作家でごはん!鍛練場
百日百夜

樹形図

 僕は水でできてるんだ。
「わたしもそうよ。人の身体は半分以上水だっていうでしょ」
 そうだけど、と背中に指先を這わせる。擽ったくて身を捩ると、今度は肩甲骨に沿ってキスを落としていく。
「僕はあなたとは違う。この薄い皮膚の下は水」
 肩甲骨から腰へ、そのまま下がっていく唇の感触にうっとりと目を閉じた。
「大人になると水分量は減る。それに女のほうが少ない。蓮(レン)はまだこどもで、男の子だからわたしよりずっと水。そういうこと?」
 こども。声は擦れ、吐息に交じる。閉じたカーテンの隙間から差し込む陽射しは緩やかで甘い。昼過ぎから寝室で蓮と交わっていることに僅かに罪悪感を覚える。小学校は昼休みだろうか。
「こどもとかいうなよ、もう十六だ」
 彼は足の先までていねいにキスをして足の親指を口に含んだ。
 蓮、と思わず声が出る。蓮は親指を口から出した。
「ペディキュア変えたんだ、きれいだよ」
 薄紅色の爪先を持ちあげ、蓮は足の裏を擽った。目を閉じたまま笑い声を上げると不意に仰向けにされる。娘が過ぎったことを見透かしたように、蓮の目は僅かに嫉妬か怒りを含んでいる。
「游子さん、今は僕だけを見ててよ」
 そのまま閉じた足を膝で乱暴に抉じ開けていきなり挿入(はい)ってくる。仰け反りながら待って、と抗議する声を唇で塞がれ、腕を両手で横に縫いとめられた。
 さっき射精(だ)したばかりなのに蓮のものは猛々しく中に刺さり、蓮は首や頬を貪りながら腰を打ちつけた。
「急に、ひどいわ」
 涙目で訴えるわたしをニヤリと見下ろしゆっくりと出し入れする。ピチャリと音が響き、羞恥で顔を背けると蓮は不意に抜いた。
「――蓮」
 目を閉じる。息が荒いのはわたしのほうだ。
「じゃあやめてあげる」
 そそり立つものをお腹に押し当ててそういうと、乳首に舌を這わせた。
 はぅ、と漏れた声に彼は身体を離す。恐る恐る目を開けると、蓮は固いままのものをわたしに握らせた。彼のものはわたしの手に余る。
「欲しい?」
 悪戯っ子の無邪気な顔で問う蓮は息を呑むほど色っぽく、こんな時でもただ見蕩れてしまう。小さく頷くと蓮は口を尖らせた。
「じゃあちゃんとそういって」
「いやよ」
 彼はわたしの手の上から自分の手をあてがい、ゆっくりと上下に動かしている。手の中で彼がピクリと動く。
「そう」
 彼は握らせたまま空いた手をわたしの恥丘に伸ばし茂みを掴んで引っ張った。
「こんなに濡れてるのに」
 溜息でいいながらゆっくりと指先でなぞっていく。もう限界に近い。
「淫乱なヒトだな」
 足を閉じる。蓮の指は花弁を分け入り一番敏感なところを探り出す。涙のように流れ出す蜜を止められない。
「いってくれなきゃわからないよ。それともこのまま出してもいいの?」
 扱く手の動きを速め、蓮が耳元でいう。このまま、と思わず呟くと蓮は小さく息を吐き、指を中に入れてきた。
「ヌルヌルなんだけど」
 呆れたようにいう声を聞こえないふりで目を固く閉じる。彼の指が中をていねいに巡っていく。ああ、もう少し、と身体を弓なりに反らせた途端、指が抜かれた。
「――意地悪」
 焦らされて蓮の指がいたところが喘いでいる。内腿の力を入れなんとか宥めようとするが無駄だ。
「ちゃんといいなよ、入れてくださいって」
 勃起した乳首を弄ぶように摘まれ、不本意ながら屈した。
「――入れてください」
「何を」
「あなたの、蓮の、コレ」
「コレじゃわからない」
 蓮はわたしの足の付け根にモノを擦りつけた。
「蓮の、オチンチンを、入れてください」
 まあいいか、とフッと笑うと蓮は身体をずらしてわたしの両膝を立てて掴みマジマジと眺めた。
「見ないで、お願い」
 顔を両腕で隠し懇願する。見られるだけで溢れるのがわかる。
「きれいだよ、游子さん」
 蓮は舌先で蜜を舐め取った。もうそれだけで身体は跳ね上がる。
「いいね」
 わたしの反応にそういうと、蓮はゆっくりと舌でそこを嬲り始めた。もうじっとりと濡れているはずの花弁を甘噛みし転がす。さっき指が入っていた場所を舌が探るように伸びてきた。チロチロとからかうように舐められ、蓮はじゅるっと卑猥な音を立てて蜜を飲む。わたしは吸い上げられるたびにハゥっと間抜けな声を出して身を捩る。
 やがて彼は片手で乳房も弄り始めた。乱暴に強引に分け入る指と動きをやめない舌にわたしはガクガクと身を震わせ、抵抗する間もなくいってしまった。だが弛緩したとたんに彼は挿入ってきて、ゆっくりと動かし始めた。
「はぁ」
 疲れと快楽に心地良い疲労を感じている間に、また波のように押し寄せる感触に気づけば抑えきれず声を上げていた。
「温かいよ、あなたの中」
「全部、出して。蓮の水――」
「そうしたいよ」
 擦れた声で蓮はわたしの髪をぐしゃぐしゃと撫でた。気持ちいい、だの最高だ、だの吐息と一緒に洩らしながら、彼はわたしの両足を抱え上げて激しく腰を打ちつけ始めた。お腹の奥に彼が当たる。お腹ではなく脳天を突かれるようだった。彼の激しくなる息遣いが嬉しい。やがてどちらのかわからない喘ぎ声を聞きながら同時に果てた。

 結婚するの、と明日香から電話があったのは金曜日の昼過ぎだった。
「おめでとう明日香」
 久し振りの電話でいきなりそういわれ言葉が一拍遅れた。ありがとう、と苦笑するように明日香が答えた。
「よかったら明日会わない? ランチしようよ。彼氏のことも訊きたいしさ」
「いいよ、じゃあその時いっぱい話そ」
「本当におめでとう明日香。すごく嬉しい」
 心からの祝福を込めていった。明日香とは幼馴染で小学校から高校までずっといっしょだった。大学時代は違う大学だったせいもあって少し疎遠だったが、社会人になってからはまたよく会うようになった。
「じゃあいつものカフェで十一時に」
 ブランチのつもりで早めの時間を設定し、電話を切った。
 彼氏ができた、と半年前に聞いて週末はあまり会えなくなったけれど、メールのやりとりは頻繁にしていた。お互いにLINEは嫌いなのでしない。
 オフィスの窓から秋晴れの空を見上げてから手帳に時間と場所を書きとめているとまた電話が震えた。
「――はい」
「仕事中?」
「お昼休み。もうすぐ終わりだけど」
「そう」
「学校はどうしたの」
「芸術鑑賞会ってやつだった。さっき帰ってきた」
 喉につかえるような声でいい、蓮は小さく息を吐いた。
「どうしたの、気分悪い?」
「そうじゃない」
 不意に怒った声でいうがすぐ慌てたように、ごめんと謝る。
「むしろ気分はいいよ、一人じゃないし」
「なんなの」
 挑発的な蓮の声に、わたしは少し構えた。電話の向こうから蓮ではない声がした。
「誰かいるの」
 思わず声を潜めた。蓮が笑い、一人じゃないっていったでしょ、と続けた。
「彼女が来てる。で、フェラを教えてる」
 眉根を顰める。
「切るわね」
 離した電話から待てよ、と声がして反射的に耳に戻した。
「ジェラシーとか感じないの?」
 大きく息を吐き、わたしは首を横に振る。
「感じないわ」
「心は不感症だね、僕はあなたの声が聞きたかっただけなのに」
「あのね蓮」
 声を荒げてしまい隣の同僚がチラッと見た。なんでもない、と曖昧に彼女に笑ってから、手で口元を隠した。
「あなたに可愛い彼女がいるのは当然よ。だからって嫉妬したりはしないわ。わたしはその立場にはないし。それに――」
「――それに?」
「彼女と一緒のときに電話をしてくるのはやめなさい。悪趣味よ」
「そう?」
「そう。もう仕事に戻るわ。また」
「――じゃあね。大好きだよ」
 吐息とともにいう蓮の声が耳に残る。まだこどもみたいな蓮に振り回される自分が情けなくて、目を閉じて深呼吸をした。
「大丈夫?」
 同僚は読んでいる本から目をあげずに問う。
「ええ、なんでもないの。ごめんなさい」
「水原さんが感情的になるなんて珍しいわね」
 しおりを挟み、彼女が笑みを向けた。苦笑してわたしはモニターを眺め、ファイルを開けた。
――大好きだよ。
 一回り以上も下の高校生にいわれた言葉を鵜呑みにするつもりはない。よく考えれば、それはわたしに対してではなく目の前の彼女に対しての言葉かも知れないのだ。そう思っても鼓動が煩いことに苛立ちながら、キーボードを乱暴に叩いた。

