作家でごはん!鍛練場
夏目吉春

真田幸綱の箕輪出奔(5000文字)

『真田幸綱の箕輪出奔』

 海野平の戦いののち箕輪城主長野業政は、幸綱のことを気にかけていた。その頃幸綱は箕輪城内にて、所領奪還の悲願もならず日々をむなしく過ごしていたからである。業政のそば近く使える左京之介は諱を忠方(ただまさ)と言い、長野家重臣の次男坊であった。
「左京どうじゃ、真田殿の様子は」
「との、昨年の六月に次男の徳次郎が生まれてからは、安中長源寺に家族を預けおき、そこから箕輪へ出仕するようになりましたが、少々足が遠のいたようです」
「いかがしたら良かろうか。わしはな、今までのような只の食客ではなく、家臣として召し抱えようと話を切り出すのだが、柳に風と受けながされてしまうのじゃ」
「おそらく先年とのが出陣された海野平の戦で、諏訪氏と和睦して小県(ちいさがた)へは向かわなかったことに、なにか思う所があるのでしょう」
「あの一件はすまぬ事をしたと思っておる。そもそもあれは上杉家の都合だからな。それゆえ幸綱殿には別の形で力にはなってやりたい。左京、すまぬが引き続き見守ってやってくれ」
「はい、明日にでも土産物をみつくろって訪ねてまいりましょう」

 左京之介は主の命により幸綱一家への食い扶持を携えて、訪ねてくるようになって久しいが、主業政と同じような不安を抱えたまま長源寺の山門を潜りぬけた。するとそんな心配もよそに、嬉しそうに駆けよる童子があった。
「左京介さま、いつ参られるのかと待ちくたびれておりました」
「そうかそうか、しかし待ちわびておったのは、――これだろう」
ぶらぶらと揺する包みの中は、味噌を練粉でくるんで焼いた質素なものであったが、この時代に口にできる物のうち、美味いと感じられるものは少なかった。
「早うくだされ、おねがいじゃ」
「わかった、わかった。――ほれ」
 少々もったいつけて差し出す左京之介から、包みを受け取った源太郎は母の待つ離れの方へ駆けもどって行った。それを見送る左京之介の眼が垣根のほうへ向けられると、見覚えのある歩き巫女をとらえた。
「源太郎、大将の子が足軽のように走るでない。困ったものだ。ところで左京殿、なにか浮かぬようだがいかがされた、――ささ、こちらへお通り下され」
「これは真田殿、ふと何時ぞやの白鳥明神の使いを思い出したもので。しかし、気のせいであったわ」
「ここは田舎の寺ですが、たまにはそのような手合いもやって来るようです」
「なるほど――。ところで真田殿、貴殿の体の具合が思わしくないとの知らせもあり、心配しておったが大事なさそうで安心いたした。これは主からじゃ、お受け取りなされ」
「いつもながらかたじけない、この御恩は忘れませぬ」
「何をいまさら、そんな事より源太郎殿は元気でよいのう。これで徳次郎殿が育てば、真田家は安泰じゃ。この上さらに所領奪還の悲願がかなえば言う事はないのだが。――すまぬ」
「――。なんの」

 長かった夏も暮れはじめ思いを残すようにヒグラシが啼くと、あとから山寺の一日をしめくくる鐘が鳴り響いた。幸綱一家にに別れを告げた左京之介は、長源寺からの帰り道で無用な心配を抱えたままの遣り切れなさに、思わず舌打ちをした。主左京之介の手綱をとる小助は、これを察して申し上げた。
「だんな、あの巫女を付けますか? いまなら間に合いますぜ」
「できるのか」
「抜かり有りません」
「なら、いけ」
「へい、お任せくだせえ。すでに手の者が追っております」

