作家でごはん!鍛練場
少年A

夏のセミ

「夏のセミ」



セミの人生は短く、地上にはいでても1週間の命だ。
それはきっとひどく悲しくうつるだろう。
それはあくまでも人間のしかも一個人の主観だ。誰もセミの気持ちなどわからないからな。
主観で映る物事はもちろんセミに限った話ではない。
人間相手でも事はそう変わらない。その主観が相手の気持にそぐわないことなんて腐るほどある。
が、もし自分がセミの立場であるならば
死んだ事実を嘆くのではなく、生きた時間を見てほしい。と、そう思うだろう。
セミは土の中で7年間の時を過ごし、地上で1週間を生きる。
思い返せば俺たちの夏もそうだった。

剣道部。自分はまぁ、もとから剣道をしていたから何となく剣道部に入った。
経験者だし、レギュラー取れるだろ〜。と、正直甘い考えで入った。
結果は惨敗。
同級生に負けることはなかったが3年の先輩には全く歯が立たなかった。
言い訳をするならば男子の先輩は自分と同じ経験者。けれど、女子の先輩は経験者ではなかった。
それでも勝てなかった。
期間で言えば自分のほうが長い。なんで勝てない。
悔しかった、剣道にいままで感じたことがないほど強い想いだった。
それから必死で練習した。
かかり稽古をなんども先輩に挑んだ。けれど結果はいつも遊ばれて終わる。
練習で直らない癖を先輩に何度も注意された、
「何回いわせんだよ。そろそろ学べよ」
その言葉が無性に悔しくて泣いてしまったときもあった。
こっちは必死に練習してんだよ!お前らみたいに何でもできねぇんだよ!
下だからって好き放題いってくんじゃねぇよ!
悔しくて、辛くて、悲しくて、虚しくて。
けど、言い返せなかった。先輩は事実強い、きれいな剣道をしている。
憧れているし、遠い。だから、言い返せなかった。
飛び込んでも叩き落とされるか、飛ばされる。
悔しい。
けど、時間は経っていく。
3年生は自分たちとは半年しか練習できないのだ。
受験に伴う部活の引退がどうしたって決まっているからだ。
時間がない、悔しいけど今は勝てない、ならせめて何か技術を盗まなければ。
それでも、時間はあまりにも短すぎた。
三年生の引退は訪れた。県の大会で一回戦敗退。あの強い先輩でも県の舞台では最下位。
最後の稽古で自分は泣いてしまった。どうしたってリベンジできないのだから。
もう、受験に向け動き始めているから、剣道などする時間もない。
彼らの背中に憧れていた、結局届くことはなかった背中。あぁ、まだ遠いや。
残った自分たちと一個上の先輩。
その時に自分は残りの先輩に勝てるようになっていた。
はぁ、つまらない。
自分の中学はよくいう弱小校だったのだ。
3年の代が強かったのはたまたま。これが本来の実力だ。
もちろん自分も弱い、他校には全く歯が立たない。息苦しいな。
先輩からレギュラーをもぎ取ったときもあった。その時先輩は泣いていたのだ。
期間は俺が上でも先輩のほうが部活歴は長い。
悔しいのだろう、それがわかって体が重くなった。
試合はボロ負け。
先輩は気にしないでいいよ。そう笑っていたけど、とても受け止めきれなかった。
もぎ取ったのに負けた。自分が弱いのはわかっていたのに、舞い上がって調子に乗った。
もう、負けない。そう気張った。
部活の練習によっては辛くてキツイときもあった。
2年間と少し。それでも歯を食いしばって、いやいやながらも努力して、嫌いなりに好きになろうと努力した。
その努力は消えない。
先輩たちが卒業して、自分たちが最高学年だ。もう、上には頼れる先輩はいない。
その努力の結晶が最後の夏の結果だった。
敗北。1勝するだけで、後少し背伸びをしたら届いたかも知れない。そんな小さな距離を詰められなかった。
もちろんそれを誰か一人の責任にすることはできない。それは自分たちの努力を疑うことになるからだ。
弱い自分の力を疑い、慎重になることは構わない。それは好きなだけしててくれ。
が、努力を疑うことは許さない。
それは自分の努力を、長くを生きた土中の苦しみを。それすらも疑っていまえば、今冷たくなろうとする自分の身体を照らすギラギラとした太陽が、そんな周りから向けられる称賛の声が、顔が、表情の一つ一つが直視できなくなってしまう。俺はそんなのは嫌だ。
まだ土中にいる自分の実力を疑うことで自分の弱さを再確認することは自分が強くなるためのひとつの手段だ。
しかし、今外に這い出た自分の土中の苦しみ、すなわち努力を疑うことは強さにつながるどころか心の弱さにつながる。
戦わなければ勝てない。当たり前のこの事実に打ちひしがれる。
戦うことを恐れ、その心に疑いをかける。
今の自分を褒めることは出来ないかも知れない、納得もできないかも知れない、相手にこっぴどく負けてしまうかもしれない。今の自分を疑い、自問自答を繰り替えることで生まれるのは不自然なほどの心身の緊張と、頭を埋め尽くす自分への叱咤。
試合が一日、また一日と近づくにつれ、自分はそのことですごく悩み、苦悩し、頭を抱えた。
そんな中で組まれた試合直前の他校と組んだ合同練習。
それが自分の悩みを取り去らうきっかけとなったのだ。
その時の他校の先生の言葉が今も離れまないで頭の中に住み着いている。
その人は俺たちに言って聞かせた。

