作家でごはん!鍛練場

『水底の友達(体験的オカルト)』

上松煌著

初期の作品です。「九月の葬奏」の前あたりのものです。未熟で申し訳ないのですが、そのまま掲載します。
体験的オカルトで、中学2年の上松隆の林間学校の話しです。
友達になった地元の子たちが、実はこの世のものでなかったというもので、作中に出てくる奥多摩地方の方言は、そのまま埼玉・群馬を含む現実の武州弁です。

         1

 氷川キャンプ場に向かうバスの中で、おれたちはけっこうハイになっていた。
東京都の公立中学はどこでも夏に林間学校がある。たいてい2泊3日で、自然や友達や先生たちがとても身近に感じられる楽しい行事だ。
「おい。こら、上松ぅ。今年はあんまりハメはずすなよ。学年主任の先生が、去年みたいなコトしたら、そっこーで家に帰すって言ってるぞぉ」
担任のケーシー先生がさっそくクギをさしてきた。
この先生は背が高くイケメンだ。
性格もおおらかで思いやりがあるから、おれも大好きな先生だった。それがなぜケーシーなのかというと、本名が千倉健二で頭文字がK・Cになるからだ。
ええと、去年みたいなこと?ああ、そうだ、去年は軽井沢だった。
クラスごとに3軒の民宿に分かれたのだが、おれはそこで地元の小中学生5人と友達になった。いいやつばっかりで、こっちの友達4人も紹介した総勢9人で「スグリ合戦」という遊びをやらかした。
発案者はおれで、民宿の庭にたくさん実っていた西洋スグリを引きちぎって投げ合う、単純なものだった。
ルールが単純なだけに、これはすげーおもしろかった。
みんな夢中になり、気がついたころには、3本あった木をボロボロにいためてしまっていた。しかも、マズイことにこのスグリは、宿の奥さんがジャム用に育てていたものだったのだ。
当然、学校側に苦情が入り、首謀者のおれは先生や大人たちから、厳重注意ちゅうい=きを受けた。
本当にこれは反省している。
思い返せば、地元の子の中には
「これ、ひょっとして食べられるんじゃね?」
と首をかしげた者もいた。
でも、確証はなかったし、実も小さく地味で、ぜんぜんうまそうには見えなかった。
悪気はなかったのだけれど、結果としては最悪だった。宿のおばさんのがっかりした顔は今でも忘れない。
「はい。もう、しません。だから、できればつりざお貸してください。おとなしくつりでもします」
ケーシー先生がつりざおを持ち込んでいるのは見えていた。
「あ?おまえ、つりできんのか。う~ん、そうだなぁ…」先生はちょっと口ごもった。「おれもつりたいし…。でも、おとなしくするってんなら、ま、いいか」
そして決心したように言った。
「よ~し、貸してやる。ただし、折るなよ」
「ええ~?」
友達たちから、不平の声が上がった。
(せっかくいっしょに遊ぶ計画だったのに)
みんなの顔はそう言っていた。
先生はちょっと笑って首をふり、それを無視した。
「と、いうことでおまえら、今日のところはとにかく上松ぬきで遊べ。明日はまた考えてやる。いいな」
これじゃあ、いやおうなかった。

          2

 キャンプ場に着くとすぐ、むきだしの川原にテントを張った。
一応、先生たちが管理人に確認したらしかったけど、ここしばらく雨らしい雨が降ってないということで川原の幕営が許可されたんだ。
川原は楽に張れるので、おれたちは大喜び。たちまちはり終えてしまった。
だから、夕飯自炊の前の自由時間がかなり伸びた。
真昼間だから魚の食いは怪しかったけれどつりざおを借り、みんなからはなれた淵=川がのあたりに座をしめた。
心が空っぽになって、眠いような気だるいような、軽い陶酔がやってくる。
その時、おれはきみょうな複数の声を聞いていた。
川音にまぎれるかん高いもので、笑いさざめきながら名前を呼んでる。
「きゃははは、タカちゃん…ふふふ。あはははは…ちゃん、タカ…ちゃん、ハハハ…」
「タカちゃん、タカちゃん、あは、あはは…タカ……タカちゃん!クスクス」
子供か女性の声に似て、小さいころのなつかしい呼び方だ。
おれは上松隆(うえまつたかし)だから、タカちゃんだった。最初は、ときほぐされてうっとりするような、次にはみょうに本能が警かいする、矛盾した感覚。
いきなり、右にタタラをふんだ。驚くほど目の前に淵の水面があった。
無意識にジリジリと前に進んでいたのだ。じっとりとイヤな不安につつまれて、急いで糸をまいた。
(ここはよくない)

