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夢板
2019/09/01 08:58


夢について自由に書き込んでもらえるとうれしいです。
夢日記とか歓迎です。
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 2019/09/01 10:22

夢板
「浮かび上がってくる諸表象は、覚醒時ならば、意識的に潜勢的に存在する諸表象のうち、自らと関連する表象を活性化するのだろうが、しかし、夢においてそうしたことは起こらない。諸表象が浮かび上がってきても、それに関連する表象の大部分は興奮しないままにとどまるのである。(例えば、夢の中ですでに逝去した人と会話を交わすことはあっても、しかしその際、私たちはその人がすでに死んでいるということは想起しない)さらにまた、互いに折り合わない表象も同時に存立できるし、覚醒時とは違って、それらの表象が互いの抑止を加えあうこともない。すなわち、総じていえば、連想が不十分で不活性にしか働かないのである」

ブロイアー/フロイト『ヒステリー研究』(金関猛訳)

…というか、一年前よりも明らかに連続投稿の規定が厳しくなっている(笑)

 2019/09/01 10:27

夢板
そうなると問題は、その原型みたいなものが経験的なものなのか、あるいは生得的なものなのか、ということのような気がします。前者だとすれば少しばかり凡庸ですし、後者だとすればチョムスキーの生成文法みたく怪しげなものになってくる気がしますが。

加茂ミイル
 2019/09/01 13:39

夢板
チョムスキーの生成文法って何?

からから
 2019/09/01 13:53

夢板
獏さんは頭が良いね

 2019/09/01 16:22

夢板
チョムスキーの生成文法論というのは、言語学の一流派で、大ざっぱに言えば、人間が生まれてから母語を習得する際に、その母語の「種」みたいなものはすべての個体の中にもともと生得的に(外部からの経験的なインプットとは独立に)備わっていて、この「種」が「文法」である、と考える立場だと理解しています。

具体的な根拠として挙げられるのは、やはり幼児の言語習得能力の異様な高さです。アメリカなんかだと移民ですとか、親が崩れた英語を話している家庭の子供でも、ほかの母語話者の家庭の子供と同じように立派な英語を話すようになる。これは幼児の言語習得の際に、言葉の経験的なインプット(例:両親による幼児への語りかけ)よりも重要なファクターがある、ということですが、これは言語の「基礎」とか「規則」みたいなものが、人間のうちにもともと共通してあることの根拠といえそうです。人類はみな言語のアーキタイプを携えて生まれてくるわけです。

 2019/09/01 17:29

夢板
「われわれは突然あることをはっきりと認識した。夢というものは、演奏者の手の代わりに、外からの暴力がこれをうち叩くところの、ある楽器の不規則な響にたとえるわけにはゆかないのである。夢は無意味でも不条理でもなく、我々の観念群の一部が眠り、他の一部が醒めはじめているということを前提にはしないのである。夢は、間然するところなき一個の心的現象、しかも願望充足である。夢は、覚醒時の、われわれに十分納得のゆく心的諸行為の関連のなかに組み入れられるべきものであり、極度に複雑な精神的行為の作り出したものなのである」

フロイト『夢判断』

 2019/09/01 17:58

夢板
「文書検閲の諸現象と、夢歪曲の諸現象とのあいだの、ごく微細な部分にまで及んでいるところの一致は、両者に対して似たような諸条件を前提することをわれわれに許すのである。そこで我々は、夢の形成者として個々人における二つの心的力(流れ、組織)を認めてしかるべきであろう。その二つのうち一方は、夢によって現される願望を形成し、他はこの夢の願望に検閲を加え、この検閲によってその表現の歪曲を強制するのである。そこで問題はただ、この第二の検問所の、それによってそれがその検問検閲を行使する権限が、いずこに存するのかということになる」

フロイト『夢判断』

→ここは面白いところで、この「意識=検問を経た第二ステージ」モデルに従うと、「意識」と「表象」が分離することになる。(「われわれをして言わしむれば、「意識する」とは「表象する」過程とは別種の、そして「表象する」過程からは独立した一個独特の心的行為なのであり、また、意識は、別のところから与えられた一内容を知覚する一個の感覚器官であるように思われる」)

 2019/09/02 02:25

夢板
「一、幻影を創造する眼の状態が強まるにつれて、脳の目覚めている状態と夢見る状態の間に、或る時点で共鳴が起こるように思えた──つまり、偶々、何かの幻影を喚び起こして、それを暗闇の上に随意に描くと、それは必ずと言っていい程に、夢の中に移転して現れるのだった。それで私はこの能力を働かすのを恐れた。ミダース王があらゆる物を黄金に変えたはいいが、そのために却って彼の希望は裏切られ、彼の人間的欲望は騙し取られてしまったように、視覚的に表現しうるものを何であれ、私が暗闇の中で思いつくと、それは忽ち眼の幻影と化して現出したからである。こうして一度かすかな夢のような色彩で描かれると、それらの幻影は、さながら炙り出しインクで書かれた書き物のように、どうやらそれと同じ必然的作用によって、私の夢の激烈な化学作用の中で耐え難い程の華麗な光彩を帯びて現像し、私の心を苛立たせるのだった」

