作家でごはん!鍛練場
日乃万里永

願いが叶うには

 初詣に願い事をしなくなったのはいつの頃からだろう。
 と、思い返しながら佳那は賽銭箱に五円玉を入れ、目の前の紐を揺らし鈴を鳴らした。  
 子どもの頃は当然のように、「お年玉たくさん貰えますように」とか「テストで百点とれますように」と無邪気に心の内で唱えていたのに、三十近くにもなってくるといつの間にか願うこと自体虚しくなってしまった。
 参拝を終えて振り返ると鳥居に近い手水舎の辺りまで人が並んでいた。
 風は冷たいが日差しは温かく、参拝を待つ人々は概ね顔を上げており、新年のスタートを切ったという今年の意気込みのようなものが伺えた。
 だがどうせ今年も……と不貞腐れているのは自分くらいだろうと佳那は思った。
 先に参拝を終えて待っていた克己の元へ行き、サービスで配られる甘酒をいただくと、すぐには飲めそうになく、佳那は湯気の立つカップに息を吹きかけた。
「おまえ、なんか願い事した?」
 同い年の克己がさらっときいて来た。彼とは学生時代の合コンで知り合って付き合うようになり、なんとなく現在に至っている。
「なんで?」 
「いや別に、なんとなく」
 子ども連れの家族が目の前を通り過ぎて行く。父親が娘と手を繋ぎ、母親が赤ん坊を抱いている。
 ひたすら願い続けて来たのはまさしくあの光景だった。
「じゃあ克己は? なにかお願いしたの?」
 彼も同じ親子へ視線を向けている。なにを考えているのかわからないが、克己はさらっと、
「宝くじがあたりますようにって」
 などと答える。
「あっそ」
 仮にもここで、今年こそ結婚出来ますようにと願っていたとか、そんなことをさらっと口にしてみれば未来は変わってくるのだろうかと、もしかしたら今まで、こんな些細なことでタイミングを逃して来てしまったのではないだろうかと佳那は束の間後悔する。
 まあ、だからといって佳那のほうからそのことを言い出す勇気は毛頭なく、もう半ば意地になっていたのだが。
「なに考えてんの?」
「え?」
「甘酒、もう冷めてる」
 先にさっさと飲み終えてしまった克己は、カップをぐしゃりと潰し、近くのゴミ捨て場に放った。カップに口を付け少しだけ啜ってみると、もうなんとか飲める温度になっていた。
「おれ、タバコ吸って来るわ」
 上着のポケットをまさぐりながら、こちらの返事も待たずに克己は歩き出してしまった。境内では吸えないので、敷地の外まで出るのだろう。
 これは甘酒をゆっくり飲めと言う合図なのか、いや、これはきっとおまえが飲み終わるまで待てねーから時間潰して来るわ。が多分正解だ。
 だが一人寂しく甘酒を啜るのと、一人優雅にタバコをふかすのとでは同じ一人でもまったく違う。
 けれども克己にとってみれば佳那が甘酒を飲み終わるまでそばでイライラしながら待つよりも遥かに合理的なのだろう。
 そういえば昨年、仲間内でスキー旅行に行った時も、途中体調を崩してホテルで寝て待つしかなかった佳那を置いて、克己は仲間とスキーを満喫していた。
 だいたいがいつもそういう感じだ。
 まあ具合の悪い佳那に付き添って一緒にホテルで暇を持て余させてしまうほうが佳那としては心苦しいしかえって気を使ってゆっくり休めず、勝手に遊んでてくれたほうがゆったり休めるからいいのだが。
 それでも、そのことを職場の同僚に話したら「サイテー、その彼」と言われた。
 だが克己はもともとそういう感じだし、佳那はそれで良いと思っているから問題ないのだ。けどそれでいて、散々スキーを楽しんで戻って来た後、「これなら食えるかと思って」と大好物のプリンを買って来てくれるところがツボを押さえられているというか、佳那としてはもうそれだけでプリン十個くらい食べたような気持ちになってしまうのだ。
