作家でごはん!鍛練場

『わたしをみて』

shiho著

すごく久しぶりに短編を書きました。
みるものすべてを捻じ曲げて自分の都合のいいように解釈している女性の話です。誰もがそうすることはあるでしょうが行き過ぎは良くないですねということが伝われば幸いです。

リハビリ的に書いたのでいろいろ至らないところもあるかと思います。改善点などありましたらどうぞご指摘お願いいたします。

 今日はあなたに会う日だ。私がいつもと違う雰囲気だからきっとびっくりして驚いてくれるわね。赤いワンピースを翻して、トマトみたいな色のピアスをつけよう。テカテカに光る真紅のパンプスを履いて玄関に置いてある立ち鏡の前でポーズを決める。
 うん、やっぱり私はかわいい。だけど何かが物足りない……。
 あぁ、そうだ。大事なものを忘れていた。これを忘れるなんて、きっと私も緊張しているのね。だってあなたに会うのは本当に久しぶりなんだもの。
 一年? 三か月? 一週間? 三日?
 私はずっとあなたのことを想っていたから心はずっとあなたに会っていたけれど、二人きりで会うのは久しぶり。いつもは邪魔な人がいたから。でも、もうその人もいない。
 
 なんて言ってくれるかしら。綺麗って褒めてくれる? 似合ってるよって頭を撫でてくれる? かわいいって恥ずかしそうに笑ってくれる?

 あの子にしていたみたいに。私にもしてくれる?

 忘れていた、左手の薬指にダイヤモンドの指輪をはめる。これはあなたとお揃いのもの。同じものをあの子も持っていたけれど、これは私の方が相応しい。だから捨ててあげたのにあの子は急に怒り出すから。近くにあった花瓶を投げたら動かなくなってしまった。

 だけど私のせいじゃないわ。

 あの子がいけないのよ。この指輪に相応しいのも、あなたの隣が相応しいのも私なのに。図々しいから、あなたも困っていたのよね。
 私、知ってるのよ。あの子がいつもは着ないようなお洒落なお店で無理して買った服を着ているとあなたが困って笑っていたこと。普段はお化粧なんかしないくせにあなたと会うときだけは下手くそなメイクをしていくとあなたは「そんなことしなくていい」って否定してた。
 困っていたんでしょう? あの子に付きまとわれて、あの子が隣にきて、迷惑していたんでしょう? あの子と会うようになってからあなたの溜息の数も増えた。悩み事は全部あの子のせいなのよね。私ならそんなことさせないのに。
 この指輪を買ったのだってあの子に脅されたんでしょう? 知ってるんだから。本当は私にあげたいくせに。だって私のサイズとこれはぴったりだもの。
 
 最高のお洒落とお化粧をしてあなたに会いに行こう。
 呼んでも来てくれなかったから今日は家まで迎えに行ってあげるわね。
 
 私のいとしいひと。

わたしをみて ©shiho

執筆の狙い

すごく久しぶりに短編を書きました。
みるものすべてを捻じ曲げて自分の都合のいいように解釈している女性の話です。誰もがそうすることはあるでしょうが行き過ぎは良くないですねということが伝われば幸いです。

リハビリ的に書いたのでいろいろ至らないところもあるかと思います。改善点などありましたらどうぞご指摘お願いいたします。

shiho

121.80.30.50

感想と意見

黒とかげ

拝読させていただきました。
自分を棚に上げて厳しいことを書かせていただきます。

文章について
 ・もう少し具体的な描写があるといいなと感じました。例えば最初にポーズを決める場面に、実際に存在するブランドを書き込むあるいは
  もっと尖った表現を採用するなど表現に工夫を凝らすと、もっと小説全体にリアリティが増すのではないでしょうか。
  他には、主人公と殺してしまった「あの子」の関係が書かれていないのが、残念だと感じました。他人なのか友達なのか、それとももっと親しい
  親友だったのか。それによって物語の解釈がだいぶ異なると思うのですがいかがでしょうか?

