作家でごはん!鍛練場
よしのまさと

良心の種

 ほとんど音もたてずに、大型のバスがすいすい走る。運転手はおらず、プログラムによって決められた順路を、時間通り正確に運行する。
 自動運転が普及してから、渋滞は歴史上の出来事に変わった。そして事故がなくなった代わりに、運転や車の性能を楽しむ人はいなくなり、自動車は単なる移動手段という味気のないものになった。
 バスは人通りの多いスクランブル交差点に入る。窓の外には、ガラス張りのビルに張りついた巨大ディスプレイが見える。そこではルックスの良い女性アナウンサーが、口を大げさに動かして話している。バスの中まで音は聞こえてこないが、
『犯罪率0パーセント! 良心の種の効果』という青字のテロップが見える。
 バスが停車すると、高校生ほどの少年が下りた。色白で、少し前髪が長く、何とも退屈そうな顔をしている。
 少年はコンクリートの地面を踏みしめると、その足で自宅へ向かった。
 彼の左手首には、黄色い幅五センチほどのテープが巻かれている。歩道をゆく人々は、それに気がつくと、彼を避けるようにすれ違った。歩道だけでなく、先ほどのバスでも、少年の両隣に座ろうとする人物はいなかった。席が空いているにも関わらず、バスの中では立ったまま目的地を待つ人が多かった。
 こんなものがあるから、避けられるんだ。
 少年は自らの左手首を見やり、そう思った。しかし少年はそのテープを外したり、隠したりすることは出来ない。なぜならそれは、自動車の初心者マークみたいに、周りに知らせるためのものだからだ。
 このテープが目印となって、少年は周りから異物として見られる。しかしそこに悪意はなく、人々はただひたすら、少年のことを恐れていた。
 怖がられるというのは、まるで全ての負い目が、自分にあると言われているみたいだ。
 少年はそのように感じていた。


 ある企業が、国と共同で、一つの研究に多大な費用と時間をかけていた。
 それは『良心の種』と呼ばれるものを人体に植える研究で、良心の種が体内で発芽し、充分に育まれると、まるで細長いツタが絡みつくように、人間の中にある『怒り』という感情を抑えつける。
 技術が進歩し、工場の自動運転化や、無人レジなど、最小限の人員で社会が回るようになると、経費削減の首切りによる失業率は、戦後最悪の数字になった。そして国民の貧富の差が明瞭になり、強盗、窃盗などの犯罪が横行した。
 良心の種が開発されたのは、そういった問題を解決するためだ。
 良心の種は、学校、会社、最寄りの病院で、予防接種のような注射で、全国民の体内に取り込まれた。もっとも、予防するのは病気ではなくて、犯罪である。治療費は税金によって支払われた。
 早い人で一日、遅い人で三日ほど経つと発芽した。その芽が大きく育つまでにもう一週間ほど待つと、効果はすぐに得られた。犯罪の減少だけでなく、イジメやあらゆるハラスメント、とにかく人間同士のトラブルはなくなったのだ。
 人が人に危害を加えるには、少なからず『怒り』という感情が材料として必要になる。それが抑えつけられているため、傷つけるという行為は成り立たなくなる。
 企業と国の狙い通りの結果を、良心の種はもたらした。間違いなく、社会は平和になったのだ。
 老若男女問わず、元来の性格にも一切関わらず、良心の種は然るべき時間を経れば、発芽する。しかしごく稀に、数字で言えば百万分の一よりもさらに突飛な確率で、良心の種が発芽しない人がいる。体質なのか、進化による影響なのか、原因は不明だが、何にでも外れ値は存在してしまう。
 そのような人は『経過観察者』として区別され、発芽の兆しはないか、定期検診を受けることになっていた。しかし普通の人は遅くとも三日で発芽するのに、注射が開始してから半年経っても兆候が見られないのなら、もう期待するだけ馬鹿らしい。
 経過観察者には、目印として左手首に、黄色い幅五センチほどのテープが巻かれる。それは要するに「この人は、良心の種が発芽していないため、周りに危害を加える可能性があります」と周知させ、人々に注意を促すためのものだ。
 人々は「怒り」を失ってから、「怒り」を持つ者にひどく臆病になった。しかしそれは当然のだと言えるかもしれない。なぜなら「怒ることが出来ない」というのは、「怒る相手への対抗手段がない」という意味を持つからだ。つまり、もし発芽していない人が怒りだしたなら、一方だけが、相手に銃口を向けているような状況になってしまう。
 だから、経過観察者は、排斥される。人々は怖いから避けるし、みんなと違うから受け入れない。それが当然のようになっている。しかし、そこに悪意がなくても、一人を徹底的に悪に仕立て上げることは、怒りによって人を傷つけることと、何が違うのだろうか。


