景色が全部、前へすっ飛んで行く。
醜く歪んだ宿敵の笑みが頭から離れない。
畜生。潰れた右目が見えてさえいれば。もっと強ければ……
お前は、俺の女神だ。
俺が守る。心優しいお前を。
だが……
◆
「おい」
先輩が声を掛けてきた。
「何ですか」
「扇風機が止まった」
先輩は低い声で唸る。
「そうですね。愛さん慌てていたから、時間設定間違えたんでしょうね」
おお、勇者扇風機よ。死んでしまうとは何事じゃ。
茹だる猛暑。蝉のリサイタルがエンドレスリピートされる、締め切ったアパートの一室。
恐らく、二十八度以上はある。
救世主である扇風機が力尽きたのであれば、更に室温は上昇し続けるだろう。
「『そうですね』じゃねえだろうが……」
ソファでだらしなく横になっていた先輩は、僕を睨みつけてくる。
室温が更に上がった気がするのは、どうやら扇風機が止まっただけじゃないみたいだ。
「先輩がタイマー回せばいいじゃないですか」
「ちったぁ目上の者を敬いやがれ!」
先輩は怒鳴って、ソファから軽やかにジャンプ……出来ずに頭からずっこける。
その間抜けな姿に噴き出した僕を、先輩は目ざとく見ていた。
激昂して、椅子に座って動画サイトを見ていた僕に飛び掛かろうとするが、先輩の右の死角に回りこんで後ろを取った。鋭い爪の一閃を避け、先輩の首根っこをむんずと掴む。
「てめえ! 離しやがれ!」
「何度もソファからずっこけて、受け狙いですか?」
首根っこを掴まれ、宙ぶらりんな先輩は尚も目を血走らせながら、前足をばたばたさせている。
何だか可哀そうになってきので、僕は先輩を掴んでいる手を離した。
「全く、口の減らねぇ野郎だ」
しなやかに着地した先輩は、そう言いながら逆立った首辺りを重点的に毛繕いする。
「先輩が化けて、タイマー回せば良いじゃないですか……あっ、もしかして化け方忘れちゃったりして」
ぴたりと、先輩が毛繕いを止める。
「てんめぇ!」
しまった。そう思った時には、もう先輩は僕の足首を容赦なく噛みついていた。
僕は痛みの余り、椅子から転げ落ち、衝撃で元の姿に戻ってしまう。
「大体、猫がパソコンなんか見てどうするんだ」
まだぐらぐらする僕の頭にばしっと衝撃が走る。先輩ご自慢のパンチを浴びたのだ。
「鰻を見ていたんですよ。今年は二六日ですよね。土用の丑の日」
「おお! 鰻か」
先輩は機嫌を直したらしい。雀を見つけた時のように目を輝かせながら、パソコンのディスプレイ前に飛び乗った。
「うおぉうぉ……鰻! 年に一度の鰻……」
先輩は、ディスプレイの中でかば焼きにされる鰻をうっとりと見つめている。
僕は、鰻を食べた事がない。
先輩曰く、大変美味だそうだが、動画で見たそれは黒くて細長いうねうねした気持ちの悪い魚で、とてもじゃないけど美味しそうに見えなかった。
「そろそろ、愛さん帰ってきますね」
只今、午後六時ちょっと前。
愛さんが帰ってくる前に、電源を落とさなければいけない。スタートにカーソルを合わせシャットダウンを押す。一瞬で夢の世界が消え去り先輩は項垂れたが、愛さんが帰ってくるのだ。
その点は理解しているようで、逆切れはしなかった。
「今日はローテーション的に考えて、鰹の缶詰めでしょうね」
「そうだな。まあ、愛の出す飯は何でも美味い……あっ!」
突然、先輩は出し抜けに台所へ飛んで行き、右フックを食らわせ噛みついた。
何に攻撃したのか。まさか……
「先輩。いつも思うんですけど、気持ち悪くないんですか?」
「いいから窓を開けやがれ!」
振り返った先輩は、予想通り油っぽい光沢を放つ「黒いアレ」を咥えていた。
僕は窓を開け、先輩は「黒いアレ」を外へ追放した。
「俺だってあんな気持ち悪ぃもの咥えたかねぇよ。でも、愛が見つけちまったら……」
愛さんは、あの生き物が大の苦手だ。名前を口に出すのも、恐ろしいそうだ。
別に聞こえる訳でもないのに、先輩は気遣って決してその名で呼ばず「黒いアレ」と呼んでいる。
「先輩って、本当に愛さんが大好きなんですね。まるで犬みたいです」
「あんな鼻長共と一緒にしてんじゃねぇよ。俺はな、愛を守る騎士だ」
騎士? 騎士とは、おとぎ話で出て来るあれか。お姫様を守る甲冑を着て剣を持った……
「豚に真珠ならぬ、猫に甲冑ですね」
「馬鹿にすんなや! 俺は愛をかれこれ十年以上……」
がちゃり。鍵を回す音がした。
「愛だ!」
先輩は、さっき「黒いアレ」を捕まえる時よりも早く玄関へ飛んで行った。
主人の帰りを喜ぶ、文字通りの犬だ。
「ただいま、政宗! 黒曜!」
ワンピースを着た愛さんが帰って来た。
先輩は、喉を鳴らして愛さんにすり寄るが、はっと何かに気付いて全身の毛を逆立てた。
「紹介するね。田中さんって言うの……もう入ってきていいよー」
愛さんとは違う匂いがして、ドアから背の高い男が入って来た。
男は、尻尾を埃取りモップにして威嚇している先輩にたじろいた。
「うわっ。でけえ猫……片目?」
「うん。独眼竜の政宗! かっこいいでしょう。黒曜もおいで」
愛さんは、ソファに座っていた僕を見つけると、靴を脱いでやって来て暑苦しく僕を抱きしめる。
「真っ黒だから、黒曜って言うのよ」
愛さんは男の前で僕を万歳させたが、男は愛想笑いをしただけだった。
「それじゃ、皆でご飯にしましょう」
「何! 愛……まさか、この野郎に飯をくれてやるのか!」
先輩はかなり動揺しているけど、僕は別にどうでもいい。
ご飯が食べられれば。安全な寝床が保障されているならば、主人が、誰に恋しようが知った事じゃない。元より面倒臭いし、興味も無い。
先輩が異常なんだ。
◆
「あの野郎……愛にべたべたと触りやがって」
夕食の最中も、食べ終わった今も、愛さんと肩を並べてレンタルしてきた海外ドラマを見ている男を、先輩は始終睨みつけていた。
「こりゃもうラブラブ度マックスですね。そう言えば明日は海の日で仕事休みでしょうから、今日はお泊りかな」
先輩が、僕の顔を見て凍りついた。
「そ、それって……」
「そりゃあ、ベットでギシアンですよ」
「皆まで言うんじゃねぇ!」
強烈な右フック。続けて脇腹に一発。痛いと叫ぶ余裕も無く、先輩の怒りのラッシュが続く。
「こら! 喧嘩しないの」
先輩は気付いた愛さんに頭を小突かれ、しゅんとなる。本当、愛さんには弱いんだから。
