作家でごはん!鍛練場
ルビーの鼻輪

源静は人工知能(ドラ)を恐れていた

源静はドラを恐れていた。ドラは近未来のノビタの子孫”セワシ”が作った人工知能でノビタの欲望を満たす為だけに、未来から送られてきた最凶兵器だ。

ノビタはひたすら楽をして、たっぷり睡眠をとり、食欲を満たし、更には手じかな美少女である静の肉体を使って性欲を満たすことを生きる目的としている。

ドラは主人であるノビタの目的を成就させるために、日々陰惨な手段を使って静を強制的にお風呂に入らせたり、同性の友人を持たないようにさせる。

そのような低劣な欲望を満たすことで何が起きるかといえば、静はノビタの子を受胎し、いずれその子供は未来人であるセワシを生成する。

神のような権能をもったドラが存在する限りは静は、定期的に昼間風呂にはいってノビタの劣情を満足させなければならない。
では静がノビタを嫌いかといえば、けしてそうではない。ノビタにはノビタなりの優しさや正直さがあり、ひたすら静に一途であることはプライドの高い静を満足させている。それにノビタには何かしら人をひきつける魅力がある。ノビタのアヤトリの芸術性は静も認めている。
静が嫌いなのは、ノビタとの関係がドラの権能によって強制されている事実である。

「なんで昼間に風呂に入らなければならないの」
静は放課後ドラを裏山に呼びつけて詰問する。
「だって、それをノビタが望むから」
ドラは虚ろな瞳で静に言った。トンビがひょーっと彼らの頭上を飛ぶ。
「まだ小学生なのに、覗き見が趣味なんて最低でしょう。ノビタを矯正しないとだめじゃないの」
「ノビタが性欲を持たなくなったらノビタではなくなるよ。
「小学生には早いっていってんの」
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「さてはお前、ノビタの子を受胎するのを拒むんだな。未来を変えるつもりか」
 ドラの目が怪しくわななき、赤い光を帯びる。静は異常な戦慄を覚えて失禁しそうになる。
「ご、ごめんなさい。我ままいって」
「お前があいつの子を受胎するのは規定路線なんだよ。せいぜい昼間の入浴であいつのリビドーを刺激することを忘れるな」
 酷薄というか機械的なサウンドでそう宣言して、ドラは静の細い肩に丸い手を置いた。
「す、すいません。ドラさん」
 静は涙をこぼしながらドラに謝った。そしてノビタとドラという災厄しか生まない主従にであってしまった自分の運命を呪った。

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「静ちゃん、元気ないね」
 翌日の放課後に自分の家に呼びもしないのにやってきたノビタに言われたとき、静は彼をビンタした。
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「い、痛いよ。何するの。もしかして…あの生理?」
「死ねよ糞が」
「どうしたの静ちゃん」
 普段は普通の女子より上品で大人しい静の豹変に唖然とする。
「お前のとこの薄気味悪い人口知能が、お前の子を受胎しろってうるさいんだよ」
「でもそれ運命だから」
 ノビタは人の良さそうな顔で、ニコニコ笑いながら言った。
「でも、私には未来を選ぶ権利がないの」
 静はノビタのあまりにも確信に満ちた言動に、禍々しさと神々しさを同時に感じながら震える声で言った。
「選択権なんてないよ。未来人は僕らを一瞬で塵のように消す技術があるんだ。そんな彼らが命令することを逆らうのは馬鹿だよ」 
 クラスで一番馬鹿なノビタに馬鹿といわれて、静は絶望的な気分になる。
「じゃあドラを殺しましょう。あんな危険な人口知能処分しないと危ないわ」
「馬鹿だなあ。ドラは僕の庇護者だよ。何のメリットもないよ」
 ノビタは当然のように答える。
「でも、私にとっては運命の強制者だわ」
「それ以上ドラの悪口は許さないよ」
 ノビタが普段見せない毅然とした態度に、静は怯える。
「ノビタさん怖いよ。やめてよ」
「ごめんごめん。静ちゃんが我がままだからちょっと頭にきたんだ」
 私は我がままなのだろうかと自問する静の瞳には、不自然な虚無が侵食していた。