 さて、とタクシーから降りると蓮はわたしからアイマスクを外した。
 マンションの地下駐車場。まだ昼間なのに薄暗かった。視界を遮られていたせいでなかなか目が馴れない。だが蓮は乱暴にわたしの手を引き、エレベーターに乗せた。
「悪く思わないでね。ここは僕のじゃなくて父の部屋だから場所を知られたくないんだ。でも父は出張でしばらく帰らない。父がいないとき、勝手に使ってる」
「勝手にって、断らなくていいの?」
 行けばわかる、と蓮は口の端を上げた。最上階に着くと蓮は手をつないだままでまっすぐに伸びた廊下を歩き出した。赤いカーペットが敷き詰められた通路はマンションというよりホテルのようで、靴音も響かず物音一つしない。両側に五つほどあるドアの一番奥、突き当りのドアを開けて蓮はわたしを招きいれた。
 広い玄関ホール、天窓から入る陽射しが眩しい。左右にドアが一つずつ。蓮は右手のドアを開けてわたしを先に通した。
「――これ」
 絶句したわたしの背後でドアが閉まる。ね、わかったでしょ、と蓮はそのまま腕を掴み部屋の中央の赤いベッドへわたしを座らせた。
「蓮、何を――」
 ベッドといっても心地良いものではない。診察台のような固いものだ。
「怖い?」
 三十畳はあろうかという部屋の壁は真っ黒で、大きな窓が二つ。向かいの壁一面にさまざまな道具がかけられていた。天井から吊るされた重厚な鎖や棚に並ぶ枷、見ただけでは目的不明な数多の道具に比して部屋は凛々しい気を孕んでいた。なぜか清潔なキッチンを思わせるのは、整然と並んだそれらの手具のせいだろうか。
「大丈夫、あなたもきっと気に入るよ」
「待って」
 いう間もなく両手を拘束され、ベッドに転がされた。
「何を、するつもりなの」
 情けないほど声が震えた。蓮は時折酷く残忍な顔をする。直視するのが怖かった。映画では見たことがあるが実際にこんな部屋が存在することが信じられない。
「いいね、その怯えた顔」
 ベッド脇で面白そうに見下ろす蓮に恐怖を覚え、慌てて身を起こしたが乱暴に倒された。
「ダメだよ、逃げ出そうなんて。楽しいのはこれからなのに」
 蓮は手を括った皮革の拘束具をベッドの支柱から伸ばした鎖にガチャリと繋げた。
「――何するの」
「何しようか」
 蓮は楽しげに壁に向かい、きれいに並んだ道具を眺め、そこから棒やら鞭、用途のわからない道具をいくつか取って戻ってきて、ベッドと繋いでいた手首の鎖を外した。
「逆らうと痛いよ。いい子にしてて」
 蓮はわたしをベッドから降ろし立たせると鎖の先を天井からぶら下がった金具に嵌めた。テーブルの上にあるリモコンを操作すると、鎖が巻き取られ腕が天井に引っ張られていく。
「やめて、蓮」
 抗うように手を下げても機械には敵うわけもなく、腕が伸びきってやっと機械は止まった。
 蓮は傍に来ると、ゆっくりとスカートのジッパーに手を掛けた。スカートを下げパンティを脱がせる。上半身はブラウスのままで下半身だけを曝すのは耐え難いことだった。
「ねえお願い、手を解いて」
 頼んでも蓮は首を振るだけで、傍の椅子に掛けるとわたしを眺めた。それだけで鼓動と息が荒くなる。ただ恥ずかしくて顔を背ける。
「きれいだよ、ほんと。ずっとこのままにしてたいくらい」
「お願いよ、蓮。外してちょうだい」
 ダーメ、と甘えたような声でいいながら、蓮はじっと見ていた。パンティの中で蒸れて萎れた茂みを。身体が羞恥と屈辱で震えだす。
「さあ、おっぱいも見せてよ」
 蓮はまた傍にきてブラウスのボタンを一つずつ外していく。彼の手が皮膚に触れるたびに息を呑む。満足そうに息を吐き、蓮が目を細めた。
「このブラは初めて見るよ、似合うね。手括っちゃってるから外せないけどごめんね」
 蓮は背中側に両手を回してオレンジ色のブラジャーのホックだけを外し、両方の乳房をブラの中から持ち上げるように触れた。
「立っちゃってるじゃん」
 可笑しそうに乳首を摘み首筋に舌を這わせる。やめて、という声が声にならない。
「ほら、陵辱されると喜ぶタイプ」
 蓮のからかうような声に、違う、と辛うじて呟いた。さあどうかな、と蓮は慣れた手付きで両足に拘束具をつけると右足だけを持ち上げ、天井の鎖に繋いだ。
「やめて、お願い」
 蓮は返事もせずにまたリモコンを手にする。どんどん短くなった鎖に足が吊り上げられ、右膝が胸の高さになるとやっと止まった。両腕と右足を吊られ、左足だけで立っているのは辛い。恥ずかしい格好で。
 蓮はすぐ傍に椅子をもってきて座ると、一番見て欲しくない場所を見詰めた。
「お願い、ねえやめて」
「どうして」
「――恥ず、かしい」
「辱めてるんだよ」
 蓮は嬉しそうにそこにふっと息を吐いた。思わず目を閉じた。
「これだけで感じてんじゃん」
 ヒュッと音がして背中に鈍い痛みを感じた。驚いて目を開けると蓮は座ったままで鞭を手にしていた。
「そんなに痛くないでしょう? 痕はつけないから安心して」
「いやっ!」
 いうまもなく二度、三度と振り下ろされる鞭は、蓮のいうとおり音のわりには痛みはない。ただ身を竦ませるだけだ。それでも気が遠くなるほど打たれ、手首にぶら下がるしかなくなった瞬間、あそこに痛みを感じた。
 蓮が鞭の柄を押し当てていた。革が巻かれた柄をグリグリと押し付けられ、わたしは身を捩った。だが拘束されたままなのでは逃げようがない。
「変態だね」
 蓮の少し上擦った声が聞こえ、柄の代わりに熱い口が当てられた。蓮は跪いて舐め始めた。
「あん」
 痛みと快感と疲労とでごっちゃになった感覚は羞恥を上回り、わたしは淫らな声を出していた。それに比べ、蓮は冷静にだが誠実にそこを責めてくる。彼は夫よりわたしの身体を熟知していて、わたしは抗えない。
「はあっ、やめ、て――」
 不意に蓮は口を離した。見下ろすと彼は口の周りをヌラヌラと光らせ、上目遣いでわたしを見ていた。
「お願い、解いて」
 小さな声で懇願するわたしに首を振ってみせる。
「ダメだよ、まだまだこれからだ」
 蓮はわたしをそのままにして部屋から出て行った。わたしは荒い呼吸のままで窓を見渡した。カーテンはない。向かいのビルには人がこちらを向いて仕事をしていた。隣室からポン、と音がして我に返った。
「飲む?」
 蓮がグラスとワインを持って戻ってくる。さっきのはワインの栓を抜いた音だったのか。 
「ああ、あっちから丸見えだよね」
 俄に蒼白になったわたしに、面白そうにワインを口移しした。わたしは噎せて、嘘だよ、と蓮が笑った。
「この部屋の窓は全部マジックミラー、外からは見えない」
 蓮はわたしの口の端から漏れたワインをペロリと舐めた。不意にしゃがみ、その口をまた下に這わせる。冷たい感触にわたしはまた身を反らせた。
「まだダメ」
「蓮――もう」
「知ってる? あなたの中は赤いんだよ。すごくキレイな赤。薔薇みたいだけど、入れると吸いつくみたいだし動くとすごく締まるんだ。食われるんじゃないかってくらい」
 喋りながら蓮は椅子に座り笑って射るように花弁を見ている。少しキスされただけでまた濡れてくる。それでもまだ、シテ、とはいえなくて目を閉じた。
 ツ、と内太股を伝う感触がある。溢れてきたのかと冷や汗を背中に感じた。目が開けられない。
「游子さん」
 蓮が静かに続ける。
「血、出てる」
 え、と思いながらも声が出ない。ゆっくり瞼を開けた。
「生理だ」
 蓮は何やら嬉しそうな顔で視姦を止めない。
「初めて見たよ。ホントに血が出るんだ」
 ゆっくりと流れた経血は足首を伝っている。
「可哀想に。女だね」
「ねえお願い、解いてちょうだい」
「ヤだよ」
 蓮が声を低め、立ち上がった。
「やめて、ねえお願い」
 拘束されたまま僅かに身を引くが少しの抵抗にもならない。蓮は面白そうに指を当てた。
「きれいだね、ほんと。このまま帰したくないよ」
 れん、と呟いた声が擦れ、蓮は膣口から離した手をわたしの鼻先にもってきてほら、と笑う。
「血と蜜と。最高だ」
 背けた顔を強引に戻され、蓮はわたしの顎を押さえたまま意地悪く見下ろして花芯を指で嬲ると、跪いて下品な音を立てて舐め始めた。
「やめて、汚い」
 蓮がやめるはずもなく、彼はそのまま何度も直前でコトを止めた。
 息も絶え絶えになり、視界がぼやけ始めるとなんの前触れもなくいきなり鎖が外された。ジャラジャラと落ちる鎖の音を聞きながら、崩れたわたしは一気に突き抜かれ蓮に乳房を搾られる痛みに耐えながらやっと達してそのまま失神した。

