作家でごはん!鍛練場

『真夏の記憶』

モカロール著

18の女が書いたものです。友達は誉めてくれますが、身内以外はお世辞でも誉めない文章だと自負しています。指摘や批判を頂きたくて載せました。

 夏真っ盛り、蒸し暑い日のこと。市民図書館へ本を返しに行くために、一人の男が小道を歩いていた。
 タオルを首に引っ掛け、ラフな格好をしている。右手には本の入った紙袋をぶら下げていた。
 男が突然、弾かれたように振り向いて立ち止まった。が、元々人通りの少ない小道には、誰もいない。
 確かに肩を叩かれたのに、と男は首をかしげつつ再び歩き出した。
 その途端、男の背に冷たい汗が伝った。白昼堂々幽霊が出たのかと怖くなった男は、歩く速度を上げた。
 男は小さい頃から怖がりで、特におばけが大の苦手だった。大人になっても、やはり怖いものは怖い。
 目に汗が入る。喉が乾く。紙袋の持ち手が汗でふやけ始める。
 前方に大通りが見えてきた時、青信号が点滅を始めた。やがて赤に変わり、男は信号機の下で立ち止まった。
 汗を拭っていた男は、背後に気配を感じた。悪寒が走る。絶対に振り向いてはいけない。
 早く青になってくれないかと焦りながら、全神経を集中させて後ろの様子を探る。
 と、肩を叩かれた。反射的に振り向く。
 そこには、水色の日傘に白いワンピースという格好の女性が立っていた。男がほっと肩の力を抜くと、女性も同じようにほっとした表情を浮かべた。
「良かったぁ……追い付けないかと思いましたよ」
 見た目にそぐわない低めの声に違和感を感じている男に、女性は手にしていた本を差し出した。
「これ、落とし物です」
 男ははっとして紙袋を見た。底に大きな穴が一つ、開いていた。礼を言おうと女性の顔を見て、汗一つかいていない青白い顔に恐ろしくなった男は、目を逸らした。
 男は差し出された本の表紙を凝視したまま礼を言い、本を受け取った。軽く会釈して踵を返し、信号が青になった横断歩道を渡り始めた。
 渡りきった時、耳元で声がした。
「待って」
 息をのんで動きを止める。女性がいつの間にか目の前に立っていた。その生気のない目に、男は体を強張らせた。女性の紫色の唇がゆっくりと動く。
「体、貸して」
 冷たい声の響きに凍りついた男の心臓に、女性がゆらりと入り込んだ。

真夏の記憶 ©モカロール

執筆の狙い

18の女が書いたものです。友達は誉めてくれますが、身内以外はお世辞でも誉めない文章だと自負しています。指摘や批判を頂きたくて載せました。

モカロール

126.212.151.136

感想と意見

九月が永遠に続けば

まず、「白いワンピースの女」を、決して出してはいけません。。

自分の経験上、ここのサイトで【白いワンピースの女が出て来た短編】は、これまで1本の例外もなく、ことごとくが駄作だった。(ごめん…)


“文章拙い・小説書き慣れない”状態であっても、それはそれである程度いいんです。
「白いワンピースの女」とゆー、【とてつもなく類型的】な、物書き初心者が誰でも彼でもやらかす描写(凡人はやらずにはおれないんだろうか?? と不思議で仕方ない描写)に堕することなく、「自分の言葉で」書いててくれれば。。


冒頭、
 >夏真っ盛り、蒸し暑い日のこと。市民図書館へ本を返しに行くために、一人の男が小道を歩いていた。

↑ 「三人称・神視点」ってやつだと思うんだけど、違和感ありまくるので、「三人称単一視点」で通して書いてみて。


本文で引っかかる点、
紙袋の底が抜けて、中の本が落下したら、途端に重量変化するし、落下音もあるから、「落下時点で気付かない人はいない」だろう。
(借りた本の扱いが雑な時点で、主人公に同情する気が失せてましたし…)

内容〜オチは・・
太田忠司『目白台サイドキック』の3巻目に、似たよ〜〜な話があった。

2017-09-08 17:58

219.100.86.89

カジ・りん坊

 男の紙袋に大きな穴が一つ開いて中身を返した女が「体、貸して」と男の中に入っていくというのは面白い構成だと思いました。
 しかも『市民図書館』で『借りた』本だしね。