 小助もこの頃になると手下を抱え、長野業政の配下である虚無僧や修験者とは別に、左京介の間諜として働くようになっていたのだ。業政や左京之介にとって幸綱の考えていることは大方察しが付くが、それ事態に憤りを感じるわけではない。しかし、長野家の行く末に何らかの影を落とすものであるなら、放って置けるはずはない。左京之介が知り得たことは、主長野業政へ知らせねばならない。たとえ幸綱とは盟友であったとしても。
 小助は南牧谷を抜けて峠越えする、奥大道の姫街道をゆく巫女を追っていった。街道の上州から信州佐久郡への出口には、この年の六月に武田晴信によって攻略された田口城があった。晴信は妹婿の相木信房をこの城へ入れて守らせていた。くだんの歩き巫女がこの城へ向かうのを見た小介は、先回りして城へ出入りする下人を抱き込み、まんまと潜入すると気配を消して会所を窺った。するとそこへやって来た歩き巫女は、軒先へかしずいた。
「して、首尾は如何であった」
「はい、山本様のお誘いには『望月や誘われて鳴る雁金に、旅立つ鳥のあとを濁さず』このように申されておりました」
「ふむ――。上々という事だな、下がって休むがよい」
「はい」
 幸綱からの取次ぎを終えて、立ち退く巫女を見送る相木信房は、小首をかしげて問いかけた。
「山本殿、真田殿はいかような返事をよこしたのでしょうか」
「聞いての通りだが、――ところで相木殿は、和歌を詠まれぬのか?」
「弓馬であれば他愛もないことですが、いささか苦手にござる」
「さようか、ならばこうだ、望月は巫女、雁金は鴈(悲願)であるが、如何にして後を濁さずに箕輪を出るか思案中である。承知したと伝えてよこしたのであろう」
「なるほど、そのような返事が隠されていたのですな。すると真田殿をこちらへ引き込めれば、小県への調略も捗りましょう」
「そう先を急ぐな、真田殿の仕官は甲斐のお屋形様の、みこころ次第だからな。――ぬぬ」
「――山本殿如何なされました」
「ののう(歩き巫女)、まだあるのか」
 かたりと戸をあけ放った山本勘助は、隻眼を回して辺りを警戒した。するとネズミが一匹軒下へ逃げ込むのを確認すると、ふうと小さく息を吐いて座を元へ戻した。
「山本殿、何かありましたか?」
「ネズミじゃ、大きい方のやつだな」
「ならば明日にでも、家臣どもに退治するよう申しつけましょう」
「ふふふ、お主はもそっと修行が必要だな。もう去んだわ」
 小助はネズミに身をうつしてこれに注意を向けると、田口城からやすやすと主左京之介の下へと抜け出て行った。

 南牧谷を出てから北上して奥大道にでた小助は、上野府中へ至る街道を駆け抜けて一路箕輪方面へ向かった。そして青木ヶ原までやって来ると、左手に一町四方を堀で囲み折れや土塁をめぐらした砦があった。そこには小助の主と、その友の姿が見える。
「何やら犬の匂いがせぬか」
 伊勢守によって投げられた小柄が、ぷすりと砦の地面につき刺さると影がひらりと飛びのいた。
「小助か、良くしのいだな。それでこそ儂の犬というものだ。――ところで秀綱殿、こやつは中々にございましょう」
「うむ、そうだな、また随分と腕をあげたものだ。もう少しきつう打っても良かったかもしれぬ」
「伊勢守様、お許し下せえ。この上の事をお試しなすったら、この小助はお勤めが叶わなくなります」
「これはすまなんだ、次郎左(左京之介)が羨ましくてな、つい遊んでしまった」
「小助は譲りませぬぞ、秀綱殿――。それで、例の巫女はいかがした」
「へい、どうやら山本勘助なるお方を通じて、武田家へ仕官するようです」
 伊勢守は、名を上泉秀(信)綱と言う。彼はこの下芝砦に道場を開き、箕輪衆へ己の培った兵法を伝える為、上泉城からやって来ていたのである。そして新陰流の流祖となり諸国を旅して、柳生の里へ赴くのは今しばし後の話となる。