 甘酒を飲み終えた頃、丁度克己も戻って来た。
 一人で甘酒を啜っていた間、目の前でおみくじを引いて一喜一憂している人々の姿を見ていたら、佳那もなんだか引いてみたくなってしまった。
「ねえ、おみくじ引いてみたいんだけど」
「ああ、いいよ」
 おみくじ売り場で巫女さんが二人並んでいるところへ行くと、克己は丸顔の方でなく、面長で巨乳の巫女さんの前に立った。遠まわしにそちらがタイプだと言われているようで、丸顔貧乳の佳那にしてみるとあまりいい気分ではない。
 当然佳那は、克己とは違うほうの巫女さんからおみくじを買った。
「お、大吉」
 克己が声を上げ、「おまえは?」と尋ねた。
「私、私は凶だった」
 答えると、
「そっか……」
 克己はズボンのポケットに手を入れた。またタバコかと、まさかこのタイミングで、と心の内で思っていると、
「それじゃこれで、おれの運をわけてやろっか」
 そう言って広げた手には家の鍵らしき物があった。
「へ?」
「おれさ、一人暮らし始めたから」
「え?」
 克己は基本的に事後報告が多い。 
 それがおみくじにどう関係あるのだろうかと、佳那が首を傾げると、
「姉貴がさ、離婚して実家に戻って来たんだよ。子ども二人も一緒で、部屋が必要だからって追い出されたんだ」
「そ、そうなんだ」
 だからそれがおみくじとどう関係があるのかと思いつつ、たった今、克己が一人暮らしをしたことと、姉の離婚というかなり大事なことをさらっと打ち明けれられたことに、それをすぐさますんなりとは受け入れられようがなく混乱していると、 
「おれと一緒に暮らせばさ、大吉と凶でちょうど普通くらいの運になるんじゃねーか?」
「へ?」
 まったくもって克己は自分勝手だ。しかもなんの予兆もなく突然とんでもない発言をする。
 あれだけ願っても、叶うことのない現実に、いつしかもう願うことをあきらめていたのに、こんなふとしたことで事が進展するなどということがあるのだろうか。
 だがもしかしたら克己はポケットに鍵を忍ばせておいて、どう切り出そうかとずっと機会をうかがっていたのかもしれない。
 もしかして、もしかしてこれは……。
 まさしくこれはプリン十個分のサプライズかもしれない。いやそれ以上かも。
「でもそんなこと、急に言われても」
 ここで敢えて、素直に受け取らず少しごねてみる。
「気が乗らないなら、別にいいけど」
 克己がポケットに戻しかけた手を慌てて掴む。
「ちょっと待って。いきなりだったから、心の整理がつかなかっただけ」
「じゃあ、これどうする?」
「もらう。もらっとくに決まってるでしょ。男の一人暮らしなんて、どうせちゃんとしてないだろうし」
「あっそ」
 掃除もせず散らかった部屋と、何日も洗濯していない服、埃をかぶったテーブルや家具などが容易に目に浮かぶ。
 佳那は、今度は素直に鍵を受け取った。
 克己が自分のために作ってくれた真っ新な合鍵だと思うと胸が熱くなる。
 おみくじは凶だったけれど、かつてのスキー旅行の時のように、どうにも佳那は、気分がどん底な時や、最低の運に見舞われた時ほど後に良いことがあるらしい。
 素直に幸運に恵まれたなら良いのだが、どうも佳那はそうではないらしいのだ。
 まあその分、驚きは倍になり喜びもひとしおなのだが。
 もしかしたら、と佳那は思った。今までずっと願い続けてきたことは決して無駄ではなかったのではないかと。
 ただ、タイミングが必要だっただけではないかと。  
 そう思うと佳那はこのおみくじの凶が、幸運への橋渡しのように思えた。
 これからは、たとえ不運のどん底が訪れても、そういう時こそ逆に、かなり期待が持てるのではないかと。

 