         3

 氷川キャンプ場の川原は、蛇行する流れにそって弓なりになっている。
上流の断がいにかかる橋の下に行ってみた。川をせき止めた広い人工のプールがあって、ハヤかなにかのかげがいくつも走っている。
(おお~)
素直に感動した。あの呼び声も聞こえない。
ここがよさそうだ。
川岸のキイチゴのやぶにかくれてはいるが、そんなに遠くないところで友達たちの声も聞こえる。去年の軽井沢の「スグリ合戦」を再現しているらしい。自然に生えているキイチゴなら、投げあいに使っても文句は出まいと考えたようだった。
(つりやめて、こっそりまざろうかな)
あの楽しさがよみがえって、そんなことを考えたときだった。
目のはじのプールの中にだれかいた。
校章の入った夏用の体そう着ではないから、たぶん地元の子だ。一人で夢中になってなにかしている。
気になってしばらく見ていると、向こうも気がついたらしくこっちを見た。
ニヤッとテレかくしに笑って、そのまま動作を続ける。流れの静かな川底をすかしたり、もぐったり、向こう岸の岩の間をさぐったりして何かをとっているのだ。
興味がわいた。友達になれそうだった。
目の合った阿吽の呼吸だけで友達認定できるのは、だいたい中三くらいまでの子供の特権だ。それ以上の年齢になると、お互いにこの技は使えなくなってくる。
声をかけたいのをおさえて、しばらく川岸で見ていた。さっきまでの友達の声は聞こえなくなった。ハデな投げ合いにあきて、どこかに移動したのだろう。
「やっりぃ、ほれっ。岩場ぁ、かくねてんだど」
地元の子の声で、バシャバシャ川の中にかけ込んだ。
「おお~。すげえ」
ニジマスだった。上流にいくつもある国際マスつり場から逃げてきたものだろう。20センチ越えを手づかみにするとは、さすが奥多摩の子だ。
「いしに、くれるわ」
おぬしにやる、と言っているのだ。
「えっ、ほんと?あっりがとお~、サンクスッ!」
いきなり、最高の友達認定だった。なにか、お返しをしたかった。持ってきた菓子なんかでは芸がない。
そうだ、キイチゴもあるし、川もある。「水中キイチゴ合戦」ってのはどうだろう。
ためしに、あんまりじゅくしていない固いのを投げ入れると、空気中より水のほうが抵抗があるから、スピードが多少そがれて、実のゆくえが目で追える。
人工プールは対岸にかけて徐々に深くなるように川底がならしてある。、飛込みができる向こう岸の一番深いところは水深が180センチは優にあるのだ。
(いける!)
楽しいイメージがたくさんわいてきて、思わず声がはずんだ。
「ねえ、友達呼んでこない?プールん中でこれを投げ合うんだ。去年、軽井沢でやって、すげえ面白かった。陸上だったけどさ。水中のほうが絶対、もっと面白い。深いところで泳ぎながら、投げて当てる」
「おお~」
相手はすぐ納得して目を輝かした。
「いし、おぞい(頭がいい)。たまげたわ。さくい(気さく)の、いっぺえおるから、すいて(仲間に入れる)くれよな」
「もっちろん!でも、こっちはおれ一人でいい?」
友達は呼びたいけど呼べない。バレれば学年主任の先生はおこるに決まってる。
「いい、いい。そんでもどーせなら、夜にやんべえ。明かりつけっと、きらっきらきれーだわ」
「おお~。あったまいい~」
今度はこっちが感動だった。ライトアップされた水中はどんなに美しいだろう。
「あ?てい(集団)で呼んどるど」
いなかの子は耳もさとい。
きっと夕飯自炊(の時間なのだ。
そういえば班の連中だけでなく、ケーシー先生の呼び声も聞こえる。
早く決めなきゃ。
「こっちは夕方6時には食べ終わって、自由時間になるよ。でも、君たちがご飯かな?」
「いいって。やんべ、やんべ。でーじょぶだぁ。親にゃ、いいかげんぶしに薄らっぺ(ウソ)こいとく」
これで決まりだ。わくわくした。お互いにクスクス笑いながら、ここでまた落ち合うことにしてそれで別れた。

         4

 ケーシー先生につりざおを返しがてら、もらったニジマスをお礼に差し出すと、
「おっ、すげーじゃん。つれたのか」先生は目を丸くした。「だが、ま、おまえの腕より、おれの作った手製の毛バリのせいだな」
それでも、うれしそうに頭をなでてくれた。
「じゃ、おまえの釣果をありがたくもらって、先生たちみんなで一口づついただくワ」
自分でつったことにしたのはイケなかったけど、なんか誇らしかった。
おれは上きげんで班にもどり、率先してタキギを運んだり、火をおこしたりした。
6時からの自由時間が楽しみで楽しみで、自然に顔がほころんでしまう。
「げっ、さっきからキモくね?」
「なんか、女子のほうばっか見て、ニヤケてんぞ~」
「おまえ、ここまで来て色気モロ出しかよぉ。もお、イヤッ」
班の連中にイジられても笑いが止まらない。
星座観測を口実に、6時きっかりにテントをあとにした。今日の日没は18時23分ごろだが、谷あいの川は暗くかげって、もう夕闇が迫っていた。
シルエットになった奥多摩の山々を見上げると、山頂近くにちらちらと動く赤っぽいものが見えた。
ぼーっとにじんだ弱い光で、10個以上が並んで少しづつ山を下ってくる。
話に聞く「キツネっぴ(狐っ火)」だった。
平成のはじめまでは条件がととのえばまれに見えたと言うけど、いまどき見られるのは本当にラッキーだ。

         5

 「どした?」
いきなり肩をたたかれて、急いで振り向くと、地元の連中が来ていた。中学生くらいから幼稚園年少組ぐらいまで、総勢11人。
みんな楽しそうにニコニコして、さくい(気さく)やつばかりだ。
「おれはヤっちゃん」
そうだ、ニジマスまでもらったのに名前すら教えていない。
「あ、ごめん。おれはたかし。タカちゃん」
「おう。タカちゃん、知ってんど」
当然のように言って、全員をはしから紹介してくれる。
「これはヨシちゃん、あれはハっちゃん、リョウにマサにキョウちゃん、ガクにシンジにカイト。あのてごっぱたぎ(末っ子)がヨっちゃんとショウちゃん」
とてもいっぺんには覚えられない。だが、あせらずとも、時間がたてば自然に覚える。
ルールと言っても別にないけど、遊びのあらましはヤっちゃんが話してくれたらしく、小さい子もキイチゴの実をめいっぱいむしり、なれた様子で人工プールにつかっていく。
幼くても、東京っぺなんかよりよっぽど泳ぎは得意そうだった。
だが、彼らの持ってきた明かりを見て、正直、ちょっとびっくりした。
「これ、なに?かい中電灯じゃないの?」
「あ?あに(何)って、今日は盆の16んちだもんなぁ。これっきゃ、ねっしょ」
最初に紹介されたヨシちゃんが言った。背が高くて、しっかりした体をしている。年も一番上だろう。
「かい中電灯は目がしゃっぺえ(つかれる)ど」ヤっちゃんが楽しそうに笑った。「ま、東京もんは、おったまげるだがん」
「そりゃ、ちょっとはね。だってこれ、お盆ちょうちんでしょ。持ち出して叱られないの?」
「んな、わきゃあねえよ。盆ちょうちん下げて川っぱた行ぐんは、このへんじゃ、あったりめえだに」
ヨシちゃんをはじめ、みんな当然という顔だ。
そうなのか。
そういえば、おれの祖父母が子供だった昭和30年代には、近くの川まで盆ちょうちんに明かりをつけて行き、川におごり物を流して帰る風習があったそうだ。
盆の16日は、送り火の日なのだ。都内ですら、昔はそうだったのだから、このあたりにそれが残っていても不思議はない。
「このへんはな、お盆の魂は奥多摩の山の向こうの極楽浄土に帰るん。盆飾りは川に流す。海へ流れて、そんでぐるっと回って極楽に届くんちゅうな」
「な~るほど」
ヨシちゃんの説明でなんとなく納得した。。
それに、たしかにかい中電灯は目にギラギラする。
水深のある向こう岸に11個のちょうちんをズラッと並べると、やわらかな水色の光が夢見るように美しかった。
所々、新仏用の白いのもあって、それがいいアクセントだ。
「ちんまいのがいっから、10回当たったらおカユかっこむべえ。そんで自分っからあばするわ。こんなんでいいだいねぇ?」
ヨシちゃんが言った。「だいねぇ」は敬語だ。
「小さい子がいるから、10回、実が当たったらこうさんにしよう。自己申告でさよならする。それでいいですか?」
と言ったのだ。
ルールに関することなのでこっちを尊重して、年上なのに気を使ってていねいに言ってくれたんだ。
もちろん、大賛成だ。

