作家でごはん!鍛練場

『夜光』

微泉著

 初めて投稿させて頂きます。微泉(ビセン)というものでございます。
 初めてここに投稿させていただく物語は「夜光」。僕の幼少期の体験をフィクションにしたものです。
 教えて頂きたいことは、この物語を読んで何を感じたか、この物語のテーマはなんだと思ったか、の二つでございます。
 また、ご指摘として、どのようにすればこの物語がもっと魅力的になるか、文章がもっと美しくなるか、この文章の改善点、悪い点など多角的な角度から見た感想をいただければ幸いです。

 一瞬、光が差し込んだ。
 その光を越えた先に何かがあった。
「ちょっと、何をぼさっとしているの。早くこっちへ来なさい」
 生い茂る草木をもろともせずにこちらへと迫った母親は、呆けた表情で山の上を眺める彼の手を強く引いた。
 夜空は天に星をばらまいて、一際大きな満月が偉ぶっているような様子。彼は母親に無理矢理連れられながら、尚も、瞬いた残像を見つめ続ける。
「これだから、あなたはいつもいつも迷惑ばかりかけて」
 母親は足で草木を踏みちぎるような音を立て、彼の手を力強く、離すことなく山を下る。しかし、当の彼は未だ、振り返り、幻影を見つめ、母親の言葉に耳を貸してはいない。
「あれはなんだったんだろう」
 挙句、こんな言葉を呟いている。
「こんなに夜遅くまで、山の奥にまでほっつき歩いて……」
 母親もまた、彼の声に耳を傾けていなかった。

 彼らの家の裏山、彼の目には壮大に映った、未だ青々とした木々が覆い尽くしていた山の中で、彼は先ほどまで大冒険を繰り広げていた。彼はこの日初めて、蛇という、恐ろしい姿をした生物を目に捉えた。初めて、手に蜘蛛の巣が引っかかった。初めて、その裏山に小さな社が三つあることを知った。そして、初めて、夜の山に光が灯ることを知った。
 母親は少年に対し、怒りと心配が積もって成った思いの丈を浴びせながら、それでも足元は慎重に下山をしていたのだが、一瞬、山の木片に足を滑らせた。彼女は声にならぬ声を叫び、彼を繋ぎとめていた手をとっさに離し、地面を滑り落ちて行く。彼も驚いて、小さくなって行く母親を見つめる。
「そこで待っていなさいよ!」
 かなりの急斜面を滑り落ちた母親は必死に声を張り上げ、彼の行動に釘をさすが、それでも彼は先ほど光った場所をじっと眺める。
 光った。
 その時、もう一度光ってしまったのだ。
 先ほどと同じように、またもや光が目に焼き付いた。
 彼は自然な動作で歩き出し、そちらの方向へと向かっていた。光の元へ、力を食いしばって、斜面を登る足を動かした。
 しかし、彼は少し登ったところで一度だけ後ろを振り返り、表情が強張った。見えない母親のいた所を見つめた。目を凝らし、硬直していた。しかし、それも束の間、彼は勢いよく振り返って、逃げるように足を動かした。

 彼はようやく、先ほど捕まった地点へと戻っていた。そして、そこから目的の場所へとスタートを切った。満月の光が溢れているおかげで、彼の足取りに迷いが生じることもなく、幹から幹へと腕全体で抱えるように身体を支え、光源へと歯を食いしばって進んだ。
 しかし、彼が十分ほど登り続けた所で、彼の耳に声が入り込んだ。
「誰?」
 明らかに女性の声音であった。
 彼は分かりやすく当惑し、一本の木に捕まって、震える声を押し出した。
「誰だ!?」
「人の子かな」
 声の主は見えない場所から、足音を立てて歩いて来る。
 少しずつ、その足音は大きくなって行く。
 彼の足が震え始める。
 風が山の空気を揺らした時、彼女が木の陰から現れた。
 その時、満月は彼女の真後ろに位置していた。故に、彼女の姿形が逆光の仕業で、彼の目に恐ろしく映ってしまい、彼の膝は崩され、幹に捕まる腕だけが彼の身体を支えていた。
 それでも彼女の髪、尻尾の毛は満月と同じ色をしていたことだけ、彼は知覚した。
「おお、本物の人の子となんて、初めて喋った。君、名前はなんていうの?」
 その姿は、若い女の様であった。しかし、同時に完全に人でもなかった。尻尾が生えていたのだ。それも一本じゃない。
 彼の体中の筋肉は固まってしまった。
「えーっと、こういう時はどう言えばいいのかな。えっと、えーっとーー」
 何やら唸っている彼女を前に、彼は明らかに人でない何者かが存在していることに、改めて目を疑った。
「ーーあ! そうだ、あれだ!」
 彼の身体全身が強張り、震えながら彼女の顔を注視した。すると、彼女も彼の顔を見て、爪だけが異様に鋭い両手を使って自らの顔を覆い尽くした。
 そして、彼女は月を背中に抱えながら、彼に向けて言った。
「いない、いない、ばあ!」
 数秒、二人の間が空虚になる。
 彼はただ、彼女の行動を固唾を呑んで見守る。
 彼女はただ、彼の反応を注視する。
 互いが互いの次の行動に神経を張り巡らせた。