願いが叶うには

執筆の狙い

作者 日乃万里永
106.160.80.219

昨年はいろいろとありまして、投稿サイトを眺める余裕もありませんでした。(精神的にですが……)
ブログを始めたりしてみたのですが、やはり小説が書きたくなり、去年の後半に少しずつ取り掛かり、ようやく仕上げたのがこの作品です。
内容が初詣なので、年明けの投稿にいたしました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

コメント

大丘 忍
180.45.166.96

>子ども連れの家族が目の前を通り過ぎて行く。父親が娘と手を繋ぎ、母親が赤ん坊を抱いている。

二十歳後半の未婚女性が、若い子連れの夫婦を見てうらやましがる光景が目に浮びます。
ほのぼのとした読後感でした。

朱漣
210.170.105.157

 日乃万里永

 拝読しました。
 ほのぼのとした小品ですね^^
 女性目線で心理描写も掘り下げてあるので、フムフムと頷かされながら読みました。
 これと言って問題点はないようですけど、長さの割りに込められたものは少ない感じはしました。

 あと、「束の間後悔する」っていうのは、字面が詰まって見えてしまいます……って、こんなの気にするのは僕だけかもしれませんね^^;

 ありがとうございました。

inose
140.227.203.176

タイトルはいまいち。ラスト一行もいらないかと。エッセイとして仕立て直す場合等は別ですが。               

描写の程度と内容、会話が入るタイミング等、全体的に文章バランスがすばらしく、結果として、時間が見えるよう でした。

書き出しは5W1Hが自然に入っている上にツカミとしても申し分ないと思います。
意味がわからないというような言い回しも無く、視点は八割がた佳那の一人称テイスト、が保たれていて、読みやすかったです。(一人称にしたほうがいい、というわけではいです)

そっけなく見える彼氏が、実はおみくじの運も二人で混ぜて引き受けたい、というほどに心が寄り添っていたわけです。同棲ってそういうことなんですね。まさに甘酒のようなお話でした。

あとは好みの問題ですが、

全体的にはやわらかくて読みやすいのですが、「だが」が少し多く、また文体に合っていないようで、気になりました。
よく整理すれば、逆接は減らして更に自然な読み味にできると思います。

意味の繰り返しと、さじ加減のゆるい表現も多いようが気がしましたが、これは佳那の性格と心の揺らぎを表現する効果もあるものだと思うので、指摘はやめときます。
ただ、もしこの文章が活字になるとしたら再考すべき言葉だろうな、という部分ではありました。
そういう目線で読んでしまうほど、クオリティは高いとおもいました。

偏差値45
219.182.80.182

要約すると、
①二人で初詣に行く。
②おみくじで、大吉と凶をひく。
③相殺するために二人で一緒にすむことに。
その背景には神様のご利益があったかも……。
そんな感じかな。

それで面白いか? と言えば、「いいえ」かな。
アイデアとしては悪くはないんだけど、なんとなく退屈。
オーバーアクションでもいいから、コミカルな表現があった方が面白いと思う。
簡単に言えば、ストーリーのカラーを明るくすることかな。
たぶん、真面目過ぎるのだと思います。

弥々丸朗
180.48.35.213

あけおめごぶさたおつかれさまです。
ちょっと目を離したすきにヘンな名前に化けたあたしにお心当たりはありますでしょうかー?
なくてもいいですないほうが色々スムーズかと思いますので全然オッケー。

"願いが叶う"ということは例えば空から偶然降ってくるようなものなのか、それとも道端で拾い上げるようなものなのか、あたしはどちらとも思わないんですけどせめてなら落っこちてるもん気付いて拾い上げてみようかなあ、でも所詮心当たりねえから交番にお届けしとこう誰かの不幸が元どおりの日常に振り戻されたならあたしも何だか幸せとまでは言わずとも無責任なような安心くらいは思いつけらあー。