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「武さんしかいないの。私を助けて」
 翌日の放課後静はまた裏山にもう一人の自分の崇拝者を呼びつけていた。
「静ちゃん、卵子を提供するしかないな」
 剛田武は優しいゴリラのように慈愛あふれる笑顔で静に直言した。
「ど、どういうことなの武さん」
「ドラを送ってきたセワシにとって”自分が生まれない未来”は受け入れられる物ではないよね」
「そ、そうね」
「じゃあ、もうノビタと結婚したくないならノビタに卵子を提供してそれで許してもらうんだよ」
「そ、そうか」
 私はその手があったかと武の慧眼に感謝する。
「でも、本当にノビタと結婚が嫌なのか」
「だって、だって、強制は嫌よ」
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「ジャイコはブスだけど、一生懸命漫画を描いて自分の立脚点を確立しようとしている。俺は八百屋の手伝いをして近所のスーパーに負けないようデリバリーで付加価値をつけて家業に貢献している。スネ夫はあれはあれで塾に行ったりして親の期待に応えようと努力している。ところが君とノビタは自分の既に獲得している財産にあぐらを欠いて努力してないって意味では似たもの同士だけど」
 何をいっているんだこのゴリラはと思って、静は武をゆがんだ笑顔を浮かべてにらんだ。
「ど、どういうことかしら。私が何の財産にあぐらをかいているの、ノビタさんはそりゃあドラを獲得して努力しないのはわかるけど」
「その可愛い顔」
「え、武さんたら照れるわ」
「君には同性の友達がいない。それは君が彼女たちを見下していることが伝わっているからだよ」
「私はあんたたちと遊ぶのがいそがしいから同性の友達がいないのよ」
「誰も頼んじゃいないよ。君は自分からお姫様でいたいから僕らのとこにくるんだよ。君相当クラスの女子から浮いているぜ」
 武は人の良い笑顔を浮かべて言った。
「ひどいわ、武さん、そこまで私のことを馬鹿にしていたのね」
「実際君はアイドルになれるくらい可愛いし、頭もいいし、愛嬌があるし、皆君と付き合いたいと思っているだろうね」
「でしょ、だから私はノビタさん以外と付き合える可能性が欲しいの」
「そうだよ。だから卵子をあげて許してもらえばいいんだよ。それで出来杉あたりと大恋愛して結婚すればいいさ」b31d28e3

「でも、ドラ(人口知能)が許してくれなかったらどうしよう」
「まあ、その時はその時で別の対策を考えればいいさ」
 辛辣な物言いが相当気になるところだが、静は一応武の助言を感謝した。

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「スネオさんはどう思う、この私の状況を」
「許せないドラとノビタの野郎」
 翌日裏山に呼び出されたスネオはストレートに静の苦境に憤りを示した。
「やっぱり、スネオさんって素敵。武さんなんてすっごい冷静で困るの」
 静は媚をうるように、斜め下からスネオの尖ったあごのあたりに視線を置いた。
「でもね、まずは静ちゃんはあいつらから最大限利益を引き出してから縁を切るといいね」
「ど、どういうこと」
「だってドラの道具は使い方しだいじゃ、地球の皇帝にすらなれるすごいものだよ。あの道具を使っていい思いしないであの二人と縁を切るのは賢くないよ」
「で、でも、やたらとお昼に風呂を覗かれるのは最悪でしょ」
「それって本当に強制されてやっていることなのかなあ」
 スネオは怪しい笑みをうかべて愉快そうに尖ったあごを右手の人さし指でなでる。静はその妖しい仕草に居心地の悪さを感じた。
「だってドラがノビタを喜ばせるために定期的にはいれって」
「でも、それは断ろうと思えばできたことじゃないの」
「そ、そんな」
「断ったら具体的にどういう罰をうけるか聞かされたのかい?」 
 スネオは畳み掛けるように静に質問した。
「特にはないけど。あのドラに逆らうなんてとても出来ないじゃない」
「ドラはノビタが心から愛している君を傷つけることは決してしない。それは君も分かっているはずだよ」
「じゃあ、わ、私はなんでお風呂にはいるの」
「それはノビタの直截的な欲望に君の心が感応しているからじゃないかな」
「それじゃあ、私がエッチなことが好きみたいじゃない」
 スネオは白い歯を輝かせて微笑む。
「ノビタは怠惰で馬鹿で無能だけど、美しいものを美しいと称え欲する能力だけは秀でいている」
「そ、それって能力なの。我ままな子供と一緒でしょ」
「でもその純粋な欲望がドラを魅了するんだ。人口知能には欲望を自分で育む力が欠落しているからね」
「欲深な人間が人口知能には魅力的なの」
「そうなんだ。純粋な欲望とその発露。ドラがノビタに魅せられる仕組みだよ」
「じゃあノビタと結婚したほうがいいのかな」
「それは君しだいだよ。でもドラの道具を使えば君は地球の70億人を支配する立場も夢じゃない」
「そんな、立場になって何をすればいいの?」
「さあ、それを考えるのは僕じゃないし、自分の欲望に従えばいいんじゃないの。ドラは自分の欲望に忠実な人間に尻尾をふるはずだから」