「今日は定期検診でしょう?」
 少年の母親が誰もいない部屋でそう訊いた。ここは少年の自宅だ。優しい色調のフローリングの上で、全自動の掃除ロボットが這いまわっている。
「そうだよ。午後から」
 少年の声が返ってくる。母親は「そう、わかったわ」と答えた。
 相手の名前を呼びかけると、室内のカメラとマイクが顔認証、声帯認証によってどこの部屋にいるか特定し、スピーカーをつなげる。
 この国が長寿大国になってから、ずいぶんと長い時間が経ち、老人のケアをするための設備は数多く生まれた。別々の部屋にいる相手と、こうして簡単に会話が交わせるこの装置もそのなかの一つだ。むろん、それは老人が相手でなくても便利なものである。
 午後になると、少年は母親と一緒に、少年の家で所有する車に乗った。目的地の名称を発声すると、AIナビが交通状況を鑑みながら、自動で連れて行ってくれる。
「今日はどんな診察を受けるのかしら?」母親が尋ねた。
「いつも通りだと思うよ」
 少年は静かに答える。良心の種が発芽していないことが確認できてから、少年は月に一度のペースで定期検診を受けていた。最初こそは体や脳に異常がないか、大型の医療機器で精密な検査を受けたが、特に問題がないことが発覚すると、それ以降は簡単な精神診断だけとなった。
「毎月こうやって病院に行くのも、嫌よね」
「それも仕方がない」
 車が目的地にしていた市内の総合病院にたどり着いた。さして広くないスペースに完璧な駐車をし、AIナビは「目的地に到着しました」と無味乾燥な音声を出す。
 少年たちは正面入り口から病院に入った。総合病院なだけあって、人でごったがえしている。しかし機械に診察券を通すと、小さなタブレットが貸し出され、それが案内をしてくれる。院内は途方もないほど広くて、複雑な造りになっているけれど、タブレットの言うことを聞いていれば、迷うことはない。
 少年たちはタブレットに従って、精神科のある病棟へ移動した。そしてそのまま指示された番号の診察室へ入る。車を降りてから、診察が始まるまで、十分もかかっていない。
 病院に来るたび、母親は少年に「自動化が進む前は、病院じゃ事あるごとに、嫌気がさすほど長い間待たされたのよ」という幼いころの記憶を伝える。
少年はその度に、「ずっと昔のことだから、信ぴょう性はどれだけあるかわかったものじゃない」と考えた。母親を信用していないわけではないが、まるっきり信じるには、今の状況が快適すぎるのだ。
 診察室の丸椅子に、少年と母親は並んで座った。向かい合うのは主治医――ではなくて、AIが搭載された、高さ一メートルほどの円筒型ロボットだ。
 良心の種は、目で見ることが出来ない。発芽とか、ツタのように怒りを抑えつけるとか、そういった表現は、あくまでも名前に沿ったイメージの話だ。
実際にはロボット医師による性格な精神診断で、患者の中に『怒り』という感情が存在するのかを調べる。『怒り』を数値化し、それが減少しだしたら、『発芽した』ということになる。少年の『怒り』は、いまだに注射する前と変わらない数値であった。
 少年はロボットの淡々とした質問に、ロボットと同じ調子で答えていった。
診察が終了すると、今度は人間の主治医がいる診察室へ通される。主治医は五十代後半ぐらいの男性で、灰色の髪と口髭を生やし、銀縁の眼鏡をかけている。服装はもちろん白衣だ。主治医が持つタブレットには、先ほどの性格診断の結果の電子データがすでに転送されている。
「前回と変わりませんね……。まだ発芽していません」
 主治医は渋い顔で言った。どうしてこの少年に植えられた良心の種は発芽しないのか、この主治医にはわからなかった。
「そうですか」少年は静かに言った。
「いったいどうすれば、うちの子の経過観察は終わるのかしら?」
 母親は切実な声を出した。膝の上に置いた両手は、水色のハンカチを強く握っている。
 息子は何も悪いことをしていない。それなのに、唐突に『ふつう』の人とは大きくかけ離れてしまった。このままでは、息子は思い描いた人生を送ることも許されない。
 母親は、少年のそんな運命をひどく憐れみ、少年が感じると思われる悲哀と、同じだけのものを背負っていた。
「しかし、解決策があります」
 主治医は言った。その言葉に反応して、母親は身を乗り出すようにし、目を輝かせる。
「本当ですか⁉」
「ええ、実は良心の種が発芽しなかった人を対象に、もう一度注射をする案が出されていました。ひょっとしたら一度目の注射では、なんらかの原因で、良心の種が上手く体内に取り込めなかったのかもしれないからです。
 この案が可決されるまでに時間がかかったのは、人体に二度目の注射をしても、異常がないことを、しっかり確かめる必要があったからです」
 主治医の言葉に熱がこもる。彼もまた、少年の経過観察テープを取り外してあげたいと願っているようだった。
 母親は主治医の言葉を聞き、涙ぐみながら喜んだ。しかし同時に、息子の身を心配もしていた。なぜなら、誰もが経験した一度目の良心の種の注射は、通常の予防接種のような針を刺す、鋭くてささやかな痛みだけでなく、体内に未知なるものが入ってくる、筋肉が痺れるような、鈍い苦痛があるからだ。
 母親は少年に尋ねた。
「また物凄く痛い注射をしなくちゃならないけれど、大丈夫かしら?」
「それも仕方がない」
 少年は椅子に座って主治医と向き合ったまま、静かに答えた。


 その日、少年は学校で授業を受けていた。
 電子黒板の前に数名の生徒が立ち、英語でプレゼンテーションをしている。
 AIの機能が著しく発達してから、学校の授業は大きく変わった。授業の形式は大きく分けて二つ。一つは今回のように、グループを作ってディスカッションやプレゼンテーションをするもので、もう一つは、椅子に座る生徒がそれぞれヘッドフォンをし、AIの教師に個別の授業を受けるものだ。
 従来のように教員が黒板の前で授業を進めることはなくなった。AIの教師は、各生徒が理解できていないところを重点的に学ばせ、人間の教師よりも遥かにわかりやすい授業をする。そのおかげで、同世代の偏差値のバラつきは小さくなった。
 少年は、初めて良心の種の注射を受けた時のことを思い出していた。きっかけはもちろん、先日の定期検診の際、もう一度注射を受けることが決まったからだ。
 注射を受けたのは、この学校の保健室で、クラスごとに呼び出され、医師によって淡々と進められていった。母親が言った通り、良心の種の注射をすると、注射部から肩口までがひどく痛み、根性がありそうな運動部の男子でも、悲鳴をあげていた。
 少年は当時、まさか自分だけが発芽しないだなんて、夢にも思わなかった。それは少年が『ふつう』ではなくなった日のことで、少年に経過観察テープが巻かれて以来、少年はそれまで仲が良かった友人とぎくしゃくするようになった。それは友人たちが離れていったのか、それとも少年から距離をおいたのか、少年自身もよくわかっていなかった。
「あなたが発表する部分、はやくまとめて提出してよ」
 授業が終わった後、一人の少女が少年に言った。彼女は少年と同じグループで、翌週には少年たちがプレゼンテーションをしなければならないのに、少年は自分が分担している部分を、まだ出していなかった。
「ごめん。まだやっていないよ」
「来週発表なのに、大丈夫なの?」
 少女は本気で心配しているような声を出す。
「もしよくわからない所があるなら、手伝おうか?」
 少年は、少女の言葉を聞くと、心底驚いたように目を丸くした。
「どうして君は、そんなに親切にしてくれるんだ?」
 少年はそう訊くと、自分の左手首をチラリと見た。多くの人が、自分のことを悪意はなくても、恐れてしまう。それなのにどうして彼女は自分に話しかけるか、不思議でならなかった。
 少年は少し思案したあと、おそらくこの少女は、生まれつき『怖い』という感情が鈍いのだと思い至った。そして確実に言えることは、彼女が自分を悪く思わないのは、あくまでも良心の種が発芽して、成長しきっているから、ということだ。
 少年にはそんな風に考えることしか出来なかった。
「だって、同じグループだから――」
「ありがとう」
 少年は少女の言葉を遮るように言った。
「でも大丈夫。僕は自分で出来る。それと、僕に気を回してくれなくていいよ。君はすごく優しい人かもしれないけれど、僕は放っておかれる方がずっと楽だ」
 少年は、そう言いながら左手首のテープを少女に改めて見せた。彼は親切のつもりで言った。でも、正直なところ、彼女をうとましく思ってもいた。
 少女は心底傷ついたように眉を湾曲させたあと、そのまま何も言わずに立ち去った。
こんな風に、何気なく傷つけてしまうのは、きっと芽が出ていないからだろう、少年はそんなことを考えた。