なんて。


これははっぴーなおハナシなんだろか。
つまりそれって上手下手とかそういうことではなく、恐らくは書き手が差し出した意図にそぐわないであろう感想を思いついてしまったものだなあ、ということなのであって。

彼女は、大丈夫だろうか。
あたしは寛大すぎる人を見ると、不安になります。
あたしは彼女に、"正当な見返りを当然として求める生き方"をオススメしたい是非とも。

ゲスいだろうか? そんな魂胆は。

あたしは差し出すも対等に認識しあってこそ促されるべき行き当るべき何かのようなものにこそこだわりたいし、思い募ることに自分ばかりずぶずぶと埋もれるような募り方は自殺みたいな毒と思うタチでつまり、何が言いたいかって"クソ彼氏てめえ、てめえのマヌケ噛み締めろ"くらいのもので。

犬と飼い主。

先にご飯食べ終えちゃって、待ってるのって多分つまんないんですよね。
だったら、"ちょっとちょうだい、食い足らねんだし"って、つまみ食いするくらい気を遣える人のがあたしはくだらんたまらん愛だと思う派。

彼、上から鍵差し出してんですもん。
彼女が差し出した掌に、ポトリ、みたい。
何かムカつく。
彼女は絶対何も変わらない。その気持ちってことなんだけど。

受け入れたがるような自問自答みたいな思いは、結構一人ぼっちだと思ってしまうんですよ。
積極的なエサが貰えてない。

あたしはこのおハナシ、所詮不満からは抜け出せないはずの彼女のこの先が見えないと、所詮書き手の見通しがそもそも甘いんじゃないのかと思ってしまうんだな。


万里永さんは、一人称と三人称の境を目的時点で多分区別出来てないです。
そうでないのだとするなら、その特性をもっと露骨にみせてくれないと、文体として弱いと思う。


年頭から手キビしいおいら。


今年はいっぱい書いてください。
よろしくー。

日乃万里永
106.160.80.219

大丘 忍様

お読み下さいましてありがとうございました。

ほのぼのとした読後感とのこと、とても嬉しく思います。

ありがとうございました。

日乃万里永
106.160.80.219

朱漣様

お読み下さいまして、ありがとうございました。

この作品を通して伝えたかったことは特になく、多分持論としてどこかに残しておきたかったというものですので、メッセージ性はうすいかもしれません。

ご感想下さいまして、ありがとうございました。
とても励みになります。

日乃万里永
106.160.80.219

inose様

お読み下さいまして、ありがとうございました。

タイトルはいつも指摘されるところです。
始めはそのまま『初詣』とかにしていたのですが、人が読みたいと思うひと言は……と思い、このタイトルにしました。
ですが、いまいちのようですね……。

ラストの一行は、落としどころとして入れたのですが、必要なかったでしょうか……。
言葉の選択や表現方法がまだまだなんですね。


「だが」については、癖になってしまっているので、直したいと思います。

ご指摘、ご感想ともに本当にありがとうございました。

日乃万里永
106.160.80.219

偏差値45様

お読み下さいまして、ありがとうございました。

自分の中ではかなり羽目を外してみたつもりだったのですが、まだまだということですね……。


ご感想下さいまして、ありがとうございました。

一陽来復
219.100.84.36

ごめん、ヒロインの佳那が、かわいくない。
終始「自己中」で、徹頭徹尾「お姫様思考〜お姫様な理屈」なのが、自分的にとても嫌(不快)で、
このヒロインには共感も応援も出来なかった。


30手前ってよりは、二十歳ぐらいの思考回路だと映ったし、
全体に古い感じ(ごめん…)なんで、
「バブル期あたりの、高校卒業後に就職して、現在ハタチ」な設定ならば、その引っかかりと違和感は減少する、かなー。。


>初詣に願い事をしなくなったのはいつの頃からだろう。
>と、思い返しながら佳那は賽銭箱に五円玉を入れ、目の前の紐を揺らし鈴を鳴らした。

↑ 初詣に行って、手を合わせている時点で、「開運行動」な訳なんで、「何の願い事もしていない訳じゃない」と思うんですよ。
手を合わせて「今年もよろしく」だけでも、それは「願い事」なんで。