 カフェに着いたのは約束の五分前だったが、明日香はもう先に来ていた。ひさしぶり、と手を上げる明日香の顔は少しすっきりとしたように見える。胸の辺りまであった髪が顎の下の長さに切り揃えられ、やや明るめの色に染め替えられていた。枯葉色のシンプルなワンピースがよく似合っている。
「ごめんね、待った?」
「ううん、わたしもさっき来たとこ」
 明日香の向かいの椅子に座りながら目を細めた。
「うーん、なんかキレイ」
 いきなりなによ、と明日香が笑う。
「髪切ったんだ。色もステキ」
「うん、なんか勢いで切っちゃった。でも式終わってからにすればよかったってちょっと後悔」
「そう? でもいいよ。可愛い」
 ありがとう、と明日香は髪にそっと触れた。
「いらっしゃいませ」
 学生らしい若い男の子がテーブルに水を置き、メニューを渡してくれた。彼は軽く頭を下げ、決まったら呼ぶようにいって席を離れる。
「本当におめでとう、明日香」
「ありがとう」
「なんか雰囲気変わった。髪型だけじゃないよね、少し痩せた? キレイになった」
「もういいよ、游子」
 明日香は微かに頬を染めた。
「好きなんだね、彼のこと」
「もうやめてよ、ホント」
 言葉とは裏腹に幸せそうで、大袈裟ではなく明日香の周りに花びらが舞っているようにさえ見えた。愛されている自信に裏打ちされた強さは時に可憐な図太さに姿を変えるが、彼女には結婚に甘えた素振りはない。そのことが自分のことのように誇らしかった。
「いい人なんだね、良かった」
 そういってメニューを広げながら意味もなく笑いあう。
「わたし、ランチセットにする。今日のスープ、海老のビスクだって」
「游子大好きだもんね、ビスク。じゃあわたしはパスタのセット」
「了解、じゃあ頼むよ」
 メニューから顔をあげるとさきほどの男の子と目が合い、彼が注文を取ってくれた。
「さて」
 彼が離れると、わたしは明日香に笑みを向けた。
「相手はやっぱりお付き合いしてた彼? 四つ上だっけ」
「そう、こないだ三十六歳になった。武(たける)くんと一緒。偶然だけど誕生日も一緒」
 思いがけない名前にわたしは苦笑した。武は兄だ。
「――そうなんだ」
 明日香はそれ以上兄のことはいわなかった。兄はわたしが高校生の時、自死した。ガレージで首を吊った兄を見つけたのは明日香だった。明日香は恐らく兄のことが好きだった。
「式は京都でやりたいの。游子も来てくれるでしょ」
「もちろんよ」
 兄が死んでから、明日香は誰とも付き合おうとしなかった。女のわたしから見ても可愛らしく優しくて思いやりもあり、寄って来る男は数多くいたが明日香は頑として靡かなかった。もしかしたらレズビアンじゃないかという嫉妬の交じった噂が悪意とともに流れたこともあったが明日香は聞き流し、頭の良さで上手く立ち回っていた。兄が死んでから明日香と兄のことを話すことはほとんどない。法要には必ず顔を出してくれるが、必要以上に家族に立ち入ることもせずほど良い距離感でいてくれた。物心ついた時から一緒にいるせいで、わたしは幼馴染というよりむしろ姉のように思っていた。
 兄のことを好きでいてくれるのは嬉しいが、死んだ人のことをいつまでも思っているのは遺族として心苦しかった。かといって、兄など忘れて幸せになってくれというほど、わたしは明日香と兄のことを知らなかった。というより、恐らく明日香の仄かな片思いに過ぎなかっただけだと思う。だからよけいに、忘れてくれなどとはいえなかった。
「どんな人かは訊かないわ。明日香の選んだ人だもん、いい男に決まってる」
 明日香はふっと息を吐き、小首を傾げて微笑んだ。
「まあね」
「あ、さっそく惚気か」
 フフッと笑んだ明日香の顔が、不意に凍りついたように歪んだ。
「どうしたの?」
 わたしの背後を据えた視線は動かない。わたしが振り返るのと同時に、蓮がポンと肩を叩いた。
「蓮? 何してるの」
 明日香は目を見開き、まるで幽霊でもみるような顔つきで蓮を見ていた。蓮は愛想の良い笑顔を浮かべ、わたしの隣の席に座った。
「こんにちは、明日香さん」
「あなたたち、知り合い?」
 驚くわたしの手を蓮はまあね、と握る。軽く振り払うが、蓮は今度は強引に肩を抱き寄せた。
「やめなさい」
「はあーい」
 力を緩め意外と素直に腕を離す。だがそれで充分だった。
「蓮くん、あなた、游子と――」
「秘密だよ、明日香さん。僕の片思いなんだから」
 ね、と蓮はウィンクをしてみせる。明日香は不意に立ち上がり、よろけて後じさった。
「明日香?」
 蓮の無礼を窘めるより明日香の不自然さが気になってわたしも立ち上がった。
「游子さんは冷たいんだ。僕をずっとこども扱いでさ」
「ごめん、わたし帰る」
 震える声でそういうと、明日香はバッグを掴み蓮から目を離さないまま財布から抜き取った紙幣をテーブルに置いて逃げるようにいってしまった。
「どうしちゃったの」
 後ろに引かれたままの椅子に蓮が移る。座ったら、と蓮に促されて呆然と腰を降ろした。
「蓮を見て、顔色変えたの?」
「さあね」
「何しにきたの、蓮」
「通りがかったらあなたが見えた。それで入ってきただけ。明日香さんは見えなかった」
「明日香とどういう知り合い?」
「父の古い友人。どうして?」
 いえ、と首を捻る。何か気に障ることをいったか思い出そうとするが、明日香の態度の急変に思い当たることはなかった。
「蓮のせい?」
「まさか、酷いな。それより游子さんは明日香さんとどういう関係なのさ」
「幼馴染よ。実家が近くて」
「それだけ?」
「どういう意味?」
 いや、と蓮はテーブルに肘をついた。その向こうに料理を運んでくる給仕が見えた。
「お待たせ致しました」
 明日香ではなく蓮が座っていることに当惑した様子で彼がわたしを見た。
「ありがとう」
 だが蓮はニッと給仕に笑みを向けた。わたしが頷くと給仕は蓮の前にスープと前菜を置いた。
「僕が食べても?」
「ええ、どうぞ」
 明日香は戻ってこないだろう。わたしは肩を竦めた。蓮はいただきますと手を合わせ、スプーンを手にした。見蕩れるほどキレイにスープを口に運び、前菜をフォークで平らげていく蓮を見ながら、明日香に電話しようか考えていた。
「ちょうど良かったよ」
「何が?」
「游子さんと遇えて」
 気づけば蓮とわたしの前にはメインの皿が置かれており、蓮はパスタをフォークで掬っている。
「昨日の続き、しようよ」
 蓮の声は湿り気を帯びていて、さきほどまでの無邪気な男の子の声ではなかった。
「ねえほら」
 脛に何か当たる感触があった。蓮が靴を脱いで爪先を足に這わせているのだ。
「欲情してんだよ、オレ」
 蓮の足をかわしながら、急に鼓動が速くなる。明日香のことはもう考えられなかった。昨日受けた辱めを思い出し、思わず目を閉じる。
「――ダメ」
「して、って聞こえる」
「蓮!」
「いいから早く食べちゃって。デザートはあなただ」
「――本気で怒るわよ」
「いいよ、怒ったあなたもステキだ。嬲りがいがあるよ」
 平然とフォークを使いながら饒舌な蓮に、わたしは溜息をつくしかなかった。