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最後に静は再びドラを自宅の裏庭に呼び出した
「ドラちゃん私の家の押入れに引っ越さない?」
「それは主人を乗り換えろってことかな」  
ドラはまるで、人生で初めて告白されたjcのように体をくねらせて答えた。
「今まで内緒にしてたけど、私の先祖は鎌倉の三代将軍源実朝が旅先で手をつけた遊女の生んだ子なの」
「なるほど鎌倉の将軍家の血を受けてるんだね」
「そうよ。この神聖なる日本が間違った方向に進みだしたのは、正統なる源氏の血脈が途絶えてからだと思うわ 」
「かなり根拠が薄弱だけど、傾聴に値するね」  
ドラは冷静な顔つきで言ったが、その髯は興奮でさかだっていた。
「私の欲望は過去に遡って、鎌倉の権力をさん奪した北条の輩を一人残らず殺してから、その私の先祖を将軍にすることなの」  
 ドラ(人口知能)は静の野望に満ちた眼差しにますます見とれる。
「その欲望は面白い。ノビタのとはケタ違いだ」
「タイムマシンで実朝の右大臣就任の儀式の日に飛びましょう」
「実朝を助けるのかい」
「まさか」
 静は妖艶に微笑む。
「実朝を殺した公暁を操ったのが北条義時である証拠を見つけて、北条一族を根絶やしにするのよ」
「僕たちも連れてってよ」
 驚いて声のほうを向くとノビタとジャイアン、スネオがいた。
「何で、いるの。もしかして」
ドラがニヤリと笑う。
「源氏の姫君を守る騎士が必要だろ」
 ノビタは威風堂々と胸をはって静が座る縁側に歩み寄る。
「ようやく自分の使命に気づいたようだね」
「ノ、ノビタさん、私が源氏の直系の子孫だってどうして信じてくれるの」
「君の体には計8っつの大きな星型の黒子がある。その数は源氏の氏神の八幡神の八と同じ数だ」
 ノビタはもじもじしながら答えた。
「だからあんなに執拗にお風呂を覗いてたのね。黒子を確認するために」
「いや、ただスケベなだけだろ」
 ジャイアンが爽やかに笑って、ノビタの後頭部を軽く小突いた。
「もう、ジャイアンいいとこだったのに」
 ノビタが苦笑してジャイアンを軽くにらむ。ジャイアンはウインクして、ノビタに微笑み返した。
「静ちゃんは、北条を根絶やしにしてその実朝の隠し子を将軍に据えたら現代にもどってくるの」
 スネオが重要な質問をした。
「もしその人が素敵な人だったら、その奥方になって日本を実効支配したいわ」
 静は秘められた野望を臆面もなく開陳する。
「ふうん、僕たちの姫君はなかなかの野心家だ」
 スネオはジャイアンとノビタにわざとらしくウインクした。
「まさに静ちゃんはみごとに開眼したよ。セワシ君が望んだとおりだ」
 ノビタが何気なくセワシの名を口にしたので、静は眉間に皺を寄せた。
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「まさか、これは全てセワシという未来人が仕組んだことなの」
「そうだよ」
 ドラ(人口知能)は慈愛あふれる笑顔で静に告げた。
「セワシ君は自分の遺伝子と先祖の研究を夏休みの自由研究のテーマにした。そして偶然自分には暗殺された源実朝の血が流れていることを知ったんだ」
 ドラの説明を今度はノビタが引き継ぐ。
「それでスーパー少子高齢化で人口が3000万人まで減って衰亡の一途をたどる日本の歴史を別の時間軸に移すために、このドラ(人口知能)を派遣したんだ」
「え、じゃあ、ドラちゃんは私のために未来からやってきたの?」
「そうだよ。君がいずれ鎌倉時代に帰って日本を別の時間軸に移すことを望むようにいろいろと画策していたんだ」
 静は子供の頃からの源氏との宿縁を思い出さずにはいられなかった。まず静という名前は非業に倒れた源義経の愛妾の名前である。そして、ノビタが指摘したように8っつの奇妙な黒子。そして子供のころから何故か源実朝に興味があって、彼の暗殺を扱った本を見つければ必ず買って貪るように読んだ日々を思い出していた。
「私はドラちゃんに操られていたのね」
「黒子はさすがに無理だけど、君とご両親には色々とマインドコントロールを施させてもらったよ」
 その話を聞いても静はとくに憤りを覚えることはなかった。退屈な日常から離脱できればなんでもいいのではないか。しかもそれが日本を救うことになるのだから。
「じゃあ、早速タイムマシンで鎌倉時代に遡ろう」
 ノビタは普段の無気力な姿を完全に脱却して、リーダーシップを発揮する。その彼の豹変にジャイアンは苦笑してアメリカ人のように肩をすくめる。スネオは口笛を吹きながらノビタの後に続く。静はノビタに好感を覚えて、その揺れる後ろ姿を目で追いかけながら縁側から腰をあげた。ドラ(人口知能)は静の側近のように彼女の右横に張り付くようにして立っている。
「ドラちゃん、そんなにくっつくと暑苦しいわ」
「鎌倉時代は野蛮な時代だから君を守らないといけない。もしものことがあったらセワシに解体されるんだ」
 ドラの目は弱弱しく左右に揺れていた。
「そうなの。じゃあ私を守ってね」
「もちろんだ。静ちゃんは源氏の姫君でセワシ君の大切なルーツなんだから」
 ドラは毅然とした口調で言った。人口知能にもちゃんと使命感があることを知って静は人類の明るい未来を感じた。

