作家でごはん!鍛練場

『ヒガンバナ』

佐藤著

ヒガンバナが好きなので書きました。
もう枯れちゃいましたね。

 うだるような暑さが過ぎると、何か拍子抜けしたものを感じる。
 学校帰り、家路をたどる恵子の足取りは重い。また今日も勉強に集中することが出来なかった。受験勉強も、そろそろ追い込みの時期だというのに。このままでは、ろくでもない結果が出てしまうかもしれない。きっと親がうるさくなる。考えるだけでも憂鬱のあまり、食欲が旺盛になりそうな気分だった。
 知らぬ間に、立つは弁当の陳列棚前。コンビニエンスストアの中である。どうやって入ったのかすら覚えてないあたりが致命的だ。「自分が思っているより、ほんのちょっとだけ食欲が常軌を逸していたらしい」。そんな、国語だったらしっかりバツがついてしまいそうな感想が頭をよぎった。
 ついでなので、適当に物色することにする。ずいぶんとスカスカの陳列棚なので、選択の余地はあまりない。結局一番取りやすそうな置き方となっていた牛丼弁当を手に取った。更に、レジに向かう途中、冷蔵庫を開け、烏龍茶のペットボトルを入手する。
「いらっしゃいませ」言うと、パートのおばちゃんは慣れた手つきでバーコードをスキャンした。
「546 円になります」
 おばさんの言葉はショッキングなものだった。恵子の指が一瞬止まる。値段の計算に失敗したのだ。小銭入れの中にある総額は 530 円。十分足りると思っていたのに。
 だが、負けない。何食わぬ顔で野口英世を取り出す。
「1000 円からでよろしいですか?」
 うっさいな早くそいつで清算してよこんなクソみたいな店とっとと出たいんだからまったくもう、とはもちろん言わない。にっこりとして「はい」。おばちゃんが袋に弁当とペットボトル、それから箸を入れた。
「ありがとうございました」
 自動ドアを抜けると、風が吹き付けてきた。冷たく、湿り気を帯びている。空模様もずいぶんと重い。一雨くるかもしれない、自然と駐車場をぬける足が速くなった。道路に出て数メートル、そして途中の路地へと入り込む。両側にぎっしりと家が立ち並ぶ、手狭な空間。奥に向かってゆるい上り坂になっている。恵子の家はこの先だ。ただし、ちょっと遠い。小高い丘の上に建っているのだ。
 家のほうを見上げる。すると、重い背景色を彩るかのような、あざやかすぎるほどの赤を見つけた。花だ。草木がこれからしおれていこうと言うときに、はちきれんばかりの瑞々しさを放っている。
 彼岸花だった。
「へえ。もう咲いてるんだ」
 夏の次は、秋。こうまで単純な事実を、いまさらのように思いつく。
 いよいよ雨が降ってきたので、恵子は急いで家へと駆け込んだ。
 勉強のことは後で考えよう。今は、牛丼をレンジに放り込むのが先だ。

ヒガンバナ ©佐藤

執筆の狙い

ヒガンバナが好きなので書きました。
もう枯れちゃいましたね。

佐藤

126.36.112.218

感想と意見

十月はたそがれの国

まあ「主人公、高校生なんだろうなー…」と脳内補完して読む訳ですが、
最後まで「高校受験なのか、大学受験なのか」が書かれていないし、
(“塾帰りにコンビニに寄る”って中学生もあるので…)

「要らん事」はうだうだ記載されてる割に、「ヒガンバナの美しさ、そのヴィジュアル」の記載が皆無っつー、
不親切、寸足らず原稿で、
一見まとまっているようでいて、その実ほぼスカスカ。


中3なのか高3なのかは、冒頭部分で簡単説明可能だし、
ハイライトである筈の「ヒガンバナの描写」は「コンビニ内のお金のやり取り」なんぞより、よっぽど重要だろう。

そこ簡単に省いて(ハナからサボって)しまう制作姿勢は・・よくない。

2017-10-05 10:50

219.100.86.89

偏差値45

「お弁当は温めますか?」
という台詞がないからやり直しです。

「1000 円からでよろしいですか?」
これは本当はNGです。
「1000円、お預かりします」

もちろん、冗談ですから気にしないで下さい。
全体的にはビジュアルとして想像できるので悪くないと思います。

2017-10-05 11:21

219.182.80.182

izumi


「1000 円からでよろしいですか?」
 うっさいな早くそいつで清算してよこんなクソみたいな店とっとと出たいんだからまったくもう、とはもちろん言わない。


( ^Д^)よほど、イラッとしてたんでしょうね。おなかがすくと、イライラしますよね。

自分が中3なのか高3なのか、意識から消えてしまうくらい空腹であった、今の季節すら忘れてしまうくらい空腹であったのに、それがたまたま見つけた彼岸花によって、突然思い起こされる……。

テーマは自然讃歌ですね。自然の余裕ってすごいですね。恵子の意識を取り戻してくれました。

お勉強がんばってくださいね。牛丼美味しかったですか?( ^Д^)