 土曜日だからか向かいのビルには人影はなかった。日中の陽射しが深く入り込んでいる。昨日あれほど荒らしたのに部屋はキレイに整えられていた。訝しむわたしに、蓮は父の飼い犬を一匹躾けてるとだけいった。それ以上訊くのは恐ろしく、わたしは口を噤む。
「さあ、脱がせてあげる」
 かたちばかりの抵抗は蓮に通じるはずもない。この部屋で蓮は絶対だ。呆気なく裸に剥かれ、蓮がベッドを指さした。
「游子さん、そこに寝て」
 この部屋はわたしを従順にする。昨日のことなど夢のように他人顔で、微かに漂う麝香のような香りがわたしをおかしくするのだ。三十過ぎの崩れた身体を曝すことに躊躇いながら。
 蓮はわたしの足を広げさせた格好で四肢をベッドの支柱に固定させた。着衣の男の前に全裸で動けずにいることは酷く怖い。怯えるわたしを、蓮は嬉しそうに見下ろすと手早く目隠しをした。
「いや、やめて」
 視界を奪われ、泣き声になった。蓮のクッと笑う声と衣擦れの音がすると、足をグッと開かれた。
「まずこれを抜こう。ジャマだ」
 喉が乾く。蓮が足の間に指を這わせる。溢れた経血に張り付いていたタンポンの紐を軽く引っ張られ、はぁと声が出てしまう。
「どうしたの」
 からかうようにそこを指で撫で摩られ息が漏れる。ちょん、とまだ固い花弁の先に合図のように触れられ、身を捩った。と、一気にタンポンが抜かれ代わりに蓮が入った。
「痛っ」
 叫ぶわたしの頬を張り、蓮はそのまま奥まで突っ込んだ。
「やめ、――れ、ん」
 痛みが身体を貫く。前戯のない挿入は痛みしかない。
「きっつ」
 蓮が両足の拘束を緩めて抱えるようにした。いっそう奥まで突かれ、悶えるように仰け反る。
「奥、滾ってる。すぐ気持ちよくなるからね」
 蓮の言葉通り、わたしのあそこは呆れるほど早く音を出した。激痛はいつの間にか快楽に取って代わり蓮の動きを甘受している。差し込む陽射しにキラキラと光る埃を睨みながらわたしは息を吐いた。弾みでずれた目隠しを乱暴に剥ぎ取られる。
「ハッ、――そんなに締めないで」
 蓮の擦れるような声が聞こえたかと思うと腰が持ち上げられ肉がぶつかる音だけが響いて一気に上り詰めた。
「ヤバい」
 蓮は射精したあともまだ腰を押し付けてくる。蓮の性器は柔らかくなりきらないまま、中に留まっている。わたしはただユラユラと彼の動きに合わせて揺れていた。
「あなたの薔薇は気持ちよすぎる」
 蓮に抱き締められ顔中にキスをされながらうっとりと彼の言葉を聞いていた。ツーと超音波のような音が頭の隅で鳴っている。
 その時だった、鈴のようなチャイムが響き、おっと、と蓮が身体を起こした。
「彼女だ」
 えっという間もなく、目隠しをされた。
「ちょっと何、外してよ」
 いう間にまた足を固定されガチャリと猿轡を嵌められた。両腕は繋がれたままだ。
「見えないようにするから静かにしてて。でも眠っちゃだめだよ、危ないから」
 蓮はコツン、と口に噛ませたものを叩いた。何か軽い布を身体に掛けられた感覚があり、彼が離れる気配がする。どういう状況なのかまったくわからず、口を塞がれていなくても息を詰めた。抉じ開けられた口が痛い。
「しーっ」
 蓮の声が聞こえた。何かコソコソと話す声が聞こえ、目隠しの下で目を閉じた。
「まだダメだよ」
 蓮の慌てた声にクスクス笑う声はまだ幼い。耳を澄ますとソファにドンと腰を下ろす音がして、蓮の唸るような溜息が響いた。
「お客さんが起きちゃうよ」
 焦ったような蓮の声に続き、ピチャピチャという音が聞こえた。
 不自由な口の端から息が漏れる。
「――こら」
 吐息で叱る声はあくまで甘い。んーっという蓮のではない声がして、猿轡の横から涎が流れた。
「あ、はぁ。いいよ、うまくなったね」
 蓮は明らかにわたしに聞かせている。大量の唾に巻かれて彼が息を荒くしているのが見えるようだ。
「そこ、もっと舐めて、――そう」
 ジュバジュバいう卑猥な音が大きく速くなり、ウッという声を上げて蓮が果てたのがわかった。精液が匂い立つ。
「――最高。いい子だ」
 相手の子は甘えるようにグチャっといっそう大きな音を立てた。広げた蓮の足の間に顔を埋めている女の子の休みなく動いている後頭部を想像するだけで、なぜこんなにゾクゾクするのだろう。
 広げられたままの場所が疼いた。今すぐ手を伸ばしたい。動けないまま大きく息を吸った。音を出さないように身を捩りながらなんとかやり過ごそうとするけれど、不自由さは余計にわたしを煽る。時折漏れてしまう声にドキッとしながらも蓮の指が舌が、体中を走る感覚があった。
「お待たせ」
 目隠しを外された。眩しくて思わず顔を顰める。彼女が帰った気配はなかった。恐る恐る見上げるわたしを蓮は笑顔で見下ろしていた。
「そんなに欲しかった? 涎垂れてる」
 口の端を冷たい指でなぞり、掛けていたシーツを剥ぐとその指を陰核に押し付けた。
「ううっ」
 猿轡をされたままでわたしは唸り、声を上げたことに焦って蓮を見上げた。
「静かにね、彼女眠っちゃっただけだから」
 蓮の言葉に首を捻ってもソファの向こうはよく見えない。その間にも蓮は足の間に顔を近づけ、あーあ、と呆れた声を出した。
「何もしなくてもビチョビチョだよ。ほんと、淫乱なヒトだな」
 蓮の声に残忍さが交じり始める。ほら、と蓮はジーンズを引き下げた。天を衝くほどに大きくなったものが飛び出してきた。
「さっき出したのに、あなたのせいだ」
 吐息とともに蓮はわたしに重なっていきり立ったものを押し付けた。口を塞がれたままのわたしは苦しさと快感で獣のような声をあげた。
「静かにっていってるでしょ。軽い眠剤飲ませたけど、そんな声出すとあの子起きちゃうよ」
 蓮が唇を舌でなぞりながら挿入ってくる。仰け反って腰を押し返すわたしを彼は巧みに煽った。
「ねえ」
 耳元で彼が言う。
「游子さんてさ、ヤキモチ焼かないの?」
 僅かに首を振ると、蓮は呆れた声で続けた。
「自分の男がすぐ横で別の子にフェラさせてて、マンコ濡れてるとかどういうつもりさ」
 マジで、と蓮は腰を離し、わたしは大きく溜息を漏らす。
「イカセてあげない。ほら、こっちで呑んで」
 蓮はパチンと猿轡を外すとすぐにペニスを入れてきた。喉の奥まで突かれて喘ぐ。血腥い蓮の性器。お預けを食らったままわたしは腰を宥めるように揺すった。足は広げられているので何もできない。
「ほらちゃんと動かして、そこじゃない、先っぽ舐めてよ」
 はあと蓮の熱い息が降ってくる。蓮はもうわたしの動きなど無視して両手で頭を押さえつけ、乱暴に動かして勝手に出した。喉の奥にぶつかる精液に噎せるわたしを見下ろしながら、やっと口を解放した。
「零さないで呑んで、ちゃんと」
 蓮はわたしの口の端から漏れる白い液体を指で掬い、口に戻した。
「相変わらずヘタだね。彼女の方が上手だ」
 蓮はわたしの横に半裸で寝転がり、ソファの方を見た。
「起きたら一緒に帰る?」
 蓮の言葉の意味がわからない。まだ呆然としたまま燻っている箇所を持て余す。
「解いてよ」
「解いて下さい、だろ」
「――解いて下さい」
 半分も年下の彼に虐げられると小さな少女のような気がしてくる。非力なこども。
「ここ、いいの? このままで」
 蓮は拘束を解こうとせず、指先で花弁を愛撫する。それだけで電気が走りわたしは必死で声を殺した。蓮はだるそうに身体をずらし、わたしの太股の上に熱い頬を置いた。
「いや、見ないで」