         6

 「ほんじゃ、いっこむ(もぐる)べえっ」
ザブンとばかりに、いっせいに潜水する。
むし暑い大気中から、気持ちのいい水中に沈むと、冬の月光のように青く輝くちょうちんの光に包まれる。ものすごく気分がよくて、息つぎを忘れそうだ。
軽く泳ぎながら、自然に6人づつ2手に分かれた。
ヤっちゃんはもちろん、おれといっしょに上流側だ。
2人いるてごっぱたぎ(末っ子)の一人が、はにかみながらこっちに付いた。戦力はこれで五分五分だろう。
せーの、で戦闘開始!
たちまち、川下側からキイチゴ弾が飛んでくる。
キイチゴはつぶつぶがあるから、そこに空気がふくまれるらしく、魚雷のように小さな泡の航跡を引く。
水中を切りさいて飛びかうのが肉眼ではっきり見え、ぎりぎりでよけたり、手でつかみとったりできる。
自分の体も水にささえられ、重力の呪縛から脱して回転したり、宙返りしたり、自由自在だ。
マトリックス、そう、映画のマトリックスの世界だった。
三次元を思うさま舞うのが、こんなに楽しいなんて。おれたちは指令船の中の宇宙飛行士みたいに、空気中ではできないあらゆるポーズをためしながら、弾を投げ、かつ、よけ続けた。
攻げきも防ぎょも、CG画像みたいにカッコよく決まる。
全員、映画やアニメのヒーローだった。
だれもが戦闘シーンの主役だった。
水深もいつの間にか、ずいぶん深くなっていた。4メーターはあるだろう。
上流にダムでもあって危険防止のため、みんなが水浴びしない夜間に放流しているのかもしれなかった。その分、活躍できる空間がふえるのだから、好都合だ。
思った以上におもしろくて、想像以上に楽しかった。
おれたちは生れついての戦士みたいに果敢に戦った。

         7

 息つぎとキイチゴの補給のときは、必然的に無防備になる。
援護が必要だと考えたのは最初だけで、あとはなりゆきにまかせた。、
キイチゴは補充しなくても、流れ去ってしまわずに水中に浮いているし、息はなれたせいかずいぶん続いている。
まるで水のモノになったように、驚異的な肺活量を自覚できた。
それでも小さい子たちから、やっぱり戦列を離脱していく。相手側のてごっぱたぎ(末っ子)に続いて、こっちのショウちゃんも手のひらをめいっぱい開いて「10回」と合図して帰っていった。
新仏(にいぼとけ)用の白いのを持ってきたらしく、ちょうちんの白っぽい明かりがチラチラ遠ざかっていくのが、水中からも見えた。
敵も味方もだんだんに人数がへっていく。
猛者ばかりが残るから、戦線は苛烈になる。
中でもヨシちゃんはダントツに強い。
いつの間にか川下側は彼一人になっていた。
それでも鋭くて早い弾をビシビシ投げては、サッと移動していく。こっちはヤっちゃん、リョウちゃん、おれの三人が残っているが、手ごわくて油断できない。
リョウちゃんが岩かげに追いつめられる。
周りにキイチゴ弾は浮いていない。万事休す。
おれとヤっちゃんが集中攻撃で援護する。それでも相打ちになってしまった。
ヨシちゃんは本物の海兵隊員みたいにカッコよく敬礼して、リョウちゃんと肩を並べて去っていく。
2人がちょうちんを持ち去ると、暗さが増して本物の戦場みたいな臨場感がせまってきた。
ヤっちゃんが、サッと川下に移動する。
いよいよ、決戦だ。さっきの友はいまの敵なのだ。
おれは五本の指の間に弾を5個以上はさんで、一気に振り飛ばす奥の手を使った。装填にちょっと手間どるが、効果は絶大だ。
だが、ヤっちゃんは本当にすばやい。
さすがニジマスを手づかみするだけのことはある。
自然、戦闘はおれが主に攻撃し、ヤっちゃんがたくみに回避する形になった。
孫子の兵法でなくても、攻げきは最大の防御だから、上からの俯瞰が有利だ。
おれは水面近くに位置を占め、見下ろす位置でヤっちゃんの速攻をふうじ込めようとした。

         8

 いきなり、ザッザッと川石をふむ音がする。
ドプンと何かを突きこむ水音がして、川底でヤっちゃんが硬直した。
(えっ??)
尋常じゃないその表情に、ふり向いて総毛立った。
手!。真っ白い、長い長い人間の手。
それが伸びに伸びておれを引っつかんでくる。
青白いけどまぎれもなくごつごつした男の手で、それがマネキンでない証拠に、ちゃんと手のしわまで見えた。
恐ろしかった。死に物狂いで水をけった。
「ヤっちゃん!」
さし伸ばした指先を、つかんでくれるはずだった。じっさい、ヤっちゃんは途中までそうしかけた。だが、なぜか手を引っこめた。
「ヤっちゃん??」
叫んでガバッと水を飲んだ。
しまった、息つぎをわすれてた。ぎりぎりまで息を止めてたんだ。
猛然と苦しくなって、平泳ぎがイヌカキになった。それでも潜水して、手からのがれなくてはならない。
「ヤっちゃんっ!」
また、猛烈に水を吸い込んだ。
薄暗がりの青い水底で、ヤっちゃんが呆然とこっちを見ていた。顔にはもう、最初の恐怖はなく、ぞっとするような絶望と悲しみが、表情をつらそうな泣き顔に変えていた。
くずおれそうな悲嘆が伝せんしてきて、おれは幼児みたいにわっと泣いた。
いや、泣き叫んだ。
あの手ががっしりとつかんでいた。大人の男が死に物狂いになったときのものすごい力が、おれを水から引きずりあげた。
「カハアッ」
息ができた。同時に、あの気味悪い手がケーシー先生だったこともわかった。
それでも、おれは水底にもどろうとした。
ヤっちゃんが悲しんでいる。大事な友達が、青い水の底からなすすべもなく、おれを見上げて泣いているのだ。
残しては行けない。
おれ一人が陸上にもどってはいけなかった。
ヤっちゃんといっしょに、水底から生還しなくてはいけないのだ。
ものすごい鉄拳がきた。
おれはひとたまりもなく吹っ飛んで、川原のジャリに転がった。
同時に水をはいた。頭がくらくらして周りの景色が点滅するのに、川だけは唯一の目標のようにしっかりと見えていた。
おれは必死でその方向にはった。
情け容赦なかった。えり首とかみがつかまれ、草むらにふり飛ばされた。
おれを必死に川から遠ざけようとしていた。草いきれがムッときて、延髄のあたりがピキッと鳴った。
そのときはじめて、おれの動きが止まった。
「なにやってんだぁ、バカッ」
ケーシー先生の聞いたこともない、激しいどなり声がした。
「おぼれてえのかっ」
なぜか自分の体がわなわなとふるえてた。おれはガクガクしながら、やっとの思いで川を指さした。
ヤっちゃんがいるのだ。
先生は瞬間的に顔をくもらせた。
「アレか。アレが原因か!」
言うが早いか、さらにおれを引きずって、茂みの中に連れ込んだ。
声をひそめていた。
「いいか、先生も見た。アレは人間じゃない!」
(えっ?何を言ってるの??)
声にはならなかった。先生は、きっとちがうものを見たのだ。そう、まったく違う別のモノを。