 ポイントとして『貸す』『借りる』『中身』『外身』と真逆の物を上手く使っている感じでした。夏の出来事であれば『セミ』なども入れ込み、セミの『抜け殻』を連想させるのもありかなと思いました。

 ところが、最初のきっかけが『その途端、男の背に冷たい汗が伝った』と唐突で、白昼堂々幽霊が出たのかと怖くなった男はとか、男は小さい頃から怖がりで、特におばけが大の苦手だった。大人になっても、やはり怖いものは怖いなどと補足説明の文章が続くのですが、どうしてもこうなると→こういう構成になると後出しじゃんけんのようになって、この作品はこういう構成か!何事か起こって、それに続く解説文が続くのか!!という印象になりがちです。

 そこを、例えば最初から小道を歩かせるのではなく、幹線道路から外れ小道に入ると、空気が少しひんやりとしたとか場面を何か起こりそうな雰囲気にしながら、この男は実は気が小さいと見せる方法もあるように思いました。
 そういう小道に対する恐怖感を最初に書いておけば、もうそれだけで気が小さい男は本を落としたことに気づかないかも知れないと感じることも出来るだろうし、本の落下音や重量の変化にも気づけない理由になる気がします。

 ボクは18歳、上手いと思いました。
 

 

2017-09-08 21:24

112.137.227.226

モカロール

九月が永遠に続けば様

 読んでくださりありがとうございます。感想をくださりありがとうございます。
 駄作と言ってくださりありがとうございます。ほっとしました。


 >まず、「白いワンピースの女」を、決して出してはいけません。。

 いいえ、典型的な幽霊の格好でいいんです。全て男の幻覚ですから。ですが、自分の言葉で書きなさい、というのは心に染みました。全くその通りだと思います。同じ「白いワンピースの女」を書くにしても、自分だけの描写の仕方を見つけなさい、とおっしゃっているのですね。


 >「三人称・神視点」ってやつだと思うんだけど、違和感ありまくるので、「三人称単一視点」で通して書いてみて。

 分からなかったので調べました。こういうことで合ってますでしょうか。

 夏真っ盛り、蒸し暑い日のことだった。男は市民図書館へ本を返しに行くために小道を歩いていた。

 違うかも知れません。ネットにある説明を何度読んでも、神視点と単一視点の違いが分かりませんでした。とても微妙な違いなのでしょうか。


 >紙袋の底が抜けて、中の本が落下したら、途端に重量変化するし、落下音もあるから、「落下時点で気付かない人はいない」だろう。

 その通りです。本を落として気付かないはずがない。男は本を落としていません。全て男の幻覚です。
 男が精神疾患を患っている、もしくは酷く心身が疲れて病んでいることなどをにおわせた方が良いでしょうか。それとも、いっそのこと夢オチにした方が良いでしょうか。


 太田忠司『目白台サイドキック』シリーズの三巻目『五色の事件簿』ですね。図書館で探して読んでみます。ご感想本当にありがとうございました。

2017-09-09 08:58

126.186.194.98

モカロール

カジ・りん坊様

 読んでくださりありがとうございます。感想をくださりありがとうございます。


 >面白い構成だと思いました。
 >真逆の物を上手く使っている感じでした。
 >ボクは18歳、上手いと思いました。

 こんなに誉めてくださりありがとうございます。とても嬉しいです。


 >夏の出来事であれば『セミ』なども入れ込み、セミの『抜け殻』を連想させるのもありかなと思いました。

 はっとしました。あろうことか夏を「夏」と言うだけにしてしまっていますね。ご指摘ありがとうございます。


 >こういう構成になると後出しじゃんけんのようになって、この作品はこういう構成か!何事か起こって、それに続く解説文が続くのか!!という印象になりがちです。
 >小道に対する恐怖感を最初に書いておけば

 補足説明ではなく、状況説明で読者に察してもらうようにした方が良い、ということですね。勉強になりました。長々と人物像を説明するのではなく、人物の行動や環境の変化への対応で人物像を読み取らせる、そういう書き方を心がけます。ご感想本当にありがとうございました。

2017-09-09 09:00

126.186.194.98

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です(テクニカルサポート)。

:
:
:
3,000字以内