『ああ駄目……私には主人が……』
『お前を縛る全てのものから解放してやる』
あーあ。先輩可哀そう。
最悪のタイミングで、ドラマが濡れ場シーンに突入した。あっちの方のドラマって濡れ場シーンが妙に長いんだよな。
顔が真っ赤になった愛さんは、こめかみの髪を忙しなく撫でつけながら、男に目配せした。
「あ……あの」
「先にシャワー浴びてこいよ」
「うん」
愛さんはおずおずと立ち上がり、浴室へ行ってしまった。
ああ無情。もう誰にも止められない。
「畜生! 愛の貞操観念は何処に行っちまったんだ。どうして、あんなちゃらちゃらした男と……」
先輩は、寝っ転がってばたばたした。
獲物に逃げられた時よくするが、相当苛ついているんだろう、いつもよりダイナミックにばたばたしている。
「仕方が無いですよ。愛さんだって大人の女性なんだから」
「だが……」
この調子だと、先輩は意地でも愛さんのベットイン&サタデー・ナイト・フィーバーを阻止するだろう。只でさえ、猛暑で寝苦しいのに先輩の大乱闘が繰り広げられると、思うとげんなりしてきた。
「そもそも僕達猫ですよ。愛さんとは結婚出来ないし、子供も作れない。愛さんにとって一番……」
先輩は、目をかっと見開いた。
まるで満月な金目の瞳孔が針みたいに細くなっていて、僕の後ろを見ている。
何事かと振り向くと、男が愛さんの鞄からお財布を取り出し、ちらちらと浴室を見ながら、中に入っているお札を抜き取っていた。
ああ無情。愛さんは身も金も食われるのか。
「こんの……泥棒猫があ!」
猫が、「泥棒猫」と叫ぶとは何だかシュールだが、そう突っ込む間もなく先輩は男に飛び掛かった。
でも男は、僕がそうしたように先輩の見えない右目の死角に入って、右フックを避ける。
そして、むんずと先輩の首根っこを掴み、野球のピッチャーよろしく投げ飛ばした。
何の手加減も無く投げ飛ばされた先輩は、玄関のドアに激突する。
「先輩」
僕は先輩の元へ駈けつけ、さっきのお返しにべしべしと五回程パンチしてやった。
「ち……畜生」
先輩は、僕のパンチに反応したのか目を覚ました。
そして、全身をあれだけぶつけても、尚も立ち上がろうとする。
「黒曜。愛が一緒になる男は、あんなんでもいいってのか!」
一つだけの金目が炎のように燃え盛り、射竦められた僕は思わず身震いする。
独眼竜。伊達政宗。
単に片目という理由だけではなく、その巨体と、威圧的な佇まいに鋭い眼光。
ネットで調べたら、昔活躍したという武将の名前だった。愛さんも粋な名前を付ける。
「騎士より、武将の方が良いんじゃないですか」
「武将じゃねえ。俺は騎士だ。俺は命に代えてでも愛を……」
でも先輩は、立ち上がるのがやっとの様子。
ああ無情。こんなんじゃ、男に勝つ事など到底無理だろう。
「先輩。正攻法じゃ先ず勝ち目はありません。頭使いましょう。
要は、愛さんにこの男は『金目当て。ヤリたいだけの、クズ野郎』って解らせりゃいいんです」
偶然にも、五・七・五になった男の総称。季語も入っていれば俳句として完璧だ。
でも、言うのは簡単。問題はどうするか。
浴室に居る愛さんは、大人の階段昇るドキドキ感を胸にシャワー中。幾ら扉を引っ掻いても気付いてはくれないだろう。
「無理だろう。大体どうやって愛に話すんだ。俺達は猫なんだぞ」
そう、猫だから。猫は喋れないから無理。でも、僕等は……
「そうだ。化けりゃいいんだ! これなら愛さんに伝えられます」
長生きした猫は、妖力を得て化け猫になる。
僕は、化け猫である先輩から人間に化ける術を教わった。普通、もっと長生きして練習しなければならないが、僕には素質があったのかすぐに覚えた。
でも、先輩は首を横に振った。
「シャワー浴びてドア開けたら、知らねえ男が突っ立っていて『こいつはクズ野郎ですよ』と伝えて、はいそうですかってなるか? それよりも……」
先輩の言う事は尤もだったが、いい方法が思い浮かばない。
「おい。黒曜」
珍しく「おい」の後ろに僕の名前が付いた。
「何ですか」
先輩は、吸引力が変わらない只一つの掃除機みたいに空気を吸いこみ、ゆっくりと吐き出した。
「愛を頼んだぞ」
地震のように、大きく強く震えた声。
「先輩。まさか……」
言い終わらない内に先輩は駈け出していた。
「ど腐れ野郎が!」
一瞬の内に大柄で屈強な男に化けた先輩は、お札を自分の財布にしまってにやにやしているクズ野郎の顔面を殴った。
肉が潰れる嫌な音がして、クズ野郎はもんどりうって倒れるが、同時に先輩が蹲ってしまった。
まだ、体が痛むんだ。
僕は、先輩達を素通りして、愛さんの鞄目指して駈けた。
後ろの方で、殴り合い、怒鳴り合う音と声がする。愛さんに気付かれなければいいが。
急いで人間に化け、鞄の中から目当ての物を失敬して僕は高らかに声を上げた。
「はいはい。二人とも注目。これが目に入らぬかぁ」
劣勢な先輩を、馬乗りになって殴り続けていたクズ野郎は、僕を見上げて呆然とした。
修行が浅い為か、見た感じ小学生くらいにしか化けられず、先輩の加勢は無理だ。
でも、注意を逸らすぐらいは出来る。
「て、てめぇ……一体何処から」
「僕の事なんかより、いいんですか? 貴方が愛さんのお札パクった現場、ばっちり撮影しちゃいましたけど」
僕の手には、小さい猫ストラップが付いたピンク色の四角い塊――愛さんの携帯が握りしめられている。
それを、御隠居様の印籠の如く前に掲げる。
「家政婦ならぬ、『飼い猫は見た!』ですかねぇ。流石にお金まで取られたら僕等の食費にも響きますからね。それにしても、深い欲は身を滅ぼしますよ」
勿論、ハッタリ。でも効果は抜群だ。
突然見知らぬ男が二人も現れ、所業が暴かれたクズ野郎は青ざめ動転している。
それに、注意を逸らせられればいいのだ。
僕がお手玉している携帯を、催眠術に掛かった人みたいに見つめるクズ野郎は、後ろで拳王に負けぬ気迫で立っている先輩の事なんて、全く気付かなかった。
クズ野郎の後頭部に、会心の一撃が決まる。
「窓開けやがれ」
「はいはい」
先輩は悶絶しているクズ野郎の首根っこを掴み、窓の方へ引きずって行く。
さっき「黒いアレ」を追放した時よりも、もっと力強く先輩はクズ野郎を窓から投げ捨てた。