作中の佳那は、欲深い。常に「もっと、もっと…」と、過度の期待を「当然のように」していて、
それをする資格が自分にあると信じて疑ってない。
そのくせ、「してあげること」の方は、全然考えてない、お姫様思考。

こういう女 嫌いなんで・・
もうちょい、「けなげ」で「甲斐甲斐しいところ」を見せて欲しい。。

作中の克己には、「佳那から逃げて、他の人と一緒になった方が幸せになれそうよ?」と、マジで思っている。

日乃万里永
106.160.80.219

弥々丸朗様

お読み下さいまして、ありがとうございました。

丸一年程、ご無沙汰しておりました。
弥々丸朗様のことは、時折思い出しておりましたが、とにかく精神的に一杯一杯で、今頃になってようやく落ち着いたところです。

この話は始め一人称で書いておりました。
本当はそのほうが良かったのかもしれないですが、どうしても主人公が自分になってしまうので、途中で三人称に変えた結果、妙な感じになってしまったと思います。
一人称はやはり、難しいです。
 
私が男性に求めるものは、「出来る男」であることと「尊敬に値する人物」であることです。
この彼も、そういう男性という設定だったのですが、自分勝手な行動ばかり目立つのは、描写が足りなかったのだと思います。

私は、男性は「おれ様」でいいと思っていて、女なんかに構わずに自由にやっててほしいと思っています。
でもあまりほったらかされるとムカつくので、そこは、プリン……ではないですけど、おさえるところはおさえておいてくださいと。
男性が勝手にやっている分、こちらも構わずやりたいことをやらせてくださいといった感じです。

それでも、弥々丸朗様は相変わらず鋭いですね。

いろいろと見透かされてしまって恥かしいです。

わかっていても出来ないつらさは、時間が解決してくれるしかないのかもしれないです。

ご感想下さいまして、ありがとうございました。

とても嬉しかったです。

弥々丸朗
106.161.223.160

一方、"出来る男"、"尊敬に値する"

一方、"おれ様"、"自由にやってて"



同じ人間に言ってることとは思い辛いんだし、同じ人間に対する経過として普通あり得ることでもあるんでしょうけど、どうにせよ現状的な結論ありきみたいな言い方ではあるよなあいずれにしても、などと。

"おれ様"って、女いないとなれないんですよ、男って。
男相手に"おれ様"やっても社会性疑われるばっかじゃないですか?
尊敬とか頼りになることと、"おれ様"って、快適性において単純に別物なんじゃないのかと。

"おれ様"は、女がさせてあげてることなんですよ、大概。
それに気付かされずにいさせてもらえることが、男の一番無邪気な自惚れ天国ってやつで、女が一番嫌いなやつじゃないですかー?
一緒にご飯も食べたくないやつ。
あたし、セクシャルなこと抜きにしてもやっぱ基本、おとこキライ。
図々しいばっかかっこつけ鈍感馬鹿ばっかでキライ。

個人的過ぎるハナシでした。恥。



"自由でいいから、こっちも自由に"って要求は共存してない意思みたいだとあたしは勝手に思うんですけど、別段珍しいことでもないとも思わないでもないです。

それを、不幸なように自分ばかりで思いつくことこそ不幸なことだよなあ、って、生物の倫理の外で暮らすあたしはカンタンにそんなこと言うんですし、"恋愛は脳疾患"と誰かが身もふたもないこと言ってましたけど、アタマわりぃなぁだから頭のイイ奴の言うことはややこしいばっかなんだよ、誰だって所詮飽きちまうもんだろ、って素直に言いなよアタマでっかちがよぉ、ってあたしこそ身もふたもないことを。

ここで訂正。

誤) 飽きちまう
正) 油断しちまう

と、しておこうせめて。



あたしがいつか、万里永さんにエロいことしてやりたい、って言ったこと覚えてますか?
馬鹿だからそんな言い方しか出来ないんですけど、あたしも日々思うんですよ。

思い悩むほとんどのことって、まじで本能的なとこ自分にもろに作用させてばっかみたいなことばっかなんじゃないのかなあ、ってさ?

