんなゾンビになることが、覚悟だって言うんですか?」
『きみの場合はね。|剣《けん》を取るものは皆、|剣《けん》によって滅びると言う話もあるだろう。確かにその意味合いとこれとは違うけれど、大切なものを守るために、きみのエゴを貫くために、|剣《けん》を手に取るというのなら、きみにはその覚悟をちゃんと持って欲しい。その痛みを知って、分かるようになってほしい。さあ、きみはどうするんだい?』
「そんなの。決まってます」

 その瞳はもはや憂いを帯びた一人の村娘のではなかった。ひそかに勇者の血筋を引き、研鑽を積み、自らのエゴを認め、覚悟を固め、運命を引き受け、全身全霊で前に進もうと足掻く、したたかな少女の瞳であった。

「わたしが守ります。絶対にあの人を守ってみせるんです」





 シャノは泥沼と化した市街戦の戦場できつく歯軋りをした。頭からは血が流れて服も所々が破れ、生傷が絶えなかった。

「――くそっ!」

 ぱちんと指を鳴らすと、空が光り、雷が落ち、王国軍の兵士が悲鳴を上げて吹き飛ぶ。兵士の死体か怪我人なのかも分からない群れは累々と積み重なっていた。

「はあっ、まだかよ」

 押し寄せてくる兵士に囲まれないよう、高く飛び上がって民家の上に立つ。シャノは肩で荒い呼吸をしていた。

「餓鬼が、いい加減諦めて死ねよ。このロン様が率いる|竜騎士《ドラグーン》部隊、死角は無し、王国でも指折りの実力だッ。情熱的かつ合理的な訓練カリキュラムを導入して早五年、ワイバーンとの友情を育むところから始まり――」
「うるせぇなこいつ。なんなんだよ!」

 シャノが尖った氷の柱をいくつも生み出し、饒舌な男に向かって鉄砲玉のように飛ばすも、その男がまたがる黒い竜のうろこに弾かれてしまった。

「くっくっく、効かない、効かないんだねぇ! 忠実なる我が友、クロガネくんであるぞ。いけ、クロガネくん、このロン様と共に、いくぞ、いけ!」
「グォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオッ!」

 竜の雄叫び一つで空気が激震する。その部隊ではない軽装歩兵たちも半ば怯えていた。

「首領!」
「何でお前らがここに」
「やっぱり首領一人にしんがりを任せるわけにはいかないと思ったんです。おれたちも手伝います!」
「馬鹿っ、死ぬぞ」
「あんたと死ねるならそれも本望さ――」

 血しぶきが舞った。それは捨て身の特攻だった。シャノを助けるために戻ってきた男たちが、何頭もの竜に剣を突き立て、同時に騎手に剣を突き立てられた。

「お前ら。くそっ、くそぉ!」

 大きな火の波が仲間たちの亡骸ごと騎手達を焼いた。あっという間の関係で、あっけない決別だった。

「ぐぉ⁉︎」
「火が」
「熱い熱い熱い」

 騎手たちは悲鳴を上げて竜からずり落ちた。火が効かずに生き残り、友のようでもあった主人を失った竜が、捨て身の特攻で剣を突き立てられた竜が、爬虫類の黄色い目で満身創痍の少年を物凄く睨んでいた。

「ふん、いまのでかなり魔力を使ったようだな。もう終わりだぞクソ砂利ィ、クソ砂利のクソガキィ」

 少年の前に黒いうろこの屈強な竜が迫る。この瞬間がもうすべての終わりにさえ思えただろう。

 ――済まない、ミカ。先立つ不孝を赦せ。

 静かに目を閉じ、兄は妹を思い浮かべた。生意気になっても可愛い、たった一人の大切な妹。

 ――夢見がちのお馬鹿さんは、ドラゴンに噛み砕かれて死んじゃえばいいです。

(お前が直接俺の目を見ないで話すとき、心にもないことを言っているか、言いながらちょっと申し訳ないと思っているか、それ以外に無いだろう? 気づいてないと思ったか。全く)