クズ野郎は最高に恰好悪くごろごろと転がるが、意識ははっきりしているみたいで、すぐに起き上がった。
「逃げる前に、パクったお札返して下さい」
クズ野郎は、生まれたばかりの子羊みたいに足をぷるっぷるさせながら、お札を取り出して目の前にばら撒いた。
その間抜けな姿を携帯のムービーで撮影する。いつも愛さんが僕等を撮影していのを見て、覚えておいて良かった。
「ここが一階で運が良かったな。愛の前に二度と面出すんじゃねえ!」
尻尾があったら本当に巻いていただろう。クズ野郎は震えたまま、エフワン並みの早さで逃げ出した。 徐々に緊迫した空気は薄らぎ、安心した拍子で僕は元の姿に戻ってしまう。
なんだかんだで、どうなるものかとひやひやした。
「言ったでしょう? 頭使いましょうって」
「全く、人間かぶれしやがって」
先輩は呆れた口調で言う。
確かにブラインドタッチが出来て、携帯を使いこなし、サングラスを常に装備した司会者や緑の鬣をもつ黄色いライオンが出る番組を欠かさず見る僕は、傍から見ればそうだろうが、その一言にかちんときた。
「知識は武器だから頭に入れているだけですよ。僕が人間嫌いなの知っているでしょう?」
先輩は、珍しく牙を剥き出しにした僕にちょっとだけたじろいだ。
「そうだったな。すまねえ……だがな……」
「きゃあ!」
正に絹を裂くような悲鳴。振り向けばバスタオル一枚を巻いただけの愛さんが立っていた。
最悪の展開。
僕は猫に戻っていたからいいものの、先輩は化けたまま。
愛さんは震えている。そりゃそうだ。荒れた部屋の中に立っている先輩はどう見ても空き巣強盗にしか見えない。
どうすればいいか必死に考えるが、頭の半分は教育番組で見た鶴の恩返しが再生されている。
つまり、もう解決案が出ている。
「すまねぇ」
先輩の一言で鶴の恩返しは停止した。意識が現実に引き戻される。
先輩は愛さんに深々とお辞儀して、「黒いアレ」やクズ野郎を放逐していった窓へ、今度は自身を投げ打った。鶴と違って、先輩は空を飛ばなかったが、僕は追いかける事が出来なかった。
―― 愛を頼んだぞ。
その言葉が、僕を床に縫い付けた。
◆
愛さんは、間違い無く見た筈だ。
突如部屋に表れた白髪の大男。その顔面に走る大きな傷痕は、右目を容赦なく通過していて開けられる事は無い。そして、残された左目は金色。
どんなに鈍くても、間違いなく気付くだろう。
がちゃり。鍵を回す音がした。
「ただいま……黒曜」
先輩が、居なくなってかれこれ三日が過ぎた。
外にばら撒かれたお札と、僕が撮っていたムービーを愛さんは見てくれたようで、あれから男がこのアパートに来る事は無かった。愛さんの危機は一先ず去ったのだ。
だけど、愛さんは、あれからずっと先輩を探している。
保健所。ご近所にネット。ありとあらゆる手段で先輩を探した。
愛さん自身も仕事が終わってから、女性一人にとっては危険極まりない真夜中の外へ繰り出して探している。殆ど寝ていないせいか、お化粧しても顔色の悪さは誤魔化しきれなくなっていた。
「ごめんね。三日連続で缶詰めで……政宗が帰ってきたら、手作りご飯食だから」
そう言って、僕の頭を撫でた。真夏だと言うのに、その手はとても冷たい。
青い餌入れに、牛肉入り鮪の缶詰めの中身が開けられる。
僕の大好物。でも、お腹が空いているのに、食欲は湧かなかった。
この後、愛さんは昨日と同じく先輩を探しに行くだろう。
先輩専用の赤い餌入れは、棚の中。いつもは隣に居る筈の白い巨体から発せられる威圧感は無い。
「政宗。お腹空いているよね……」
顔を上げると、愛さんは体育座りして、頭を膝に埋めていた。
うざい。ご飯を目の前に辛気臭いオーラをぷんぷんさせるな。
僕は何も鳴かず、愛さんの足に触った。愛さんは気付いて僕を抱きしめる。暑苦しい。
「有難う、黒曜。いつもはクールだけど、今日は優しいね」
ふざけるな。本当は、こんな事したくない。はっきり言って人間に触られるのも吐き気がするくらい嫌だ。
でも、先輩の言葉は僕を縛って、縫い付ける。先輩が恨めしい。
「昔ね、男子達に苛められていたんだけど、急にされなくなったの……噂で『やくざみたいな顔に傷がある男にぶっ飛ばされて怒られた』って……」
成程、先輩は昔、人間に化けて愛さんを助けたのか。にしても、愛さんの男運は悪いようだ。
「黒曜。あの男の人は、政宗だよね?」
僕は答えない。
「携帯に残っていたムービー……黒曜が撮ったんでしょう?」
僕は答えない。
「私を守ってくれたんでしょう?」
僕は答えない。
「何とか……言ってよ……」
涙ぐむ声に我慢出来ず、僕はにゃあと鳴いてしまう。
「政宗は……いつも私の傍に居てくれた……絵本が好きで、お姫様を助ける騎士の話が大好きだった……政宗は本当に騎士だったのに……」
堰を切ったように、遂に愛さんは声を上げて泣き始めた。
「政宗! ごめん政宗……何で……何であの時『待って』って言えなかったんだろう!」
何で、愛さんは先輩を必死になって探して泣くのだろう。たかだか猫一匹の為に。
先輩を見世物にするつもりなのかな。でも、だとしたら「ごめん」って言うのもおかしな話だ。
愛さんが解らない。解らないけど、胸が苦しい。
いつの間にか、愛さんは泣き疲れて僕を抱きしめたまま寝てしまった。
愛さんに抱きしめられたまま眠るなんて、拾われた時以来だ。あの時僕は、愛さんの腕を引っ掻き続けたが、彼女は僕を離さずに囁き続けた。
――あのね。「黒曜」って名前は黒曜石から貰ったんだよ。黒曜石はね、ガラスみたいな石で割れると尖ってナイフみたいになるの。貴方の毛色のように綺麗な真っ黒で、鋭いの。
綺麗な真っ黒で、鋭い黒曜石。
毛が抜けたり、吐いて下痢をしたりして、汚くぼろぼろだった僕に愛さんはそんな名前を付けた。
先輩の話しでは、獣医からいつ死んでもおかしくないと言われていたそうだ。
――私が守るよ。もう黒曜は苛められないから、安心して。もう泣かないで。
あんたが泣いて、どうするんだ。もう、勘弁してくれ。
僕は愛さんの腕から抜け出す。
そして、まん丸なお月さまが出ている空を駈ける為、窓から飛び出した。
◆
先輩は、公園の土管の中で丸くなって寝ていた。
「先輩、見いつけた」