「嘘つき。あなたはこうされるのが好きなんだ」
 いい終わると同時に齧りつき、わたしは堪らず声を上げた。蓮はわたしに跨って手首だけ自由にした。わたしはそのまま蓮に縋りついて彼の肩に強く口を押し付けた。そうでもしないと叫びだしそうだった。
「狡いね、そうして僕を煽る」
 煽ってるのは蓮のほうなのに、そのまままた勃起したものを捻じ込められて息を呑む。
「いいね、大好きだよ。――さん」
 聞こえた言葉に確信がなかった。口を離し、彼を見た。
「どうしたの?」
 蓮の声は優しい。今、なんて?
「大好きだよ、っていったんだ」
「――そのあと」
「母さん?」
 どういうこと、と聞き返すより早く蓮が突きはじめた。ちょっと、と胸を押しても敵わない。わたしは弓なりになって呆気なくいった。呼吸が収まると小さな声で訊いた。
「――どういうこと?」
「僕はあなたから続いてるんだ。ううん、ずっと前かな、樹形図みたいに。妹にも」
「何の話?」
「明日香さんから何も聞いてないの?」
 蓮は足の拘束をとり、足首を優しく摩りながら続けた。
「あの人も大した女だね」
「――明日香になんの関係があるの」
 蓮は愉快げに笑う。
「そもそもどうして僕があなたに興味を持ったかわかる? 不思議に思わなかった?」
 自由になった手で頭を抱え込んだ。そうだ、どうしてこんな美しい子がわたしなんかを口説く必要があるのだ。
「水原武を覚えてる?」
「――兄よ、なぜあなたが」
「彼は僕の父だ」
「違う、兄は死んだのよ。もうずっと前に!」
 そうだよ、と蓮が足首にキスをする。その足でわたしは彼を蹴飛ばした。痛いなあ、と蓮は大して痛くもなさそうに呟いた。
「明日香さんのいった通りだ」
「どういうこと?」
 語気を荒げたわたしに、蓮が指先を立ててシーっと命じた。わたしは思わず口を押さえソファの方を見た。見て愕然とした。辛うじて見えている足は細く小さい幼女のものだ。蓮の同年代だと思い込んでいたわたしは華奢な足から目が離せなくなった。赤いソックスに見覚えがある。
「都合の悪いことはすべて忘れるヒトだって。自分のいいように過去を捻じ曲げたり平気でなかったことにする。あなたはそういう女だ」
「――何が」
 赤い小さな足を凝視したままで問う。蓮は爪先からそっとキスをしながら上がってくる。彼の触れるところから鳥肌が立つ。
「父は、つまりあなたの兄だけど、彼はあなたが好きだった。経緯は知らないけど二人はセックスをした。そしてあなたは妊娠、父は海外留学中で気づきもしなかった」
 游子、僕は――。
「あなたはあの晩、明日香さんの家に泊まり入浴中に僕を産み落とした。ちょうど今の僕と同じ十六の時だ。」
 明日香の蒼白な顔が浮かぶ。震えるだけのわたしから明日香は血塗れの赤ん坊を切り離しバスタオルに包んだ。処分するから、といった明日香の声に被るように弱々しい泣き声がしてわたしは耳を塞いだ。――なぜ忘れていた?
「幸か不幸か両親は不在、明日香さんは泣きながら家を出た。明日香さんは僕を捨てるつもりだった。あなたはそれを知っていて、何もいわなかった」
 やめて。
「明日香さんは父が好きだった。父に愛されたあなたの傍にいたのは、嫉妬と羨望と愛情からだ。あなたの一番傍であなたが苦しむのを見たかったっていってたけど、あなたは旦那が海外赴任なのをいいことに、好き勝手してた」 やめて、お願い。
「とっくに夫婦関係なんて破綻してても離婚なんてするわけない。旦那はあの年で部長だってね。美しく貞淑な妻は必要だし、あなたも今の暮らしを手放す気はない」
 蓮――。
「明日香さんの婚約者、父によく似ているよ。僕は写真でしか父を知らないけど、ちょっとびっくりするくらいそっくり。ずっと男も作らなかった明日香さんが急に結婚だなんておかしいと思わなかったの?」 蓮、どうか。
「明日香さんはなかなか僕を捨てることができなかった。偶然通りかかった大きな家の前で出会った男が何もいわず僕を受け取った。その家の主人、つまり僕の育ての親は僕を実子として引き取り育ててくれた。養父母にはこどもがいなかったから、僕は何不自由なく育ててもらったよ、ここは安心するところ?」
 どうして笑うの、笑えるの?
「幸い、っていうんだろうけど、幸い養母は美しい人でね、僕とよく似てるんだ。だけどもう長くない、長くてあと半年」
 死ぬ前にと、ある日彼女が僕にいった。わたしは本当の母親ではない、と。そして明日香さんの名前を教えてくれた。明日香さんは僕を見て一瞬で理解したよ。僕が何をしにきたのか。
「蓮、零(れい)は、娘は関係ないわ」
「関係あるよ」
 蓮はニヤリと笑い、横に肘をついて並んだ。
「あなたと一緒、この子もきっと淫乱な」
「やめて!」
「大丈夫、まだヤッテない」
「お願い、蓮。罰ならわたしが受けるから」
「もちろんそのつもりだけど」
 蓮は可笑しそうに笑う。
「あなたには罰じゃなくて悦びを与えることになっちゃうからね。ほら、生来のマゾヒストだからさ」
「――零はまだ八歳なのよ」
 蓮が乱暴に髪を掴んで顔を覗きこみ、弓なりの口が続ける。
「誤解しないでね、零ちゃんに無理強いしたわけじゃないよ。彼女はね、僕が好きなんだって。僕の悦ぶことをしたいっていったんだ。健気だよね」
「お願い、もう――」
「頭も悪くない。この部屋だって一回連れてきただけで覚えた。あなたの家からそんなに遠くはないんだけどね」
「――やめて」
「零ちゃんは僕のオチンチンが大好きなんだって。大きくなると喜んでしゃぶりつく。小さな口で一生懸命に舐めてくれるんだ」
 れ、――ん、
「大きくなったら僕のお嫁さんになりたいらしいよ。そうしたら游子さんのこと母さんって呼んでいいでしょう」
 やめてちょうだい。
「大丈夫、零ちゃんは僕が守る。もう少し大きくなったらセックスも教える」
――。
「それにしても偶然? 水原零と水城蓮。名前も似てるよね」
 わたしは嘔吐した。蓮は笑いながらわたしの頬を何度かビンタした。声を押し殺してわたしは呻いた。
「最初は復讐のつもりだったんだよ」
 蓮はわたしの汚れた顎を掴んだ。
「あんたを犯し、あんたの娘を穢して滅茶苦茶にするつもりだった。この売女!」
 声がでない。わたしは全裸のままでみっともなく啜り泣いている。足枷を嵌められ鼻水を流し吐瀉物に塗れ涎と血を垂らし愛液を溢れさせて。
「でも」
 ヤバイんだよ、と蓮が乱暴にキスをした。
「好きなんだよ、母さん」
 こういう状況でなぜ勃つのだろう。こんな時になぜ経血が溢れてくるのだろう。蓮は音を立てて血を吸った。おぞましいのになぜ濡れるのだろう。
「なんども突っ込みながらさ」
 潜めた声が饒舌だ。零の寝息が聞こえる。
「ここ、ここからオレは生まれたんだなって思ったよ。もうこのまま、もう一回ココから母さんの膣(ナカ)から子宮に戻って溶けてしまいたかった。あなたのヨガリ声を聞きながらさ。ねえ糞アマ!」
 好きなんだ、游子。
 兄の声が頭に響いていた。この子を、蓮をわたしは拒絶できるのだろうか。兄さん、ねえ教えて。
「――いっそこのままどこかへ流れてしまいたい」
 破瓜の痛みに唸るわたしを抱き締めて、兄はそういったのだ。
「引き裂いて、僕を流してよ」
 蓮は小声で笑っているのか泣いているのかわからない顔でいう。視界の隅に零の赤い足が見える。蓮の声が続いている。ここには何でもある。その気になれば、
――僕は濡れる。