 死を受け容れる準備は出来た。しかしいつまで経っても、彼の意識が途切れることはなかった。

「夢見がちのお馬鹿さんは、ドラゴンに噛み砕かれて死んじゃえばいいです。と言ったことは、仕方がないので撤回してあげます」

 爽やかな白銀、昼下がりの太陽を浴びて光の粉すら散っていそうな神々しい銀髪。兄にとって最も愛する妹は、少年にとってこの世で最も美しい少女であった。

 その背中は小さく、しかし何より大きく見えた。

「――ミカ?」
「シャノさんは、下がっていてください」

 騎手は突然現れて竜の突貫を剣一本で止めた少女に驚き目を瞠っていた。

「ななななんだね君は。魔法少女か? んんん?」
「わたしは天才です。最強で天才です」
「はっ、それは君の主観だろ? 実にくだらんッ!」
「いいえ。わたしは自分自身を客観的に見ることが出来るんです。あなたとは違うんですッ!」

 ミカが剣で押し返すと、黒い竜は後退した。ずしんずしんと数歩下がり、民家の屋上を破壊しながら居丈高に見下ろしてくる。

「無駄な足掻きはよせよ。わが相棒のクロガネくんはこの国にて最硬。最も硬いと書いて最硬であるのだ! 圧倒的な防御力で敵を圧倒する。よっ防御力カンスト! カウンターストップ! ふはははははははははは!」
「シャノさん。わたしがやるので避難してください」
「だけど――」
「足手まといです。わたしが来た意味、なくなっちゃいますよ」

 余裕綽々に振り返る妹は、たくましく、その立ち姿は歴戦の勇者のようにも見えた。

「信じていいか。百パーセント」
「百パーセント、信じてください」

 兄は背を向け、出来る限り遠ざかる。かつて妹を戦場から遠ざけた兄は、昨日までの彼女との違いを感じ取っていた。

(ほんとかっこよくなったな、お前)

 竜が少女に迫る。少女は敢えてそれを避けなかった。左手をそのまま、竜に「噛みちぎらせた」。

「グギャァァァァァァァァァァアアアアアアアアアア⁉︎」

 竜の左腕も同時に千切れ、おびただしい鮮血が舞った。

「くっ」

 ミカも苦痛に顔を歪めた。そして生えてくる左腕を見てさらに顔を歪めた。

「これが《受け戻し》と《復活》の力ですか。ほんと、最悪です」
「馬鹿なッ。なぜ絶対の防御力を誇るクロガネくんに傷がついた! おかしいだろ! なぁ! クロガネくん大丈夫か⁉︎」
「ギャオン、ギュアオン!」

 竜は暴れ出し、騎手を振り下ろして脱兎のごとく逃げ去った。市街地をめちゃくちゃに破壊しながら、ただ遠くへ。

「そ、そんなぁ」
「硬ければいいってものではないです。人の痛みを知らないからあんな風になるんです」
「ダムダムダァームッ! クッソォ! かくなる上はこのロン様が直々に引導を渡してやろう!」
「そういうの、いいですから」

 凄まじい速さの少女の太刀筋は、鎧の隙間から騎手の肉を割き、鮮血をまき散らした。しかしそれは同時に、少女も全く同じ傷を受けることでもある。

「ああっ⁉︎」

 予想していたよりもはるかに鋭く、致命的で、想像を絶する痛み。少女は剣を取り落として跪いた。

「う。でも」

 そんなに大きな傷でさえ、少しずつ治り、塞がり、跡形もなくなった。一方で男の方はそうもいかない。傷は治らないし、やられた衝撃で意識を失っていた。

「そんな、隊長、隊長が!」
「ロン隊長がやられたぞ。あの|竜騎士《ドラグーン》部隊はほとんど壊滅だ!」
「おおおれたちも早く逃げた方がいいんじゃないか⁉︎」

 兵士たちの動揺はあっという間に広がり、戦場の流れが逆向きに変化した。

「――おやおや、これはいけませんねぇ。王国の正規軍ともあろうものが」

 そして一人の青年の登場によって、再び流れが逆向きになり、結果元に戻る。青年の纏う冷たい空気にミカは肌が痺れるような気がした。

「ポンテウス将軍!」
「おや、あなたでしたか。さっき逃げるとか抜かしたのは」

 にこやかに、昼下がりに散歩をしに来たついでに、路傍の雑草を引き抜いてみたというように。青年は、はるか格下の部下であり一兵卒の名前も知らない男の首を、やすやすと一瞬間に斬り捨てた。

「随分と面白いことになっているようですねぇ。しかしこちらとしても、これ以上の継戦は望ましくない。この辺で折り合いをつけてみることにしましょう」
「あなた、誰ですか」
「これはこれは、申し遅れてしまいましたねお嬢さん。私はポンテウス、この国の将軍です」