先輩は目を開けたが、薄目で僕をぼんやり見つめている。愛さんの夢でも見ていたのだろうか。
「帰りましょう。愛さん、先輩の正体は解っているけど、それでも探しています」
愛さんという単語を聞いたせいか、ようやく先輩の左目の焦点が合ってきた。
「俺は帰らねぇぞ」
「先輩は、騎士なんでしょう。主君を泣かせるのが騎士なんですか? 初耳ですね。一体何処の本で出てきます? それともググれば出てき」
先輩は僕に体当たりしてきた。背中をぶつけて、土管からところてんみたいに押し出される。
直ぐに起き上がり、先輩のお月さまよりも金色に燃えている目を、しっかり見ながら聞いてみた。
「先輩の目って、事故じゃなくて人間にやられたんでしょう?」
先輩は答えない。
「後、最初から飼われていたんじゃなくて、野良だったでしょう?」
先輩は答えない。
「愛さんに助けられたんですか?」
先輩は答えない。
「何とか言ってくださいよ」
「……そうだ」
先輩は、いつものどすの効いた声ではなく、消え入りそうな声で呟く。
「ああ、やっぱりね。だから、僕は先輩の事も嫌いでした。何でそんな目に遭っていて人間に媚びへつらっているんだってね。て言うか……全部嫌いでしたけど」
遊びで僕達親子をなぶり殺した、人間共。
そして、母さんも兄弟達も死んだのに生き残って、のうのうと敵である人間に育てられた自分も。
「あの時、ガキながら心底死にたいと思いました。でも目が覚めたら愛さんが僕を介抱して、おまけに母さん達の墓まで作った。訳分かりませんよ。愛さんも、先輩も」
「だから、ネットやテレビを見て人間の事を調べたのか」
図星。先輩って案外鋭い。
「ええ。でも結局解りませんでした。人間て不思議ですよねぇ。
同類同士でも殺し合ったり、助け合ったり……これ程、理解不能な生物、他に居ませんよ」
「だが、愛は違うぞ。何処までも、お人好しなんだよ」
先輩は土管から出てくる。遠い目をしながらお月さまを眺め、僕から背を向けて歩き始めた。
何だ、結局逃げるのか。
「人間の事は解りませんでしたが、あんたが騎士じゃなくて腰抜けだって事は良く分かりました」
「何だと……」
全力で駈け、振り向こうとした先輩を思いっきり引っ叩いた。
「てめぇ!」
先輩はすぐに反撃してきた。
強烈なパンチを受けた僕の頭は、一瞬だけ真っ暗になるが気力を振り絞って耐える。
「何度でも言います! 先輩は腰抜けです。命に代えてでも愛さんを守るって言ったじゃないですか。この嘘つきの腰抜けが!」
先輩は僕の喉笛に噛みついてきた。僕も負けじと先輩の足に食らいつく。
苦しい。痛い。でも、負けられない。
愛さんが、待っているから。
がむしゃらに放ったパンチが、偶然先輩の左目に当たり、怯んで噛む力が弱まった。
チャンスとばかりに、すぐに離れて体勢を立て直す。
「何故昔話で、正体がばれた妖怪や動物は、人間の前から姿を消さにゃいけねぇかって知ってるか。一緒に居続けたら他の人間共に知られて、異端視されちまうのを防ぐ為なんだ。
それにな……猫又。金華猫。仙狸。猫梢。昔っから人間に化ける猫は結構居るがな、大抵は人間を食らう化け物。妖怪だ。それが愛の前に居られるか!」
左目を押さえて、先輩は唸った。その顔は何だか、泣いているようにも見える。
確かに、そうだ。
鶴の恩返し、蛇女房。雪女……昔話に出て来るそいつらは、結局最後は人間の前から居なくなった。
けれど、それは先輩の本心じゃない。
「鍋島の化け猫騒動は? お松大権現は? 猫檀家は? あの猫達、主の為に動いたでしょう。
猫が人間に害を及ぼすだけと言うなら、とっくの昔に猫は刈り尽くされて絶滅していますよ」
「揚げ足取ってんじゃねぇ」
「取っていません。事実です。愛さんは、先輩が化け猫だって解っていて、それでも一緒に居たいと思っているんです。素直になりましょうよ。後は、先輩だけなんです」
先輩は怖いんだ。
再び会った時、愛さんの恐怖に震える顔を見たくないんだ。
押し黙った先輩は、多分息もしていないだろう。苦しそうな顔をして僕から目を逸らした。
普段なら、言い負かせた優越感で一杯になっているだろうが、今は虚しさがこみ上げてくる。
「帰りましょうよ……ずっと缶詰めなんですよ。今日だって僕の好物なのにちっとも……美味しくなくて。愛さんの手作りご飯……食べたいです。鰻だって……」
喉が痛い。すごく痛い。声が出し辛い。
「お前……」
「僕だって……僕だって! 騎士に成りたいです! 愛さんを守りたいんです! でも。でも……どうしたらいいのか解らない。先輩みたいに上手く喉鳴らせないし……愛さんを泣きやませる事が出来ないんです!」
いつしか叫んでいた。生まれて初めてだ。こんなに、喉が裂けるくらいに叫んだのは。
鼻がつんとする。目頭が熱くて痛い。開けていられない。
目の前は真っ暗だ。いっそこのままだったらいいのに。愛さんの泣き顔を見なくて済むから。
悲しい。すごく悲しい。いつ以来だろう。母さん達が居なくなった時以来かな。
ずっと泣いて、泣き続けて、全部どうでもよくなってきて、何も食べなくなって、愛さんがミルクを飲ませてくれて、少し元気になったけど、また悲しくなって。
泣いて、泣き続けて……何故泣いているのかさえ解らなくなって、泣いて。泣いて。泣いて
「ぴいぴい泣いてんじゃねぇ。目ぇ開けやがれ」
ぺちんと軽く頬を叩かれた。
目を開けると、ぼんやりとした靄の中。雪だるまみたいに大きくて白い物が居た。
そして、何故かお月さまが浮かんでいる。空を見上げていないのに。
そうぼんやり考えていると、頬に衝撃が走り、横にぶっ飛ばされた。
「先輩、痛いです」
「当たりめぇだ。俺の右フックなめんな」
頭も目の前もはっきりしてきた。先輩が居た。大きくて白くて、金色の左目。
「おい」
先輩が声を掛けてきた。
「何ですか」
「帰るぞ」
◆
帰ってきたら、愛さんは起きていたが、もう泣きもせず呆然と座っていた。
愛さんの目は魂が脱けたように虚ろで、僕と先輩がいくら呼びかけて体を触ってもフリーズしてしまったパソコンみたいに、うんともすんとも言わなくなっていた。
何処かで見た事がある。初めてなのに昔から知っていた感覚。
そうだ。泣き果てて、魂が抜けきってしまった昔の僕の姿だった。