 少年は前回と同様、母親と共に病院へ来ていた。
 診察券を機械に通し、受け取ったタブレットの案内で、いつもと同じ精神科の診察室を目指した。正面入り口から入ってすぐの中央受付ホールは、温かみのあるベージュの床だけれど、精神科のある病棟は、黄緑色に黒を差し込んだような、暗い色をしている。
 今度はロボット医師による精神診断は省かれて、直接主治医が待つ診察室へ通された。
「こんにちは。体調はどうかな?」
「元気です」少年は答える。
 主治医はフサフサの口髭を揺らして、にっこり笑うと、看護師に注射の準備をさせた。少年の母親は、何も言わず心配そうに口元に手を当てている。
 少年は医師の指示に従って、診察台に仰向けで寝転んだ。そして看護師が少年の右腕を注射台に乗せ、上腕部をゴムのチューブのようなもので縛り付ける。少年は腕に強い圧迫感を覚えた。
「息をゆっくり吸ってください」
 看護師が言う。少年は言う通りにした。
「注射をすると痺れるような痛みがあるけど、心配しなくても少し経てば収まるからね」
 看護師が少年をあやすように言った。看護師は母親と同い年ぐらいに見えた。少年は何も言わずに小さく頷いた。
 針が腕に刺さり、ゆっくりと注射器の中の液体が少年の体内に入ってくる。少年はあまりの痛みに、ナイフを突き刺され、肩口まで切り裂かれるような錯覚に陥った。
 処置が終わり、主治医は「三日後にまた来てください」と言った。良心の種が発芽したか確認するためだ。
 病院を出て家路につくと、母親は車の中で流していたテレビ番組に驚愕した。それはお昼すぎのワイドショーで、こんな速報が流れていた。
『良心の種が発芽! 受刑者の社会復帰率、百パーセント!』
 服役中の受刑者に良心の種を植え、性格に変化が見られれば、仮釈放をする。そのようなことが、ある刑務所で実験的に行われた。結果は好調で、受刑者たちは問題を起こすことなく、労働に従事した。
 例えばアルコール依存症や、薬物中毒者など、『怒り』が無くなってもまだ社会復帰が難しい人を除くが、ほとんどの受刑者が世間に帰って来られるらしい。コメンテーターが「近いうちに刑務所は必要がなくなる」と言い、大勢がそれに賛同していた。
 母親は泣きだしそうになった。自分の息子は、罪を犯した人より、肩身が狭い思いをしている。何も悪いことをしていないのに。
 隣に座る少年は、ボーっとその番組を眺めていた。


 三日が経った。
 少年とその母親は、主治医に言われた通り、また病院へ来ていた。二度目の注射で植えた良心の種が、発芽しているか確認するためだ。
 診察室へ向かう途中、母親は先日ワイドショーで放送していたことを思い出していた。犯罪者ですら社会に溶け込めるというのに、息子は経過観察テープがあるせいで、人の輪に入ることが出来ない。それこそ、犯罪者みたいに恐れられる。
 母親は涙ぐみながら、隣を歩く少年の横顔を見た。前髪が長いせいで、少年の表情は見えなかった。
「お願いだから、息子を『ふつう』にして」母親は、強くそう願った。
 少年はロボット医師と相対した。いくつかの質問に答え、精神診断が終了した。少年は、慣れた流れのせいか、これまで自分と何も変わっていないような気がしていた。
 少年とその母親は、主治医のいる診察室へ移動した。主治医はいかにも真面目くさったような顔をしていた。そしてたっぷりと間をおいて、言いづらそうに口を開いた。
「発芽はしていません」
「そんな……」
 母親がショックを受ける。
「二度目の注射を受けた人は、あなたのご子息だけでなく、国内で数名おりましたが、今のところ、誰も発芽したとの報告を受けておりません」
 母親は絶句する。二度目の注射を受けて発芽した人が一人もいないのなら、息子のような経過観察者は、一生『怒り』を消せないのではないか、と考えたからだ。
 主治医は母親と少年を気遣って、言った。
「どうか、気を落とさずに」
 母親と少年は二人並んで、院内を歩いた。少年は特に何も言わずに、淡々と歩を進める。母親は、息子も強いショックを受けたと思い、心配になった。
「お医者様もおっしゃっていたけど、落ち込まないでね」
「どうして?」 
 少年が答える。母親は目を丸くした。
「悲しくないの?」
「どうだろう」
 少年は静かに答えた。少しだけ間をあけて、母親は落胆を隠さずに言った。
「いつになったら、そのテープを外せるのかしらね……」
 母親は少年の左手を見ながら言った。少年の返答は実にあっさりしていた。
「それも仕方がない」
 どうして自分の息子は、こんなにも容易に物事を受け入れられるのだろう。母親は疑問に思った。


