・短編・長編

四條晶

 長編と短編のうまいかき分けかたの様なものを、あわよくば教えていただこうと、もとい、うまいかき分け方を考えてみたいと思い投稿させていただきました。
 私は比較的400枚から800枚程度の小説を書くのが好きです。が、この度短編に挑戦しました。一応、余りに長いプロットをたてないように気をつけ、文章もシャープにしようとつとめたつもりですが何だか歯切れが良くないのです。
  分量は80枚ですが読んでみると内容が薄く感じ、継ぎ足してみると今度は何が主題なのか明確にならない。プロットの段階でまずい点があるのだと思って見てはみるものの明確な答えは出ずといった状況です。
 長編、中編、短編、などで書きにくい長さというものは皆さんにも存在するでしょうか。また、短編を書くことが多いという方はどんなことに注意しておられるのでしょうか。
 ご意見をいただけたら幸いです。


俊介

 特にエンターテイメント小説を書いている俊介と申します。
 私は基本的に扱う題材が長編向きで、情景描写が多いので、すぐにページが取られてしまいます。ですから、最近ようやくわかってきたのですが、短編を書くときには題材を小さなものを選ぶようにしています。それと、主要の登場人物もあまり多く出さずに、数人に限定してしまいます。
 長編は題材も設定も大きく細かくして、登場人物の量も短編や中編よりもやや増やします。そして、一場面一場面をゆっくりと描いて、物語の謎や主人公たちの心理の変化を小出しにして読者の興味を常に引くようにしています。
 短編のミステリーなら、学校をたまたま休んだ子の謎や茶の間のお菓子がどこへ消えたとか小さな題材にし、結末もあまり大きなものになりません。しかし、長編なら、短編と同じような始まりでも、学校を休んだ子が殺人や誘拐に巻き込まれていたり、茶の間のお菓子の消失を起点として主人公が幻想世界に迷い込んだり、と大きなものになっていくと思います。
 文体に関しては、短編は押さえる場所は押さえることが大切だと思います。他の描写が薄くても、主題を明確に伝える場面は、しっかりと描くことで内容が薄くなることはないと思います。
 あまり参考にはならないかと思いますが、一応私の考えです。


塔子

 長編と短編のかき分け方を知りたいのなら、どちらにも定評のある作家の本を参考になさったらいかがでしょうか。
 この二つのかき分け方は、ジャンルによっても異なってくることだと思いますので。私はエンターテイメント系の短編をよく書きますが、落ちの効いた結末あるいは主題を長編よりも特に重視して書くようにしています。
 状況説明にしても、長編などは会話や一つのエピソードに交えて書くことも可能ですが、短編では客観的になるべくすっきりまとめるようにしています。
 とにかく短編は、その短い枚数にも関わらず読者を納得させられるだけの結末と、文体の切れの良さだと思っています。


司柊

ショート・ショートは原稿用紙8枚以内で「オチ」を書く。
短編は100枚以内で「事件」「できごと」を書く。
長編は100枚を越える作品で「人物」を描く。
15年前はそういうふうに覚えていたのですが、小説講座で50枚以内の短編を提出したら、「キャラクターが成り立っていない」と言われて、頭を抱えています。この長さでキャラが立たなくたってしょうがないじゃないかー。とは、先生には言えない(気が弱くて)ので。


もやし

短編挑戦してみました。
登場人物の描写が薄いとか、言われましたが……、 短編の上手い人は、人物全てを書くのではなくて、一側面をうまく捕らえて書いているようです。


黒猫

短編と比較してという意味で、長編を書いていて楽しいと思うことがあります。

私が短編を書く時は、とことん無駄のないようきりつめて書いています。ないほうがいいものはないほうがいい、あってもなくてもかんけいのないものはカットして、ぜひあったほうがいいものを取り入れるようにしています。

その一方、長編では、もしも短編だったらカットしているかもしれないものでも、どんどん詰め込んでいきます。
短編なら1~2行の会話シーンと2~3行の情景描写でしめくくるところ、長編であれば会話のボリュームをその2倍とか3倍ぐらい持たせて、ひとつの場面に広がりとふくらみを持たせます。
また、舞台となる世界設定についての説明にも短編よりはるかに枚数を割くことができますし、説明がくどくならないための工夫として設定説明を細かく何箇所にも分けて配置するという方法も、長編ならではの手法になります。

こういうことをやっていると、長編を書いていて楽しいと思ったりします。


雪彦

短編と長編の違いは、文の呼吸にあると思います。
呼吸…リズムを変えるというか。
長編はゆったり細かく、短編は簡潔な表現でやりますね。
あと、長編の場合は話の複線を張る数を増やしたりします。
短編の場合はあまり膨らみすぎると、収拾がつかなくなるので。
題材にも向き不向きがあると思います。
説明の多くなるものや、人物が多くなるもの、世界観が独特なものは短編よりも長編にします。
でも僕はショートショート好きです。
いきなりメインを書いてもそれなりに作品として成り立ってしまうから。
長編は散りばめたメインを繋いでいくような物だと思ってるんですが、
その繋ぎで詰まると面白くもなんともないまま飽きてしまうんで。

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