ド・クインシー『阿片常用者の告白』(野島秀勝訳)

 2019/09/02 02:31

夢板
「二、と言うのも、私の夢の中で起こった以上のような変化や、その他すべての変化には、全く言葉では言い表せないような根深い不安や暗澹たる憂鬱が伴ったからである。毎夜、私は比喩的にではなく、全く文字通りに、深い裂け目、陽の差さぬ深淵、深みから深みへと落ちていき、二度と再び這い上がるのは絶望かと思われたからだ。目が覚めても、這いあがって来たとは、感じられなかったのである。いや、このことについては詳述すまい。何故なら、これらの絢爛たる光景に伴う暗黒状態は次第に募って、遂にはいっそ自殺してしまいたくなるような意気消沈の暗鬱にも似た全き暗闇にも達するもので、とても言葉によっては近づきようもないからである」

ド・クインシー、前掲書

 2019/09/02 02:44

夢板
「三、空間感覚と、遂には時間間隔も、共に強く影響を受けた。建物や風景、その他の物が、肉眼では知覚し得ない程、巨大にその姿を現した。空間は膨張し拡大して、名状しがたい無限の大きさに拡がった。だが、これよりも一層私を困惑させたのは、時間の膨大な拡張だった。まるで一夜にして七十年も百年も生きたような気がする時もあった。いや、時としては、一夜のうちに一千年が過ぎ去ったかのような感じ、ともあれ人の一生の限度を遥かに超える長い時間が流れたかのような感じがしたのである」

ド・クインシー、前掲書

 2019/09/02 02:55

夢板
「四、子供時代の極めて些細な出来事や、後年の忘れていた色々な情景が、屡々、甦った。それらのことを思い出したとは言えない。何故ならば、目が覚めている時、斯く斯く然々と人に言われたとしても、私はそれが自分の過去の経験の一部だとは認め得なかっただろうから。ところが、それらの事が直観のように、夢の中で、その儚く消え去った事情とそれに纏わる様々な感情に包まれて、私の眼前に置かれると、直ちに私はそれを自分の過去のことだと認めた。嘗て私の近親者の一人が話してくれたところに依ると、彼女は子供の時、河に落ち、際どい時に助けられ、危うく命を取り止めたのであったが、その瞬間、自分の全生涯がごく些細な出来事に至るまで、まるで鏡に映るが如く、同時に目の前に並ぶのを見たという。彼女はとっさに自分の人生の全体と各部分を把握する能力を、身に付けたのだった。私の阿片体験からしても、この事は信じられる。[中略]少なくとも、忘れることなど心には出来ぬと、私は信じている。数知れぬ偶然の出来事が、われわれの現在の意識と心に刻まれた密かな銘刻との間に帳を介在させるかもしれぬ、いや、必ずや介在させるであろう。そして、それと同種の出来事が、この帳を引き裂きもするのだ」

ド・クインシー、前掲書

 2019/09/02 03:19

夢板
こうしてみるとド・クインシーもアツいな。

からから
 2019/09/02 12:59

夢板
書きすぎやろ

 2019/09/02 13:19

夢板
みなぎる異常者感。

からから
 2019/09/02 13:50

夢板
やかましいわ

 2019/09/02 13:58

夢板
からからさんは夢、と聞いてどの作家のどの作品を思い浮かべますか?ふつうは漱石の夢十夜あたりかしら。

 2019/09/02 19:09

夢板
「夢の別の一系列の分析によってわれわれは、夢を生み出した願望そのものの充足として夢が存在するところの、その願望それ時代は幼年時代に由来し、それゆえにわれわれは驚くなかれ夢の中に昔のままにいろいろな欲望を持った子供がずっと生き続けているのを見出すのである」

フロイト、前掲書

→ここから例の悪名高いエディプス・コンプレックス論が展開される。

 2019/09/02 18:49

夢板
「夢がなにか系統だった調査に付され、これから決定されるはずのもろもろの手段によって、ついに完全なかたちで私たちに理解されることになり(その前提として幾世代かにわたる記憶の訓練が必要だが、とにかくきわだった事実を書きとめることからはじめよう)、夢の曲線が類を見ない周期と幅とをもって伸びひろがるようになったとたん、神秘ならざるもろもろの神秘が、この大いなる<神秘>に道をゆずるだろうと期待することができる。私は、夢と現実という、外見はいかにもあいいれない二つの状態が、一種の絶対的現実、いってよければ一種の超現実のなかへと、いつか将来、解消されてゆくことを信じている」

アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』(巖谷國士訳)

→有名な一節。ちなみに、ブルトンはフロイトの学説を知ってはいたものの、『宣言』の時点ではまだ『夢判断』を読んでいなかったらしい。二人の夢に関する見解は必ずしも一致しない。

 2019/09/02 19:07

夢板
「夢の厚みを考慮に入れなければならない。私はふつう、そのもっとも表面に近い層からやってくるものしか憶えていないのだ。私が夢のなかでなによりも目をむけてみたいと思うもの、それは、覚醒時には消えさるすべてのもの、先だつ昼間の仕事の名残ではないすべてのもの、ぼんやりした草むら、ばかげた枝むらなどである。「現実」のなかへも、おなじように、「落ち込む」ほうがいいと私は思う」

ブルトン、前掲書

→上のド・クインシーの例を見てもわかる通り、「落下」のイメージは夢を語る際の典型的なパターンになっている。

 2019/09/02 20:53

夢板
「ゴチック式のタピストリーが風に揺れて、その中の畏敬すべき人々が互いに挨拶を交した。その時私の曽祖父が部屋に入ってきた、──死んでから直きに八十年になろうとする私の曽祖父が!

そこに!──祈祷台の前に、参議であった曽祖父は跪き、栞の辺りで開かれた、黄ばんだ祈祷書にその髭面を押し当てた。

彼は夜を徹して祈りの言葉を口籠り続けた、紫絹の僧衣を纏い、組み合わせた手を解きもせず。昔彼のものだった天蓋つきの埃っぽいベッドに寝ている彼の後裔、この私には目もくれずに。

やがて私は恐怖にとらわれながらも気がついた、その目は字句を読んでいるように見えながら虚ろであり、──祈りの声は聞こえているのだが唇は動いておらず、──指は宝石で輝いてはいるがすっかり干からびているのを!

そして私は自分に問うてみた、目覚めているのか、眠っているのか、──この青白さは月の光か明けの明星か、──真夜中なのか、夜明けなのか!」


アロイジウス・ベルトラン「わが曽祖父」(『夜のガスパール』及川茂訳)

 2019/09/02 20:54

夢板
「私はここで少しばかり貴兄に告白をしなければならない。あのアロィジュス・ベルトランの有名な『夜のギャスパール』を、少くとも二十回目に読み返している時であった、それに倣って、私もまた何事かを企てたいと初めて私が考えたのは。彼が古代生活のあくまで絵画的な描写に用いたあの手法を、近代生活の、というよりも、寧ろある一個の近代生活の、より抽象的な叙述に適用しようと考えたのは。
 音楽的であってリズムも押韻もなく、しかも魂の抒情的抑揚のため、幻想の起伏のため、意識の飛躍のために、適用するに足るべく充分に柔軟にして且つはまた充分に錯雑せる、詩的散文なるものの奇跡を、そもそも我々のうちの何人が、その野心に満ちた日に於いて夢想しなかっただろうか?」

ボードレール『巴里の憂鬱』(三好達治訳)

 2019/09/02 22:00

夢板
「垂れ籠めたその雰囲気が淡紅微青の色を帯びた、一個の夢想ともいうべき部屋、飽くまでも精霊的なる一室。
 そこで魂は、悔恨と希望との香りを薫じた、無為徒然の湯浴みをとる。──そは云うべくは、薄明の、青みを帯びた、はた薔薇色の何ものか、蝕のある間の快楽の夢。[中略]
 壁の上には何らの卑しむべき芸術もかかっていない。凡そ固定した芸術、実証的なる芸術は、純粋なる夢、解析せられざる印象に較ぶれば、寧ろ冒涜である。今ここでは一切が、諧調の、充分なる明るさと、甘美なるほの暗さとに置かれている。[中略]
 如何なる悪魔の行為によって、私は今かくも、神秘と、静寂と、平和と、好奇とにとりまかれているのであろうか?おお、至福!凡そ我々が人生と呼ぶところのものは、その幸福の極みにあっても、今や私の、分また分、秒また秒に、認識し味得する、この至上の生命と、決して相通ずる何ものをも有していない!
 否、既にして分もなく、既にして秒もない!とく時間は消え去り、支配するものはただ永遠、陶酔の永遠のみ!」