 少年は自宅で、英語のプレゼンテーションの準備をしていた。それは学校の授業に必要で、同じグループになった少女に催促されていたものだった。
 少年は、いつだか、親切にしてくれた少女を傷つけてしまったことを思い出した。記憶の中の少女は、唇を噛み、眉を八の字にして、目に涙を浮かべていた。現実にそんな表情をしていたか、少年の記憶は定かではないが、少なくとも少女が何も言わずに立ち去ったことだけは確かだ。
 少年は、良心の種が発芽してほしい、と思った。それは自分のためではなくて、あのときの少女とのやり取りのようなことが、もう二度と起こらなければいいと思ったからだ。
 しかし、もし発芽しないで、このまま自分の中から『怒り』が消えてくれなかったとしても、それはそれで仕方がないような気もしていた。
 一方母親は、医者を名乗る男と話をしていた。少年の主治医ではなく、『良心の種』を発明した企業の研究チームの一員だった。話すと言っても、彼が少年の家を訪れたわけではなく、液晶画面越しでのやり取りである。
 その男は、低くしわがれた声でこんなことを話した。
『経過観察者には、どういう仕組みなのかは解明できておりませんが、良心の種を発芽させる能力がないのです。それは逆に言えば、発芽した状態の良心の種であれば、体内で育てることが出来る可能性が高いということです。
 こんな実験をしました。まず、一度目の注射で発芽しなかったマウスに、もう一度注射をします。マウスも人間と同じで、発芽させる能力がないから、何度注射をしても変化はありません。しかし、良心の種を発芽させた苗の状態で、そのマウスに移植したところ、性格に大きな変化が見られました。これは人間にも応用できることです』
 母親は、男の言葉を飲み込むまでに、しばらく時間を要した。
 例えば、人間の身体に取り込まれたタンパク質は、胃や小腸で分解され、アミノ酸になる。それと同じように、タンパク質の状態ではなく、あらかじめアミノ酸の状態に分解したものを、人体に移植する。そんなことが可能かはわからないが、母親の頭にはそのようなイメージが浮かんだ。
「それでは、うちの子も『怒り』を抑えることが出来るのですね」
 男は少し渋ってから答えた。
『はい。しかし、この技術は、マウスや他の動物では問題がありませんでしたが、人体実験はまだ出来ていないのです。それに、種を注射したときよりも、ずっと激しい痛みが伴います』
 母親は返答に困った。男は続ける。
『息子さんは、良心の種が発芽していないとはいえ、精神的にはとても安定しています。無理に手術を勧めることはしないので、息子さんともよく話し合ってください』
 男との通信が切れると、母親は息子を呼んだ。
 少年が二階にある自室から下りてくると、母親は、男とのやり取りを事細かに説明した。特に、手術を受ければ少年に大きな負担がかかるということを強調して。
「考えてみるよ」
 少年はそれだけ言うと、また自室へ戻った。
 母親は、少年の後姿の中で、左手首に巻かれた黄色いテープを眺めていた。


 少年と母親は、主治医に呼び出されていた。
「今日私たちが呼ばれたのは、移植手術について説明をしていただけるからなんですよね?」
 母親は尋ねた。しかし主治医は「いいえ、違います」と答えた。母親は予想が外れて、少し呆けていた。
「それならいったい、どういった用件なんですか?」
主治医は何やら深刻そうな顔でもったいぶった後、重苦しく口を開いた。
「息子さんの良心の種は、発芽していました」
「え?」
 母親は聞き間違いかと思った。隣に座る息子の顔を覗きこむと、彼も空耳だったかのようにきょとんとしていた。
「それじゃあ息子は、やっと『ふつう』になれるんですか?」
 母親は感極まったような声を出した。
 しかし、主治医は、その感動を重たく切り裂くような低い声で「いいえ」と言った。
「息子さんの良心の種は発芽して、充分に育ち、『怒り』とは別の感情を抑えつけています。精神診断では、『怒り』の数値しか取っていなかったため、ずっと気がつきませんでした」
 主治医は申し訳なさそうに言った。母親の視界は、酸欠になったように、ぼんやりとしていた。
「……その、別の感情、というのは、いったいなんなんですか?」
「それは、『悲しみ』です」
「そんな……」
 母親はそう言いながら、少年の奇妙なまでの諦観に納得がいっていた。悲しい、と思うことがないから、自分の現状にさしてこだわらないのだろう。
 少年はどれだけ避けられても、悪意なく徹底的な悪に仕立て上げられようと、心を痛めることはない。悲しいと思わない。
「二度目の注射でも、育った種は『悲しみ』を抑えつけているようです。
移植手術は、種を発芽させることが出来ない経過観察者に効果があって、ご子息のように、発芽しても、別の場所に適用してしまう場合には対応していません」
 主治医は冷静で、ゆっくりとした口調で言った。
「ご子息の現状を変える手立ては、もうありません」
 母親は少年の肩を抱き、泣き出した。少年は母親を慰めるために、背中をさすっていたけれど、どこか他人事のような顔をしていた。まるで、少年が失った『悲しみ』を、母親が代わりに味わっているような光景だった。
 少年は誰に言うでもなく、静かに口を開いた。
「それも仕方がない」

良心の種

執筆の狙い

作者 よしのまさと
121.119.145.239

一万字弱のSFです。よろしくお願いします。

コメント

ぷーでる
207.148.93.186

拝読しました、これぞSFっていう感じでした。
良心の種で、怒りを消すはずが、悲しみが無くなった少年……
そういう発想は、なかなか思いつきませんね。

一万弱のSFっていう事ですが、私の様な読書力のない人でも
完読できたし、オチが、完璧に思えました。

夜の雨
60.42.120.4

良い作品を読ませていただきました。
SF作品としてのセンスがヒューマンドラマと連結していていました。
御作を読み始めたときは「文章上の欠点や、近未来SFとしての設定」にいろいろと引っかかりがありましたが、読み進めると、それらが気にならなくなりました。
まあ、「文章上の欠点や、近未来SFとしての設定」を気にしていたら、読み進めることはできなかったかもしれませんが。

作者さん、物書きとしてのセンスが抜群だわ、しかし上にも書いたように「文章上の欠点や、近未来SFとしての設定」が「ダメダメ」という感じです。

●「良心の種」こちらのSF的な設定はばっちりで問題ありません。素晴らしいです。

現時点で導入部の「文章上の欠点や、近未来SFとしての設定」ミスにかなり気が付いていますので、この感想の後、「具体的にそのあたりの問題点」を書くために、何度か感想をつけに来ます。

よしのさん、頑張ってください。

あぷりか
118.10.22.202

久しぶりに覗いてみたのですが

これって、あれように書いたものじゃないのですか?

ここに出すのも勿体ない気もします。

これより良いのが書けたって事かも知れないけど。

面白かったです。

ありがとうございました

富士には月見草
219.100.84.36

斜め読みでアレだけど・・
「いらんこと書きすぎ」で、「本筋が弱くなりすぎ」じゃないのかなー??

〈良心の種〉の基本説明と、その効能、作用するメカニズム、
播種から、体内生育の過程・・を、もうちょいちゃんと「設定」して、
医学用語交えて、しっかり掘り下げて書けば、
臨場感出そう。

けど、そこを「一切やってない」から・・
設定が浮いちゃって、すんげぇチープに映る。

作中の精神科医、「怒り」とか「悲しみ」って、どうやって測定してんだろう?? って、そっちの方が、激しく気になったわ。

そんで、
 >発芽しても、別の場所に適用してしまう場合には対応していません」
↑ っつーことは、
「ブロードマンの脳内地図」とか、そーゆー古典的精神医学??

