作家でごはん!鍛練場

『ぶるー』

ぐぎげ著

ありがとうございました

 ぼくは君が、書いた詩を、引きちぎって捨てた。君は木の下で泣いた。そのまま、首、吊って死んだ。
 あぁ。
 ざまあみろ……!
 


 ……

 


 夏場には、ぼくの身体に、蠅が集った。脇や足指のあいだや、恥部に、産卵した。
 掻痒感に悩まされていたのです。どうしようもない。夜はいつも眠れません。眠れた夜の夢のなかでさえ、蠅、飛び交ってるんです。一体、卵まで産みつけて、どうしようと。体液啜ってきて、成長して、生まれて、一体どうなるんです? どうなるんです?
 はい、確かに、BLUEなのでした。そういったもの、ぜんぶが夏の幻でした。
 
 うまれました。

 ……

 海は微かにあおかった。君のしろくて細い人差し指が、どこも指さずに、悲しんでふるえていた。ぼく達が、喪失感に明けくれていたのは、夏が来た時にはすでに、それが終わっているからに違いない。君は海を見ながらしずかに泣いた。
 ぼくの足が、一本足りない気がする。浜には、なにも流れつかなかった。
 帰ろうと言った。君とした線香花火の、さいごの火花が、夏の消失点だった。


 詩的言語のなかにぼくと君は幽閉されていた。やはり、ぼく等の足はもがれていた。これでは、どこにも行くことができない。
 君がくれた、ぱっくんちょを、舌で溶かして、チョコを味わう。君は誰かのせいで、もう擦り切れていた。ぼくには何もできなかった。君は何度もカサブタをはがした。


 君には生きる意味がなかった。生きる価値さえなかった。そうやって辿る、夏の線路の先は、余白だった。君のことを誰も理解しなかった。君は誰も理解しなかった。君はぼくなしではうまく喋れなかったし、生きていくこともできない。歩いてゆくこともできない。通り雨に、打ち付けられて、うずくまった。君は、さっきまでヒマワリを見ていたのに。


 君は何度も、さようならを言ったのに、どこにも行かない。人身事故で電車が止まった、だからいつまでもぼくの見ているBLUEだった。
 最後はぼくの方からさようならした。もう顔も見たくなかった。君は、ただ、片足でとびはねながら、ついてきたが、へたくそだった。


 死ぬときの君の、断末魔を確かにぼくは聞いた。すると、夏が、晴れ渡って輝いていた!
 
 
 右手にもったぼくの鈍器が、少女のような頭部を割りました。君はもうあの甘ったれた、声も出せないのだ。ぼくが殺しました。自殺ではないです。ぼくが殺しました。君はやっと死んでくれた。もう蠅もいないです。あるのは、ぼくがひとりで、生き抜いてゆくべき、ところです。

ぶるー ©ぐぎげ

執筆の狙い

ありがとうございました

ぐぎげ

153.209.76.27

感想と意見

加茂ミイル

文体が文学的だと思いました。

2017-09-01 19:11

60.34.120.167

モカロール

魅力的で惹き込まれました。何度読み返しても解釈が全く出来ません。私はこういう文を書けるようになりたいんだな、と感じました。

2017-09-08 13:17

126.212.151.136

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