作家でごはん!鍛練場

『飽きた』

黄色い鈴著

まだまだ改良の余地がありそうです。

第一章1  『それは唐突に』

「アヤト、これが終わったらお開きにするからな。それっ」

 目の前にある小さな薄型テレビには、筋肉質な2人の男性がお互い身構えて立っている。
 彼らの頭上には、何やらゲージの様なものが黄色くチカチカ光り輝いたが、画面右側の男のゲージは真っ赤に染まっていた。

「てめぇ、もう瀕死じゃねぇか。それとなにいってんだよ、カエデ。俺達の冒険はまだ始まったばかりかのでーすっ!」

「なんだよ冒険って……始まってねぇし、始まらせねぇよ?」

 カチャカチャとコントローラーのボタンを鳴らし、画面に映る男を操作する。
 カエデの操作する男がアヤトの操作する男を倒し、画面には1P WINと表示される。
 そのままカエデは立ち上がり、腕につけた時計をチラッと見てアヤトに言いつけた。

「もう6時半だ。そろそろ帰れ」

「何言ってんの。俺はとっくにお泊まりの許可を貰ってんだけどー?」

 再戦目的でキャラを決め直しているアヤトは、当たり前のように呟くが、カエデはかなり嫌なようで、

「ファ!? お泊まり!? だから俺はそんな暇じゃ」

「ファ!? ……なんて言ってる奴を初めて見たわ」

 文字では打てるが実際には言えない様な言葉遣いをしてしまう。


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「本気でカエデママの作る飯は美味いっ! うちのかーちゃんとは別格だな」

「確かに今日はなんとなく豪華かつ凝ってたな」

 あれからカエデとアヤトの2人は、カエデの母に呼ばれて食卓を囲んでいた。
 カエデの母の料理は確かにいつも絶品だ。
 しかし、普段は面倒がって大まかにする味噌汁の豆腐のサイズを均一にしたり、ネギを入れなかったり、ワカメを多くしたりと、カエデに得のありすぎるフルコースであった。
 その丁寧かつ親身な光景に、なにか妙なものを感じ取るしかない。
 なにやら気を使っているような、そんな気がする。

「さぁ始まりました、クラスの好きな女子発表会ゲームッ!」

 修学旅行の夜には定番のアレ。
 『「お前好きな子誰よ」ゲーム』と、カエデの学校で呼ばれているそれは、大体言い出しっぺがただ単に発表したいだけのものである。
 どこの学校でもそんなものだ。
 とりあえずカエデは無視して床に布団を敷いていた。

「無視とはなんでござりんすか。けしからんガキでございますねー。さぁ、大きな声で……イエーイッ!」

 好きな人が出来ても実ることのない恋を辞めたカエデにとって、この企画は少々、いや、だいぶ苦である。

「いえーい」

「おいおい、なんだよその腑抜けた返事。確かに受験生としてピリピリしてんのは分かってるけどよ、ちょっと焦りすぎじゃね? まだ半年もあんのによ」

「お前はスポーツ推薦で大学決まったけど、俺は無能な少年なの。だから必死こいて今出来ることをしねぇといけねぇの。それとお前なんでテンションあがってんの?」

「とにかく、カエデは少し焦りすぎています。今日だけはゆっくりしてさ、楽しくしよーぜ?」

 なんとなく今日の出来事が繋がった気がした。
 カエデとアヤトは幼稚園、小学校、中学校、高校と同じだ。
 高校に関しては、アヤトがスポーツ推薦で入学した高学歴の私立に一般受験で付いて行った形になる。
 その際の苦労は今も覚えているが、今年もその年がやって来ていた。

 カエデ――月島楓《つきしまかえで》は高校生でこれと言った才能がない受験生。

 ちなみにアヤト――神田綾人《かんだあやと》は野球に恵まれて、大学は既にスポーツ推薦入試が決定している。

 カエデにはアヤトしか友人がいない。
 高校デビューで一花咲かせようとしたが、上手くいかなかったようだ。

「まぁ、今夜だけなら……ちょっとだけ」

 そのためアヤトと同じ大学に行かなければ、ぼっちで大学生活を送らなければならないため、何が何でもアヤトと同じ大学に行かなければならなかった。
 あまり本人や両親には言えないが。