 小助の話を聞きおわった左京之介は、下芝砦をでて箕輪城へむけて道を急いだ。
「そうか、それでは早々に土産を用意して置かねばならぬな」
「との、真田殿が武田の手先となれば、箕輪の城は裸となるのでございますぞ。そのような事で良いのでしょうか」
「うむ、その事も考えておかねばならぬ。だがな、仮に北条と武田が手を組んで更に越後の長尾がこれに同調いたせば、この上州も小県と同じ運命となるは必定。そうなればこの箕輪は、いずれかに飲み込まれるやもしれぬ。その時のために、武田ともよしみを通じておくのも一手じゃ」
「武田とですか、そこまでお考えであったとは、思いもよりませんでした」
「なにしろ北条と越後の長尾は、先々代のお屋形様であった憲房公が終生戦ってきた敵である。特に越後への恨みは、わしの父よりうかがい知る所だ。その点では信虎様の時代に、武田と上杉は慣れ親しんでおった。そこで、せがれ晴信のはらを確かめておかねばならぬ」
「なるほど、そこへ真田殿がつながるのですね」
「そのとおり。左京、真田殿とつうじてこの事を確かめるのが、おぬしの務めじゃ。よいな」
「かしこまりました」

 秋の訪れと共に箕輪の里では、城主業政の念願どおり新しく生まれた水田の稲穂がこうべを垂れていた。日差しを受けて輝きが増すといよいよ収穫を待つばかりとなっている。しかし、長源寺からの使者は、相変わらず幸綱の病を伝えてよこすのみで、左京之介の憂いは増すばかりである。そんな男の所へ小助が知らせを運んできた。
「だんな、どうやら真田様はさそいに乗るお覚悟を決めなすったようですぜ」
「そうか、それでもう発ったのか」
「いや、まだですが寺の様子からして明後日までが山と思います」
「ならばさっそく殿に知らせよう。小助、続けて見張り、時が来たならすぐに知らせよ」
「へい、ですがだんな、その時はそのまま行かせてよいのですか?」
「無論だ、だが気取られぬよう後を追わせよ」
「仰せの通りに」
 その日左京之介は用意されていた業政から幸綱への餞別を前に、独り荒船山に沈む夕陽を眺めていた。山の向こう東信濃では、着々と武田晴信により侵略されつつあり、その矛先を憂える業政主従であった。

 意を決した真田幸綱は、長源寺を出ると妙義山の東にひろがる人見原をぬけ、間道を縫うように進みながら南牧谷をめざした。ところが青倉までやって来ると、行く手を小幡三河守が外敵に備えて守る関所に阻まれた。これを押し通るより手立てがないものかと、馬を降りて腰を下ろすと思案し始めた。
「うぅむ、これは馬を捨てて夜になるのを待ってから、そっと抜けるほかあるまい」
 鏑川の流れはざわめきながら谷筋を下り、岩壁にぶち当たると向きを変えて淀みを作っていた。対岸の浅瀬では水鳥が足元をついばんでいる。谷あいの日は短く、水面を渡って来る風はひんやりと秋を運んできた。すると古枝の落ちる音に、鳥の羽ばたきを聞いた幸綱は、とっさに身構えた。
「真田様、主左京之介の使いで参りました小助にございます」
「つけておったのか」
「はい、主命なれば」
「――で、何ようじゃ。わしの首を取るつもりでは無さそうだが」
「けっしてそのような事はございません。今しばらくすれば主左京之介がやって参ります。それまでは無茶な事はせぬよう、お聞き届け戴きたいと参上いたしました」
「なるほど、――」
 幸綱は知らぬ間につけられていた事に己の不覚を知り、この上は害意のない小助の言を信じてみることにした。しばらくすると、小荷駄を載せた馬の行列がやって来るのが見えた。
「お父上、左京さまはこの様に土産物を沢山くだされました。そうですよね、母上」
「お前様、源太郎のもうす通りです。箕輪のお殿様からの贈り物ですと、左京之介殿が用意してくださったのですよ。上杉家にもあのようなお方が、おいでになるのです。早まったことにならねば良いのですが」
 奥方は馬を降り、次男の徳次郎を抱き下ろして幸綱の側へ寄りそった。すると、あとの方からつかつかと馬を寄せて来た左京之介は、手綱を小助へ渡すと幸綱へ笑顔をたむけた。幸綱は左京之介の姿に映る、箕輪城主長野業政の度量に感じ入り目を細めた。
「幸綱殿、此れより先はこの左京之介が国境まで馳走(道案内)つかまつる。主から貴殿への罪滅ぼしとお考えくだされ」
「このうえもなく、かたじけない」