         9

 「上松、ちゃんと聞けよ。おれがなぜここに来たか、話してやる」
先生はおれを強く自分のほうに向かせた。
「夕飯の後、先生はバンガローにいたんだ」
そうだ、先生たちはテントには泊まらないのだ。
「バンガローはちょっと高いところにあるだろ、川がよく見える。そしたら、向こう岸に何か青いものがいくつもある。よく見るとそれが鬼火なんだ。並んでチロチロ燃えてる」
(ええ~?盆ちょうちんを見まちがえたんじゃないの?)
「同時にものすごい胸さわぎがした。なにか、とんでもないことが起きてるんじゃないかって。そんで、とにかく川に急いだ。プールんとこまで来たら、おまえがうつぶせで、プカーッとういてるじゃないか。もう、仰天したワ」
(ちがうよ、先生。潜水しながら遊んでたんだ)
「正直、おまえはもうダメかもと思った。とにかく水から上げようと近づくと、化け物みたいなすげえ力で抵抗するじゃないか。半分、安心したけど、大変だったそ。おれまで水に引きこまれそうだった」
(化け物は先生だ。無性にこわかった。にげようとしたんだよ)
「それからあとは、おまえもわかるな。…とにかく、見たモノはわすれろ。おまえはとんでもない経験をしたんだ」
「先生」
おれはやっと口をきいた。
ハアハアしたあらい息づかいをやっとのことでととのえていた。
「ちがう、ぜんぜんちがう。川底にいたのは友だち。ヤっちゃんっていって、すごくいいやつ。地元の子なんだ」
そのまま、いきさつを話した。
だけど自分で話しながら、いくつもの矛盾点に気づいていた。
4メートルもあった水深。先生はなぜか、その中を歩いてきたのだ。
時間の経過もおかしい。
異様に長く続いた息つぎ。通常、息をしなくてもそんなにもつものだろうか。
そして、おれがヤっちゃんに助けを求めたとき、ヤっちゃんは途中で動きを止め、とても悲しそうに泣いたんだ。
それはなぜ?
つかめたのに、おれの手をつかまなかったのはなぜ?

        10

 「盆ちょうちんを持って、川やぼ地で御霊を送る風習は、今でも全国にある」
話を聞き終わってから、ケーシー先生は真剣な顔で言った。
「それ自体は不思議じゃない。だけどおれが問題にしてるのは、アレが送る側でなく、送られる側だったってことだ。おまえは友達、友達って言ってるが、この世の友達ならいい。だが、この世の者でなかったら?そこをよく考えろ」
考えたくなかった。
あのままふつうの友達だと思っていたかった。
だけど、今なら思い出せる。
あの時、盆ちょうちんに照らされて、だれも影を引かなかった。光はあっても影はなかったのだ。
自然に涙があふれた。
別れ。とてつもなく遠い別れの悲しみだった。
「もう、会えない。もう、会えないんだね。ほんとの友達だったのに。ほんとに心のかようやつらだったのに」
「そうだな」
先生はため息をついた。
「きっと、本当の友達だったんだな。おまえを連れてけたのに、そうしなかったから。だけど、それはこの世でおまえをほんとに思っている親や友達やほかの先生やおれがいたからでもあるんだ。生きてる者の思いはそれくらい強いんだ」
おれはケーシー先生の言ってることがわかった。
まだまだ未熟な中学生のおれたちを、いつもそっと見守ってくれている人たちの思いがあるんだ。
その人たちはいちいち口に出さないから、じっさいにはなかなか気づかないし、気がついたとしても、うっとおしくてついつい反発してしまう。
おれたち子供は、あたたかい思いやりや善意にであうと、わかっているくせにどうして心ない言葉や態度を返してしまうのだろう。
もちろん、いつもじゃないし、ほんとはごめんって思っていることもあるんだけど…ね。
おれはケーシー先生にに抱きついて思いっきり泣いた。
うれしさと深い感謝はほかに表現のしようがなかった。
「あはは、タカちゃん、タ…ゃん、きゃはは、タカ…タカちゃん、クスクス」
かん高いあの声が再び心にひびいてきていた。
おれは今、その声の一つ一つを聞き分けられた。
ヤっちゃん、ヨシちゃん、ハっちゃん、リョウちゃん、マサちゃん、キョウちゃん、ガクちゃん、シンちゃん、カイちゃん、てごっぱたぎ(末っ子)のヨっちゃん、ショウちゃん。
楽しげなさざめきは、そのまま別れの表明でもあったのだろう。
「ほら、帰ってくぞ」
先生の声で見上げると、黒々した奥多摩の山頂に向かって、ちらちらと狐っ火が遠ざかっていくところだった。
多摩は古くは魂(たま)と、書きならわしていたそうだ。
たましいの帰る多摩の山々は、川や海を介さずに、そのまま西方極楽浄土につながるのだ。
「さあ、こっちも帰るぞ。学年主任の先生には、おまえが星座観察の途中で浅瀬にころげ落ちたって言っとくワ。びっしょりだし、おれにぶんなぐられてだいぶアザがあるからな」
そうだ。おぼれたなんて言ったら、主任の先生はカンカンになっておこるだろう。
かばってくれるケーシー先生の言葉はありがたかった。
あたたかく強い手に肩を抱かれて、おれは班のテントに向かって歩き出した。