まじ毎日死にたいまじで。
あたしのことなんですけど。

あたしたちが思ってるらしい、考えてるらしいことって、まじで自分で考えてることなんだろか?
あたしはあたしっていう別もんのミトコンドリアか何かにどっか操られているような、バカにされているような、で、そんな作用に対して思い誤魔化すことを"願い"だとか"神様"だなんていよいよ自分なんかじゃないようなこと無意識に仕出かしたがって、そんなことを例えば"初詣"なんてお行儀振る舞うが良しとかまじでどっか疑わしい。
なんてな。


神様には願っちゃイカンのだそうですよ。
去年一年をどうあれ過ごせたことのお礼を言うものなんだってさ。

あたし、そんなせいで今年は
"去年はありがとうございました。つきましては十倍返しで御礼申し上げてます"って五十円投げてきました。
"来年は五百円投げられるように、今年も頑張ります"って、なんかややこしいことまでおハナシしてるうちにうしろすっげ行列伸びてて恥ずかしかったです。


自分のミトコンドリアにまんまと操られたくないようなこと、自分でちょっとはわかっときたいもんだ、みたいなことはたまたま考えたりします。

馬鹿だから上手く伝えられないのが辛いです。



そんなもんが"小説"とかとてもめでたいよな。
正月終わんの早いんだよ馬鹿、って思ってます。

失礼しました。

日乃万里永
106.160.80.219

一陽来復様

お読み下さいまして、ありがとうございました。

そうですね……。言われてみれば、主人公が終始受け身で、人からなにかしてもらうことばかり期待している。

陰でいろいろと努力していることなど、少し、作中で触れておいたほうが良いかもしれませんね。

読んでいただかなければ気付かなかったことです。

ご指摘くださいまして、ありがとうございました。
 
  

日乃万里永
106.160.80.219

弥々丸朗様

再訪恐れ入ります。

小説が書きたいと言っていながら、言葉足らずでどうしようもなくてすみません。

私の身近にいる男性は夫と息子ですが、私は二人とも尊敬していますし、「おれ様」でいて欲しいと思っています。

世の中には男性と女性しかいませんが、男性でも女性性の強い人もいるし、女性でも男性性の強い人もいます。
女性性の強い男性は、少し弱いところもあるけれど、理知的で冷静沈着だったり、繊細だったりします。だから頼りないところもあるけれど、人を傷つける言動に敏感だったりします。

逆に女性でも男性性の強い人は、豪快で頼りになるけれど、少し無神経なところもあるとか、あまり細かいことは気にしない、根に持たないとか、人は本当にそれぞれなので、一つの言葉では片付けられないですね。
私なんて矛盾だらけなのに、一方向にしか考えられないことばかりで、あとで間違いに気づくことばかりです。


弥々丸朗様の言葉のセンスは本当に凄くて、敵わないなと思わされます。
感想欄でさえ、小説の一部のようで、“飽きる“を“油断する“に変えられたところは、丸一日考えました。
多分解釈は間違っているかもしれませんが、自分をなくすとか、見失うということかなと思いました。

実は昨年、いろんなことから逃げ出そうと思ったんです。
でもやれることはすべてやり尽くして、言い尽くして、それで、ある結果に辿りついて、踏みとどまることが出来ました。