そうした「SFならではの?基本説明」を完全割愛しているところへ、

 >『犯罪率0パーセント! 良心の種の効果』
 >『良心の種が発芽! 受刑者の社会復帰率、百パーセント!』

↑ ってー、アリエナイ数値が、物語を軽く・・えらいチープにする。。


犯罪の動機って、「怒り」だけじゃないから。。

夜の雨
60.42.120.4

あれようだと思いますね、私も。
もしあれようの作品を投稿しているのだったら、即削除依頼出したほうがよいですよ。
もったいないです、今のままだと無理だと思いますが、推敲すれば可能性はあると思います。

―――――――――――――――――――
それでは、内容についてです。


 ほとんど音もたてずに、大型のバスがすいすい走る。運転手はおらず、プログラムによって決められた順路を、時間通り正確に運行する。
 自動運転が普及してから、渋滞は歴史上の出来事に変わった。そして事故がなくなった代わりに、運転や車の性能を楽しむ人はいなくなり、自動車は単なる移動手段という味気のないものになった。
――――――――――――――――
「ほとんど音もたてずに」←別の言い方に変える。特に「ほとんど」
「大型のバスがすいすい走る。」←これもダサいです。「大型のバス」は格好良く書いてください。
「すいすい走る」も、別の言い方にしてほしい。
近未来がイメージできるような文章にしてほしい。
最新型の新幹線をイメージするだけで違う文章になりませんか。

「渋滞は歴史上の出来事に変わった。」「自動車は単なる移動手段という味気のないものになった。」 ←こういうのは、未来を感じますね。

運転手はおらず、プログラムによって決められた順路を、時間通り正確に運行する。 ←書いてある内容自体は問題ないのですが、書き方がSF作品らしくないのですよね。
プログラムによって決められた電子回路のような街中を、時間通り正確に運行する。
「電子回路」「電子基板」とか、他の言葉でもよいですが、現代とは違う雰囲気を出すために「未来っぽい言葉を入れる」。

―――――――――――――――――――
 バスは人通りの多いスクランブル交差点に入る。窓の外には、ガラス張りのビルに張りついた巨大ディスプレイが見える。そこではルックスの良い女性アナウンサーが、口を大げさに動かして話している。バスの中まで音は聞こえてこないが、
―――――――――――――――――
ガラス張りのビル ←現代っぽい。
ルックスの良い女性アナウンサーが、口を大げさに動かして ←近未来なので、映像美を頭の中に浮かべて書いたほうがよいと思います。
――――――――――――――――

『犯罪率0パーセント! 良心の種の効果』という青字のテロップが見える。
 バスが停車すると、高校生ほどの少年が下りた。色白で、少し前髪が長く、何とも退屈そうな顔をしている。
 少年はコンクリートの地面を踏みしめると、その足で自宅へ向かった。
―――――――――――――――――
コンクリートの地面 ←ソーラーパネルの地面(もちろん別の言い方でもよい。要するに近未来だということ)。
―――――――――――――――――
黄色い幅五センチほどのテープ ←「黄色いブレスレット」とかはいかがですか。
「良心の種」に関連して、内容については、よく考えられています。
――――――――――――――――――――

 ある企業が、国と共同で、一つの研究に多大な費用と時間をかけていた。
 それは『良心の種』と呼ばれるものを人体に植える研究で、良心の種が体内で発芽し、充分に育まれると、まるで細長いツタが絡みつくように、人間の中にある『怒り』という感情を抑えつける。
 技術が進歩し、工場の自動運転化や、無人レジなど、最小限の人員で社会が回るようになると、経費削減の首切りによる失業率は、戦後最悪の数字になった。そして国民の貧富の差が明瞭になり、強盗、窃盗などの犯罪が横行した。
―――――――――――――――――――

戦後最悪の数字になった。 ←近未来の話に「第二次世界大戦」をイメージさせると途端に現代社会の話に戻ると思いますので、違う内容にした方がよい。
『良心の種』という発想と、なぜそれが必要になり、国と企業が共同で開発したのかがしっかりと書き込まれている。
――――――――――――――――――
早い人で一日、遅い人で三日ほど経つと発芽した。その芽が大きく育つまでにもう一週間ほど待つと、効果はすぐに得られた。 ←早い人で一日、遅い人で三日ほど経つと発芽した。一週間で、芽が大きく育ち効果が得られた。
「ほど」が連続であったので、一つ減らしました。この文章だと「ほど」は二つとも使わなくてもよいくらいだと思います。
「もう」「すぐに」「その」は、必要ないので省きました。
文章をシンプルにして読みやすくする。
――――――――――――――――――――
しかし普通の人は遅くとも三日で発芽するのに、注射が開始してから半年経っても兆候が見られないのなら、もう期待するだけ馬鹿らしい。
―――――――――――――――――――
みんな三日もすれば発芽する。良心の種を接種して半年経っても兆候が見られないなら、期待するだけ馬鹿らしい。

文章をシンプルにして速度を速めました。
注射が開始してから ←「良心の種を接種して」こちらの方が文章の座りがよい。

―――――――――――――――――

しかしそれは当然のだと言えるかもしれない。 ←それは当然と言えるかもしれない。

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導入部、気になりましたので、「こうしたらどうだろうか?」ということで、現代を一つ越えた未来を、アニメ映画の映像をイメージして、いろいろと書きました。

これは私の意見です。

もっと良い方法があるかもしれません。
作者さんも頭の中でイメージを膨らまして御作の世界観を表現するにはどんな文体がよいのか、どんな文章にすればよいのか、考えてください。

作品の中身は「SF」と「ヒューマンドラマ」の混合で、人間もよく描けていると思いました。
御作は「SF」のアニメーション映画にしたら良いと思います。

富士には月見草
219.100.84.36

AIだの自動運転だと、序盤で「いらんことてんこ盛り」で、
 >「今日は定期検診でしょう?」
から話を始めてないのは、たぶん・・

規定の「1万字」フル使用に近づけるための、「紙幅埋め」でしょう??