水底の友達(体験的オカルト) ©上松煌

執筆の狙い

初期の作品です。「九月の葬奏」の前あたりのものです。未熟で申し訳ないのですが、そのまま掲載します。
体験的オカルトで、中学2年の上松隆の林間学校の話しです。
友達になった地元の子たちが、実はこの世のものでなかったというもので、作中に出てくる奥多摩地方の方言は、そのまま埼玉・群馬を含む現実の武州弁です。

上松煌

153.204.129.199

感想と意見

偏差値45

>せーの、で戦闘開始!
>たちまち、川下側からキイチゴ弾が飛んでくる。
>キイチゴはつぶつぶがあるから、そこに空気がふくまれるらしく、魚雷のように小さな泡の航跡を引く。
>水中を切りさいて飛びかうのが肉眼ではっきり見え、ぎりぎりでよけたり、手でつかみとったりできる。

何かのあそびなんでしょうけど、イメージが分からない。
そもそも面白いのか? という疑問がある。

>おれはケーシー先生にに抱きついて思いっきり泣いた。

小学生ならば分からないこともないけど、中学生ならば自我が強いので、
青春ドラマではないので、ちょっとリアリティーがないですね。

全体としてイントロ部分が長いので走り読みをしてサビの方をゆっくり読んだ感じですが、、、。
分かりやすいですし、よく書けていると思ますが、それほど面白くはないです。
正直、どうでもいい話をカットして、美味しいところだけにした方が印象に残ると思います。

2017-10-07 22:17

219.182.80.182

上松 煌

偏差値45さま

さっそくお読みくださり、感謝感激です。
いやぁ~、こっぱずかしくて悶えております。


 >全体としてイントロ部分が長いので~正直、どうでもいい話をカットして、美味しいところだけにした方が印象に残ると思います。

本当におっしゃる通りです。
実は初期のころに書いたものですので、みなさんのお目にかけないつもりだったのですが、なんか懐かしくなって晒してしまいました。

ご指摘の部分、自分でも感じましたので、直して出そうかとも思ったのですが、未熟なころの自分がどんな評価を受けるかと考えなおし、
そのまま出して、ああ恥ずかしいwww

でも、恥ずかしく思えるだけ、自分も成長したのかなぁと思います。



 >何かのあそびなんでしょうけど、イメージが分からない。


水中を泳ぎながら木イチゴの実を投げて当てるという単純な遊びです。
10回当ると、自己申告で帰る、というルールをセリフで説明しています。
方言と標準語で2回解説しておいたのですが、わかりにくかったですか?へったくそですみません。


 >小学生ならば分からないこともないけど、中学生ならば自我が強いので、


そうですか?
先生が命がけで助けてくれ、しかもこの世の人間とばかり思っていた心の通う友達が現世の者でなく、しかも最後の最後に水死させることを断念して
くれたのです。
それは先生をはじめ、親や友達その他のかかわり合いのある人たちの無言の思いがあったればこそだったのです。
オレみたいな、かなりヒネクレタ中学2年でも、ぬくもりを求めてしがみついて泣きます。

くどくどとすみません。
作中で読者の方を納得させなければいけないのに、こんなところでいくら弁明しても恥の上塗りです。

本当はもうひとつ、この「水底の~」の前に書いた初期の作品があります。
恥かきついでに2週間後にまた、手を入れずに晒しちゃおうかなぁ~wwww
晒す前から、あ~~~~~恥ずかしい。
でも、それがなぜか、快感に????

でも、忌憚なきご指摘、本当にありがとうございました。
心より感謝いたします。
オレ、顔真っ赤よw

2017-10-07 23:18

153.204.129.199

ちゅううし

純然たo b u t s u

2017-10-08 16:57

126.211.118.58

上松 煌

ちゅううしさま

悪意の感想をくださり、感謝感激w

マジレスすると、処女作の「友達を殺した」の次が「赤い絵」だったのね。
そのあとに1作あって、これだったわけ。

2作とも出来が悪いんで、そのあとの「九月の葬奏」を載せて掲載しなかったんだけど、やっぱ、消す前にみんなにみてもらおうかなぁって出したワケ。

初期のものだから、未熟でムダが多いけど、


 >純然たo b u t s u

 
で、あるほど悪くはないと思う。
内容もね。
オレとしてはちゃんと読んでもらえれば、けっこう納得できる作だと思うけど?
ま、最後がクサイという批判はあるかもだけどwww

でも、ちゅううしさまにも、感謝!

2017-10-09 08:20

153.204.129.199

端月

読ませていただきました。
わたしは上松煌さんが前回出していらっしゃった、近未来軍事ポリティカルフィクション(? よりはこちらが好きだよ。

落ちはタイトルからしても、半ばも読めばおおよその想像つきます。


植松さん。この話、王道設定でいって欲しかったなあ。
主人公の上松君、元気よすぎる。同級生とかのマア中心的人物だし。嫌われてないし。

わたしならこうするという事で我慢して読んでよね。
主人公=孤独。 ひょっとしたら虐められている。→ 霊と触れ合う。→ 楽しい→ でも違うと気付く(ここんとこKC先生を利用)→ 主人公気付く→ ミタイナ。王道過ぎるか? 笑

スミマセン。上松煌さん失礼しました。面白かったです。

2017-10-09 19:28

183.176.74.78

上松 煌

端月さま

いえ、○月さまですよね?
あなたはおれが叩かれているときに、いつも助けてくれる。
ありがとうございます。
心より感謝いたします。
○さま、ちゅっwww

 >前回出していらっしゃった、近未来軍事ポリティカルフィクション(? よりはこちらが好きだよ。

いや、フィクションじゃありません。
発想を転換するだけで日本国は世界を席巻できるんですよ。
「東京独立戦争」ではあえてボカしておきましたけど、日本国はアメリカを恐怖させることすらできるんです。
もちろん、こちらからは手を出さず、協力・協調路線を表明してねwww
あの川村不比等都知事のやり口は、アメリカには一番痛いんです。

アメリカは民主主義国家を提唱しているし、実際に民主国家だから、自分からは決して手を出さない。
相手国からの攻撃に、やむなく、というのが、民主主義国家の「手」なんです。
だから、北朝鮮にあれだけバカにされても自分からは攻撃しない。
そのかわり、グァムの領空・領海を犯したら、ものすごい反撃が待っている。