 少女一人では本当にどうしようもない、規格違いの怪傑の登場であった。

「ならこっちの全権は俺ってことでいいな。そいつは首謀者でも何でもない、通りすがりの女の子でしかねえんだ」

 いつの間にか戻ってきた兄が、よろよろと歩きながら妹の横に並び、将軍を睨むように見上げた。

「ええ、いいですよ。条件は停戦と盗賊団の解体、今後一切の反体制的行為を禁止するということでいいですね?」
「よくねえよ。みなごろし勅令の撤回も加えとけ」
「ああ。そうでしたね」
「正直でかくなりすぎて俺でも把握しきれてない。ほとんど一般市民、皆殺しはまずいだろ」
「それは私も同感です。すでに陛下の説得は済んでいるのでご安心を」
「俺の首と引き換えにか」
「ええ、そんなところで」
「待ってください。その条件は認められません」

 兄と将軍の視線が少女に向いた。将軍は興味ありげに「ほう」と微笑した。

「兄を無罪放免にしてください。その代わりにわたしがこの国の奴隷になります」
「はぁ⁉︎」
「シャノさんは黙っていてください! 事実、わたしはあの部隊の隊長に一騎討ちで勝利し、黒い竜もこの身一つで駆逐してやりました。あれらは王国軍の重要な戦力だったはずです」
「うん。間違ってはいないですよ」
「なら、そういう力を持ったわたしを抱え込むことができれば、それは必ずあなたたちの、王国の利益になる。そしてその状況は、わたしにとっても兄にとっても重罰になるはずです」
「筋は通っている。いいよ、私が許そう」
「ちょっと待てよミカ!」

 妹が兄のためにその身を差し出そうとするなら、兄は妹のためにその首を差し出そうとする。二人の関係はある意味で五年前から何一つ変わっていない。変わっていないからこそ、それは認められない。

「私としては彼女を手に入れた上で君を処刑しても構わないが、それで彼女に暴れられたら不要な被害が生じることは君でも分かるでしょう? そして君を処刑するメリットが無い。この騒動にけじめをつける必要が無いからです」
「なぜだ、けじめは必要だろ」
「いえいえ。私の方にもちょっとした深い考えがあるんです。さて彼女が国のものになる、盗賊団の首領は戦死したことにして一同は無罪放免、そうしましょう」
「はい、わたしはそれでいいです。全権はわたしです」
「ミカ!」

 追い縋ろうとする満身創痍の兄は、駆けてきた兵士たちに掴まれ、引き離され、遠くへ投げ出された。妹は迷いなくそれに背を向けた。手錠を嵌められ、屈強な兵士たちに囲まれ、将軍が用意した王都行きの馬車に乗せてもらった。

「大切なものは守りました。わたしの一人勝ちです」
「おや、私との二人勝ちの間違いでは?」

 からからと揺れる馬車の中で、隣に座る若き将軍は柔和に微笑んだ。その裏には何があるのか少女には予想できない。しかし同時に、少女の笑顔の裏には何があるのか、将軍にも予想できないのである。

「そんなことはないです。わたしが勝った時点で、わたしの一人勝ちなのです」

 見栄っ張りな少女は、ほんの少しだけ嬉しそうに、うつむき加減に微笑するのだった。

少年漫画の第一話風に構想したもの

執筆の狙い

作者 安本牡丹
118.157.153.84

はじめまして。
少年漫画の第一話風に構想しました。小説家になろうというサイトにて、ファンタジー作品として連載する予定のものです。つたない心理描写(特に情景描写は知識がないので慣れなかった)ですが、何卒さいごまで読んでいただけると嬉しいです。その上で至らぬ点を具体的に教えていただけると改善につながるので、どうかよろしくお願いします。

コメント

藤光
106.133.162.165

さいごまで読めませんでしたが、一言コメントさせてください。

「なろう」ではどうなのかしりませんが、ここではコメントの集まりにくい小説です。

異世界ファンタジーものは、私にはどれも同じように読めてしまいます。御作も目新しい箇所はあるのでしょうが、どこなのか普段読み慣れない者には見当もつきません。

目新しいものがない以上は、しっかりとした文章で読ませる小説を目指すべきと思いますが、字句の選択が一般的でないので違和感を感じます。

個人的には、冒頭だけで

>朗らかな秋日和
>連綿と飾り
>音を……空気に流し込んで
>晴れ空

に違和感を感じます。

意味は分かるし、間違っているわけでもない。ただ、読んでいる私はかなり萎えました。この先もこういう調子の文章が続くのかと思うと。

思えば、学生の頃の私は、まさに御作のように違和感ありありの文章を書いて悦に入ってました。内容もまさに異世界ファンタジー。今となっては私の「黒歴史」として固く封印されてます。