 どれほど時が経っただろうか。
 数分か、あるいは途方もなく長く感じた数秒か。
 その間、張り詰めた雰囲気に、彼女は耐えきられなかった様で、おもむろに口を開く。
「ああ、そうだ。別に君と喋らなくても、独り言で喋っていれば、全く問題ないね」
 混乱している少年は彼女の顔をようやくしっかり見つめようとした瞬間、彼女は後ろを向いた。彼女は何事もなかったかの様な雰囲気で語り始める。
「見られてしまったからには説明しなければならないんだけれど、少年、君にはわからないと思うが、この世は君の見えるものだけで構成されているわけじゃない」
 彼女は唐突に、こちらに背を向けたままそう言った。
 白基調の装束が向かい風に流され、彼の方へひらひらと踊っている。
 しかし、独り言を喋り始めた彼女に対して、少年は二、三度躊躇した後、遂に意を決して口を開いた。
「あなたは見えないものなんですか?」
 後ろを向いている彼女の耳がピクリと動いた。
「見えないものかもしれないけれど、見えるものかもしれない」
「でも、僕はあなたが見えています。だから、あなたは見える存在なのですよね?」
 後ろを向いている彼女は、耳をピクリと動かした。
「人の子とは恐ろしい。頭の回転が速いんだね。けれど、少し違うかな」
 彼女は右腕を隣に立っていた木の幹へと伸ばした。すると、少年はすんなりと言葉を発した。
「あなたに一つだけ聞きたいことがあります」
「なんでも聞いてごらん。答えられることなら答えよう」
「さっき、ここら辺で何かが光りませんでしたか?」
 彼女は後ろ姿のまま、黄金色の尻尾をリズムよく左右に振りながら、彼の質問に答えた。
「それは私の狐火の光ではないか? さっき無礼な動物がいたもんだから、何度か光らせて、追っ払ったんだけど」
「なるほど、あなたの毛並みに月明りが跳ねたわけではないのですか」
「光が跳ねる。面白い表現だね。覚えておこう」
「僕の言葉ではありませんけど」
「別に、君の言葉でなくとも構わない」
 すると、再び彼女の耳がピクリと跳ねた。
「何者かが近づいてくる。私は行くよ」
 彼は幹を抱えたまま、顔を彼女に近づけながら言った。
「また、あなたに会えるでしょうか?」
「君は私が見えたんだから。もしかすれば、会えるかもしれないね」
 そう言うと、彼が瞬きした瞬間、彼女は野狐のような小さな姿に変わって、山の暗闇へと走り抜けて行った。

「まったく、いい加減にしなさい!」
「ごめんなさい」
 履いているジーンズを土まみれにした母親が、彼の手を無理矢理引っ張って、草木をかき分け山を下っていた。
「もう子どもじゃないんだから、こんなに夜遅くまで遊んじゃいけないことくらい、分かるでしょう?」
「ごめんなさい」
 彼は謝ってから背後を見ると、山の中腹にポツリと立っている、壊れかけの電灯が、チラチラと明かりを不定期に光らせている。
「全く、なんてところで寝ているのよ」
 母親はこれ以上ないほど不機嫌な様子で悪態をついた。
 彼は先ほどまでその電灯に身体を支えられ、汚れた地面に座って寝ていた。
 数秒前、母親が少年を見つけ、肩を揺すって起こした時には、彼は飛び起きて、何やら訳のわからない言葉を、呂律の回らぬ口で発していたが、すぐに目を擦り、周囲を見渡し、頭を傾げた。
「お母さん、見えないものってあると思う?」
 それから意識をはっきりさせた彼は、母親の顔を見ず、自分の足元を見たまま、そんな突拍子も無いことを質問した。
「見えないものって、幽霊か何かってこと? 見えないものに根拠がないのなら、存在に値しないわよ」
「やっぱり、そういうものなのかな」
「何? 幽霊か何かでも見たの?」
「いや、やっぱりいい」
「そんなことより、あなたはもう少し反省しなさい!」
 彼は母親に何も報告しなかった。それが、言っても無駄だという思考からか、否定されることへの恐れからか、或いはまた別の、もっと深い思考から生じたものなのか、彼の無機質な表情からは何も読み取れない。
 彼は始まった説教から逃れるべく、ふと首を背けた。
 目が向かった先は満月の光も届かない、薄暗い草むらの中。
 こちらを見つめる狐の姿。