北はそれがわかっているから、北海道沖にしかミサイルを撃てないwwww



さて、体験的オカルトのほうに話を戻しますが、


 >主人公=孤独。 ひょっとしたら虐められている。→ 霊と触れ合う。→ 楽しい→ でも違うと気付く(ここんとこKC先生を利用)→ 主人公気付く→ ミタイナ。王道過ぎるか? 笑


はい、王道すぎます、というか、副題見て~~。
オレ自身の「体験」なんです。
おれ、ガキの頃はいじめられたことも、人をいじめたこともないですが、大人になってからはイジメられてますワ。

作品「彩を愛したもの」は運営から削除、アク禁。
星空文庫のアクセス数が何日も止まったきり、増えない。
他作品ではそんなことなかったのに、な~~~~ぜぇ????
毎日、確実に閲覧数は増えていたのに????
その後、ごはん伝言板カキコも削除に次ぐ削除w
おれ、ごはんに来るようになって8月27日ごろで4カ月になったんですが、マトモにカキコできたのは2ヶ月くらいという驚きw
「お題は●(うんこ)虐待」も削除w

やっと解除されて「東京独立戦争」。
そしたら、星空文庫のアクセス総数がなぜか数日止まったと思ったら、毎日、いままで積み上げた総数が減っていく。
アクセスは毎日積み上がるもので、減ることはない。
いくら、星空運営にメール送っても改善されない。
当初、16,000くらいあったアクセス総数が数が、減りに減って…という状態ですワ。

もう、徹底していじめられっ子wwww

おれは趣味で書いているので、それ以上の意味はないのに、この扱い。
まぁ、いいですけどね。

つい、○月さまに甘えて現実しゃべっちゃったw
○月さま、本当にうれしいです。
あなたに大きな幸いが訪れますよう。
あなたの感想で、おれ、人間の善性をまた信じようと思いました。
ありがとうございました!

2017-10-09 22:14

153.204.129.199

上松 煌

端月さま

追伸

その後、作品書いてますか?
昔のものでもいいから、上げてください。
お互いに楽しく作品づくりに励みましょうね。

では。

2017-10-11 08:32

153.204.129.199

端月

上松さーん!
新作あげました。
完全無欠のジュンブンガク作品ダヨーン(笑)

2017-10-11 20:07

183.176.74.78

上松 煌

端月さま

うほほほ~~~~♪
さっそくですね。
でも、オレ、酔っ払って帰ってきたんで…。

明日、つつしんで読ましていただきますね。
楽しみだなぁw

2017-10-11 23:51

153.204.129.199

夜の雨

『水底の友達(体験的オカルト)』拝読しました。


純粋に作品を書いておられるなぁと、思いました。

方言。
「作中に出てくる奥多摩地方の方言は、そのまま埼玉・群馬を含む現実の武州弁です。」ということで、これはもちろん読みにくかったですが、それを超える内容でしたので、すんなり読めました。
「方言」がある小説をあまり読んだことがないので、一般の小説ではどうなっているのかわかりませんが、方言よりも普通の言葉で書いたほうが読みやすいことは確かですね。
今回御作の解説付きの方言は、読めましたけれど。(公募とかに出す場合は、どうなのだろうかと思いました)。

構成はよかったです。読みやすかったです。
まず、内容に余計なことを書いていないということですかね。
作品的には1本道でした。
原稿用紙25枚なので、ほかのことを書いてしまうと、構成のバランスが悪くなると思いますが、御作の場合、主人公の「わんぱくぶり」で伏線を張っておき、その主人公が異界の者(魂)に引き込まれる。
主人公が異界の者と遊ぶことにより、あちらの世界に引きずり込まれるところをケーシ先生に助けられる。
王道ですが、面白くて、ある意味怖いといった内容でした。

キャラクターも安定していました。
ケーシ先生、よかったです、ちゃんと大人していました。
主人公はわんぱくぶりがよかった。

異界の者(魂)たちですが、複数出てきますので、それぞれ書き込んで、個別にキャラクターをわかるようにしたほうが、イメージがつかみやすくなります。
ということで、主人公と異界の者との接触部分を増やす必要があると思います。
今回の場合は原稿用紙25枚なので、あと5枚増やしてその分を主人公と異界の者との交流に使うとよいのでは。
10枚増やしてエピソードとして書き込んでも面白いかも。
今回の主人公と異界の者とのエピソードは「ニジマス」の件と、「水中キイチゴ戦線」。
「水中キイチゴ戦線」こちらのエピソードが軸になっているわけですが、遊びの説明とかに、かなりの紙面が使われています。
この説明は描写を先行させて、説明したほうがエピソードらしくてよいと思います。
または、説明なし(描写だけ)でもわかるような遊びにするとか。

異界の者(魂)は、主人公に対して悪意はなかったようですが、物語的には、悪意はなくても、異界の世界に連れて行こうとしている事が読み手に伝わるような内容にした方が、作品のテーマが描かれてよいのではないかと思いました。

●異界の者(魂)は、主人公と遊びたかっただけというような内容でした。
―――――――――――――――――――――――――――――――
ところで今回の作品、以前のまま手直しせずに投稿したらしいですが、手直しして、現在の力で書いた作品にしてから投稿したほうが、さらによい作品になると思います。


面白い作品、ありがとうございました。

2017-10-14 18:09

58.94.229.120

上松  煌

夜の雨さま

ご覧いただきありがとうございます。
感想まで落としてくださり、感謝感激です。


  >純粋に作品を書いておられるなぁと、思いました

ありがとうございます。
初心のころでしたので、未熟ながら一生懸命でした。
今、読むと、ああ、恥ずかし、恥ずかし、穴があったらブチ込みたいw
消そうと思ったのですが、どんな感想がつくかと出してみました。
(汗w)

  >異界の者(魂)たちですが、複数出てきますので、それぞれ書き込んで、個別にキャラクターをわかるようにしたほうが、イメージがつかみやすくなります。
今回の場合は原稿用紙25枚なので、あと5枚増やしてその分を主人公と異界の者との交流に使うとよいのでは。
10枚増やしてエピソードとして書き込んでも面白いかも。