「おお、心の友よ! じゃあ早速、俺から発表させてもらうな! やっぱり安定の春奈ちゃんだろっ!」

 アヤトには友人が沢山いる。なのになぜカエデと仲良くするのか、最近の謎だった。
 陰と陽の2人は、一見あまり仲良く無さそうなのだが。

「お前ロングヘア好きだもんな」

 やはり幼稚園から一緒、というのが大きいのか。
 しかし、幼稚園児は言ってしまうと低脳。
 数年経つと忘れてしまう生き物だ。
 だが衝撃的な出来事は低脳でも、脳に焼き付けられる。
 やはり幼稚園のあの出来事がこの関係を築いているのか。

「そーなんだよ、そーなんだよ。ロングこそ正義、ロングこそ真実っ! こればっかりは譲れねぇな、はいっ次はカエデの番っ!」

「盛り上がってるところ悪いけど、お父さんが帰る前にお風呂入っときなさい」

 階段を無音で登る潜伏スキルを習得しているカエデの母がドアを開けて侵入。
 潜伏スキルを習得したのは、思春期の息子が部屋に篭もりっぱなしで、息子のナニをナニする瞬間を目にしようとしたのがきっかけだ。
 プライバシーの壁を越えて探究心が勝ったのだろう。
 しかし、母が目にしたのは予想外のものであったが。

「あ、カエデママ。了解っス。じゃぁ一番風呂はお前に譲ってやるよ」

「当たり前だ」

 カエデはそのまま階段を降りて浴室へ向かい、更衣を済ませると頭と体を洗い、そのまま湯船に浸かった。

「やっぱり心配かけてんのかな」

 普段は使用を禁止されているフローラルの香りの入浴剤が溶けたお湯に浸かり本音が漏れる。
 香水や芳香剤の匂いがあまり好きではないカエデには、この好意ある行為は嫌がらせに限りなく近かった。

 さらにカエデはぬるま湯が好みである。
 しかし家族はカエデの設定する温度に体が合わないようだ。なのでカエデは毎日シャワーだけで済ますのだが。

「最近部屋に篭ってばっかで、お母さんにも見られちまったしな」

 カエデはあまり勉強が出来ない。
 頭は悪くないのだが、中学まで勉強をしてこなかったツケが回ってきたのか、高校受験も相当苦労したのを覚えている。
 毎日勉強する日々に疲れて少し泣いていたのを母に見られた際は、普段澄ましているメンツが丸潰れてた。

「でも俺にはこの道しか残されていない。頑張れカエデ、俺ならできる」

 だが、アヤトやこれからの人生を考えると希望が湧く。
 無駄にテンションを上げて自分を褒め倒した時には、シャーペンがするする動く。

 悪くいえば単純。良くいえば褒めたら伸びるタイプ。

 カエデは風呂から出ると、背後から視線を感じた。

「おい、何見てんだよ」

「いや、思春期の息子が息子をしごくのはいつなんだろうなーって」

 ドアから顔だけを出している母が、カエデがタオルで隠した息子を凝視している。

「もう最近はいじって……って何言ってんだっ! もうアヤトの番だから帰れ。ジジイもそろそろ帰ってくるし」

「なにがジジイよ。お父さんの前ではお父さんって呼ぶくせに……やっぱ思春期ねぇ」

 父はあまり好きではない。というか嫌いである。
 勉強であまり良い順位を取れない時は、「あんな高校低レベルなのにこれか」、「おちこぼれ」、「アホ高校だそあそこは」と皮肉を言い放つ。
 父がカエデより高学歴なら納得……しなくもないが、まだ分かる。しかし、その時になったら教えると言っていた出身高校や出身大学を言わないうちからこれらの発言はクソくらいだ。
 しかも、次の日にはケロッと不自然に優しくなったりする気分屋。

 マジでムカつく。しね。ふざけんな。うぜぇ。はやく家をでてぇ。
 そんな父の悪口やストレスを発散させるため、ぶつくさ考えながらながら階段を登った。

「お、カエデおかえり。ちょっとこれやってみよーぜ」

 アヤトは勝手にカエデのPCに電源を入れていて、なにやら怪しげなサイトを見ている。
 そして机になにか書かれた正方形の紙が何枚も置いてあり、ゴミ箱にも数枚捨ててあった。
 紙にはあまり上手くない六芒星が描かれている。
 なんども描いては失敗したのであろう。

「あー、これってパラレルワールドに行くやつだろ? なんか異世界の自分と入れ替わる的な。でも本当に成功しねぇし迷信だろ……まぁやってみるくらいならいいけどよ」

 なんだかワクワクしてきたカエデは意外にも乗り気だ。
 先ほど風呂場で意識表明をしたばかりだと言うのに。だがそれもアヤトと一緒になりたいからするものであるので、アヤトと一緒ならお笑い芸人でも犯罪者でもやるつもりだ。

