作家でごはん!鍛練場

『出会って二時間の男性と』

匿名希望著

ある物語を作るにあたり、イメージをふくらませるために書きました。
登場人物二人しかいませんが、キャラクターが立っているかどうか評価いただければと投稿しました。
不快な表現があったらごめんなさい。

 最初の射精はあっけなかった。
 コンドーム越しに脈打ちながら射精しているのを、小笠原多恵は感じ取っていた。
 我慢しきれず精液を放出してしまったのを誤魔化すようにピストン運動を続けている男。その表情を、多恵は小さな吐息を漏らしながら観察していた。シーツを細い指でつまんでいるのも、多恵の演出である。
 相変わらず腰を動かす男。だが奥までその動きは届かない。誤魔化せると思っているとしたら、女を見くびりすぎだ。そんな醒めた感情と同時に、射精を悟られないように眉をひそめながらも動きを止めない男に可愛らしいなとも感じていた。
 まだ五月。暑いとは言えない多恵の部屋のベッドで汗だくになって腰を打ち付けている男。彼は西澤と名乗った。下の名は知らない。多恵と西澤はつい二時間ほど前に偶然出会っただけの関係だった。
「エアコン、つけましょうか?」
「ごめんねこんなに汗かいちゃって、気持ち悪いよね俺」
 速度を緩めながらもまだ動きをやめない西澤に、多恵は戸惑っていた。射精に感づいた時からもう気持ちよさよりも、漏れ出た精液が膣に流れ込んでしまう不安のほうが強かった。
「すいません、ちょっと痛くなってきちゃって。そろそろやめてもらえれば」
 突かれながら声を揺らした多恵の懇願に一瞬ほっとした表情を浮かべた西澤は、ようやく動きを止めた。多恵を味わい尽くすようにペニスを奥深く突き立てて、全体重をかけてきた。そしてコンドームを根元で押さえ、名残惜しそうに膣から抜いた。
「あれ?」
「え?」
「あれ?なんか俺、精子出てたなぁ」
「出ちゃったんだ」
「ごめん俺、暑すぎて思いっきり動いてたら気づかないうちに精子出しちゃってたみたいだ。びびった、こんなの初めてだ」
 荒い息を整えながら言い訳をする西澤を見上げながら、多恵はおかしくなってくすくす笑い始めた。
「あきれた?」
「いえ、あきれてなんかないですよ。気持ちよくなってくれてたなら、嬉しいです」
「そっか、めっちゃ気持ちよかったよ」
 西澤はようやくほっとしたように微笑み、だらしなく伸びきったペニスをまじまじと見つめた。コンドームの精液だまりには、放出したばかりの白いものが揺れるように充満している。
「めっちゃ出た」
「すごい量ですね、本当に気付かなかったんですか?」
「あぁ、うん。夢中だったからなぁ」
 焦った表情が戻ってきた。
 ちょっと意地悪だったかな?と多恵は思いながら、手探りで枕元に置いたティッシュの箱を取り、西澤に渡した。無造作に何枚も取り出したのが少し気になったが、精液の処理をする前に濡れた膣口をそっと優しく拭いてくれたのを、多恵は妙に嬉しく感じた。
「ありがとうございます、あとは自分でやりますんで」
「いや、俺、拭くよ」
「恥ずかしいんで」
「めちゃくちゃ綺麗だね」
 膣口を拭き取ったティッシュを丸めて手に持ったまま、西澤がまじまじと股間を見つめてきた。多恵は陰毛をすべて脱毛処理していて、ピンク色の割れ目がしっとりと熱を持っていた。
「恥ずかしすぎる」
「ほんと綺麗だ」
 西澤がクリトリスにキスをした。
「んっ」
「感じた?」
「ちょっと敏感になってる」
「ようやく敬語じゃなくなってきた」
「もう」
 多恵が枕を投げつけると、西澤は笑ってそれを受け止めた。時間が経つにつれ徐々に勃起がおさまってきた陰茎に、コンドームがゆらゆら揺れる。西澤はそれを外すと不器用に結び、ティッシュでくるんでゴミ箱に捨てた。上半身を起こした多恵が、ティッシュを手に取り、陰茎に顔を近づけた。
「え、拭いてくれるの?」
「ううん」
「拭いてくれないの?」
「舐めてあげるの」
 いたずらっぽく笑って、多恵が亀頭を口に含んだ。外したばかりのゴムの匂いと、精液の青臭さが混じりあった独特の味が鼻に抜けていく。しかし、口の中でゆっくりと亀頭を転がすように舌を動かし、先っぽをちろちろとくすぐるように舐め取ると、しぼんでいきつつあった西澤のそれは、ふたたび大きさを取り戻していった。
「あれ?もう大きくなるの?」
「ちょっとやべえ、可愛すぎる」
 こんなにストレートに思ったことをぶつけてくる男とセックスしたのは何年ぶりだろう。多恵はこれまでスマートで格好ばかり気取った男とだけ付き合ってきたことを、ぼんやりと思い出しながら、西澤の亀頭を優しく咥えながら、右手でそっと陰嚢をなぞった。
「マジでエロいわ……」
 西澤は多恵の乳房に手を伸ばした。手のひらにその柔らかな重みを感じながら、ゆっくりと揉む。揉みながら人差し指と中指の間に乳首をはさみ、きゅっと締めつける。
「んふぅっ……」
 お掃除フェラをしながら、吐息を漏らす多恵を見下ろし、西澤は感動していた。出会ったばかりの女とこのような濃厚な関係になったのも、射精したばかりのペニスを口に含んで綺麗にしてくれる女とセックスしたのも、西澤にとっては初めてのことだった。わずか二時間前には、想像もしていなかった甘い体験。
「もう大きくなってきた」
「気持ちよすぎるんだよ、舌の動きが」
「もう一度できそう?」
「もうちょっとフェラして」
 一旦陰茎を口から外させて、西澤は多恵の小さな唇にキスをした。愛情ではないが、いとおしい。付き合っているわけではないが、永遠にこうしていたい。不思議な感覚のままお互いがお互いを求め合う感情に、身をゆだねているようだった。
 それでも裸の二人の心の奥底にくすぶっていた想いは同じだった。どうして自分は、この人とセックスしているんだろう。