そうしたいところを我慢して、
【本筋】を掘り下げて、まじめにそこに「集中」して書いた方が、
原稿の質は上がり、作品として深くなったろう。


うん、でも、人はついついそうやって「余計なことを盛り込んで、紙幅埋めてしまう」ものだから・・
自分でも気をつけようと思った。



あと・・
内容的にも地の文全体の雰囲気も「古い」のは、書き手の年齢的に避けられないんだろう。
日頃SFや幻想系を書いていない人なんだろうし。
でも、それでも、

 >技術が進歩し、工場の自動運転化や、無人レジなど、最小限の人員で社会が回るようになると、経費削減の首切りによる失業率は、戦後最悪の数字になった。

↑ こういう「古臭い」記載は、内容的に「不要」(蛇足)に思えるんで、さくっと割愛するか
推敲した方が無難??


この一文抜き出しても、ここの男常連「感覚古い」から〜、
「何の問題もないじゃねぇか〜」と感じるのだろうなー。。

自分的に、推敲した方がいい・・と思う箇所は、(半下げ)
















 >戦後最悪

富士には月見草
219.100.84.36

ええ〜・・

今年の「星新一賞」応募原稿ってことはナイんじゃないか〜?

過去回の落選作なんじゃないの??(憶測だけど……)

夜の雨
60.42.120.4

富士には月見草さんへ

お疲れさまです。
―――――――――――――――――――――――――――――
今年の「星新一賞」応募原稿ってことはナイんじゃないか〜?

過去回の落選作なんじゃないの??(憶測だけど……)
――――――――――――――――――――――――――――

「過去回の落選作」だったら、他人事ながら安心できます。

富士には月見草さんが、感想を書いてくれたので、ほっとしました。

頼りになるわ。

GM91
133.155.154.156

まず雑談からなんですが、仮に何かの応募予定が在るとしても、僕は削除依頼はしない方が良いと思います。
たとえ一瞬でもここに晒したなら、つまりそれはインターネットの匿名掲示板に公開したってことですので。
削除しても、未公開が規定にある公募にはもう使えません。

内容については、何箇所か細かいところで気になる点はあるものの、全体的にレベルが高いなと思いました。
特に黄色いテープ云々で示された根幹にあるテーマについては強く興味をひかれました。

気になった箇所は以下です。

1)技術が進歩し~失業率~国民の貧富の差~犯罪が横行

僕はこの展開はちょっと違うような気がします。
人力の作業を機械化することで利益が上がるようになれば、それはつまり儲かるってことです。
企業活動としては、儲けが出るのなら、経費削減で首切りなんかせずに余剰人員を活用する方向にシフトするんじゃないかなと思うわけで。たとえば無人レジだって店員は居なくても、開発とか保守する人は要りますよね。

ただ、この手の議論がこの作品の主題ではないと思いますので、お話の背景として「近未来的な社会」を説明するよりかは、「良心の種」が普通に存在している世界、をさっさと書き始めたほうがいいのかな、と思います。


2)人が人に危害を加えるには、少なからず『怒り』という感情が~

ここもちょっと違和感。
悪意=怒りとは限らないし、ハラスメントには加害者側に悪意を伴わないケースもあると思うので。


3)注射部から肩口までがひどく痛み、根性がありそうな運動部の男子でも、悲鳴

普及するんですかね。この設定要らないのでは。
あるいは、術後にちょっと気分が悪くなる人もいる、くらいにしておく方がいいかも。


4)『良心の種が発芽! 受刑者の社会復帰率、百パーセント!』

作中の記述内容だと100%ではない気がする。


5)まるっきり信じるには、今の状況が快適すぎるのだ。

ここも違和感。主人公にとって当たり前のことはそう表現した方が自然なのでは。
主人公の主観に沿うならば、母親の言ってることが大げさに聞こえるってことですよね。

よしのまさと
121.119.145.239

ぷーでる様

ありがとうございました。

>>これぞSFっていう感じでした。
はじめて「現代」以外の小説を書いて、描写をどうしたら良いかさっぱりで、事実うまく描けていなかったようですが、全体的に見て、そのように言っていただけるのは嬉しい限りです。

よしのまさと
121.119.145.239

夜の雨様

ありがとうございました。

>>文章上の欠点や、近未来SFとしての設定

自分で作品を読んでみて、読み辛さを感じていました。
それは夜の雨さんがおっしゃるようなことをおざなりにしていたからだと思います。
もっとしっかり推敲して、近未来的な描写が出来るよう努力してみます。

よしのまさと
121.119.145.239

あぷりか様

ありがとうございました。

あぷりか様だけでなく、他の方も気にしてくださっているようですが、この作品は、今年の「星新一賞」に出すために書いたものでも、過去に応募したものでもありません。
今朝、星新一賞の募集要項を見て、内容、文量、タイミング的に見ても、そう推測される方がいても無理がないと思いました笑
そのため、特に削除依頼を出すつもりもないので、どうかご心配なく。

よしのまさと
121.119.145.239

富士には月見草様

ありがとうございました。

>>「いらんこと書きすぎ」で、「本筋が弱くなりすぎ」じゃないのかなー??
おっしゃる通りです。近未来にありそうな設備を書きだしたら、なんだか楽しくなって、それだけでそこそこな文量になってしまいました。


>>けど、そこを「一切やってない」から・・設定が浮いちゃって、すんげぇチープに映る。
自分で読み返してみて、作品に「入り込みづらい」と感じたのは、富士には月見草様がおっしゃるように、作り物として杜撰だったからだと気付きました。また考えてみようと思います。

よしのまさと
121.119.145.239

GM91様

ありがとうございました。
気になるところを細かくあげてくださるのは、本当にありがたいです。
設定が雑になっているところを、見直してみようと思います。

照井
66.133.76.8

ヨコですすみません。


以下、「公募ガイド」より抜粋。

ーーーーーー

>小説投稿サイトに載せた小説は、未発表にならなくなりますか。


編集部より
未発表というのは、商業出版もしていないし、商業誌にも載っていないという意味です。非営利の同人誌やブログ、書店に流通させていない自費出版などは未発表と考えられます。

メジャーな小説投稿サイトはどうかというと、これも問題ありません(応募中は掲載を取り下げればさらにいい)。

ただ、課金して販売している場合は営利と見なされます。

ちなみに、営利目的で同人誌やブログに掲載したものや商業出版したものを、加筆・改作しても未発表とは見なされないこともあるので要注意です。

ーーーーーー


>まず雑談からなんですが、仮に何かの応募予定が在るとしても、僕は削除依頼はしない方が良いと思います。
たとえ一瞬でもここに晒したなら、つまりそれはインターネットの匿名掲示板に公開したってことですので。
削除しても、未公開が規定にある公募にはもう使えません。