(了)

樹形図

執筆の狙い

作者 百日百夜
61.197.152.253

R18文学賞落選作です。数ヶ月前に書いたものなので、再読すると直したい箇所も多々ありますが、課題を知りたいのでそのまま投稿させて頂きます。
どう感じられたか率直な意見を頂けたら幸いです。なお、性的描写がありますのでお嫌いな方には、申し訳ありません。よろしくお願い致します。

コメント

文緒
126.243.120.237

 私も落選組です。
 みなさんの御作を拝読するに、まったくのカテ違いの上に詰め込み過ぎ。
 こちらに挙げる勇気もありません。


 気になったところを。
 人称がはっきりしない、ように読める
 設定が凄惨で読後感が良くない
 高校生の坊主にハマる三十代ってあり?
 出産を忘れるかな? 記憶が欠落しても、身ごもり、娘を出産すれば戻りそう
 新生児を簡単に預かるかな? たまたまこどものいないお金持ちに出会う確率って限りなくゼロに近いと思う
 幸せに育ったらしい子がする復讐にしてはあまりにひねくれすぎ
 友人が気付く相似に濃い繋がりがあるはずなのに気付かないのは不
 お話の中でも子供が悲惨な目に会わされるのはイヤ



 参考にもならない感想で失礼しました。

 ありがとうございました。


 

文緒
126.243.120.237

 
 ごめんなさい。

 気付かないのは不自然、と書いたつもりが、ぬけてました。

一陽来復
219.100.84.36

うーむ・・過去の受賞作未読で、自分的にはエロのカケラもない平板作を出して、さくっと落選したんですけども・・

現状の 直截的な性描写てんこ盛りは、「頑張っている」「猛烈に気合い入れないことには書けない」と思うんで、その「真っ向勝負」ぶりには頭が下がります。

が、苦手な世界なんで、中身は 読めな〜〜い。
(ごめんね。。頭の中をなるたけクリアにして、「きれいで静謐な世界を構築しようとしている途中」だもんで……)


自分的に、性描写は・・
長野まゆみ『僕はこうして大人になる』か、三浦しをん『むかしのはなし』(漫画版で見た)ぐらいの文学的表現が気に入ってるので、
R-18の傾向は知らないんだけども、「そのあたりが理想」だと、勝手に思っちゃってます。



書き出し・・

> 僕は水でできてるんだ。
>「わたしもそうよ。人の身体は半分以上水だっていうでしょ」

↑ 半分以上水、に間違いはないんだけど、65パーセントから70パーセントだったと思った。

そんでもって、書き出しの「僕」が、カギカッコじゃなく地の文に入れ込まれている格好なんで、
この書き方だと、読者はまず、「主人公=その僕」だと思って、このハナシ眺めるじゃん??
でも、主人公は、カギカッコ台詞の主である「わたし」なんだよね。。

そういう「記載のブレ:整合性の崩れ」が、末尾の方にも歴然とあるから、
そこは推敲しないといけない と思う。
(鉤括弧、二重鉤括弧、——、を使い分けて、全体のスタイルをすっきり統一する)



画面で目に入った範囲だと、「8歳女児」に親のツケ払わせるのは、マズそうだよねー。

昔はだいぶ「何でもあり」だったらしいBLジャンルに、10年ぐらい前?に「規制」が入って、
14歳以下がマズイってんで、新装版出す際は一律「高校生」に書き改められた・・ってなことがあったらしい。

弥々丸朗
106.161.228.185

書き出しからまず読みづらいです。
他の人も同じこと言ってるから、もうこれはれっきとした事実だと思うしかない気がするから、単純に表記についての自分の感覚をちゃんと疑ったほうがいいのかもしれないですよね。
全編通してだれが何を見て語っているのかわかりづらい箇所が散見して集中を削がれます。
そういうのって、単純に”削がれる”ってだけならまだいいんですけど、こんなとこに上げるとか、ましてや公募となればそれは尚更のことではないのかと素人なりに想像するのですが、筆致の甘さっていうのは、それこそ単純に物語の作りだとかその思考、つまりその作品そのものの水準のようなものを読む人に端から疑って掛からせてしまう気がするので、やっぱり損な気がします。

書きたいことを書く部分と、書きたいことを書くために書かなければならない部分っていうのは必ず存在してしまうものですけど、その落差が激しすぎるような印象を受けてます、個人的には。
ただセックス描写を書きたかっただけなんだろか? って疑いたくなるほどその場面に紙幅を割いているしアイデアも執拗だし、それはそれでいいのかもしれないしここでたまに見かけるようなおっさんのエロネタなんかよりよほどエロかったんだろうしおっさんども少しはこれ見習えくらいは言ってもいいかなあ位のことは思うんですけど、それがむしろ、その充実がむしろこのおハナシ全体の説得力を裂いてる、なんて考え方はアタマおかしいですか?