けなすつもりは毛頭ありません。

御作を読み、昔の自分を思い出してしまったのでコメントしたというのが本当です。

ぜひこのまま書き続けて欲しい。
思う存分。そして上手くなってほしいと思います。ありがとうございました。

安本牡丹
118.157.153.84

読んでいただいてありがとうございます。

>>異世界ファンタジーものは、私にはどれも同じように読めてしまいます。

言い換えると「最初から悪い偏見を抱きながら読んだ」ということでしょうか?
完全に中立な読者など存在しませんし、それを求めているわけでは言うまでもなくありませんので、それでも問題ないです。こんな習作に目を通していただいただけでも感謝します。



>>字句の選択が一般的ではない

ここでいう一般とは、藤光様が思い描く一般のことでしょうか?
自分はなにぶん物書きとして駆け出しもいいところなので、言葉の運用に熟達しているわけではないと改めて気づかされました。奇をてらい過ぎて意味が通らないのは、一番やってはいけないことだと思います。よく反省します。


>>冒頭だけで(中略)違和感を感じます。

正しくは「違和感を覚える」です。私は「違和感を抱く」も間違いなく許容範囲だと思いますが、日本語では頭痛が痛いと言わないように、違和感を感じると重複した言い方はしないという説もあります。識者のコモンセンスとまでは言いませんが、ここで語るのも控えたいほどあまりに有名な話かもしれません。
さて、違和感ありありの文章ということですが、私からしてもその通りです。あとで読み返してみて修正、いやそれどころか冒頭の描写は全部削除した方がよいという結論に至ったくらいです。現にメモ帳の方ではコピーもとらずに消してしまいました。

冒頭で読む気が失せるような文章力を披露してしまい、申し訳ないです。自分でも翌日になって初めて気がついたのです。書き続けて、ちゃんと「伝わる」文章が書けるように、どんどん上達していきたいと思います。ありがとうございます。お手数おかけしました。

三神 颯
183.74.206.225

ざっとですが読ませていただきました。
面白いというか、ハラハラしますね。強いヒロインとかはやっぱりカッコいいですねっ。
そのなかで少し気になる点を挙げさせていただきます。

ひとつ目は、ファンタジーですが、舞台はどこなんでしょう?農村、銀貨、ナイフ、王国…と出てくるのに、日本料理が出てくるので、統一するといいかな、と思います。混乱を招きかねないといいますか…。

二つ目は少年漫画の第一話風とのことですが、もう少し奇をてらってもいいのではないでしょうか。ありきたりというかなんというか、捻りがあってもいいのかなぁ、と。あ、個人的な意見なのであまり深く捉えないでくださいね。

でも、いい感じだと思います。これからもぜひぜひ楽しいファンタジーを書いていただければと思います。

あまり役に立てるようなアドバイスじゃなくてすみませんでした。

安本牡丹
118.157.153.84

三神楓 様

まずはこんな習作を読んでいただいてありがとうございます。

そうですね。日本料理はツッコミどころ満載だろうなと思ってネタで書きました。しかし、このセリフを変えるだけで、世界観のアウトラインを少しではありますが伝えられるのも事実でした。このままではいかにも三流の笑いの取り方という感じでもありますので、本当に恥ずかしい限りです。おっしゃる通りです。
この辺の料理ですが、異世界の生態系をあると仮定して考慮すると、おそらく創作料理になると思います。あとでじっくり考えておきます。

かっこいいヒロイン、いいですよね。女性がしっかり自立して戦う作品は海外で特に受けがいいという話を聞きます。

もう少し奇をてらってもいい、という意見、とてもためになります。自分で「これはオリジナリティあふれる設定だぞぐへへへへ」と思って書いているだけでは気づかないことなので、とても有意義な感想でした。ちなみにその具体的な内容は、相手を傷つけたら自分も等しく傷つく能力です。そういう能力を扱った作品は今までに自分は見たことがなかったので。 《受け戻し》と《復活》と女主人公だけで過信してしまう阿保な私でした。

さて、話を元に戻して、もう少し捻るとしたら精霊の描写かもしれません。そもそも展開に大きな問題があるというか、主人公は兄が追い詰められている姿を目撃して精霊と契約したわけでは実はないんですよね。だから兄が殺されかけているのを見ていられなくて精霊と契約せざる得ない的な展開にするのがよかったのかもしれません。あれ、逆に王道に近づいてる……?