負けないことはない。
試合なんだから全国優勝をしない限りはいつか必ず負ける。なら、どうやって負けたい?どこで負けたい?負けるならそれは何を果たした後だ?それが人によっては試合で1勝することなのかも知れないし、湘南大会出場なのかもしれない。それは人によって違う。〇〇くんは県・関東を見据えている。彼にとって地区・湘南なんてものは通りすぎて当然の一本道かも知れない。しかし大小で差はあれど、それを叶えんとする心持ちは同じはずだ。私は自分の生徒達にはいつも言ってるさ。

「どうせ死ぬなら死に様考えろよ」

ってね。

それは自分にとって大きな衝撃だった。
死に様。すごい響きだと自分はそう思った。周りのうちの部員もきっと衝撃を受けていただろう。
自分たちはいち学生でしかありません。
「死に様を考えろ」という日常ではまず出会わない、言ってしまえば異端なその言葉は深く心に沈み込んでいった。
少し荒っぽいようにも思えるそんな言葉はなんだか自然とすぅっと身体に溶け込んでいった。
なぜだろうか。その瞬間、悩んでいたはずの自分は死に新しく生を受けた気分だった。
自分は少し開き直ったように。
確かに自分は周りと比べて弱いだろう。そうだったとしてそれがどうした!
考えて仕方ないことを考えても当たり前だが仕方ない。
素直にそう思えた。
それは確かな前進だったと確信を持って話すことができる。
残りの数日間の短期間に身体能力を爆発的に上げることはできない事はわかっていた。
けれど悩んでいた古い自分を捨てることの出来たことで、試合への嫌な緊張は全く持って行かないですんだと思ってる。
間違えてほしくないのは試合へ向かう高揚感と同士に必要な緊張感は持ち合わせてた、、、つもりだ。
結果は先に行った通り敗北。俺の中学校の部活は幕を下ろした。
たしかに無念ではあるがその瞬間の自分の心の内は晴れやかなものだった。
負けたという事実を受け止めた上で自分には負けた悲しみというのは全くなかった。
それ以上に「やりきった」という満足感が勝っていた。
自分はその試合に全力を出せた。そうやって言い切れる。だから、悔いは無い。自分の土中の時間を十分に取り返せるそんなすべてを出し切った試合だった。

この言葉は、言葉の大きな力を実感させたれた初めての経験だった。
有名人の名言だとかそういったものは不特定多数に向けられたものだったり、そう当てはめられてものだたりとだまざまだが、ココに共通するものは総じてカッコいいし、凄い大きなが夢ある。しかし、実態がなく実感も生まれない。それを宛てた相手に自分がいないことを少なからず理解してしまうからだと思う。
だからこそ、自分たちに向けられたその言葉は自分のうちに強く深く響いた。

夏のセミ

執筆の狙い

作者 少年A
126.13.64.230

実体験を含めた短編もどきです
自分の課題を知るために投稿しました。
つたない文章でごめんなさいm(_ _)m

コメント

偏差値45
219.182.80.182

内容としては情熱的で好感がもてる。
セミと主人公の対比もうまく活用できていると思います。
ただ、ちょいとナルシストが入っている気がしますね。
面白いかと言えば、「いいえ」かな。ストーリー上、盛り上がり欠ける。
体験からの作品でしょうけど。必ずしも写実主義に走らなくても良いと思います。
嘘でもいいんです、面白ければ。なんとなく淡々と語っているからね。うーん、という感じ。
悔しい時は悔しい顔が必要だし、悔しい言葉が必要かな。