夜光 ©微泉

執筆の狙い

 初めて投稿させて頂きます。微泉(ビセン)というものでございます。
 初めてここに投稿させていただく物語は「夜光」。僕の幼少期の体験をフィクションにしたものです。
 教えて頂きたいことは、この物語を読んで何を感じたか、この物語のテーマはなんだと思ったか、の二つでございます。
 また、ご指摘として、どのようにすればこの物語がもっと魅力的になるか、文章がもっと美しくなるか、この文章の改善点、悪い点など多角的な角度から見た感想をいただければ幸いです。

微泉

14.10.50.0

感想と意見

November Rain

下の人の欄にも書きましたが、、、ソッコー感想つけてますけど、別にココ張っていた訳ではないのです。。
HDDが満杯で〜、、『エレメンタリー』の録画を消化&消去しながら、「電源が壊滅した前のMacBookに、諦め悪く通電試み」ていた〜〜。
(結局ダメだったんだよ。。MacBook、電源なければただのアルミ板…)


原稿、ざざざざーーーっと軽くナナメ見た感想は、「高校美術部&文芸誌発行の同人誌か?」って。

一見「書けている」ようでいて、終始文章の「語順がおかしい」のと、表現が一々大げさ(で、滑りがち)なのが、マイナス材料。
これはもう「書き慣れてゆくしかない」訳だけど〜、
「スマートかつシンプルな(素直な)日本語」ってのは、作者さんのように「一見書けている調で固まっちゃってる人」だと、余計に難しいんで。。
だから、まず、【一文の中の語順】(書く順番。主語と述語の位置!)から見直しを推奨。


ストーリーは・・
一見あるようでいて、実はあんまし(というかほぼ)動いていない。

現状だと、【文章硬く、ややこしく書かれた、ウルトラプチ・スケール縮小『夏目友人帳』劣化版の・・ぶつ切り状態】で、
「・・・。で? だから??」って感じだ。(ごめんよ…)

2017-11-12 03:36

219.100.86.89

偏差値45

>この物語を読んで何を感じたか、
既視感はある。

>この物語のテーマはなんだと思ったか
今のところ物語のスタート地点だと思いますので、それは分からないですね。

>どのようにすればこの物語がもっと魅力的になるか、文章がもっと美しくなるか
推敲を重ねることでしょうか。まだ読みにくい点もあります。ちょっと雑ですからね。

2017-11-12 04:43

219.182.80.182

ペンニードル

微泉 様 はじめまして

面白そうでした。

先の方も触れていますが、一文の構成が”ひっちゃかめっちゃか”というのが気になりました。
故に、読んでも内容が入ってこない。

>> 彼らの家の裏山、彼の目には壮大に映った、未だ青々とした木々が覆い尽くしていた山の中で、彼は先ほどまで大冒険を繰り広げていた。

▪️一文の中に”彼”を三度使っています。一度で済む文にするか、句点で二つのセンテンスに分けてしまった方がいいかも。
▪️(〜壮大に映った。〜繰り広げていた。)
別々の文章を読点で無理やり繋げています。
分けてしまった方が自然だと感じました。


>> 数秒前、母親が少年を見つけ、肩を揺すって起こした時には、彼は飛び起きて、何やら訳のわからない言葉を、呂律の回らぬ口で発していたが、すぐに目を擦り、周囲を見渡し、頭を傾げた。

▪️表記の揺らぎがあります。少年 と 彼 は同一でしょうか? 読み手にはわかりません。
こちらも母の動作と彼の動作が一文に合わさってしまっている。
▪️80文字以上の長文でこの文を表現する意味が見出せませんでした。


一度自分の好きな本を裁断してでもパソコンにテキストで取り込んで、一文の平均長さ、最短、最長、文の数、一文の読点数、一文の構成要素、役割。洗い出してみると自分の文章との違いがわかるかもしれないです。

それをやっている人のブログとかもあるので、自分の中に”一文の文字数の平均”みたいな物ができれば、長文と短文に意味を込められるようになるかもです!