 二時間前。
 小雨降る中、普段飲まない酒で多恵の足元はふらついていた。履き慣れたハイヒールが酔った足には負担でしかなかった。
 まさか自分が、LINEで別れを告げられるなんて。大学四年からの付き合いだった、愛情表現も感動も薄い、顔だけは整った彼氏からの一方的な別れの言葉だった。
【別れてほしい、勝手とは思うけど好きな子ができた。もう一緒に暮らしてる】
 多恵は目を疑った。いや、彼氏といっても今年に入ってから会ったのはたった一度だけだった。別れは必然だったのかも知れない。だが二十六歳になり、結婚を意識せざるを得ないタイミングで、まさかLINEで別れ話を済まされることになるとは予想外だったのだ。
 就職活動中に出会った彼氏、本城雅紀とは最初から遠距離恋愛になる運命だった。多恵はアナウンススクールに二年通うも東京キー局の受験はすべて失敗、唯一採用内定を得たのは長野県の地方局、信濃テレビジョン。一方の本城は、外面の良さを最大限発揮し、東京に本社を置く外資系証券会社への就職をあっさり決めていたのである。
 遠距離になった時に別れ話が出なかったのは、多恵の自信のなさの現れでもあった。見知らぬ土地での新生活を、彼氏なしというステータスで始めることへの恐怖があった。そのままずるずると、遠距離恋愛が始まった。離れて暮らす中で、本城が多恵に会うために長野に来たのはたった一度だった。休みが合うたびに、多恵は長野駅から新幹線に乗り、本城の住む東京へ通った。しかし忙しさに追われ、会いに行く回数は次第に減っていった。
 別れても仕方ない、そんな状況ではあったが、せめて会ってからにして欲しかった、そうでなくとも電話でというのが常識ではないのか、そんな思いを抱えながら、多恵は飲んだ。
 初めて一人でバーに行き、酔えるものをとオーダーし、出てきた酒をあおるように飲んだ。
「そろそろ止めておいた方がいいんじゃないですか」
 バーテンダーに諭された時には、もう完全に酩酊状態だった。少し休んで店を出た多恵は、ふらふらと大通りを歩いて行った。

出会って二時間の男性と ©匿名希望

執筆の狙い

ある物語を作るにあたり、イメージをふくらませるために書きました。
登場人物二人しかいませんが、キャラクターが立っているかどうか評価いただければと投稿しました。
不快な表現があったらごめんなさい。

匿名希望

125.198.92.129

感想と意見

だみあんましこせ

この短さじゃなんともいえないけど こういう作品がこのサイトにもっとあってもいいと想いますですのよ

2018-02-07 12:41

210.169.207.233

偏差値45

ざっと読みました。

>登場人物二人しかいませんが、キャラクターが立っているかどうか評価いただければと投稿しました。

『出会って二時間の男性と』寝てしまう女性にキャラ立ちしないわけがない。
それを言ったら殺人、暴力、強姦も同様。

そして核心的な内容に触れていないのは故意なのだろうと推察する。
その状況にあってなので、「内容がないよう」なんてオヤジギャグを言ってしまうかな。
その為、多分に既視感はあります。