なるほど~。
でもオレ、長くなるのに恐怖感があって…。
「長いと読んでもらえなくなるのでは???」
と、常に葛藤があります。


  >物語的には、悪意はなくても、異界の世界に連れて行こうとしている事が読み手に伝わるような内容にした方が、作品のテーマが描かれてよいのではないかと思いました。

ああ、やっぱり、差しのばした手を水底の友達が摂らなかった、だけではわかりにくいですかね。


  >手直しして、現在の力で書いた作品にしてから投稿したほうが、さらによい作品になると思います。


アドバイスをありがとうございます。
この作品は拙くて、恥ずかしくてたまらない半面、今のオレにはない純真でひたむきな部分があり、それが消えてしまいそうで困っています。
台無しになりそうな気がするのです。


そういえば、話は変わりますが、オレの初期の作に「九月の葬奏」というものがあります。
(1作目「友達を~」と共に、作者の出生の本懐です)という長ったらしい副題がついています。

これは後半部が実に恐ろしい話で、書いたオレ自身、怖ろしくて封印し、読み返していません。
「強い暴力的表現あり」を地で行っています。
しかしながら、オレの原点であり、これを書くために生まれたんだ、と今でも本気で思っています。
たぶん、この先いくら書いても「九月の葬奏」を越えられないと思います。
技量的なものではなく、心情的にです。

人を選ぶ作品で、ご不快かとは思いますが、もし、お気持ちがあれば読んでいただき、できればここに感想をくだされたく存じます。

星空文庫に載せておりますし、「九月の葬奏」でも出ます。
いかがでしょう?
ご無理は承知ですし、お断りくださってももちろんかまいません。

感想を本当にありがとうございました。

2017-10-14 21:27

153.204.129.199

夜の雨

「九月の葬奏」10月17日(火曜)の夜までに、感想「こちらに」書きます。


作品は「星空文庫」より、ワードに取り込みました。

2017-10-14 23:36

58.94.229.120

上松 煌

夜の雨さま

ぶしつけなお願いをご了承くださり、心よりうれしく思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

              上松 拝

2017-10-15 08:59

153.204.129.199

夜の雨

「九月の葬奏」拝読しました。

原稿用紙70枚の作品でした、すんなり読めました。


全体的な感想から。

2部構成になっていますね。

前半
半場での生活。
大学の空手部を辞める条件ということで、金鉱堀の山で半場の生活をしてすごす。
半場では、ええ加減ひどい生活で、主人公はよく我慢するなぁと思っていました。
読んでいると描き方が半端ではなくて、人里離れたタコ部屋での生活が垣間見えました。
裏世界にかなり入った描き方がリアルだと感じました。

こちらで気になったのは、「シメ(締め)、サシ(指し)、タチ」ほか登場人物多数いて、入れ代わり立ち代わり出てくるので、誰が誰だかわかりにくいところです。
登場人物を整理して、見通しをよくすると、人物がよく見えてくると思います。
グリズリーなどは、キャラクターがよくわかりました。
ほかのキャラクターと違って、わかりやすく描かれていたと思います。

この半場での生活は最初では仲間意識などは垣間見えなかったのですが、半場を去るときは人間関係が構築されたのだと思いました。
作品的には面白いです。

後半

比留間という空手部の主将ですが、軽薄な悪の役、よく似合っていました。
こちらの方は登場人物が整理されていたので、流れがわかりやすかったです。
3年生で筋を通すキャラクターがいましたが、この人物が比留間の圧力に屈していく様などは読みこたえがありました。
この後半では「主人公」「比留間」「正義の3年生」この3人がわかりよかった。
チンピラ(空手部員)の描き方はこんなものですかね。
チンピラで登場人物「その1、その2」という感じです。
流れは、前半の山の半場よりもわかりよかったです。
まあ、道場での暴力が中心に描かれていたので、1本道だったということもあると思います。

―――――――――――――――――――――――――――――

作品的にはエンタメではなくて「文学作品」として読めました。
作者さんは「エンターティメント文学」が書ける才能をお持ちのようですね。

「エンターティメント」だと娯楽が中心でその中で人間ドラマが挿入されているといった感じです。
「文学」こちらは人間ドラマが中心で人間の生き様を掘り下げていく。

「九月の葬奏」(御作)ですが、「文学」を描きつつ、エピソードの部分で人間を描くために半場の生活を描いたり、空手の退部騒動での暴力を描いたりしています。

前半の半場での生活から後半での空手部退部暴力事件と、流れはよかったと思います。


まとめるとこんな感じ。
前半は、山の半場での生活の描き方がかなり魅せるものになっている。
登場人物が多すぎて整理できていない。
小説としては、この前半部分に人間らしさが描かれていて、かなり良い作品になっている。

後半は、ストーリー(流れ)は単純なのでわかりやすい。
登場人物もキャラクターがわかりよい。
3年生が、特によかった。
主将の比留間は、描き方が上滑りしているように思いました。どうしてこういった無慈悲なキャラクターになったのかのエピソードを書いておけば、比留間という悪のキャラクターに厚みと説得力が出ると思います。
主人公は哲学をお持ちのようで作品内で考え方を書いておられますが、そのあたり読んでいてあまり頭に入ってきませんでした。(たぶん哲学が説明的だったからだと思います)。
ただ、違和感はなかったです。これは哲学がしっかりしたものになっていたからだろうと思います。

ラストはどうなるのかと思っていると、主人公の哲学の語りで終えたのは、うまい書き方だと思いました。
未来志向の哲学になっていました。
結局主人公は人間性において比留間を打ちのめしたということになります。


作品内の暴力の描き方について。
このエピソード(具体的描写)は、必要だと思いました。
暴力がしっかりと描かれているから、主人公の思考の流れ、3年生の正義感、そして屈服などがリアルに感じられると思います。
どちらにしろ、ラストは比留間の暴力に屈しなかった主人公ということで、良い終わり方だと思います。


よい作品をありがとうございました。

2017-10-15 20:54

58.94.229.120

上松 煌

夜の雨さま

 オレのずうずうしい願いをよくぞ聞き届けてくださいました。
心より御礼申し上げます。
初期の作品なので、欠点満載です。
読みづらいところや、わかりにくいところも多々あったでしょう。
ご努力を本当にありがとうございました。


  >2部構成になっていますね
  >裏世界にかなり入った描き方がリアルだと感じました


はい、結果的に2手に別れたカタチになりました。
オレ自身は裏には縁がないのですが、ブラック会社で経営者などからの暴行や殺人事件を見ると、だいたい想像がつきます。


  >「シメ(締め)、サシ(指し)、タチ」ほか登場人物多数いて、入れ代わり立ち代わり出てくるので、誰が誰だかわかりにくいところです


それぞれの人物が登場するたびに説明してはいたのですが、やっぱり未熟でわかりにくいですかね。
▼支配階級
 NO,1=シメ(締め)
主任の地位で陰険な部分あり。主人公が大学生で空手部というだけで、少し気に食わない。〆て自分の力量と裏の怖さを示したい。
 NO,2=サシ(指し)
全共闘時代の東大生。体制に反発し続けて、金鉱堀りに転落したもよう。ハッパ技師。やることは大雑把で仕事柄どなり散らしているが、案外、人情家。