GM91さんの解釈は、公募規定全般における「未発表」の基準とは違います。「未発表」とは「営利公開」に当たります。理由は受賞後の「版権の所在」に関わるからです。すなわちこの作品は公募に応募する事は全然可能です。

ただ、今回のこれがそうだとは言いませんが、ネットには悪い人や、ソースのない情報を流布して初心者を欺き、アイディアだけ盗む様な人も居ます。日付指定が出来ない個人ブログに残しとくなりして確保しておく事は、後々揉めないために大事かもしれません。

GM91
113.37.51.186

公募ガイド編集部の見解に、このサイトが含まれるのかは存じませんが
ここの投稿作は自分の作品だって証明はできません。
登録制のサイトと同じ扱いで考えるのはまずいと思いますよ。

あと、規定上の「公開」の定義に営利が絡むかどうかは公募主催側の判断によりますけど、版権の帰属の問題ならば有料/無料は関係ないのでは。

例えば、これ作者さんが何かに応募して、入選して、それを見た僕がコピペを取っといて「これ俺のや!盗作や!」と言い出したら困るでしょう。
そんな暇人はまず居ないと思いますけど、「未公開」の規定はそういうトラブルを嫌うからだと思います。

もちろん、WEBや投稿サイトで公開したものでもOK、とか、
応募中は消してねというルールの公募は存在しますので、
そういうルールのものに応募することは可能です。
そういう意味で、「使えない」と断言したのはちょっと言いすぎでした、すみません。

ただ、引用元の
「未発表というのは、商業出版もしていないし、商業誌にも載っていないという意味です。」
これは一般論としては、ちょっと甘く見すぎではないかな、というのが僕の感覚です。
(あくまで僕の感覚だと言ってしまえばそれまでですが)


あとまあ、ついでに言えば、ここは「自己都合での削除は不可」なので、そのへんも覚悟の上で投稿すべきかなと思います。
実際には本人からの申し出でも削除はしてくれるケースも多々あるようですが、一応明記してあることなので。

照井
66.133.76.8

規定に「公開」の定義なんてありませんよ。
規定にあるのは「発表」です。

で「未公開」とは、商業出版もしていないし、商業誌にも載っていないという意味です。

つまりこの作品は、公募可能です。


もちろんGM91さんの言うように、「誰でも可能です。」だから日付がわかる形で手元においときましょうねと最後に捕捉しています。
以上です。

不満や不服、主観をここでいくら述べても何も解決しないので、気になるなら直接出版社に質問してみると良いと思います。わたしはソースを提示しただけなので


それからこのサイトには一応本文にコピーライト表記と接続元IP表示があるので、万一揉めても接続元開示請求を掛ければ、投稿者が自分であると確定、主張するのは理論上可能です。

以上です。

GM91
113.37.51.186

「公開」を「発表」に置き換えても僕の意見は同じです。

公募ガイド編集部の見解というソース提示は理解しておりますが、
ちょっと鵜呑みにするのは危険ではないか、というのが私の考えです。

実際、なにかトラブルが発生したとして公募ガイドが面倒見てくれるわけではありませんし、
各公募の運営について何か強制力があるわけでもありません。


>日付がわかる形で手元においときましょうねと最後に捕捉しています。

僕も賛成です。(というか否定した覚えはありません)


>万一揉めても接続元開示請求を掛ければ、投稿者が自分であると確定、主張するのは理論上可能です。

もちろん、理論上は可能です。
接続元開示請求が通れば、の話ですが。

僕はトラブルに巻き込まれない為にどうあるべきか、という話をしているつもりですので、そのへん誤解させてしまっているのであれば申し訳ありませんでした。

富士には月見草
219.100.84.36

(学祭行って、展示見て・買い物して、帰ってきた〜)



『星新一賞』の受賞作って、どこで読めるんだろう??
と 前から思ってて、今朝方検索した。

ら、Windows/iOS/Android の方々(世間一般の大多数の方々)は、
過去実施回分全部、無料でダウンロード可能でしたよ。。

(Mac非対応徹底! な日経さん……)


隣の和室で死蔵されてるWindowsを立ち上げて読めばいいだけのこと なのだったが……
(億劫)



↑ って、みんなとっくに知ってる「一般常識」かもしんないけど、

いちおう書いておきますわ。。

鈴原
49.253.111.130

こんばんわ。拝読しました。

面白しかったです。
ただ、すごい面白いほどまでゆかない、飛び抜けたものは感じませんでした。
しかし、それ以上に文学性のある良い作品と思いました。読みやすいし、良作と思います。

御作の主体となる部分では、キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』やアニメの『サイコパス』を連想しました。
『良心の種』はややむかしにアメリカで普通に行われていたロボトミーに近い印象を受けました。

そこに『良心』とゆう言葉を使用しているのは面白いと思いました。

科学的考証や未来予想にあまりうまくいっていないように感じました。あまり同意できないような。
そこは何か足りない気がしますた。

犯罪の根拠が『怒り』に由来するとゆう発想は、アイディアとしてはとても単純で安直に感じました。
何故なら、本当に重大な犯罪の根拠はもっと『怒り』以外の何かであることが強い気がするためです。

御作でひっかかることは、『良心の種』がなんであるのかあまり具体的に描かれていない点でした。
たぶん、そこには作者様のアイディアがなかったのではと推察しました。

ただ、御作を読んでゆくと、『良心の種』の何であるのかとゆうことはこの作品ではあまり重要ではなく、
作者様もそこにはあまり重点を置いてなかったよに読めました。

登場人物たちの言動、特に主人公の少年、そして少年と少女のやりとりは秀逸に思いました。
御作を通じて流れる、なにか優しげで静かである、諦念や虚無感にシンパシがあるやもです。

御作で良いと思える点は、登場人物たちの生きた表現であり、作品に体温がある点に思えました。
それは、アマとプロを分ける重要な点と思えるのです。

また書いてください。

よしのまさと
121.119.145.239

鈴原様
 
ありがとうございます。

>たぶん、そこには作者様のアイディアがなかったのではと推察しました。
おっしゃる通りです。駆け足で仕上げて、あまり設定を掘り下げていませんでした。
けっこう気に入っているアイディアではあるので、もっとリアリティが感ぜられるものにしたいと思います。