主人公(バカだから名前変換できないもうしわけない)と明日香が会話する場面はことごとく馬鹿っぽいっていうか、そんな会話するかよ普通、なんてつまりヘタと言うよりは手抜きっぽい、っていうか先に言ったとおりの”書きたいこと書くために書かなければならない”っていう惰性の筆致が透けてるっていうか、エロシーンほどのアイデアの感度働かせるのケチってるなあ、進めたがってるなあ、っていう印象が先にくるものだから単純につまらない、っていうか。

”つまらんパート”が存在するっていうのは、再読の敵だと思うんですよ。

もう一度読むの面倒くさい、っていうのは単純にそれなりにつまんないってことの証左だと思うので、やっぱり必要なりの場面でも何かちゃんと思いつくこと気を抜かないほうがいいと個人的には思います。
顔面蒼白で出てった幼馴染ひょうひょうと見送る主人公の脳ミソすでにイッてる感も結構なんですけど、単純な必要論として考えたならあたしは普通に不と思うのだし、明日香に説得力や存在感をもたせあぐねてしまったなら所詮このおハナシは近頃も流行ったような”忘れちゃう系”に逃げただけの情事譚って思われても仕方ないのかなあ、とか単純に作為として”ゲスいなあ”とか、つまりものすごく言い方悪いんですけど審査的な印象を軽口で言ったなら”あざとい”って一言に、何だか落ち着いてしまいそうな気がするんですよ。

エロいおハナシを読みたい人は、そのつもりでそのジャンル漁ったらいいんです多分。
蓮くんのキャラとか、正常な感覚で眺めたら普通はナルサイコなんちゃってむしろ鼻で笑いたくなるノリのはずなんですし、それに対する主人公の反応とか、どっちかったらそのサービスって、男向けのAV需要に傾きすぎていやしないかとか。いちいち書きたがるにはもはや無邪気すぎやしないかとか。エロ小説が目的のはずはないんですし。
まったく同じ関係性で書くにしても、”女性ならではの感性”って目論見でのカウンター狙うなら、あたしはむしろ主人公に「逢いたいよう寂しいよう蓮くんヤってヤっちゃってお願い」って何だか言い方はふざけてるんですけど、このとおりエロに比重置くならむしろ女としてまったくヤりたがる本性みたいなエロをみっともなく恥ずかしげもなく吐き散らかしたほうがよほど存在価値ありそうだなあ、くらいのことは思ってしまうのだし、”書く”っていう目的に従うなら完全にそっちだと思うのだし、女を”ヤラれるもの”として単純に描くことはすでに古臭いような気がするし、”所詮ヤラれたがりのヤラれ生物”みたいな根本ありきで勝手に垂れ流してしまう恥ずかしいものとか白状させた方が、書き進めるうちにも何となく浮かび上がってくる世界とかそれこそ価値みたいなものって、もっと違うものになってくるんじゃないのか、なんてこれはヘタなりに書きたがる立場としての経験談のようなものでアイデアとかそういうお節介のハナシではないので勘違いしないでくださいすみません。

すっごい長くなってしまった。
これでありがちのシカトとかまた喰らったらまじでウケるなあとか(大いにあり得るよね? ねっ?)


エロネタをただのエロネタにさせないための企みを仕出かすと、案外こういう系譜のおハナシとかになるのかなあ、つっ込んだもの出すって性質上行き当たりやすい世界なのかもなあ、といったような典型を懇々と書ききった感は、やっぱみんな感じると思うんですよね。
”父の部屋”って時点で何飛び出すか、普通にわかっちゃうじゃないですか? しかもそれを抗えないような願望に言い訳がましく落とし込んじゃうっていうのはやっぱ、AV寄りで腹一杯だし価値下げる気がしてしまう。

忘れちゃった、の理由を丁寧に整えたほうが余程よかった気がするんですよ、多分。
父の部屋とかよりも。

ラピス
49.104.10.89

まず、設定がこの短さでは活かせないと思います。兄と関係を持ち、出産する話だけで、文庫本一冊になりそうです。
それを台詞や地の文で凝縮しようとするから、無理が出る。
出産を忘れたのが精神的なものだとしたら、そこもしっかり描かなければならないのでは?

変に設定を大仰にせず、素直に年下男子と30代女性の性と恋愛をじっくり描けば良かったのにー。

以前、読者賞を受賞した作品の中に、婚約者のいる女が片思いの男と旅行してセックスするまでの話があります。
旅行なのに情景描写とかなかったし、女に狡さを感じて共感はしませんでしたが、そんなんでいいのですよね。。。
シンプルイズベストです。

性描写を細かく書かれたのはR18に合ってて、良いんじゃないでしょうか。ただ、あまりエロスを感じませんでした。少年に魅力を感じなかったせいかも。

百日百夜
61.197.152.253

文緒さま

 初めまして。お読みいただきありがとうございました。

 カテゴリーというのは、私もよくわかっていません。去年はエロスの欠片もないのを出して落選したので、どうせならとそっちをやってみた次第です。
 こちらへ上げたのはもうただ自分で何も分からないので、どんな意見でも聞きたかっただけです。ここは私には恥を曝す場所。

 それで。
 人称ですね。視点のズレやブレは指摘されるし自覚もしているのですが、今作は導入部からコケているのだと分かりました。水云々、という冒頭とラストから出来てしまったのでそこはどうしても変えたくなかったのですが、墓穴でしたね。
 設定や読後感が良くないのも自覚していました。R18に限っていえば、女性の感性を生かした、とありますし、近親相姦だの児童ポルノまがいのことだのあって敬遠されるだろう、と思ってはいたのですが、温いものにしたくなくて押し切りました。
 高校生にハマる30代がいるかは別にして、いるんだと納得させるだけのものを書ききれていないのは筆力不足です。
 
 構成が考えられず、見えてきた(浮かんできた)ものを書き留める、という書き方をしています。これも同じタイトルの曲が流していたyoutubeから聴こえてきてその間に浮かんだものです。筆者としてはヒロイン視点で眺めていたので、最後、蓮の相手が8才のヒロインの娘だと知ったのは、変な言い方ですがヒロインと同じタイミングでした。フィクションの中の子どもの人権も云々される時代ですので、推敲段階で最後まで悩んだ箇所ではありました。

 上記に見えたものを書く、といいましたが、今年からはそれではダメだと奮起して考えて書くようにしています。R18は昨年の最終候補を読んだ限りですけど、女性らしい柔らかい作品が好まれるような感じがしています。でも向いてないからやめる、というのも敵前逃亡な気がしてもう出さないとはいえないのですが。

 ご意見はなんでも嬉しいし、身になります。文緒さまの感想を無駄にしないよう精進します。本当にありがとうございました。落選された御作、読みたいですけど。


 

百日百夜
61.197.152.253

一陽来復さま

 お読み頂き、ありがとうございます。

 性描写、はい、頑張りました。。。苦手なんです。いつもフェイドアウトさせたりしてました。が、今回、そこから逃げない、と自分に課して書きました。それでも書きながら勝手にシーン終わらせたりしちゃって慌てて戻ったりしましたけど。
 真っ向勝負、しましたけど、土俵、間違ったみたいですね。女性読者は引くだろうなあ、と書き上げて溜息でした。

 上げていただいた作品、しをんさんのは未読ですけど、村山由佳さんの『花酔ひ』くらいの描写がいいのかなあとそれくらいを心がけていたつもりだったのです。しかし、これしか書けなかった、というのが我ながら驚きでした。露骨で凄惨な性描写しかかけない、ということが。