全体として文章に違和感はなく書き慣れた感じがしますね。

2018-02-07 13:06

219.182.80.182

文緒

ゆうところの"濡れ場"が実にあっけらかんと、あけすけに、事細かに書かれているのに、
イヤらしさは感じませんでした。
もし、官能小説に挑戦なさるなら、この感想はマイナスになるのかしら。

タイトルの直接さがどうなのかなと少し気になりました。

このキャラクターをふくらませたらどんな話になるのか、興味がわいてきました。

2018-02-07 23:51

126.212.165.153

マルクトガル

拝読しました

官能的ななにかを探しているのかな……とも感じたのですが何かが上手くいっていない気が僕にはしました。
上にもありましたが、文章は上手だと感じます。
ただ……映像を文章としたときの作者の表現が、文章を映像として変換する読み手の唯一の情報で……例えば「クリトリス」と直接的な言葉で言うよりなにか他の比喩の方がいやらしい感じになるような気がしました。

いやらしいの好きです

ありがとうございました

2018-02-08 10:26

49.104.40.69

カジ・りん坊

 キャラクターが立っているかどうか?とのことですが、キャラクターは立っていません。
 キャラクターどころかお話しとしても成り立っていない感じでした。

 まずキャラが立っていない話からすると、後半部分に書いてある文章を読むと『彼氏からの一方的な別れの言葉』があって、メールとのことですが、それが原因で『酒をあおるように飲んだ』となっているので、自暴自棄となりタイトルにある『出会って二時間の男性と』の関係になったんじゃないのかと思われるのですが、自暴自棄感は前半部の文章には無く、商売女のような流れになっている。
『多恵の演出』『すいません、ちょっと痛くなってきちゃって。そろそろやめてもらえれば』など、書こうと思えばもっと他にも出てくるのですが、もしキャラ立ちさせたくて自暴自棄であれば、心底からこの見知らぬ男で感じてしまおうと思わないだろうか?

 さらに言えば『そろそろ止めておいた方がいいんじゃないですか』と『バーテンダーに諭され』『完全に酩酊状態だった』わけで、『少し休んで店を出た』にしても『多恵はふらふらと大通りを歩いて行った』んですよ。

 だから→女は前後不覚な感じだし、男は男で、そんな酔った女相手に一戦交えようと企てた男が描けていない。これのどこがキャラ立ちしているのでしょうか?

 文章を読めていないバカな読み手は誤魔化せるかも知れないけど、普通に考えてみればわかりそうに思います。

『ある物語を作るにあたり、イメージをふくらませるために書きました』ということですが、この段階で創作側がしっかりイメージできてないじゃん。って思いました。


 

2018-02-08 17:42

124.110.104.4

黒井太三郎

セックス描写と重い事情
いいんじゃないでしょうか

2018-02-11 21:26

121.109.111.65

匿名希望さん

拝読いたしました。

ここまで読んだ感じだけでいうと、「こういう展開の話よくあるなー」です。

恋愛ものの小説、漫画などのよくある話形なので、ストーリー展開の魅力度としてはこの後、どう受けて、どう転じていくのかの方が重要かと思います。

また、「キャラクターは立っているかどうか?」との事ですが、これまた「よくあるなー」ですので、ここまでの記載だとこちらも魅力度★★☆☆☆って感じです。

アナウンサーを受けるくらいだし、元々はそこそこ綺麗め、長野に数年いてちょっと都会臭さが抜けた三十路前女が高給取りの遠恋中男に捨てられる。

色々落ち目の主人公が2時間前にあった男とワンナイトラブを楽しむってだけなら、「あ、そう」で正直終わってしまいそうです。

導入部としては悪くないし、細々引っかかるところはありますが、完全なる破綻もしていないので、このまま書き進めることもできますが、きっとデジャブ感は禁じ得ない……と納得した上で話を続ける感じになるかと思います。

それは嫌だ!っていうなら、ボツにして書き直しかなあ……。

同じバックボーンを背負っていたとして、それこそ冒頭一番、酩酊してるはずの多恵が西澤をいきなり押し倒し、ドS根性丸出しで「私の足をお舐め」から始まったりするとか、逆に多恵の方が雅紀に対して「顔だけ男」のレッテルを貼ってて「次のは従順なのがいいなー」とバーテンダーと笑いながら酒飲んでる女だったりすれば「キャラ」は立ちますし目を引きますが、助演の西澤の立ち位置が難しくなります。

キャラに負けてしまってお話が破綻するケースもあるので、キャラに入れ込み過ぎず、どんな主題のお話を作るか、どういう展開で話を見せるか、それにはどんなキャラを配すればいいか、そのバランスが大事だと思います。

2018-02-13 12:46

116.0.177.37

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