で、個人的に思うのは、優勝を狙っていないなら、わりとどーでもいい気がしますね。
楽しく部活が出来ればいい。一生懸命練習するよりも多少サボった方が賢いんじゃないかな、
って思ったりして。
部活は勝つ為はなく、仲間との親睦を深める為のツールのような気がしますね。
努力しても報われないこともあるわけで、それは運がないか、才能がないか、
そういうことですからね。ただ学生としてはその辺の知恵が廻らない。
勝てないと分かっていても、運動会で全力で走ってしまうようなこと。
その意味では大人はズルいのかもしれない。

只野
1.79.83.31

>この言葉は、言葉の大きな力を実感させたれた初めての経験だった。
有名人の名言だとかそういったものは不特定多数に向けられたものだったり、そう当てはめられてものだたりとだまざまだが、ココに共通するものは総じてカッコいいし、凄い大きなが夢ある。しかし、実態がなく実感も生まれない。それを宛てた相手に自分がいないことを少なからず理解してしまうからだと思う。
だからこそ、自分たちに向けられたその言葉は自分のうちに強く深く響いた。




胸が熱くなりました。
すばらしいと思います。


ありがとうございます。

少年A
126.13.64.230

偏差値45様

情熱的との表現がとても嬉しかったです!
確かに面白みに欠ける、ナルシストな文章だったかもしれませんw
実際、読み返しても面白いかどうかは謎ですが...。
今回の内容の半分以上がホントの事で内容はその時の走り書きだったんです。
それを小説の形に落とし込もうとしたらこんな形になっちゃって(汗)
仲間との親睦を深めるツールという点は同意です!
それでも団体戦だけでも一勝したかったんですよね...。
まぁ、終わったものですからいいんですけどね?w

写実描写は確かに淡々としていてどうも説明文のようですね、その点を考えて加えて修正してみようと思います!
忘れないうちに〜と、書いた文章とあったこともあって細かい点の推敲ができていませんでした。
実際に文章の課題点だったり、良い点を教えてもらうのは初めての体験でしたがとてもいい体験になりました!又機会があったらよろしくおねがいします!

少年A
126.13.64.230

只野様

お褒めの言葉とても嬉しいです!
自分の文章で誰かの心が動かせたのなら自分こそ感激です!
「死に様を考えろ」
はホントに言われたときブルッてきましたよw
他校の顧問の先生だったんですけど、思わず。
「カッコいい...」
ってつぶやきました!
すごくないですか?だって死に様ですよ?w
もう武士かなってwけど、その時まで漠然と剣道やってて、試合も勝ちたい!とは思ってましたけど、そこまでのことは考えが至ってませんでした。
いつか絶対に負ける。その言葉が当たり前のことなのに、ドコか目をそらしてた自分がいたことにその瞬間気が付きました。
それを真正面から受け止めていた姿をすごいなって。
ドコまで勝ち上がりたい?と、聞かれたことはあっても、ドコで負けたいか?なんて聞かれたのは、はじめての体験でしたからね...。

これからも小説投稿をすることがあると思いますので、只野様の心を揺さぶるそんな文章を描けるようにこれからもがんばります!

阿南沙希
126.209.56.5

読ませていただきました。
あの…熱くなっているところで申し訳ないのですが、小説なのかエッセイなのか曖昧で、まずどちらかに振り切って形式をはっきりさせたほうがいいです。
小説ならストーリーとキャラクター、背景を組んで描き込む。エッセイなら完全に自分を主語にしなければいけません。
現状、どちらなのかわかりませんでした。
ただ書いただけの「文章」という印象が強くて、評価するしない以前の段階、もっというと作品以前の文章にみえます。

カップラーメンを人に食べさせるのでも、1分くらいしか経ってないやつをどうぞと言って出しては、出された側はこれはラーメンなのかこのまま食える某ベビースターなのか、はたまたリアクション系のギャグなのか? という困惑しかありません。ラーメンは待てば完成しますが、文章はそうではないので、できるかぎりの手を尽くして完成させる必要があります。

作者さん、小説とエッセイのどちらを描きたかったんですか? どちらでも、描きたいことは書けると思います。まず、好きな小説なりエッセイを読み返してみると、だいたいこんな感じで書けばいいのかな? という感覚がつかめてくるのでは。