「じゃーやってみよーぜ! 俺やったことねぇんだよ! 1人じゃちょっと怖ぇし」

 アヤトはビビりながらも興奮している。
 アヤトはお化け屋敷が苦手だ。理由は簡単。怖いから。
 そんなアヤトが、『飽きた』といわれるパラレルワールドに行く。または異世界に行くこの方法を提案するのは、やはりカエデの受験のプレッシャーをほぐすためだろうか。

「ならさっさと寝るぞ。お前もはよ風呂入れ」

 『飽きた』のやり方は至って簡単。5cm×5cmの紙に三角形と三角形を重ねた星である六芒星を描き、真ん中に赤字で『飽きた』と記入する。これだけ。
 なぜ赤文字かは分からないが、ネットにはその方が効果が上がるとかなんとか。しかし、なぜネットにその情報が記載されているかは不明である。帰りの方法があるのだろうか。

「パラレルワールド……異世界……んなもんアニメで満足ですけど。てゆうか行き来できるならいいけど、帰りの切符がねぇのがありがちだな」

 アヤトがお風呂が上がると、2人は『飽きた』と書かれた紙を握りしめ眠りについた。


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 ここは確かにカエデの部屋だ。

 この慣れ親しんだ柔らかいベットに枕。
 この慣れ親しんだ狭くて心地よい部屋。
 この慣れ親しんだ唯一無二の友人の顔。

 どこもかしこも、カエデの知る慣れ親しんだ場所。
 しかし、なにか違和感を感じてならない。
 なにか、なにかがおかしい。今はそれがカエデの頭の中に浮かび上がる。

 突然目を覚ました先ほど、なにかこの違和感には気づけなかったが、もう一度寝ようと二度寝に走った時に疑惑が確信に変わった。
 聞こえるべきはずの時計の秒針の音が聞こえない。それどころか動いていない。ほかにも不可解な事がある。

 扇風機が動いていない。
 カーテンが物理的に不自然な状態で止まっている。
 アヤトのいびきが聞こえない。

 その時に感じたのは恐怖。『飽きた』が成功してしまったと理解した。

 カエデはアヤトを起こそうと体に力を入れるが、

「――――」

 体が動かない。
 耳鳴りと共にやってきた金縛りが、カエデの体の自由を奪っていた。少し期待した暗示だろうか。

 声が出ない。
 喉が切れて、そこから空気が漏れているような感覚に近い。

 頭が痛い。
 ハンマーで頭の内外を叩かれているようで、頭蓋骨が今にも割れそうだ。

「――――?」

 なにか見られている気がする。どこからか鋭い視線を感じて、カエデは思わず視線の先を見つめる。
 今思ったが首は動くようだ。目も動く。だが体は動かない。
 カエデが見つめる先には人ではない、形のない、黒い靄があった。
 時が止まったこの世界を、月明かりと街頭が照らしていたためうっすらだが、何がどこにあるかはしっかりと把握出来た。
 しかし、この靄だけは奥が見えない。
 ここだけ真っ暗。違和感しか感じない。

 怖い。



 ――怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。



 ただそれだけ。ひたすらに恐怖がカエデを襲う。

 靄がどんどん大きくなり、やがて、カエデの視界が靄で一杯になった。
 そのとき体が以上に熱く、中に靄が入っていくように感じた。

飽きた ©黄色い鈴

執筆の狙い

まだまだ改良の余地がありそうです。

黄色い鈴

119.82.162.183

感想と意見

田島春

台詞も地の文も「ひと捻りしてライトにしよう」という感じが前に出過ぎていて状況が読み取りにくかった。
文自体はまともだし冗長でもないし、文章が下手だというわけではないと思うけど、情報の出し方がぎこちないというか。
きっと、文学等の方が向いている。

あと、これは作者さんのせいではありませんが、
こういうサイトは数分で書いた悪戯書きみたいな駄文が、ひやかしで投稿されることが多いです。
「飽きた」というタイトルは、まさにそういう駄文だと勘違いされて、開くこともされないままスルーされる可能性が非常に高いと思います。
 二重括弧を使うとか、都市伝説の「飽きた」で有ることを少し匂わせる等の工夫が必要かもしれません。

2017-09-18 04:57

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