今回この場所に投稿し、弥々丸朗様にご感想いただけて本当に良かったです。

ありがとうございました。

ポキ星人
106.73.96.160

 お久しぶりです。私も昨年はケガをしてまだ完治せず、最近まではここにもあまりきてませんでした。

> 初詣に願い事をしなくなったのはいつの頃からだろう。
> 子どもの頃は当然のように、(中略)いつの間にか願うこと自体虚しくなってしまった。
>ひたすら願い続けて来たのはまさしくあの光景だった。
> 仮にもここで、今年こそ結婚出来ますようにと願っていたとか、そんなことをさらっと口にしてみれば未来は変わってくるのだろうかと、(後略)
> あれだけ願っても、叶うことのない現実に、いつしかもう願うことをあきらめていたのに、(後略)
>今までずっと願い続けてきたことは決して無駄ではなかったのではないかと。

 佳奈はこの日、願いがあったのですか、なかったのですか。
 こうした記述の混乱にも関わらず、「なにいってんのかわかんねえよ」という指摘がないのは、読者にはどういうわけか佳奈の気持ちがわかってしまうせいです。もしかしたら日本人が本当に読んでいるのは「文章」それ自体ではないのかもしれません。日本語の文章がしていることは日本人の脳内の日本的な思いやりのスイッチを押してやることであって、文章そのものが直接に何かを示す、というものではないのでしょう。
 欧米の国語教育が「批判精神を養うため」としばしば公言するのに対して、日本のそれは、テクストの批判などもってのほか、そこに書いてもいない登場人物の気持ちを推測して共感してやるものです。それは文科省だろうが日教組だろうが自分たちを批判できる国民の形成を望まないという意味では何の違いもなかったし、彼ら自身も上層部への批判意識は持ち得なかったことの帰結なのだと私は信じています。

 伝わりさえすればよい、というのは非文学的でしょうし、「読解」以前の字面のレベルで矛盾や混乱のある記述が美しいわけはないと思いますから、ここは考えて整理していくしかないです(これを最初から無意識にやってしまう文才のある人はいますけど)。
 御作では、まずは内心の欲求としての「願い」と、さい銭箱の前で内心の独白を行うという意味での「願い事」の記述上の整理ができていません。強い「願い」があるのにそれを「願い事」にすることができない、という枠組みをまずはっきりさせて、そのうえで書いていくのが心情描写であってほしいと私は思います。
 もうひとつ、より重大なのは欲求としての「願い」と観測としての「成就の見通し」とが同視されているらしいことです。作品内の事態は、願いはもっているが成就は諦めかけている、というもののはずです。
 ここは主人公の造形に関わることで、もし本当に、成就のあきらめが願いのあきらめに直結するタイプの人格なら(「すっぱいぶどう」みたいな態度です)、そのような人物として意地悪く書けばよいです。しかし今作で作者は「成就は諦めかけているけど願いは捨てられずにいる」人のことを「願いを諦め(かけ)ている」人と書いたように見え、それは御作のテーマの根幹に関わる以上、粗雑な混同というほかないと思います。

 話を変えます。こういうの読むと私はいつも困惑するのですが、それは男というのは女性に対してどういう場合に「許可」をしてどういう場合に「依頼」をするのが正解なのか、よくわからなくなるのです。
 一人暮らしを始めるから長年つきあってきた恋人と同棲したい、というのなら、私なら思いっきり頼みます。ですがその「依頼」を脳内でシュミレートすると、私が何か言い方を間違って、私はあんたの家政婦じゃないのよとか言われて、断られる未来が見えるので、今度はハードルを下げて、一人暮らしを始めるので、来たければ来てもいいよとか「許可」する方を選ぼうかと思いますけど、なんであんたはそう偉そうなのかとか言われそうな気がしてくるので、結局引越しの片づけを手伝ってはもらえませんか的な「依頼」に流していきそうで、すると、いきなりカギを見せるとかいう「見せ場」はないだろうと思うわけです。
 かくもいじらしくもせせこましい脳内シュミレーションの末に御作を読むと、きらーんと鍵(たぶん安アパートの)を光らせて、まさかまさかの上から目線の同棲の「許可」が正解なのでしょうか。これが女性にとっての(少なくとも漫画や娯楽小説を読んでいるときの女性にとっての)正解なのか、たんに御作がおかしいのか、ここは「正解(但しイケメンに限る)」といじけて見せるのがネット上のお約束なのかもしれませんが、いずれにせよ、作中の男は男としてダメな奴だと私は思います。こいつは女の足元を見てるだけだと思うのですが、それは後ろめたくて女の顔が見れないからでしょう(胸は見る価値ないらしい)。ただここで私がしたいのは私の信条の話ではなくて、主人公がこの男と同棲することこそが「凶」なのではないか、ということなのです。