 こうして幸綱一家は業政と馴染みのある谷あいの寺で一夜の宿を取ると、左京之介の案内で街道をすすんで行った。そして一行が峠の番所を通り抜けると、左京之介は別れ際に手紙を差し出した。
「とのからです。峠を下った後に、お読みになるようにと申しつかりました」
 こう述べると左京之介は手綱を引き、くるりと向きを変えて元来た道を帰って行った。一方幸綱は街道を下ってゆき、沢の流れが緩やかになると馬を休ませた。そして手紙を開けるとこう書かれていた。
「甲斐に武田晴信あり、まだ若いがまたとない弓取りと聞き及ぶ。しかし、箕輪にこの業政がいる限りは、碓氷川を越えて馬に草を食ませようなどと思ってもらっては困る――」

 幸綱はこれを読んで己を恥じいり「こんなことなら業政と腹を割って話し合うべきだった」と、握りこぶしを膝に押し当てて悔やんだ。こうしてこの後左京之介は、長野家と真田家(武田)の間を取り次いでゆくことになる。

真田幸綱の箕輪出奔(5000文字)

執筆の狙い

作者 夏目吉春
114.159.221.17

 戦国ちょっといい話の中にある「長野業正、真田幸隆への手紙・いい話」より膨らませて小話にしてみました。前回投稿させて戴いた『海野平の戦い』の後日談に当たります。戴いたコメントに留意して出来るだけ状況説明にならないよう努めました。前より小説風になっていると思うのですが、なにかご助言戴けたら幸いです。よろしくお願いします。 

コメント

百日百夜
61.197.152.253

夏目吉春さま
 
 拝読しました。
 ん~、一読しただけではまったく文脈が掴めませんでした。後日談、ということは前作の続きになるのでしょうか? 途中から、ということなので登場人物の位置関係が分からないのかも知れませんけど。歩き巫女さえ埋没して見えました。
 やはり書き分けでしょうかね。誰視点で読み進め、どこに共感すればいいのかまったく分からず、戸惑ったまま読了した次第です。5千字とあったのでなんとか読み通しましたが、分量がわからなければギブアップしたと思います。
 会話で話を進めようとなさっているように見えますが、その会話の内容がなぜか頭に入ってこないのです。相関図が把握できていない、というより見えてこないからでしょうか。

 長編の途中から、そこだけ読ませるというのはきっと難しいと思います。全体の構想を存じ上げないのでなんともいえませんが、冒頭、とか未完、という作品に感想を述べるのは私には困難です。本当に小説を書きたいのでしたら、今作ではなくても完結した作品を一度仕上げることも血肉になるのではないかと思います。どうしてもこの作品だけを仕上げたい、というのなら聞き流して下さって結構ですが、広く意見を伺いたいとお思いなら、百枚程度のさっと読めるものを書かれるのもいいのではないでしょうか。

 あまり参考になりませんね。最近はミステリーばかり読んでいるものですから的外れなご指摘と思われたら無視してください。ありがとうございました。

夏目吉春
114.166.25.190

百日百夜さまコメントありがとうございます。

>後日談、ということは前作の続きになるのでしょうか? 
   私は戦国時代の上州(群馬県)を『戦国史』として語ろうと考えています。そういう意味では前作のすぐ次の年代の出来事ですので「続き」と考えておかしくありません。しかしながら、執筆の狙いにある通り「長野業正、真田幸隆への手紙・いい話」より膨らませて小話にしました。

>長編の途中から、そこだけ読ませるというのはきっと難しいと思います。全体の構想を存じ上げないのでなんともいえませんが、冒頭、とか未完、という作品に感想を述べるのは私には困難です。
   ごめんなさい、これは独立した小話なので語りたかった主題があるのです。それは