「仕方ねえ」
先輩は愛さんの顔にしがみつくと、彼女の頬に右フックを食らわせた。
ばしんと容赦の無い音が響く。
「痛ったい!」
頬に赤い三本の平行線が出来、叫んだ愛さんに向かって先輩はにゃあと鳴いた。
「あ……ああ。政宗……黒曜!」
先輩と僕の姿を見るや否や、再起動した愛さんは僕等を抱きしめて朝まで泣き続けた。
そして、数日経った現在。相変わらず猛暑は続いている。
「おい」
先輩が声を掛けてきた。
「何ですか」
「扇風機がまた止まった」
先輩は低い声で唸る。
エアコン無し。ボーナスが出るまで、扇風機だけが頼りなこの部屋。
うっかり屋な愛さんのタイマー設定間違いにより、「熱くなれよ!」と叫ぶ元テニスプレイヤーだってぐったりするだろう、灼熱地獄と成り始めた。
「そうですね」
「『そうですね』じゃねえだろうが……パソコン見てねぇで、早くタイマー回せ」
「待ってください。今メイドが旦那様を全裸に剥こうとする誰得なシーンが……ああ、先輩も毛皮脱いで全裸になればいいんだ。きっと涼しいですよ。僕が切って剃りますか?」
鋏をチョキチョキするデェスチャーを先輩の前でしたら、案の定、金目が燃え盛った。
「誰が脱ぐかぁぁ!」
先輩はソファから軽やかにジャンプ……はやっぱり出来ずに頭から墜落する。
「距離感が掴めないのに、無理するから」
僕は椅子から重い腰を上げ、扇風機のタイマーを回した。
蘇生された扇風機は、再びこの部屋に平安をもたらす。
「全く。さっさと回せば良いってもんを」
先輩は僕の足にパンチして、またソファでごろごろし始めた。
戻って来てからも、相変わらず愛さんにはゴロニャン。僕にはパンチ。
何事も無かったかのように、日々は過ぎていく。
がちゃり。鍵を回す音がした。
「愛だ!」
僕は急いで元の姿に戻る。先輩は玄関へダッシュする。
「ただいま。政宗! 黒曜!」
ドアから愛さんが出てきたが、彼女はストッパーでドアを固定してまた外へ出てしまった。
先輩は愛さんについて行ったが、
「うおぉぉぉ!」
という雄たけびを上げて、戻ってきた。ハイテンションな先輩。そうか、今日は七月二六日。
「土用の丑の日。今夜は鰻だよ!」
帰ってきた愛さんは両手で洗面器を持っている。中を見ると黒く細長いうねうねした生き物が三匹入っていた。
「生きた鰻! 新鮮な鰻! 鰻鰻鰻鰻鰻鰻鰻鰻鰻」
「先輩。煩いです」
僕等の会話は聞こえない筈だけど、愛さんはにっこり笑ってエプロンを着けた。
「出来合いの鰻のかば焼きは君達にはしょっぱいからね。最初から作るの。楽しみにしてて!」
眩しい笑顔のまま、愛さんは洗面器を持って台所に向かった。
◆
先輩曰く「極上の晩餐」が終わり、真夜中まで残業する扇風機のモーター音が、部屋に響いている。
扇風機。君の頑張りは評価するが力不足だ。
湿度と室温は尚高く、寝苦しい事この上ない。でも、愛さんと先輩は規則的な寝息を立てている。
「先輩」
声を掛けたが、隣で寝ている先輩は大きい大福のまま身動ぎ一つしない。
僕は極力音を立てぬように、慎重に起きて、愛さんのベットにそっとよじ登る。
麻の抱き枕にしがみついている愛さんは安らかな顔をしていて、間違いなく熟睡している。
ちょっと前までの泣き顔が、嘘のようだ。
二人が夢の中に居るのを確認出来た僕は、忍び足で充電器と繋がっている携帯に近づく。
電気をたらふく食べた携帯も、ランプの光を消して眠っている。起きているのは、僕と扇風機だけ。
つるつるした携帯に前足を置いて、深呼吸。一回だけ。たった一回だけ、禁忌を犯す。
決心した僕は、人間に化けて携帯を充電器から外した。
時限爆弾を抱えた人の気持ちはこんな感じだろうか。震える手で携帯を握りしめ、急いで玄関に向かい外に出た。
折りたたんである携帯を開き、ムービー機能に切り替える。
緊張の余り、うまく動かない指で録画にカーソルを合わせて、決定ボタンを押した。
そして、無機質な鉄の塊に向かって話しかける。
「愛さん。その……何て言うか……今まで育ててくれて有難うございます。後、トイレの砂ひっくり返したり、壁で爪とぎしたり、捕まえた鼠枕元に置いたりしたの……全部わざとです。本当にすみませんでした」
最後の方は早口になってしまった。一旦ムービーを停止して一区切りつける。
ああやばい。凄くどきどきしてきた。でも、早くしなきゃ朝になってしまう。
湿った生温かい夜の空気を、全力で吸いこんで吐いて吸いこんで吐いて吸いこんで吐いて吸いこんで、もう一度、録画する。
「僕……先輩みたいに、愛さんの騎士に成りたいです。
まだ、ゴ……「黒いアレ」も取れないし、可愛くにゃーんって鳴けないけど……いつか」
「有難う。黒曜」
鈴が転がるような綺麗な声。頭の中が真っ白になる。
「いつまで突っ立ってるんだ。早くこっちを向け」
「せ、先輩!」
振り返れば、パジャマ姿の愛さん。その足元には堂々とした騎士のように先輩が付き従っていた。
見られた。見られてしまった。人間に化けた僕は、愛さんに見られてしまった。
どうしよう! どうすればいい!?
頭の中で、救急車とパトカーと消防車のサイレンが同時に鳴り響く。
パニック寸前だが、愛さんは何故かふわりと笑った。
「でもね。無理はしなくていいんだよ。政宗と黒曜が傍に居てくれれば、私はそれで幸せなの」
僕を見つめる愛さんの目は、信じられない位真っ直ぐで、とても綺麗だ。
小さな風が起こる。
「あ……愛さん」
僕は柔らかく包みこまれる。変わらない温かさ。
「ずっと一緒だよ」
耳元で愛さんが囁いた。
ずっと一緒。その言葉で胸が苦しくなってきた。
「半人前め。騎士になるってんなら、まずぴいぴい泣くのを止めやがれ」
先輩。無理です。止まりません。両目から噴水みたいに水が溢れ出して止まらない。
悲しくないのに、何で涙が出て来るんだろう。当分の間、僕は半人前のままだろうな。
でも、いつか……
――それは心優しいお姫様を守る、二匹の猫のお話。
『鰻好きな先輩はどうやら騎士らしい』©千川 冬馬
前回長編を投稿しましたが、文章力を鍛える為、短編(原稿用紙32枚)に挑戦してみました。
しかし、これでも長いかもしれません。
極力無駄な文をそぎ落としたつもりですが、読み物になっているでしょうか?