ともかく、ありがとうございました。

市川春子
49.98.170.59

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香川
106.129.165.17

読ませていただきました。
 
私はあまり辛口の感想は書かないのですが、今回少し辛めです。すみません。 
 
個人的に、冒頭の描写はとても良かったと思います。
少し思うところはあるものの、丁寧に描かれたことが分かる書きぶりで、好感を持ちました。
 
ただ、この丁寧な筆致が冒頭だけになってしまっているのが残念だなと思いました。
あとに続く部分は描写も細部設定の提示も丁寧とは言いづらい印象でした。
特に、こうした異世界ファンタジーでは、しっかり構築された世界観が大きな見せ所ですから、そこを丁寧に描けていないのは、失礼ですが致命的ではないかなと思います。
 
少し細かく書かせて頂くと、
まず、勇者の血筋というその事が、ただその一言だけで済まされているのはどうかなと思います。
兄であればシャノだって勇者の血を受け継いでいるはずなのに、なぜ妹のミカが勇者となるべきなのか。
この先説明があるのだろうとは思いますが、もう少しその辺りの注目のさせ方に工夫が必要だと思いますし、
仮にそこの設定を詰められていないのだとするともう少し煮詰めてから書き始めなくてはならないのかなと思います。
 
あと、これはかなり気になったのですが、この世界の状況がどうなっているのかいまいち伝わってきませんでした。
国民が搾取され、王国と正義のアウトロー的レジスタンスが対立している、という状況なのだというのはなんとなく理解できますが、一体どういう背景でそうなっているのか、やはり詳しく説明されるべきだと思います。
王国側がワイバーンを駆り出したりしているところを見ると、おそらく人間の世界とは別の世界が存在し、かつその影が人間の方へ伸びてきているのだとは思いますが、そういった事柄も描かれていません。
この作品世界がどんなものか全く見えてこない、というのは、大きな問題だと思います。
ハイファンタジーは作品世界を俯瞰的に見つめることが必要になってくると思うのですが、それがおできになっていないように感じました。
 
冒頭のお寿司やステーキなどの料理について、世界観に合わせて統一されていないというのも気になるのですが、
それ以上に、環境や身分によってどんなふうに食べるものが変わっているのかが伺えないことの方が気になりました。
冒頭から五年経過してからは、王国に国民が搾取されている状況な訳ですからお寿司ステーキなど食べられるはずがないですが、そういった生活の変化がきちんと描かれていない、
搾取しているからには贅沢をしているのだろう王国の人々の食べるものも分からない、というのはどうかなと思います。
もしかしたら、今後、実は王国も魔王か何かに乗っ取られていて…みたいな展開がないとも言い切れないですが、
それでも序盤で皆が王国側の人間に苦しめられていると思っている段階では、王国の贅沢な生活と国民の生活を対比するような部分が必要ではないでしょうか?
金持ちから盗んで貧しい人々に与えているのだったら、その辺りは特に描くべきだと思います。
食べ物だけでなく着ているものや使っている乗り物、髪の整え方、歩き方、体つきなど、考えれば描けることはたくさんあると思います。
 
他にも、アクションシーンが説明的で臨場感に欠けるなとか、
書き手の方がイメージしている映像と読み手がイメージする映像の間に差がありそうだなとか、いろいろと思うことはありますが、
何よりもまずは、世界観をしっかり構築することがいちばん大切なのかなと思います。
私も今メインで使っているサイトは小説家になろう(あるいはカクヨム)ですが、なろうには探せばたいへん質の高いファンタジー作品がたくさんあります。
そういった作品をお読みになることで得られるものは多いと思うので、いろいろご覧になるといいのかなと思います。 
私が仲良くして頂いている方の中にはご自身の作品に登場する町や王国、山、川、街道といったものを緻密に描いた略図をSNSにアップされている方もいらっしゃいます。
刊行されているファンタジー小説の挿絵みたいに本当にしっかりしたものでした。
それだけで作りこんでこそ、その作品の世界観を描ききることができるのだと思います。
私自身はこれからハイファンタジーっぽいものにも挑戦しようかなという段階なので、自分のことを高い棚に上げて色々言っているわけですが、
それでも、自戒も込めて、ファンタジー作品では世界観を作りこんで描くことが大切だというのはお伝えしたいなと思いました。
 