2017-10-05 11:32

210.142.99.103

阿南沙希

はじめまして、読ませていただきました。たぶんさらっと書いたものですよね? レビューをそんなに求めてる感じがしないので、野暮かもしれませんが…気になったことを何点か書かせていただきます。

1:まとまりが今ひとつ
季節に気づく、ことで一見まとまっているように見えますが、「牛丼」と「主人公の心の声」と「ヒガンバナ」の3点がバラバラの印象を受けます。この三つをまとめながら季節に気づくと見事な一作になったと思います。

私の主観ですが、たとえばヒガンバナが牛丼の紅ショウガみたいに見えてそこまで空腹に支配されかけた自分に笑えてくる、またはヒガンバナに寄せるなら牛丼の色合いを見て至高の美食とか思ってる時にヒガンバナの真っ赤な花を見つけて、あ〜この赤さを忘れてた…と自分に哀愁を感じる、など、この短さならまだまとめられるかな、と思いました。
まとめるだけが全てではないですが、フラグのバラツキが魅力というにはあと一歩足りない気がします。

2:細かい部分
先に指摘がありますが、年齢やふとした一文(主人公の家の場所で「ただし…の文は不要かと)、ヒガンバナの生えてる場所はどんなとこなのか? などが不足しています。ただ、推敲ですぐ解決しますし、おそらくその技術はおありかと思います。


世間話ですが、「○○円になります」って、今や一般化してますが違和感すごいあります…昔バイト先で厳しく直されたな〜と。
若い子ばかりの話の時にあえて書いたりしますが「ございます」を使うキャラも出すなど、私はわりと時流に逆らってしまうのですが、なります問題についてはどのようにお考えでしょうか? 用法の批判ではなく、単純に意見を聞いてみたく書いてみました。

長々とすみません。面白かったです〜。次作も楽しみにしています!

2017-10-05 13:10

126.152.203.117

ささき

はじめまして。

気がつくと陳列棚の前……あるあるといいますか。
izumi氏とだいたい同じような感想なのでどうしようかなとおもったのですが、おもしろかったという一言だけでもお伝えしたくて書いております。

おもしろかったです。
ありがとうございました。

2017-10-05 15:54

125.13.228.244

七篠

個人的には彼女が高校受験なのか大学受験なのかはどうでもいいと思うので、一応フォローしておきます。
そもそも、「国語だったら」と言っているので高校の現代文、古文とは違う視点=高校受験と認識できてもおかしくはないと思いますが……

コンビニのドアを抜けてからの、空の描写がいいなと思いました。一雨来るかもしれない、が好きです。

2017-10-05 15:58

180.145.187.31

佐藤

十月はたそがれの国さん

なるほど。自分が描きたかった部分は寧ろ「要らんとこ」でしたので、十月はたそがれの国さんには届きそうにもないですね。

それにしても、年齢設定をまるで考えておりませんでした。これについては手落ちとしか言いようがありません。

また遠景としての彼岸花の群生についても、確かにきっちり描ききるべきでした。

ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 18:30

49.97.99.141

佐藤

偏差値45さん

素で返して申し訳ないのですが、

2017-10-05 18:36

49.97.99.141

佐藤

偏差値45さん(続き)

「あたためますか?」は普通に入れ忘れました……
リズムが崩れる恐れはありますが、ない方が不思議ですね笑

ビジュアルが浮かんでくれたのであれば何よりです。
ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 18:39

49.97.99.141

佐藤

izumiさん

割と日記帳なのがバレている気がして
そわそわしました笑

苛々していたところにぶわーっと広がる
彼岸花を見てふと我に返った気がした。
そんな実体験を書き起こした感じで、
しかも「社会人だと重いし学生にすんべー」
くらいしか考えていませんでしたので、
作者自身恵子の年齢を分かっていません。

とりあえず、今書いている奴への勉強を更に頑張りたいと思います笑

ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 18:52

49.97.99.141

佐藤

阿南沙希さん

とありがとうございます!
お察しの通り、今書いているものの息抜きでしたので、
頂戴しているご指摘に「確かにそうだよなー……」と、
少々気恥ずかしさを覚えております笑

1:まとまりについて
ここは、寧ろ意図しないようにしました。
のんべんだらりとした時間、空間が欲しかったので。
それをこの長さで描き切れているかどうか、で問われると、
やはり「もう少しやりようは合ったんじゃないの?」
と言うご指摘になってしまうのかもしれません。

2:細かい部分について
年齢については既出ですのでスキップさせて頂きます。
ただし、についてはご指摘を頂戴した上で見返しても、やはりここに欲しいよな、という感覚でした。もしかしたら「ただし」に取り憑かれているのかもしれません笑
彼岸花の咲き方、これも既出ですが、こちらについては返答を。確かに、どう咲き乱れているか、は欲しいですね。遠景の中に大きく収まる群生、と言った感覚ではあったのですが、ここにはもっと言葉を費やすべきでした。