ご意見・ご感想お待ちしております。
千川 冬馬 (07/29 06:39)
千川 冬馬 様
社交辞令ではありませんが、わずか二日前にコメント寄せてくださった方と気付きましたので、一言を。
第一印象はサブ・タイトルを「吾輩たちは猫である」でもイイかもと。
それで技術的な面はどなたかにお任せするとして、内容はとても楽しめました。
頑張ってますね、とくに政宗くんが。
人間模様を客観的にとらえるために動物に人格を与える。これは正統な手法と思
います。しかもどんな批判を盛り込んでも、話すのは猫ですから許される。
『……人間て不思議ですよねぇ。同類同士でも殺し合ったり、助け合ったり……これ程、理解不能な生物、他に居ませんよ』
同感です。
そう言えば、化けるのはキツネとタヌキが定番だけど、
たしかに猫も化けますよね。古い話が日本各地に伝わっているようですから。
それが野生動物とちがって家の中で人に近い分、化け方が怖い。
でも、ここでは「心優しいお姫様を守る、二匹の猫」
何かほっとした感じです。
今後ともご活躍くださいますように。
07/29 18:53
千川冬馬さま。
読ませて頂きました!
ハートフルなお話ですね。
とても面白かったです!
冒頭が割とシリアス目だったので、王道ファンタジーかなーって思ったら可愛い猫さんのお話でしたね。とても癒されました。
黒曜と政宗の会話が面白くて、思わずクスりと笑ってしまいましたw
政宗も黒曜も可愛くて、私的には黒曜派です(←誰も聞いてない
化け猫といえば、なんだか怖いイメージがありますが二人はとても良いコで、なんだか心が暖まりました。
次回作も楽しみにしていますね!
ではw
07/29 19:29
高川正治さま
こちらこそ、ご感想頂き有難うございます。
サブタイトル「吾輩たちは猫である」もいいですね。
>人間模様を客観的にとらえるために動物に人格を与える。これは正統な手法と思います。
「人間てなんでこんな変な事しているんだろうねぇ」と言う、妖怪やら動物やら出てくる話が大好きです。でも自分が書くと説教臭くなってしまいます。
>それが野生動物とちがって家の中で人に近い分、化け方が怖い。
化け猫系の良い話でも、敵討ち系の話が多いですよね。
猫は主が死んだ時しか動かないのか……何だか物臭な感じがします。
>でも、ここでは「心優しいお姫様を守る、二匹の猫」何かほっとした感じです。
主の為に奮闘する猫も、居たって良いじゃないかなぁと思って作りました。
これが犬だと、(化け犬……ポピュラーじゃないな)「御主人さま大好き」が
当たり前になってしまうから、駄目ですよね。
これからも、精進してゆきます。有難うございました!
07/29 20:54
千川冬馬さま
『鰻好きな先輩はどうやら騎士らしい』
非常に楽しく読ませていただきました。
設定は軽めな感じですが、要所要所で作り込みがされていて
おそらく力のある方が書かれたのだろうなと思いました。
なので厳しめのコメントを書きます。
登場人物をもっと詳しく書いて欲しいなと思いました。
簡単な設定や姿、カタチは、(片目、黒猫、お姫様)は何となく分かるのですが、それ以外の描写と言いますか、振るまいといいますか、気品とか、性格とか動きの中で色々と表現できたりすると思うのですが、そういう文章が足りないなと思いました。
そのため、作者の伝えたいことと、読者の頭の中の情報に差があるような気がしました。シーンから伝わるムードは非常に良く出来ているのですが、もうすこし文章に力を込めていただけると、もっと感情移入できるのになと惜しく感じました。
そしてご主人の愛ももう少し、キャラの作り込みをして欲しかったかなと思います。お人形さんみたいな類型的なキャラで感情移入できませんでした。もう少し、普段の心の声を聞かせて下さい。
あとウナギはたぶん調理済みしか買えないと思いますよ。たしか血に毒があって素人の方は扱えないはずです。
ともあれ楽しく読ませていただきました。面白かったのは事実でして、ほとんど瑕疵が気にならなかったというのが正直なところです。
あるもので楽しんでもらうという意味ではエンタメとしての充分及第点だったと思います。
それでは失礼します。
07/29 20:59
梅さま
ご感想有難うございます。
>ハートフルなお話ですね。
前作のようなシリアス・ダーク系を書くことが多いのですが、
こういう系統の話も書ければなぁと頑張ってみました。
ああ、でも……またダークな話が書きたくなってきた(笑)
>政宗も黒曜も可愛くて、私的には黒曜派です(←誰も聞いてない
一途な政宗はともかく、黒曜は斜に構えているので
「前半の語りで読者に嫌われるかも」と危惧していましたが、
そう仰って頂けて嬉しい限りです!
次回作は、ダークな感じになるかもしれませんが、
書き続けることで技量を上げたいと思っております。
お読み頂けましたら幸いです。今後とも、よろしくお願いします!
07/29 21:10
タニグチさま
ご感想有難うございます。
>登場人物をもっと詳しく書いて欲しいなと思いました。
今回、短編を書くという事で、地の文を必要最低限しか書きませんでしたが、
もっと明確に書き込んでも良かったですね。
愛の描写も再考します。
>あとウナギはたぶん調理済みしか買えないと思いますよ。たしか血に毒があって素人の方は扱えないはずです。
そうですか……何とか味付きじゃない鰻を手に入れる、上手い方便を考えます。
最後になりますが、アドバイス・ご指摘有難うございました!
07/29 21:30
こんにちは。
拙作に感想ありがとうございます。返信しておきましたので、ご覧になっていないようならお願いします。
猫大好きなので、全体は非常に楽しく読めました。
ただ少し残念なことは、別の方も書いておられますが、政宗と黒耀の描写が少なかったことですね。猫視点で書かれているという理由もあると思うのですが、猫好き人間の好みから言うと、「人間から見た猫像」がイメージできるような情報がほしかったです。
容姿だと、政宗はぼってり系で茶系で虎縞が入ってて毛がふわふわで長めなボス猫をイメージ、黒耀は小柄でスマートで毛が短い黒猫をイメージしたのですが、抱いたときの収まり具合とか、歩き方とか、何気ない仕草とか、もっと情報が欲しかったです。
ずいぶん熱く語ってしまいましたが、あくまでも猫好きからの意見ですので、話半分にお願いします(汗)
余談ですが、黒耀が化けれるのに黒いアレはとれないのは何でかなと思ってしまいました(笑)
それでは失礼します。
07/30 18:21
高野ショウさま
こちらこそ、感想返し有難うございます。
>ただ少し残念なことは、別の方も書いておられますが、政宗と黒耀の描写が少なかったことですね。
政宗は、大柄な白猫。黒曜は生後半年くらいのまだ体が出来上がっていない黒猫のイメージで書いていました。もう少し描写を増やそうと思います。
>余談ですが、黒耀が化けれるのに黒いアレはとれないのは何でかなと思ってしまいました(笑)
当方、実は「黒いアレ」を実際に見た事がありません。
(運がいいのか悪いのか)動画サイトやネット上の知識からしか考察出来ませんが、かなり素早く、人の手でも捉える事が難しいとの事。
政宗は、何度も迎撃してハント技術が向上していますが、黒曜は初心者なので
化けれても、まだまだ未熟……という、事にしていました(笑)
難しいのですかね。アレを捕まえるのって……
ご意見・アドバイス有難うございました!