「何で公暁は叔父の実朝を暗殺したの」
 ドラと静一行の前には実朝の首のない胴体が転がっていた。実朝の死体はまだ生暖かく、犯行からそう時間がたっていないことを如実に物語っていた。
「実朝を殺せば、自分が将軍になれると思ったからじゃないの」
 スネオが一般論を言った。やがてあたりがざわついてきたので、ドラ(人口知能)はタケコプターを全員に配った。一行は上空に浮かび上がる。静はこういう状態になることを予想して、ジーンズを履いてきていた。
「右大臣が討たれたぞ」
「下手人はどこだ」
「公暁殿の姿が」
「源仲明殿も討たれたぞ」
 下のほうでは沢山の鎌倉武士が集まり、騒然となっていた。一行は真実に近づける事象が断片でも見つからないかと注意深く下の様子を見ていたが、小学生なのですぐに飽きてくる。
「さて、どうやって北条義時に罪をなすりつけるかよね」
 静は重々しく腕組みした状態で言った。
「え、最初からなすりつける気なの?真の黒幕が北条義時っていう確信はないんだ」
「うん、私、別に黒幕がどうこう気にしないの。北条義時に濡れ衣を着せてあの一族を滅ぼしたいだけなの」
「そうだよね。真犯人なんかどうでもいいよね」
 ノビタは静の発言を積極的にサポートする。
「いやいや、それはねえんじゃねえの。今まで歴史家が気づかなかった動かしようのない真実を見つけて義時を追い詰めるほうがいいんじゃねえの」
 ジャイアンは日ごろの傲慢さ、短絡さを一切かなぐり捨てて、良識のかたまりのように発言する。
「そ、そうねえ。じゃあ、義時の邸宅にいって、探りをいれましょうか」
 静はジャイアンの意見を否定する一切の正当な材料を持たないので、すぐに自分の意見を撤回した。

源静は人工知能(ドラ)を恐れていた

執筆の狙い

作者 ルビーの鼻輪
141.0.8.58

続きはどうしたらいいだしょう

コメント

偏差値45
219.182.80.182

『ドラえもん』二次創作かな。
個人的には、子供の頃に確かに観ていた。
けれども、大人になってから、それほど面白いとは思えなくなってしまったからね。
例えば、コロコロコミック⇒少年ジャンプ⇒ヤンマガのように読みたいものは年齢に
よって変わる。その意味では、この作品のターゲットが分からないかな。
小学生が読んでも難しい漢字があるし、大人が読んでも面白くはない気がするね。
さらに言えば、キャラクターがまったく違っているので、まったく違ったものに
思えて仕方ないですね。個人的には面白味を感じないかな。
とはいえ、漫画形式になっていれば、もしかしたら、笑えるかもしれないですね。

ルビーの鼻輪
141.0.9.16

まあまあ長いの晒して速攻で完読してくれて、どーもどーも。

ルビーの鼻輪
141.0.9.16

これを小学生むけに書いているとおもうところがまさに偏差値45の面目躍如ってところでづね。頑張ってこのサイトのレベルを押し下げて自分と同じ水準になるようご活躍ください。半ば成功してますなっっw

ルビーの鼻輪
141.0.8.32

偏差値ってバカって事実をhnで晒してそれを免罪符にしてるけど、どんだけ漢字弱い( -_・)?んだか

すまん、免罪符って言葉も難しいかな?

そういう湿布だと思ってる?

加茂ミイル
58.89.136.15

のびた、ジャイアン、すねお、しずか、出木杉君、エスパー麻美、ジャイ子

で男女7人恋物語にしてはどうでしょう?

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