それにしても.死に様を考えろって、かっこいいといえばいいですが、戦時中に部下に特攻を命じる上官みたいですね(汗)
そんなに猫の前のネズミの頑張り程度しかない・勝てっこないと思われているのも失礼な話ではありませんか?
私だったら、自分の実力がどんなに弱くても、自分や相手の長所短所をしっかり研究して対策を練るように、勝てるように指導してくれる先生や先輩のほうが、その時はプレッシャーでも後々感謝に変わる気がしますし、たった一勝のために頑張った経験こそ「生きている」そのものだと…体育会系部活を少しだけやった身としてはそんな風に思うのですが…

あと、蝉がいかに生きるかという話から始まったのに、結局散り際の話かーい! と、申し訳ないのですが沈黙ツッコミを入れてしまいました。再構成する際に、セミの解釈をお話とうまく合わせたほうが良いかと。

少年A
126.13.64.230

阿南沙希様

感想ありがとうございます!
そうですねぇ、エッセイか小説かでいうとエッセイと言うかその時の実体験をそのまま書いてしまったと言うかなんというか…。
言い訳じみていてすいませんm(_ _)m
けど、その時思ったことをなんか勢いで書いちゃって(汗)
ソコがはっきりしていない点に関しては反省してます。
よく考えてみれば、少し前に書いたエッセイもどきを無理やり改変して小説にしてみようとした結果がこれなので中途半端そのものですねw
次はしっかりと人物を付けて、あくまでも体験をもとにした小説にしてみようと思います。

死に様考えろは認識の齟齬があったらごめんなさいw
言った内容をすこし端折っちゃったのが原因かもしれないのですが、先生が言いたかったのは、
人それぞれの目標があってそれぞれは大きさの違いは確かにあるけど、それを目標にいままで練習してきた価値ははどの人にとっても意味あるものだから最後まで誇れ。
みたいなことだったと思うんです。
その練習が試合前のそもそも前日だったので、勝てるように指導という時間もなく最後の鼓舞だったんです...。
猫の前のネズミとは少々耳が痛いことですが事実そのとおりで自分たちは全国優勝することはありえないですし、どこかで負けるのは分かりきったことだったのです。
それでもなら何処まで勝ち上がりたいのか。それを改めて口にしてもらって自分たちは逆にスッキリしましたよw

その先生は無意味に特攻を命じるような上官ではありませんでした。断言できます。
その点言葉足らずで重ね重ね申し訳ありませんでしたm(_ _)m

セミの解釈についてですが自分は最後に木から落ちて天を仰ぐセミのイメージだったのですがタイトルが分かりづらいですね以後気をつけます!


長文での感想とてもありがたいです!細かな点まで書いていただけるのは反省点、改善点を理解するのに参考にさせていただきます。
最後にはなりますがご感想ありがとうございました!!

阿南沙希
126.209.17.84

お返事ありがとうございます。
セミは、おっしゃるようなイメージは現状湧いてこないので、短編小説に変える際に重点的に描写すると良いかもです。
ただ、セミこそいつ死ぬかなんて考えずに鳴いて子孫を残すことだけに生きてるはずなので、死(負け)を前提に…というメインストーリーとは少しイメージが違う気がするんですよね。そこまで気にする人いないとは思いますが。


あと、名台詞については、大切な思い出を蹴っ飛ばすような事書いてすみません。
いつも言っている、と本文にあったので、いつも死に際を意識させてるんだろうか? と首をかしげてしまった次第です。
仰るように、きっと生徒を奮起させるために言ったことなのだろうと推察してはいました。そのように書いてありますよね。

が、なんだかそのセリフがものすごく良いように捉えられているようなので、同意するよりは、違うこと思う人間もいると主張したらちょっと今後の参考になるかな? と思い、書かせていただきました。うがった見方の人間ですみませんm(_ _)m

私も昔、一直線なカッコいいセリフをノートにメモしたりしてましたが…なんというか、真っ直ぐな気持ちは若さと勢いがあって良いものですが、色々な立場の人が出てくるお話を書いていくためには、かっこいいものでも一歩引いて、それが本当にかっこいいものか冷静に検討する目が必要になってきます。

でもまずは、カッコイイ! とストレートに感じることから始まるので、良い先生、良い言葉に出会えて良かったですね。そして、それを書き留めておくのはとてもいいことだと思います。
是非、お話にしてみてくださいね。返信は不要です〜それでは。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内