07/30 18:52
千川 冬馬さん
作品を読ませていただいたので感想を書きます。
タイトルから惹かれまして、一気に読み終えました。
面白かったです。お上手ですねえ。文章の運びや構成など参考になります。
猫かわいいですねえ。
僕はムツゴロウさんとこで働くのを夢見てあきらめた経緯をもつ動物好きですが、非常に愛らしい猫たちでした。
個人的な希望を言うと、愛ちゃんには二匹の変身した姿は見られないほうが良かったです。
もしくは、夢とか、熱とか、現実との区別の付きにくい時に見られるとか。
愛ちゃんに見られてしまった時点で、もちろんファンタジーなんですけど、いけない一線を越えてしまった気がして、ちょっと熱が冷めてしまったのです。
とはいえ、こちらの方がすき! という方もたくさんあるでしょうから、僕の好みですね。
しかしですね、千川さん。
黒いアレ・リブギゴを見たことがない・・・・・・!?
はっきり言って、かなり驚いてます。どんだけよか育ちなんでしょうか。めっちゃ若い方ですか? だとしたらこの文章力は若いのにすごいな。まてよ、そもそもリブギゴを見たことがないことに驚いてる俺がおかしいのか? 俺の育ちが悪すぎ? いや、そんなことはないはず。リブギゴの生態・嫌さを皆が共通認識しているのが証拠だ! ムニャムニャ・・・・・・。
取り乱しました。いや、見たことない人が居るとは・・・・・・。
近所のラーメン屋の冷蔵庫の裏とか、流しの扉開けたらきっと居ますよ!
『ラーメンってあの黄色くて長い麺をスープに入れてたべるやつですか?』とかいわれたりして。
何の役にも立たない感想をすいません。面白かったです。
がんばって下さい!
07/30 21:31
黒モモさま
ご来訪頂き、有難うございます。
>面白かったです。お上手ですねえ。文章の運びや構成など参考になります。
お褒めの言葉。嬉しい限りです。
前回投稿した拙作は、長々な文章だとご指摘頂き、
改善すべく色々と苦労しました。
この調子で、レベルを上げてゆきたいです。
>個人的な希望を言うと、愛ちゃんには二匹の変身した姿は見られないほうが良かったです。
正体知ってて尚も一緒に居たいと思う、愛のひた向きさというか、一途さを表したかったのですが、確かに一線越えていますね……
「ぎりぎりだったけど、ばれるの誤魔化せた!」みたいなお話もハラハラして良いかもしれません。
>黒いアレ・リブギゴを見たことがない・・・・・・!?
当方、北海道在住です。
札幌で生れ、現在はそこから東の方角へ引っ越し生活しています。
温暖化の影響か、札幌も最近「黒いアレ」の侵略が著しいと聞きますが、
寒冷なこちらは、まだ身近に目撃情報はありません。
育ちは全然良くありません。蛾くらいの大きさの虫ならティッシュで捕まえてポイ出来るくらいです(笑)
冷蔵庫の裏は温かいから良く居ると聞きますが、本当に居るんですかね……
「黒いアレ」の方が私にとってファンタジーな存在です。
しかし、いずれお目にかかれるかもしれません……
頂いたお言葉、大変励みになりました。これからも頑張ってゆきます!
07/30 22:15
拝読しました。
私は猫は飼ったことないんですけど、もし家に猫がいて、飼い主が見てないところで、人間っぽいやり取りをしてるところを想像すると、楽しい気分になりますね。
愛さんと、「僕」と先輩のキャラと、それに伴う役割分担はそれらしくて良かったです。ストーリーにもメリハリがあって、「僕」の過去が描かれているところもポイントが高いです。
ただ、ちょっと疑問点がいくつか。
「僕」のセリフで、
>家政婦ならぬ、『飼い猫は見た!』ですかねぇ。流石にお金まで取られたら僕等の食費にも響きますからね
バラしちゃっていいのかなと。いや、田中にしてみれば訳が分からないだけなんでしょうけど、ここは田中ではなくて、読者に目を向けたセリフのような感じです。
で、田中さんが、「愛に二股かけられてた。しかも相手はやくざだ」みたいな噂をばら撒いたりしてないだろうかと、ちょっと気になったり。
愛さんも、体を許してもいいくらいに思っていた相手がコソ泥だったことについてどう思ったのか、うかがえる場面も少しは読みたかったかも。
ラストの「僕」の告白シーンなんですが、なぜ「僕」は、思ってるだけではなくて、わざわざこんな行動を取ったんだろうと、私の読解力不足なのかも知れないですけど、すいません、よく分からなかったり……。
07/30 23:11
緑川さま
ご感想頂き、有難うございます。
>飼い主が見てないところで、人間っぽいやり取りをしてるところを想像すると、楽しい気分になりますね。
当方も猫を飼った事がありません。猫が居る生活には憧れますが、黒曜のようにテレビやネットをすると、結構な光熱費になりそうな気もします(笑)
>愛さんと、「僕」と先輩のキャラと、それに伴う役割分担はそれらしくて良かったです。
有難うございます。黒曜の過去は小出しにするタイミングが大変でした。
短編という文字数が限られた中で、いかにキャラを魅力的に書けるか……
難しいけれど、腕の見せ所ですね。
>バラしちゃっていいのかなと。
このセリフ、どちらかと言えば格好つけで書いたものです。
削除してもいいかもしれません。
>田中さんが、「愛に二股かけられてた。しかも相手はやくざだ」みたいな噂をばら撒いたりしてないだろうかと、ちょっと気になったり。
こちら側も、盗んだ瞬間(ハッタリだけど)と、お札をばら撒く所を撮影していて、田中自体も弱みを握られているから、下手な事はしないだろうと書いたのですが、言われてみればそうですね。
>愛さんも、体を許してもいいくらいに思っていた相手がコソ泥だったことについてどう思ったのか、
どちらかと言うと、今作は二匹のやりとりが中心だったので、端折りましたが、過去に男子から苛められた経験があるので「やっぱり男の人って自分勝手で信じられない」とショックよりは落胆していました。
他の方からもご指摘いただきましたが、愛の描写を(心情含め)を拡充しようと思います。
>ラストの「僕」の告白シーンなんですが、なぜ「僕」は、思ってるだけではなくて、わざわざこんな行動を取ったんだろうと、
黒曜は、愛に救われ育てられましたが、人間不信は根深く、色々と愛へ嫌がらせをしてきました。今回の事件により愛に対して感謝と、信頼を抱きますが、同時に、悔いて謝罪がしたいと思いました。
そして、「愛が好き。だ守りたい」というのをどうしても伝えたかったのです。まあ、黒曜は子供です。
別に言わんでもいいのに言いたい、一種の「エゴ」ですかね。
頂きましたご指摘・アドバイスは今後の執筆に役立てていきたいと思います。
有難うございました!