その他、運転手・チンピラなど10人ほどがいる。


▼労働者階級
 シモさん=胃弱風の痩せサラリーマンあがり。主人公の最初のパートナー。
 カワさん=がっちりした筋肉質。労働者の中心的存在で、元中堅企業主。サシ(指し)と仲が良く、本部の派遣のタチの悪事を暴く。
 ヤマさん=ユーモアのある家庭持ち。年季があけて家族のもとに帰れるのを心待ちにしている。菓子の件で、グリズリーオヤジに復讐される。
 ヒラさん=すばしっこい運動神経の持ち主。タチの匕首を素早く拾い上げたりする。
 タチさん=本部からの派遣という肩書が自慢。実は薬物を使って、自分の勢力を増強しようという獅子身中の虫。バレてポシャる。
 グリズリー=アタマの足りない池沼だが、体も大きく力がハンパないので重宝される。ヤマさんを殺害して中国に送られる。

 こんな感じです。
ここで説明するようじゃ、ダメですよねw


  >作品的にはエンタメではなくて「文学作品」として読めました。
  >作者さんは「エンターティメント文学」が書ける才能をお持ちのようですね。
  >「エンターティメント」だと娯楽が中心でその中で人間ドラマが挿入されているといった感じです。
  >「文学」こちらは人間ドラマが中心で人間の生き様を掘り下げていく。


 説明をありがとうございます。
「エンターティメント文学」という分野は知りませんでした。


  >まとめるとこんな感じ
  >前半は、山の半場での生活の描き方がかなり魅せるものになっている。
  >登場人物が多すぎて整理できていない

  >後半は、ストーリー(流れ)は単純なのでわかりやすい。
  >登場人物もキャラクターがわかりよい。
  >3年生が、特によかった。


 はい、よくよくお読みくださり、感謝です。
クソ長い話をわかりやすく噛みくだいていただき、うれしいです。


  >主将の比留間は、描き方が上滑りしているように思いました。どうしてこういった無慈悲なキャラクターになったのかのエピソードを書いておけば、比留間という悪のキャ  ラクターに厚みと説得力が出ると思います。


 はい、これも書いておいたつもりですが、不明瞭ですかね。
もともと悪いヤツが、親父の金や立場を鼻にかけて、いっぱしの顔役気どりで世間すら甘く見ている。
空手部主将は単に示威行為で、殺人を犯すことすら気まぐれな遊び、禁じられた武勇の一環としか認識していないクズです。


  >主人公は哲学をお持ちのようで作品内で考え方を書いておられますが、そのあたり読んでいてあまり頭に入ってきませんでした。(たぶん哲学が説明的だったからだと思い  ます)。
  >ただ、違和感はなかったです。これは哲学がしっかりしたものになっていたからだろうと思います。


 ああ。頭に入ってきませんでしたか…。
オレの一番訴えたかった部分です。
やっぱり、必死に書きすぎたのかなぁ。
一般人は現状社会に満足していないし、現状や将来に悩み苦しんでいる人たちだらけです。
どこかでそれを変えないといけない。
「そのためには、どうすべきか?一人ひとりの自覚によるしかない」
というのが、九月の葬奏のテーマであり、オレの主義主張であったのです。
それで夜の雨さまにお願いして読んでいただいたのですが…。


  >ラストはどうなるのかと思っていると、主人公の哲学の語りで終えたのは、うまい書き方だと思いました。
  >未来志向の哲学になっていました。
 

 ありがとうございます、最後は主人公の遺言の形になりました。


   >結局主人公は人間性において比留間を打ちのめしたということになります。


そのようになるでしょうか?
オレは主張の部分が理解してもらえなければ、やはり打ちのめされた気分です。
自分の原点であり、これからもこの物語りを越えることはないでしょう。


  >作品内の暴力の描き方について。
  >このエピソード(具体的描写)は、必要だと思いました。
  >暴力がしっかりと描かれているから、主人公の思考の流れ、3年生の正義感、そして屈服などがリアルに感じられると思います


 ありがとうございます。
オレもそのつもりで、「他人をイジメ殺すことはこれほど恐ろしいことなんだぞっ」という感じで書いたのですが、やりすぎの感があります。
だって、夜の雨さまに気に入ってもらえた、3年生。
この人は最初から、なんとか主人公を早く返してやりたいと思っていた人です。
その気持ちが、しだいに自分自身を追いつめる結果になる。
最終的には意にそぐわない殺人まで犯す結果になる。
大学3年生は成人していますから、成人の刑法で裁かれる。
武道を納め、夢も希望もあったでしょうに、それが台無しになるんです。
こわい~~~~~~!

それに主人公の凄惨な最後。
夜の雨さまの他にも読んでくれた人がいたのですが、これにはみんな嫌悪~~~。
とくに女性は「こわい、怖い」という印象だけしか残らないようでした。
オレ自身、自分のこととして書いてしまったから、こんな死にかた怖くて封印!


  >ラストは比留間の暴力に屈しなかった主人公ということで、良い終わり方だと思います


そう思ってくださる、夜の雨さまに心より御礼申し上げます。
長くなりました。
オレ、今日、代休もらってあるんで、のんびり書きすぎました。
ごめんなさい、ありがとうございました。

2017-10-16 13:35

114.162.64.110

上松 煌

追伸

夜の雨さま

  >>主人公は哲学をお持ちのようで作品内で考え方を書いておられますが、そのあたり読んでいてあまり頭に入ってきませんでした


に対し、

 九月の葬奏のテーマであり、オレの主義主張であったのです。
 それで夜の雨さまにお願いして読んでいただいたのですが…。

なんて書いてしまいましたが、気にしないでくださいね。
だれでもそれそれに思うところがあって生きているのですから、>あまり頭に入らないのは、異なる思いがあるからでしょう。
お読みいただいただけで、存外の喜びです。

たくさんの感想をいただけただけで、本当に感謝しています。
重ねてありがとうございました。

2017-10-16 15:31

114.162.64.110

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です(テクニカルサポート)。

:
:
:
3,000字以内