2017-11-12 09:50

39.110.185.153

微泉

 三名の方、まずは御多忙の中、ご一読ありがとうございました。

November Rainさん

 感想ありがとうございます。これまで、書くことが好きで、書くことに没頭していただけに、主語と述語の位置なんていう基本的な部分に目をやることがありませんでした。また、芥川龍之介の偉大さに感化され、純文学を目指しているのですが、いずれはもっと娯楽性の強い文章も書きたい。その上、たとえ純文学といえど、最低限のストーリーは必要。けれど、ストーリー練るのが難しいんですよね……。僕の一番の課題だと思っております。

偏差値45さん
 感想ありがとうございます。上記の通り、ストーリーを作るのが下手な故、自らの経験に頼ってしまうのです。既視感の原因はこれかと。また、この物語がこの物語だけで完結していると同時に、もっと大きな物語の入りの部分でもあります。そこをバレないように書いたつもりなのですが……。ちなみにこれだけで描いたテーマは大きな物語のテーマと同じになっております。

ペンニードルさん
 感想ありがとうございます。具体例まで出していただき、とても参考になりました。一文の平均文字数、上記の方と同じく、指摘された部分を考えたことなどありませんでした。やはり、適当な自分のフィーリングで文を動かすべきではありませんね。長文で表現する意味を見出せなくて当然です。なんとなくそちらの方が良いと思ったから、そんな適当な思考で長文にしていました。一度、教えていただいた方法でカウントして見ます。

 御三方、本当にありがとうございました。

2017-11-12 10:49

14.10.50.0

thor

読ませて頂きました。

>生い茂る草木をも【ろ】ともせずに

*も【の】ともせずに

>頭を傾げた。

*頭は普通傾げれません。頭は曲がらないので。ひしゃげたとかなら分かりますが、死んでしまいます。なので、誤用だと思います。
○【首】を傾げた。

>ふと首を背けた。

*ふと【顔】を背けた


*全体的に【文脈】が整っていない印象を受けました。文章そのものは読みやすいので、もう少し推敲した方がいいかな、と僕は思いました。

物語としては少年(母親が【もう子供ではない】と言っていたのでちょっとイメージし難いですが)が、光る何かを気にしてそれを確認しに行くという流れですが、尻尾が複数生えた狐がその光の元であったようで、それでどうしたのかな、という感じです。

最後に狐が少年を見つめていたようですが、作者さんが何を伝えたかったのか、僕には読み切れませんでした。

ただ、これがフィクションではなくノンフィクションであれば由々しき事態だとは思いますが。

自分の事を棚に上げて言わせて貰いますが、やはり【推敲】をもっとこなす事をお勧めします。

執筆お疲れさまでした。今後も頑張って下さい。

2017-11-12 23:14

183.76.67.30

微泉

thorさん

 感想ありがとうございます。文章の流れに意味を持たせることって、簡単なようで非常に難しく感じております。でも、その難しさに虜になってしまったりするのですが……。上の方もおっしゃっておられるので、次からは今回以上に推敲を重ねてから投稿させていただこうと思います。

 貴重なご意見、ありがとうございました。

2017-11-12 23:28

49.96.10.89

夏目吉春

微泉様初めまして

早速ですがコメントをお載せいたします。

・この物語を読んで何を感じたか
>彼は先ほどまでその電灯に身体を支えられ、汚れた地面に座って寝ていた。
『九尾の狐』の夢を見ていたって事でしょうか。

・この物語のテーマ
>目が向かった先は満月の光も届かない、薄暗い草むらの中。
>こちらを見つめる狐の姿。
見えるはずのない暗闇の中に、狐がいると信じる心、未知のものに夢を描ける資質。

外れているかもしれませんが、読めない私の感想です。
ありがとうございました。

2017-11-13 00:23

114.166.126.173

微泉

夏目吉春さん

 感想ありがとうございます。私の文章力の拙さゆえに、難解になってしまっていると思いますが、読み切って、その上に文章に対する感想までいただけて嬉しい限りです。自分の思いを超えた感想をいただけると、嬉しいものなのですね。

 貴重なご意見、ありがとうございました。

2017-11-13 14:54

49.96.10.89

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