あと、余計なことを書きますが、このサイトでほかの方が別の作品に書かれている感想は読むと参考になることもあると思います。
鵜呑みにしろとか真に受けろという意味ではなく、いろんな読み方、捉え方がある、というのはそこまで手練ていない方にとってはひとつ勉強になる部分ではないかなと思いました。
 
ありがとうございました。

安本牡丹
118.157.153.84

香川様

読んでいただいてありがとうございます。辛口なんかではないです、でも少し分かりにくい部分はありました。至らぬ点を真摯に書いていただいたようで、お詫びと同時に感謝いたします。異世界ファンタジーというジャンルであるなら、その世界観をしっかりと描写する必要がある、ということですね。

実はこの話、

「主人公が現実と向き合い、致命的な代償と引き換えに特別な力を手に入れる」

というテーマで、第1話らしく仕立てようとしたものです。その上で、あくまでこれはライトノベルの皮を被った小説であるということで、情報公開の優先順位は、

テーマ>心情の描写>主人公の人柄を示唆>主人公の人間関係を示唆>世界観を示唆

と、このように最初から決めていたんです。本当は5000字くらいで収める予定だったんですが、ここまで情報を削っても13000字以上と、かなり厚くなってしまいました。

何が言いたいかといえば、確かに異世界ファンタジーである以上、世界観の丁寧な作り込みとそれを読者に伝えることは不可欠、おっしゃる通りです。しかし、意図的にそちらに比重を置かなかった、主人公の内面を重視したというのが本音です。

世界観の情報はそれとなく示してはいますが、説明はしていませんし、(そもそも「説明」するのは下策です。たとえば描くにしても、香川様のおっしゃる通り王国と貧農との対比はかなり有効だと思います。ありがとうございます)仔細に情報公開をするつもりは無かったのです。

同じ血筋ならなぜ兄は勇者ではなく妹が勇者なのか――実はありきたりですが今後活用する予定の伏線なんです。今回は情報不足として指摘という形でしたが、妹の方が後からこの事実に思い至って兄妹間でかなり大きな問題に発展する話を今後描く予定です。

また、王国側の情報が一切ない、ということですが、これも実は第2話から登場する第二王女という超重要登場人物(というか、第2話からこちらに視点が移ります。第二王女はまだ出ていませんがこの作品のメインヒロインです)がいるので、王国のことは2話以降に少しずつ情報公開していこうかと考えています。

いずれにせよ、第1話で手の内を明かし過ぎることは、かえって今後の展開に支障をきたしますし、今回の第1話の目的からも外れていて、情報を詰め込みすぎると散らかってしまうというかお話が破綻してしまいそうだったので、そういう複合的な理由で意図的に省いた世界観の情報でした。

しかし、食事や生活に関してはおっしゃる通り、改善すべき点が多くあったと思います。世界観に関してはある程度は作り込んでいるので、それを少しずつ提示していきたいと思います。勉強になりました。

瀬尾りん
182.251.151.219

こんばんわ、感想返しに参りました!
全部ざっと読んでみて、色々と気になった点はあったんですが上の香川様とほぼ一緒なので割愛です。
ただ伏線とかもあるなら、やっぱり物語の全体が掴めるところまで掲載して欲しいかな、と思いました。

ファンタジーって言ったらスレイヤーズと無職転生ぐらいしか読んだことがないのですが、作者さまはこの作品はシリアスなのか、ギャグ寄りなのか、どちらで書きたいのか疑問に感じました。
というのも、ミカの喋り方と地の文がうまく合致してないような気がするのです。ですます調は真面目な雰囲気を出す事も可能ですが、ロリ敬語キャラみたいな印象を持ってしまいました。そこを想定されているならいいのですが。
このお話はどこまで書いてるのでしょうか。完結できればとても得難い物になると思います。

藍島響(明日人零)
114.16.74.128

作風がファンタジーとは違うような気がします。書かれてからの月日の浅さを考えると、ポテンシャルは高そうだな、という気はしましたが。
最後まで読んでいなくてすみません、入り口の凡庸なお話に付き合うのはやや根気がいります(それこそ異世界系の定番ですね)。
今一度、書きたいこととやりたいことを吟味された方がよろしいような気がします(個人的には、私と似たタイプの方かな、と推察します)。

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