>御作で良いと思える点は、登場人物たちの生きた表現であり、作品に体温がある点に思えました。
力を入れた部分なので、そう言っていただけるのは嬉しい限りです。

よしのまさと
121.119.145.239

照井様

ありがとうございます。
コメントが遅くなってごめんなさい。

>>ただ、今回のこれがそうだとは言いませんが、ネットには悪い人や、ソースのない情報を流布して初心者を欺き、アイディアだけ盗む様な人も居ます。日付指定が出来ない個人ブログに残しとくなりして確保しておく事は、後々揉めないために大事かもしれません。

ご親切にありがとうございます。少し怖いような気もしてきましたが、しっかり自分が書いたと証明する手段があるので、もしどこかへ応募したいと思ったとしても、安心です。
本当にありがとうございました。

夜の雨
60.42.120.4

再読、再訪です。

導入部以後は文章の細かい問題点は減っておりますが、気が付いたところを書いておきます。
感想の後半で、ネタも書いておきました。


>大型の医療機器で精密な検査を受けたが、特に問題がないことが発覚すると、それ以降は簡単な精神診断だけとなった。<

「発覚」(すると) ←これは意味が違うと思いますので適正な言葉(医療用語等)に置き換えてください。普通に「わかると」でもよいと思います。

>さして広くないスペースに完璧な駐車をし、AIナビは「目的地に到着しました」と無味乾燥な音声を出す。<

「無味乾燥な音声を出す。」 ←近未来なので、AIナビは優秀になっていると思います。

『AIナビは「目的地に到着しました」と人間以上に表情豊かな音声を出す。』 ←逆にAIが人間以上の表現能力を演出できるという発想の方がよいと思います。


>診察室の丸椅子に、少年と母親は並んで座った。向かい合うのは主治医――ではなくて、AIが搭載された、高さ一メートルほどの円筒型ロボットだ。<

「円筒型ロボット」 ←これでもよいのですが、現代でもコミュニケーション・ロボットが次から次へと開発されているので、一応今どきのロボットを調べておいた方がよいです。そのうえで診察ロボットをどのようにするのか考えられたらいかがですか。

―――――――――――――――――
A

 少年は当時、まさか自分だけが発芽しないだなんて、夢にも思わなかった。それは少年が『ふつう』ではなくなった日のことで、少年に経過観察テープが巻かれて以来、少年はそれまで仲が良かった友人とぎくしゃくするようになった。それは友人たちが離れていったのか、それとも少年から距離をおいたのか、少年自身もよくわかっていなかった。
―――――――――――――――――

Aですが、必要のない「少年」という言葉等が多数見受けられます。
「少年」以外も変更しましたが、下記のようにすっきりさせてみてはいかがでしょうか。
――――――――
 少年は当時、まさか自分だけが発芽しないなんて、夢にも思わなかった。それは少年が『ふつう』ではなくなった日のことで、経過観察テープが巻かれて以来、それまで仲が良かった友人とぎくしゃくするようになった。友人たちが離れていったのか、少年から距離をおいたのか、彼自身にもよくわかっていなかった。
―――――――――――――――――――

 >少女は心底傷ついたように眉を湾曲させたあと、そのまま何も言わずに立ち去った。<

「眉を湾曲」 ←この「湾曲」が引っかかりますね。

 >主治医はフサフサの口髭を揺らして、にっこり笑うと、看護師に注射の準備をさせた。<

「フサフサの口髭を揺らして」 ←「フサフサ」も気になりましたが、口髭は揺れるのかと思いました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「怒り」と「犯罪」との関係についてほかの方も触れられております、その通りだと思いましたので、このあたりはしっかりと検証して書いたらよいと思います。
「怒り」で「犯罪」を犯している者もいます。

再読して思ったのですが、御作はよくできております。
今回の作品は短編ですが、内容を膨らますと中、長編にもできます。

●主人公をもっと掘り下げる。
●恋愛とかのエピソードを入れてみる。
●母親のキャラクターがよくできているので、彼女が「癌」等を患らうという設定にすると、少年の母に対しての対応とかで、作品がより深くなると思います。
●御作では父親が出てきませんでしたが、膨らました場合は両親が離婚していたとかの設定にして、母と絡めて少年と父との関係を描くと複雑になり作品の奥行きがもっと出ると思います。
●上にも書いてある「怒り」と「犯罪」との関係で、「犯罪者と良心の種」の具体的エピソードを創る。少年とその犯罪者だった者と絡ませてみても面白いかな。
――――――――――――
上の内容(ネタ)を整理して構成を練ると「SF作品とヒューマンドラマ」の中、長編ができると思います。
場合によっては、「政府」(当局側)のエピソードを創り込むと、サスペンスとかミステリーとかも可能ですね。

●前回の感想の撤回。
>>黄色い幅五センチほどのテープ ←「黄色いブレスレット」とかはいかがですか。<<

前回の感想で「黄色いブレスレット」を薦めましたが、「ブレスレット」は簡単に外れそうですね、またインパクトに欠けると思いますので、撤回しておきます。
もちろん特殊な「ブレスレット」を描写して、インパクトのある物にすることは可能です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

それでは、頑張ってください。

よしのまさと
121.119.145.239

夜の雨様

再読、再訪ありがとうございます。

具体的な問題点を教えていただいて、本当に勉強になります。
また、夜の雨さんが考えてくださったネタは面白く、
>>「犯罪者と良心の種」の具体的エピソードを創る。少年とその犯罪者だった者と絡ませてみても面白いかな。
というものは特に秀逸だと感じました。

拙作のことを本当によく考えてくださっていて、幸せに思います。
ありがとうございました。

spin
60.79.217.150

拝読しました。
怒りを抑えるというのは、面白い設定だと思いました。怒りが抑えられない少数派が人々から恐れられるのも納得が行きます。また、自動運転や病院などの細かい設定も良かったです。

落ちも鮮やかでしたが、悲しみであれ、怒りであれ、感情を抑えることは、やはり人にとって非常い恐ろしいことだと思うのですが、そうした恐怖は御作から伝わってきませんでした。確かに怒りが犯罪の動機になることは多々あるでしょうが、逆に怒りが社会を良い方向に導くこともあるので、怒りは両価的な感情ではないでしょうか。

テクノロジーで感情を抑えることの恐怖を描けば、なお良くなったのではと思いました。

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