《幸綱はこれを読んで己を恥じいり「こんなことなら業政と腹を割って話し合うべきだった」と、握りこぶしを膝に押し当てて悔やんだ。》

と言う締めくくりが著しているはずなのに、なぜそのように至ったのかを表現できていないという事から、未完であると感じられたのですね。この時代真田幸綱が武田氏の下へ走るという事は、城の構造や家臣団の構成が敵方に伝わり非常に不利に働きます。それなのに何故業政は幸綱を快く送り出したのでしょうか? それを表現したかったのですが、こうして失敗に終わりました。

>広く意見を伺いたいとお思いなら、百枚程度のさっと読めるものを書かれるのもいいのではないでしょうか。
   はい、実はそのように考えて続きが別にあるのですが、そこから今回の部分だけ抜き出して再編集したのです。こうした小話だけで私の思いが伝わるように努力して行きたいと思います。そしてこれらを繋げて全体を整えてから長編にしたいと考えています。それはいきなり長編は無理だろう思うからです。

ありがとうございました。

九丸(ひさまる)
126.34.51.218

拝読しました。

この時代の話をあまり読んだことはないのですが、お話としてちゃんと読めました。
小説の技法云々は語れませんが、門外漢な僕にも内容は伝わりました。
山本が間諜に気がつく場面は、時代劇のお決まりで見慣れているので(なにやつ!みたいな)、あると嬉しくなりました。
御作を読んで、僕はこの時代に興味を覚えました。
ありがとうございました。
そして、拙い感想失礼いたしました。

夏目吉春
114.159.221.17

九丸(ひさまる) さんコメントありがとう
>小説の技法云々は語れませんが、門外漢な僕にも内容は伝わりました。
 そう言ってもらえると、筆も軽くなると言うものです。

>山本が間諜に気がつく場面は、時代劇のお決まりで見慣れているので(なにやつ!みたいな)、あると嬉しくなりました。
 それでは、--ぬぬ、なにやつ!」に書き換えましょう。(笑

>御作を読んで、僕はこの時代に興味を覚えました。
 刀剣コレクションや城コレクション? が流行ったのだから、地元の歴史に興味を持ってくれると嬉しいですね。読み手の方のご先祖様が地元の武将と主従関係などでつながると、戦国史がとたんに面白くなります。

 ありがとうございました

カルネ
133.232.243.157

まず先に読みながら思ったことを。
読者の方が半歩遅れて情景を理解する、というふうになっているように思うのです。
>見覚えのある歩き巫女をとらえた。
>「源太郎、大将の子が足軽のように走るでない。(以下略)
これ次の
>「これは真田殿、
が出てこないと誰の台詞がわかりません。

>長源寺からの帰り道で無用な心配を抱えたままの遣り切れなさに、思わず舌打ちをした。主左京之介の手綱をとる小助は、これを察して申し上げた。

これも同様です。次を読まないと「無用な心配」って何? となり巫女のことだと分かるのは後にです。

物語の前半の段階でこういう書き方をすると読者の気持ちは大体、離れはじめませんか?

夏目さんがドラマやTVで放映される映画を見る方なのかどうか分かりませんが、実はTV局というのはそのへんのところ実によく工夫しているのです。
まだ視聴者が腰を据えてこのドラマ(映画)を見るかどうか分からない段階、序の部分を放映している時は基本的にCMを入れないのです。
大体、狂ったようにCMが入り出すのは後半にしているんです。後半になってから、視聴者が「ああ、つまんない。チャンネル替えよー」ということは滅多に起こりませんから。