 女性の感想を頂きたかったのですが、女性にはコメントし辛いであろうことも覚悟していたので、読めないと仰って頂けて有り難いです。

 小説ではなんでもあり、といいつついろんな忖度やらなんとかハラスメントに縛られて不自由に感じたりもしますが、お読み下さった方を不快にしない程度のバランスを学んでいこうと思います。

 記載のズレ、整合性の崩れ。最近の癖のようです。悪癖なので直す努力します。

 お時間を頂き、ありがとうございました。ご指摘いただいた事を心に留め、精進します。

百日百夜
61.197.152.253

弥々丸朗さま

 お読み頂き、ありがとうございました。

 書き出しに限らず、表記の感覚を再度、できるだけ離れて眺めなければと思います。
これも出してからずっと放っていたので数日前に再読したときにはご指摘頂いたことが少し見えるようにはなっていました。最初と最後の違和感は、数ヶ月前の私にはなんとなくしか分からなかったのですが、今回は明確に見えています。加えて皆様のご指摘に納得する次第です。
 
 筆致の甘さをご指摘頂き、噛み締めてます。これを書き上げた時点では、これ以上直しようがない、まではやったつもりなのですけど、今読むと全然ダメで。我ながら情けないです。教えていただいて良かったです。説明できないですけど、そういうことか、と分かります。

 書きたかったのはセックス描写じゃありませんが、もう何いってもそうにしか見えない^^ とりあえずそこからは逃げずに書く、ということだけを自分に課して書いたので結果的にそうなったのでしょうか。
 意図的に構成を考える事ができず、浮かんだことをそのまま書いているだけなので、何を書きたいの、と問われたら明確な返答ができません。オハナシを創るというここにいらっしゃる方々には出来て当然のことが出来なくて、今まではそれでもなんら自分を疑わずにいました。
 が、これではいけない、と思う切欠があり、昨年末から書き方を変えています。

 明日香とヒロインの会話がバカというのは納得です。リアリティのある会話が苦手です。つまらんパートに成り下がっているのが分かりました。そこ、再読するのが怖いくらい。

 たんなるエロ小説に成り下がり、むしろ男向けのAV~と丁寧に説明下さった箇所はきちんと返答できませんけど、よく分かりました。曖昧に女性向きでも大衆向きでもないと感じていたことを明確に教えて頂いた気がします。

 とても長い感想を頂いたのにきちんと返せない自分が歯がゆいのですが、自分では絶対に気付けなかったことを沢山教えて貰いました。内容がアレだし落選作だからつまらないに決まってるし、でここにあげることには少なからず葛藤もあるのですけど、貴重な意見を頂いてやっぱり良かったなと思います。

 今後に生かし、精進します。貴重なお時間とご意見、感謝します。ありがとうございました。

百日百夜
61.197.152.253

ラピスさま

 お読み頂きありがとうございます。

 盛り過ぎ、自覚してます。登場人物が多いとか背景が複雑すぎるとか、自覚しつつもそうなってしまう。登場人物の背景を全てぶっこむ必要はない、とこの頃は理解できるようになりました。
 兄のことや、ラストの娘のことなど、書かなくても成立するのではとも推敲段階では思いましたが、結果的には残しました。あの時点では消せないと思ったので。今は余計だと分かるので、少しは進歩したのでしょうか。

>変に設定を大仰にせず、素直に年下男子と30代女性の性と恋愛をじっくり描けば良かったのにー

 練習として一度書き直してみます。恋愛小説も超苦手分野ではありますので、勉強になります。
 五十枚なら五十枚なりの情報量というものを、きっちり感覚として覚えなくてはいけませんね。あえて書かないということも勉強します。

 性描写、本当に苦手で。今回は、やりすぎた気がしています。蓮が魅力的でない、というのはダメですね。どこにも共感できない。

 上げて頂いた読者賞、不勉強で知りませんが、昨年の最終候補にも似たようなのがありましたね。ふんわりとした女性向きの文章と内容が求められる賞なのかもしれません。

 ご意見ありがとうございました。自分なりに課題が明確になってきました。少しずつでも克服できるよう精進します。

ちくわ
180.63.136.143

こんにちは、作品読ませていただきました。

なるほど、これは逃げてないわ。真面目に逃げずに書いたなって感じじゃ。がんばったねえ。
ただ、他の方も言われてるのだけれど、逃げなかったことに振り回されてやね、ただのエロ小説になってますわね。
というかひどい言い方しますけど、エロ小説にも成れてないかもしれない。

30ページから50ページの応募要項であれば、かなり芯を絞らなきゃ枚数が不足しましょう? あまり複雑にしちゃうとなにも書かないうちに終わっちゃうはずなんじゃよね。
この作品は主人公やらサブキャラの個性や、成り立ちや、性格に、立ち入ることすら出来ずに終わっちゃっていませんかね。
セックスというのは簡単に言えば単純でバリエーションの少ない世界ではあります。つまりやねエロ小説というのも多分そこいらこそが重要なんじゃなかろうか、という観点から本作はそれですらないと言い切りました。

R18を謳っているいる以上なんらかのサービスは必要かもしれず、そのためなのか必要以上にエロに走るか、特殊に走るかしちゃいがちなのがこの賞の傾向かもしんないよね。(LGBT作品、近親相姦作品のなんと多いことでしょう)
しやけど、それ要るのかな。
逃げずにここまで書いた作者さんに言うべきなのか迷うけどじゃな。


お話の最後まで読ませて読者に分かってもらう、そういうシンプルな造りの方が却っていいんじゃなかろうか。エロあってもいいんだけどね。
「なにが伝えたかったのか」をやね、きちんと構成して50枚の中に収める、それから逃げないことの方が難しくはあろうけど早道なんじゃないかしら。


ただ、逃げまいとする姿勢自体は買います。
どうぞがんばってください。

百日百夜
61.197.152.253

ちくわさま

 初めまして。お読みいただきありがとうございます。
 はい、頑張りました! ではいけないのでありまして。。。それだけ、いえそれすらきちんと書けていないことは自分なりに理解しつつあります。

 書くたびに課題が見えてきます。人称がヘン、視点がぶれてる、会話がキザ、描写が下手、遠景が見えない、などなど上げればキリがありません。書いたものは幸い読んでダメだしして下さる方がいるのですが、指摘されたことすべてがその時に腑に落ちるほど賢くもなく、次第にそういうことだったのか、と分かってくる事が多いです。

 今回は、どうせならそっちを書いてやろうと意気込んだものの節度やら加減やらが分からず、こんなふうになってしまいました。書いた落ちたまではいいものの、何がダメだったのかをとことん知りたかったのでこちらに曝しました。

 仰るとおり、五十枚内外の内容ではありませんね。詰め込み過ぎるのも悪い癖です。さてどこまで書くのか、というのは私にはとりあえず書いて書いて覚えていくしかないと思ってます。
 >「なにが伝えたかったのか」をやね、きちんと構成して50枚の中に収める、それから逃げないことの方が難しくはあろうけど早道なんじゃないかしら。
 これが一番難しい。頭ではわかっているつもりですけど、実際書いたものを読むと全然できていないのです。しっかり自覚して、次作に生かします。

 毎回、書き始めるときはいつもハッピーエンドを目指してPCに向かうんですよ、本当に。でも十中八九、悲惨な結末に終わる。ですから、今年の目標は、希望の持てる終わり方にする、と、女性と子どもに優しくする、にしました。今書いているミステリーもなんだか陰鬱な雰囲気ではありますが、最後1ページでひっくり返そうと目論んでいます。

 こんな拙い作品をきちんとお読みくださり、丁寧な感想を頂けたことに感謝致します。がんばってくださいとのお言葉、素直に嬉しいです。姿勢だけではなく、いつか作品自体を褒めて頂けるよう精進致します。ありがとうございました。

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