そして最後の「543円になります」問題ですが、1:に対する回答に近いかもしれません。あるものをあるままに描き出したらそりゃまとまりもなくなるし正しくない表現も飛び出るよね? と言うところでしょうか。
ちなみに自分は接客業ですので、この手の表現はむしろ注意する側です笑

ともあれ、楽しんで頂けたのであれば何よりです。ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 19:24

49.97.99.141

佐藤

ささきさん

正真正銘の「ご笑覧下さい」物件だとは思っています笑
面白いと感じていただけ、良かったです。
ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 19:27

49.97.99.141

佐藤

七篠さん

すみません、作者がそもそも主人公の年齢設定をしておりませんでした…何やらはしごを外す感じになってしまい、申し訳ありません。

外に出たときの様子ですか。ありがとうございます。ここについては、結構日記です笑 先日感じた感じを、そのまま放出した感じですね。

ご感想、ありがとうございます!

2017-10-05 20:56

49.97.99.141

エア

物語の流れの展開はイメージ出来るのですが、
タイトルだけだと、コスモスでもなんでも代用出来そうな気がしますね。
私の近くにヒガンバナが咲いていない事が理由かもしれませんが。

2017-10-06 15:49

202.127.89.205

佐藤

エアさん

確かに、この作品は彼岸花の異常な存在感に寄り掛かっているので、見慣れない方にはピンとこないと思います。

はっ! ということは、これは彼岸花という神の一次創作にイマジネーションをもらった二次創作……!?

すみません取り乱しました、エアさんのご感想に妄想の翼がはためいてしまいました。

自分の感覚の手狭さを実感しました。今回得たこの感覚を、上手く今後の執筆あるいはタイピングに活かしたいな、と思いました。ありがとうございます!

2017-10-06 22:06

1.75.10.189

なかがわ

こんばんは。拝読しました。
私自身は書いたことのないタイプで、面白いなーと思って、うまくまとまりませんが感想を書かせていただきます。

どうでもいい日常をつらつらと書き連ね、彼岸花があり。
間違いなく鮮やかな一コマなのに、作品はそれを尊重してあげない。
すぐにどうでもいいほうに戻っていく。
主人公が彼岸花をきっかけに人生のなにやら考え出したりしていたら、なんかちょっと違うと私は思ってしまったに違いない。
> 「へえ。もう咲いてるんだ」
このスタンス良いですね。

最近ぼんやりと、小説って文学ってなんだろなァと考えて、中二から退行して四歳児くらいになっています。
自分なりの回答を定めるつもりすら全く無いのですが。
『ヒガンバナ』、私のぼんやりしたところに乱入してきました。
だからこの作品は文学だとかいや違うとか、そういう判断をするわけではないのです。
これがピースとなるひとつの場所が私の中にあったらしいというだけです。

しいて難癖をつけるなら、主人公が彼岸花を見た瞬間がちょっと回りくどく感じました。
タイトルがあるから読者はもう承知しているはずで、段階を踏んだ文章はあまり効果がなかったと思います。
逆に、タイトルが違うものでも良かったのかなという気もします。

独り言めいてしまって申し訳ありません。
興味深い作品を読ませていただき、ありがとうございました。

2017-10-16 22:02

119.175.253.201

かろ

 拝読しました。
僕、ずれてるっぽいんですみません。
これは題名が違うんじゃないかなって思いました。
受験生の勉強したくない感じ、なんていうか言い訳というか。なんか分かります。
あれしたら勉強しよう、これやってからみたいな。
僕にとって彼岸花って、奇麗でいてなんかミステリアスです。
気持ちすごい伝わります。勉強なりました!ありがとうございます。

2017-10-16 22:54

218.221.94.74

佐藤

なかがわさん

感想を拝読して、自分の中でもつながったものがありました。
ここ近年、自分の行動を省察して、あっ自分 ADHD だな、と気付いたのですね。
ADHD の感覚って、何と言うんでしょう、
よく言えばあらゆる感覚が都度都度で更新されます。
それでも残るものは残っていたり、と言う感じで。

この話、そう言った「更新と残存」のキャッチアップになってるのかな、と思いました。

難しいですね、その意味で大きな更新をもたらした
「ヒガンバナ」は、やっぱりタイトルとしてドンと鎮座してしまうんです。
けれども、敢えて違うタイトルにするのなら、と考えるのはとても刺激的でした。

ご感想、ありがとうございます!

2017-10-17 12:34

126.36.112.218

佐藤

かろさん

別のタイトルかー。自分ではこれ、思いつきそうにないんですよね。

かろさんとは、彼岸花に対するイメージの「ずれ」が大きかったりするんだよね、とか、
そんなことを考えたりしました。とは言え、おそらく自分が持つイメージの方が
一般からかけ離れている気はしますw
「あの時期に一瞬だけ見れるやけにカッコイイ花」が、自分のイメージですので笑

ご感想、ありがとうございます!

2017-10-17 13:07

126.36.112.218

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