作家でごはん!鍛練場
たなか

【無題】制限時間30分/お題:「栄光の地下室」

 黄金郷、という形容はまさにこのためにあるのかもしれない。見渡す限り床一面に山と積まれた金銀財宝の数々。ネックレス、指輪、ペンダント、ブレスレット、ピアス、その他色々あって総量など及びもつかない。室内はそれほど広くないから余計に圧迫感がやばい。なんていうか、窒息しそう。ダクトがあって空調効いてるからそんな訳ないけど。
「……あー、早く帰ってこないかなぁ」
 少し前まで、俺は大企業の跡取りサマだった。家柄の良いおぼっちゃま、ってやつだ。ここにある財宝の山をまるっと売っても足りないくらい、とんでもない金持ちのドラ息子だった。まあ、それもここにいる時点で察せられそうだけど、もう過去の話。今の俺はただの虜囚でしかない。囚われのお姫様っていうには厳つい顔だしガタイもいいけど。
「あいつも一体何考えてんだか。全く、やれやれだ。……どうせ、いつまでも続くわけなんかないのに」
 俺をこんなところに閉じ込めた犯人は、俺の彼女だった。貧しい家の出で、でも能力はあるから直接雇って身の回りをさせてた侍女だったんだけど、ちょっとした弾みで身体の関係を持っちまってからはなし崩し的に付き合うことになって。それからどれくらい経つんだったかな。もう3年にはなるはずだ。熊だのゴリラだの言われる風貌に反して、これでもそこそこ紳士な俺はまあ彼女とそれなりに上手くやってたはず……だったんだけど。まあ、この有様だ。ハッハッハ。涙も出てこねぇ。……愛されてんな、俺。
「腹、減ったなぁ……」
 もう何日くらい食べてないんだっけか。水だけは毎日決まった時間にボトルを放って寄越すくせに、なんでか知らんがメシだけは与えやがらねぇ。体力回復させて逃げられることを警戒してんだろうか。まあ、その懸念は当たりさ。そりゃそうだろ、好き好んでこんなカビ臭ぇ地下なんかに居れるかよ。
「みんな、どうしてっかな。案外、俺がいなくても楽しくやってんのかな……なぁ」
 ダメだ、今日はなんだか感情がうまくコントロールできない。いつもならネガティブになる前にメンタルを自力で回復できるのに。やっぱ、弱ってんだな。……そりゃそうか。もうすぐ、ここに閉じ込められてから1週間以上経つもんな。ああ、あったけぇ鍋が食いてぇなぁ。もう外の世界は冬だろ、たぶん。
「愛してたのは、たぶん本当だったのに」
 ここにある金銀財宝は全て、俺が彼女に贈ったものだ。もちろん自前の稼ぎで手に入れた物。家の力なんか使っちゃいない。正真正銘、俺の実力だ。どうだ、すげぇだろ? ……ハハ、そうでもねぇか。とにかく、俺は必死んなってあれこれ買ってプレゼントするくらいには彼女を大切にしてたのに。一体、何が不満だったんだろ。ここにあるもん売っちまえば一生食うには困らない金が手に入るのに。ぼんやり周囲に散らばる黄金の山を眺めていて、ふと気付く。一番初めに贈ったプレゼントだけがなかった。
 ──あいつの名前を刺繍した手作りのマフラー。出来はかなり悪く、ボロボロで色のセンスもぶっちゃけ微妙だった。自分で作っておいて言うけど。アレをあいつはものすごく気に入ってて、冬になる度首に巻いてたな。なんで、ないんだろ。もしかしてまだ使ってくれてたりすんのかな。……やべぇ、ちょっと嬉しい……かもしれない。
「愛してるのは本当。だけど……」
 あいつと付き合い始めてから最後の冬、俺たちは別れた。俺の結婚が決まったから。相手は良いとこのお嬢様。俺の身分やら肩書きやらに釣り合う非の打ち所のない完璧美女ってやつさ。むしろ俺の方がちょっと申し訳ない感じだったかも。……あんとき、あいつはニコニコ笑ってたっけな。裏切られて辛いはずなのに。でもいつもみたいに笑顔だった。とても綺麗な、美しい笑み。
「ああ、そうか、そういう……ことだったんだ」
 最初からあいつは手を引く気だった。だけど未練や妄執がなくなったわけでなければ、俺への恨みや哀しみがなかったわけでもない。
 ──これは、罰だ。彼女を蔑ろにした俺への。
 だから甘んじて受け入れようか。なぁ、俺。
 やがて瞼は落ちていく。閉じていく意識のなか、走馬灯のように蘇る記憶だけがただ、やさしい色をしていた。
「さよなら、また後で……会おう」
 いつかまた、遠い世界で逢えると信じてる。

【無題】制限時間30分/お題:「栄光の地下室」

執筆の狙い

作者 たなか
126.163.133.6

即興小説トレーニングで書いた習作。制限時間30分以内でお題をどれだけしっかり表現できるのか、ということに苦心しました。

コメント

偏差値45
219.182.80.182

>【無題】制限時間30分
うーん、これは言い訳にしているような気がするので、好感を持てないかな。
または、30分でこれだけ書けるんだぜ、みたいな自慢をしたいのかな、
そんな邪推をしてしまいます。

さて、感想。
内容は伝わっているので良いのですが、やはりアラが目立ちます。
一小説としても何処が面白のか分からない。
鍛錬になっているか、どうか、疑問ですね。
ゆったりとお風呂に浸かりながら構想を練っている方がいいものが出来る気がしますね。

一陽来復
219.100.84.36

机上の空論、馬鹿話。

田中貴金属のサイトにアクセスして〜、
今日の地金価格を確認するんだ!!

>金 4,906 円 +24 円 4,821 円 +24 円

↑ これが「1グラム当たりの価格」ですからー。


冒頭からもう、机上の空論だし、
話の下敷きは、
「アタワルパ王(だっけ?)王の逸話 + ヘリオガバルスの最期」、まんま。


その安直ミックス加減が、、、
先に書いてるように、机上の空論すぎ。


この二つを、安直ミックスして、「おれ、いいこと思いついちゃった〜!」な作者って、
巷に澁澤龍彦が流行った世代で、現在50代???

カルネ
133.232.243.157

なぜみんなこうも一人の男に執着する女ばかり描きたがるの?
昔みたく女に学なんかいらない、結婚以外に実家を出る方法も無い、一生一人なら尼寺へ行け時代ならともかくも。

また男の方もお嬢様と結婚するから別れ話って、逆玉ならそういこともあるか? とも思うけど財力あるお坊ちゃまなら別に彼女名義でマンション買ってあげて風流に言うなら“手活の花”にしたら良いだけの話じゃない?
男の実家の父母だってそう言うと思うけど。

そもそも地下室に閉じ込めておきたいと女に思わさせるほどの魅力を感じさせないのも難点だと思うわ。

こんな薄らバカ男、金蔓にする以外に何の価値もないんだから、そこを最大限利用するのが現代女性ってもんだと思うけどなあ。
だってお金以外、何の魅力もない男なんでしょう?
とはいえ、お金は大事だからね(笑)。
こいつからとことん搾り取ってやろうじゃないの、それが女の一生ってもんじゃない?
って思ったわ。

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