 御作は主人公が大喜びですから、きっと大喜びなお話なので、それを疑ってはならないのです。この、主人公の気持ち=作品の意図、という一元的で単純な構成のつまらなさが私が作者の作品でずっと感じてきたことです。登場人物が凶を引いたのなら、今後の凶事が暗示されているはずだ、と私なら思います。御作だと ア)大吉だった男が調子に乗って凶という女を呼び込んでしまう、男の不幸が暗示される話 か イ)女が同棲の誘いを喜んで応じてしまうがそれこそがおみくじの示した凶事だという女の不幸が暗示される話 のどちらかなのだろうと(なお、女の悪さには指摘がありますけど、「サービスの甘酒」を「いただく」のに飲まないとかいうのがタイミングといいアイテムの選択といい、いかにも嫌な女に見えるのがうまいんですが、たぶんそういう意図ではないのでしょう)。
 これをひっくり返したいなら、この凶が登場人物にとっての障害である方がよいと思います。ただの言葉の上での駆け引きでもよいから、もうすこし押したり引いたりがあって、凶というものをもっと重く受け止めた方がよいと思います。その辺の代わりに主人公の内心が書かれているので、思いやりがある読み方をするとさわやかなんですが、悪く言うとあまり物事が起こっていないのです。

日乃万里永
106.160.80.219

ポキ星人様

ご感想くださいまして、ありがとうございました。

すみません。都合で、連休中はパソコンに向かうことが出来ません。

連休明けにお返事させて下さい。

日乃万里永
106.160.80.219

ポキ星人様

 お返事が遅くなり、もうしわけありません。

 願い事に関してですが、佳那は二十代半ばくらいまで、普通に毎年願い事をしていたと思われますが、叶わない現実に、もう願うことさえ虚しくなってしまい、神社で手を合わせてはいるけれど、ここ最近願い事はしていない感じです。
 それでも願い事をしないからといって願いがないわけではなく、心の中では「早く結婚したい」と思い続けています。
 そのあたりをうまく整理しながら書ければよいのですが、それが出来ていないのは、ただただ感情のままに書いてしまっているからだと思います。

 
 鍵を渡す場面ですが、この克己という男性は、かなり自分本位です。
 なので佳那のように文句を言わない女性が付き合っていてとても楽だと思っているのですが、鍵を渡したところで断られたとしても、「あ、そう」、で一応「なんで?」と聞くかもしれませんが、理由を言われたら改めて対策を考えよう……という感じなのです。漫画っぽいといわれたら否定は出来ません。やはりかなり個人的願望が入っていると思いますので。


 おみくじの凶に関してですが、これは私の持論で、例えばお皿が割れたり、黒猫が横切ったりと、いわゆる不幸だといわれる現象が起きた時、私はそれ自体を不幸と捉えて、「嫌な思いをしたのだから、これ以上悪いことは起きないだろう」と思うようにしていて、逆に幸運が続いたりすると警戒したりします。
 今回書きたかったのは、正にこの部分で、凶だからといってこれから悪いことが起きるんじゃないかと落ち込む必要はないんじゃないかという持論をどこかに残したかったからです。

 脳内補完については、書く上でも読む上でも癖になってしまっているところがあって、多くを語らなくてもわかってくれるだろうと思うところはあります。
 また、主人公の気持ち=作者の意図はまったくその通りで、それを狙って書いているところがあるので否定できません。 
 
 今回は言葉の整理が出来ていないことと、記述の物足りなさが問題だったかと思います。

 ご指摘下さいまして、ありがとうございました。
 

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