07/31 00:16
こんばんは、夜分にこっそり拝読しました。
北海道の人はかなりの割合で黒いアレ、かのオイリーブラックボディとは未遭遇らしいですね。大学時代の友人がそうでした。内地に来て初めて見ましたよって。
千川さんも一度は奴らの飛ぶ姿を見ておくといいと思います。シビレますよ?(悪い意味で)
では感想を。最初に大まかな印象から。
率直に申し上げて「色気が足りない」と感じます。いやあのこれはせくしーさとかそういう意味ではなく、人目を引く、いい意味で読み手を立ち止まらせるものが不足気味であると。
「狙い」欄で文章力を鍛える為とありましたが、むしろ上記の原因は文章力にかかっているのではないと思います。実際読んでいておかしいな、と感じるような部分は文章的には見当たらなかったです。ですのでこれは設定やなんかの方に関わってくる問題なのかな。
設定・題材については、それほど斬新という印象はありませんでした。ということは「狙い」で触れられていた文章力というのは、いかな題材をも「魅せ得る」ほど華のある文章力、言葉の力ということなのでしょうか? もしそうならこれもインパクトに欠ける……うん、「狙い」欄の詮索を始めても全く意味ないですね。次行ってみましょう。
内容について。短編なので二点だけ。
まず細かいことですが……そしてこれは住んでいる地域的に仕方ないのかも知れませんが、あえて突っ込みます。抜粋失礼。
>恐らく、二十八度以上はある。
すいません、今まさにうちのエアコンの温度設定、28度です(ロケ地:大阪)。しかもかなり快適です。東京では今年の海の日に36度越えなんて数字が出たりしてます。
28度って、日本の夏の平均を考えると結構涼しいんじゃないですかね?
舞台は日本、とアバウトな形で読み手に丸投げにする作品である以上、どこに住んでいる人が読んでも違和感を持たない程度には書き手の物差しで測っておかないといけないのではないかと思います。そういうところで読み手につまづかれるのは勿体ないことですから。
もちろん「28度=あっつい!」という図式、これに作品内でしっかりリアリティ(≒説得力)を持たせられるなら、平均なんて全く意味のない数字でしかないわけなんですけどね。
もう一点、政宗が「騎士」であることへのこだわり。これが希薄だと感じます。
個人的な意見を申し述べますと「せっかくかっこいい武将の名前もらってんのになんで騎士なの? いいじゃない侍。 ビバ独眼竜! ブラボー眼帯!」……失礼しました。
侍=主君に忠実=犬、という構図が千川さんの頭にあったから侍ではなく騎士になった。……のかどうかは知る由もありませんが、絵本を読んで憧れて、という愛の吐露(しかもたった一行!)と、愛に助けられたから(これも政宗は肯定しただけ)の二か所だけではいかにも取ってつけたようで読み手としては納得できません。このエピソードの掘り下げ方一つで、政宗の愛に対するベクトルがより劇的になるんじゃないかという気がします(そして政宗をカッコよく描けば描くほど、それに憧れる黒曜も相対的に映えてくるというすんげー仕掛け)。どこか書き足しますよと言われたら、是非ここをお願いしたいところです。ぶっちゃけ猫妖怪の紹介に字数を割いている場合じゃありませんよ?
えー(汗)、えらい不審な感想でしたが、何かのお役に立てば幸いです。
いらなかったら政宗に頼んで窓から投げ捨てて下さい。
失礼の段、平にご容赦を。ではこれで。
07/31 04:42
腰ムラさま
御読了頂き有難うございます。
フライングする、「黒いアレ」は動画サイトを漁っても中々見つからないんですよね。もう実際に遭遇するしかありませんね(笑)
>率直に申し上げて「色気が足りない」と感じます。
今回、「読みやすい文章」「テンポの良い文章」を目指して描きました。
(前作の地の文がかなりアレだったもので)
次回の課題は、読者さまを引き付ける「色気」ですね。頑張ってみます。
>28度って、日本の夏の平均を考えると結構涼しいんじゃないですかね?
28度は灼熱地獄だと体感していて、
本州の方も熱いだろうと思っておりましたが、涼しいですか……
ご指摘有難うございます。温度設定を見直しますね。
>もう一点、政宗が「騎士」であることへのこだわり。これが希薄だと感じます。
もう少しエピソードを増やし、掘り下げが必要ですね。
>えー(汗)、えらい不審な感想でしたが、何かのお役に立てば幸いです。
とんでもございません! アドバイス頂き有難うございました。
07/31 11:35
設定が良いです。ファミリーとしてキャラが立ってて。
形容としてどうかは分かりませんがアニメの脚本の様な読み心地でした。
全体のまとまりがあり、勢いも良く、上手いと思います。
商品価値を感じる……とか言ったら大げさでしょうか? プロの仕事みたいでした。
08/03 17:12
中山尋さま
お読み頂き有難うございます。
>設定が良いです。ファミリーとしてキャラが立ってて。
短編と言う事で、少ない文章量でどれだけキャラを立たせるか、
これほど難しいとは思っていませんでした。
しかし、そう仰っていただき嬉しく思います。
>形容としてどうかは分かりませんがアニメの脚本の様な読み心地でした。
いつも30分弱で、一話完結させ、しかも引きを作るアニメって凄いですよね。
>商品価値を感じる……とか言ったら大げさでしょうか? プロの仕事みたいでした。
そ、そんな勿体ないお言葉です!
これからも、面白い作品を作れるよう精進していきます。
有難うございました。
08/03 20:03
読みましたので感想を書きます。
ストーリーがよくできていて面白く、政宗と黒曜のキャラクターもしっかりできていて好印象です。
比喩表現については、良い表現だなと思うものと、ちょっとピンとこないってのもありましたが、使い方がうまくて大変勉強になりました。
そして、所々にユーモアも交えてあり、バランスの良い物語だなと。
>前回長編を投稿しましたが、文章力を鍛える為、短編(原稿用紙32枚)に挑戦してみました。しかし、これでも長いかもしれません。
極力無駄な文をそぎ落としたつもりですが、読み物になっているでしょうか?
長さは個人的にはちょうど良いといった感じでした。
読み物としては十分すぎるぐらいだと思います。
愛が男を連れてきてから、乱闘が終わるまでが、お気に入りです。
次回作も期待しています!
08/04 16:56
童 死体さま
感想返し、有難うございます。
>比喩表現については、良い表現だなと思うものと、ちょっとピンとこないってのもありましたが、使い方がうまくて大変勉強になりました。
読者さまがお読みになって、ぴったりな言葉を見つけるのは
私にとって、至難の業です。「素晴らしい!」と言われるようなユーモア、
地の文章を描き切れるよう頑張ってみます。
>長さは個人的にはちょうど良いといった感じでした。読み物としては十分すぎるぐらいだと思います。
有難うございます。小説を書く時は、「話」よりは「人物」を書く事が大好きなので、自然と長編とになってしまいます(泣)
しかし、地の文がイマイチなので、読者さまをぐいぐい引き込めない惨状……
童 死体さまの励ましのお言葉、大変励みになります。
お互い、頑張っていきましょう! 有難うございました。
08/04 17:49
ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です(テクニカルサポート)。