ボードレール「二重の部屋」、前掲書

 2019/09/03 01:35

夢板
「とその時、身の毛もよだつ、重々しいノックが戸口に鳴り、それがあたかも地獄の夢でも見ている時か何ぞのように、私には、まるで鳩尾のところに鶴橋でもたたきこまれたような気持がした。
 そして、やがて幽霊が入ってきた。それは、法律の名に於いて私を拷問にくる執達吏であり、私に悲惨を訴えて、私の生活の苦悩の上に、彼女の生活の卑俗さをつけ加えようとする無恥の娼婦であり、乃至はまた、原稿の続きを催促にくる新聞編集者の給仕である。
 天上の部屋、偶像、諸々の夢の女王、かの偉大なるルネの呼びなしたシルフィード、それら一切の魔術は、幽霊の敲いた手荒なノックによって、跡形もなく消え去った。
 惨憺として!記憶が帰ってくる!然り、この陋屋、いつ果てるともなき倦怠のこの住居は、紛う方なく私のものである。ここにあるのは、塵にまみれて、角の落ちた、愚かしい家具。焔もなく、燠もなく、痰によごれた暖炉。埃の上に雨脚の残った悲しげな窓。塗りつぶされた未完の原稿。不吉だった日の上に鉛筆で標しをつけた暦!
 欠くるところのない感受性で私の酔うていた他界の香気は、嗚呼! 嘔吐を催させる得体の知れない黴臭さに交った、鼻持のならない煙草の臭気に、今はとって代わられている。既にして、人はここに廃城の悪臭を嗅ぐのである。
 この狭隘な、且つは、かくも嫌悪に満された周囲にあって、唯一の見慣れた品物が私に微笑みかける。年老いた怖ろしい恋人、すべての恋人のように、嗚呼!愛撫に富みまた裏切りに富める、一壜の阿片材。
 おお、然り!時間は再び現れた。今や時間は厳かに支配する」

ボードレール「二重の部屋」、前掲書

 2019/09/02 23:19

夢板
こうやって並べるとトマス・ド・クインシーがボードレールに与えた影響がよくわかるね。

 2019/09/03 02:13

夢板
「童部の舌に快き、酸き林檎にも増して快く、
 さ緑の海水は、わが樅の船板に滲み通り、
 安葡萄酒が汚点を、こびりつく反吐をば、
 わが身より灌ぎ去り、舵も、はた錨も失せぬ。

 これよりぞ、我は星溶き流す乳いろの
 大海洋の詩のなかに身を浴したり、
 碧き空むさぼり眺め行きゆくに
 彼処、碧光る吃水に偶々、黙々と水死者の屍ただよい、
 
 また彼処、忽然と海の碧きを褐色に染むる
 赤く輝く日の下の我かの様の物狂い、調べ、
 酒に勝りていや強く、竪琴もよう歌い得ぬ、
 恋情の苦き痣をば醸し出しぬる!」

 ランボー「酔いどれ船」(堀口大學訳)

 2019/09/03 03:11

夢板
「僕は、沈黙を、夜を、書き現わした、僕は言い表し得ないものを書き留めた。僕は眩暈を定着した」

 ランボー「うわごと」(『地獄の一季』堀口大學訳)

 2019/09/03 03:01

夢板
「僕らの恋のいきさつはお上品だが劇的だ
 暴君の顔の表情そっくりだ
 突飛な事件やごまかしや
 さては些細なできごとが
 僕らの仲を激化した形跡なぞはさらにない

 そうだタマス・デ・クィンシーも
 甘くて清い毒薬の阿片に溺れていながらも
 愛するアンのいる家へ 夢の思いで通ったのだ
 消えるが恋のさだめなら さあ 忘れよう 忘れよう
 だが僕は何度も思い出しそうだ
 
 思い出は狩りの角笛
 風の中に音は消えていく」

 アポリネール「狩りの角笛」(『アルコール』堀口大學訳)

 2019/09/03 18:08

夢板
アポリネールの『アルコール』はまじでおすすめだ。

 2019/09/05 01:58

夢板
「夜空を見上げているとき、視野の周辺にちらと星影がうつり、視線をあらためて向けなおすと、かえって見えなくなってしまう事がある。眼をそらしてやると、再び視界に戻ってくる。網膜の中心部と、周辺部の、機能の分業からくる現象だ。夢と現実の関係にも、どこか似たようなところがあるように思う。現実は、意識の中心部でより鮮明にとらえられるが、夢は、むしろ周辺部でしかとらえられず、中心に据えることで、かえって正体を見失ってしまいかねない。擬人化が、しばしば動物の行動の真の意味を見誤らせるように、覚醒時の言葉(因果関係)に翻訳することで、夢の夢らしさも風化してしまうのだ。夢はやはり夢として、下手な解釈は加えず、ありのままに受取るべきなのだろう」

安部公房「笑う月」

 2019/09/05 02:04

夢板
安部公房もなんだかんだ理系的ですごく良い文章書くのに、忘れられてるのが惜しい。「砂の女」とかやっぱりすごいんで。

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作家でごはん!