それと同じ事が小説にも言えるかもしれないな、と思いました。

また「歩き巫女」が何であるかの説明もさらっとあった方が良いでしょう。
時代小説好きだけを相手にしているのです、ということであれば、話は別ですが。


>「ふふふ、お主はもそっと修行が必要だな。もう去んだわ」
>「何やら犬の匂いがせぬか」
これらの台詞は巧いなって思いました。

後はちょっと誰が主人公なのか、分かりにくい気がしました。
今回の作品では左京之介なのかな、とも思いましたが、ラスト2行及び狙いを読むと真田なのかな、とも思わせられたり。
でも真田は今回の話では脇役的だよなあ、と思わされたり。
というのは
>幸綱はこれを読んで己を恥じいり「こんなことなら業政と腹を割って話し合うべきだった」と、握りこぶしを膝に押し当てて悔やんだ
という心情に至るまでの内面が描かれていないように思うのです。

なぜ腹を割って話し合えなかったのか、そこを描く必要があったのでは?
と思わされました。

夏目吉春
114.159.221.17

カルネさまコメントありがとうございます。

>>見覚えのある歩き巫女をとらえた。
>>「源太郎、大将の子が足軽のように走るでない。(以下略)
>これ次の
>>「これは真田殿、
が出てこないと誰の台詞がわかりません。
   ごめんなさい、《すると幸綱が声をかけてきた。「源太郎、
とした方が分かりやすいですね。左京之介は幸綱を訪ねて行ったわけだし、源太郎は幸綱の嫡男と知っている前提で書いてしまいました。


>これも同様です。次を読まないと「無用な心配」って何? となり巫女のことだと分かるのは後にです。
   無用な心配とは
「との、昨年の六月に次男の徳次郎が生まれてからは、安中長源寺に家族を預けおき、そこから箕輪へ出仕するようになりましたが、少々足が遠のいたようです」
なのです。そこへ来て見覚えのある歩き巫女を見かけたので、もしやと思ったがやはりかとなった。歩き巫女は忍者(間諜)なのでピンと来るはず。説明要らないと勝手に思いました。しかし、分かる人ばかりじゃないから、どこかに説明をさりげなく入れる事します。推理小説のネタバレにならないように工夫してみます。

※真田女忍者:歩き巫女が有名(望月千代女 もちづきちよめ)滋野一族には海野・真田・禰津・望月などの支族がある。歩き巫女は後に信玄の女忍としても大活躍した。

   知っている人は、以下の会話を読んでクスッと来るはずであった。
>「はい、山本様のお誘いには『望月や誘われて鳴る雁金に、旅立つ鳥のあとを濁さず』このように申されておりました」
>「さようか、ならばこうだ、望月は巫女、雁金は鴈(悲願)であるが、如何にして後を濁さずに箕輪を出るか思案中である。承知したと伝えてよこしたのであろう」

>後はちょっと誰が主人公なのか、分かりにくい気がしました。
   長野業政の真田幸綱に対する思いやりを、主人公の左京之介から見た目で語りました。もうちょっと左京之介の内面を語って行けば、彼が主人公であると思えるのかもしれませんね。もっともっと話を練り上げて行きたいと思います。

>>>幸綱はこれを読んで己を恥じいり「こんなことなら業政と腹を割って話し合うべきだった」と、握りこぶしを膝に押し当てて悔やんだ
>という心情に至るまでの内面が描かれていないように思うのです。
>なぜ腹を割って話し合えなかったのか、そこを描く必要があったのでは?
と思わされました。
   はい、おっしゃる通りだとおもいます。左京之介と業政の会話から始まっていますが、この前に左京之介と幸綱のいきさつを語る話を入れた方が良いですね。こうやって手直しする事のより、話が長くなり小説としてのかたちが出来上がって行くのですね、きっと。

 なんと申し上げたら良いのでしょうか、以前は地の文が説明ばかりだと指摘されたので会話を多く入れてみました。ところが今回は説明不足とご指摘があった。つまり「状況説明をしないで、状況説明をする」工夫をしなさいという事なのでしょう。特に時代小説は分かりにくい言葉や漢字が多いので、どこまで一般に理解されるようひらいて(解説)ゆくのか悩ましいです。知ってる人からしたら、余計な解説はウザいだけですからね。

 カルネさま、具体的なご指摘や感想、本当にありがとうございました。この小話は長編小説の部品として大切に練りあげて行きたいと思います。

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