物語について
 ・正直ドロドロとしたドラマを書くにはあまりにも文章量が足りないと感じてしまいました。それとも作者様の個性が小説に反映される文章量に達してないと言うべきか…。
  小説全体がよくある書き出しからよくある落ちに終わってしまいます。特に落ちはもっと工夫が欲しかったです。
  読者を戦慄させるような最後の一行があれば、この小説の評価はまったく違ったものになっていたと思います。

以上です。お互い文章書きとしてがんばりましょう。

2017-08-10 22:19

124.86.172.187

hir

 容姿の描写はないけど、顔立ちや体型がとても良いのでしょう。
 都合のいいように解釈しているわけじゃなくて、自分に絶対の自信を持っている気がします。

2017-08-10 22:23

203.180.199.219

加茂ミイル

女の子らしい心理が表現されていてかわいかったです。

2017-08-11 00:31

60.34.120.167

いけだうし

「みるものすべてを捻じ曲げて自分の都合のいいように解釈している女性」、うまく描けていると思います。
 黒とかげさんのおっしゃるように、確かに、リアリティがないようにも思えます。
 が、かえってそれが、自分と彼だけの世界に酔いしれる女性の主観を、とても誠実に表現しているようにも思えます。
 もし、もっと生々しく現実的な表情をだしたいのならば、表現を変えていくべきですが、このままでも、とても誠実に彼女の主観が表現出来ていると思います。

 彼女があまり嫉妬をしていないところから、物凄い自信と、妄想力が垣間みえますね

2017-08-11 08:56

49.104.2.90

地獄極楽丸

ところどころ意味がわからないのですが
ストーカー殺人事件(笑)
指輪は3つあるのですか?

2017-08-11 11:58

1.0.88.18

shiho

黒とかげ様

 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。
 
>文章について
 具体的な描写が足りないとのことですがその点に関して当方も自覚していたのでしかと受け止め、これからの執筆に生かして参ります。
 具体的な名前を出さなかった狙いとしては主人公にとってはブランド名などどうでもよくて彼と自分だけがこの世界の中心と思っている、ということが伝わればと思ってのことでした。
 ですがそれらが伝わらなかったのはこちらの力量不足です。
 
 また、「あの子」との関係性についてですが特に示唆せず、読んでくださる方の想像に任せようかと思って具体的な関係性を示しませんでした。
 短編はある程度読み手の想像に任せるところがあると考えていたのですがあまりにも説明不足だったかもしれません。考えを改めたいと思います。

>物語について
 文章量が足りない、その通りだと思います。短編と言っても短すぎたのかもしれません。読者に伝わるような適切な文章量を心がけます。
 読者を戦慄させるような最後の一行、ですね。
 例えばぱっと思いついたもので申し訳ないですが「あら? いま何か物音がしたような……。でもきっと気のせいね。ここには私と動かないあの子だけだもの」
 のようなものでしょうか……。動かないと言っているだけで、実は「あの子」は死んでいないのような描写があればもっと面白いものになったかもしれませんね。
 ラストが弱いということは常々感じていることでしたので指摘されたことでより一層気をつけます。

 たくさんのご指摘ありがとうございます。今後の執筆に生かしていきます。
 はい。お互いに、これからも頑張りましょう。

2017-08-11 13:43

119.229.179.182

shiho

hir様

 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。

>容姿の描写はないけど~
 故意的に容姿の描写を省いて読んでくださる方の想像に任せているつもりでした。
 そうですね、容姿の描写がもう少しあればもう少し怖さなどが加えられたかもしれませんね。

 ありがとうございました。

2017-08-11 13:46

119.229.179.182

shiho

加茂ミイル様

 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。

>女の子らしい心理が表現されていてかわいかったです。
 そう言っていただいてとても嬉しいです。そう感じていただけたことはこれからの励みになります。

 ありがとうございました。

2017-08-11 13:49

119.229.179.182

shiho

いけだうし様

 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。

>自分と彼だけの世界に酔いしれる女性の主観を、とても誠実に表現しているように~
>とても誠実に彼女の主観が表現出来ている~
 ありがたいお言葉です。とても嬉しいです。
 物語は一人の目線で進んでいくので彼女の主観を客観的に見ればその解釈は多分間違っているのに彼女はそうだと信じて疑わない、主観は恐ろしいよなと感じていただければ幸いでした。
 生々しい表現、その時は考えていませんでしたが、するとすればこの後に客観的な目線で情景を描いてみることですかね……。

 ありがとうございました。
 

2017-08-11 13:54

119.229.179.182

shiho

地獄極楽丸様

>指輪は3つあるのですか?
 そうですね。彼とあの子と彼女は指輪をそれぞれ持っています。
 彼女は同じのを後から買ったという設定ですが、サイズが自分と同じで感激している……。と言ったような感じです。
 わかりづらかったですね。もう少し説明してもよかったと思います。

 ありがとうございました。

2017-08-11 13:57

119.229.179.182

蠟燭

ふむふむ、拝読しました。

女性特有の情念といいますか、そんなものが伝わってきました。怖いですね。

御作読んで思うことは、彼を好きでいる自分が好き、とゆう自己愛が見えてしまいました。恋に恋する過程からそうなっているんだと思いますが、自分を好きになってくれるなら相手は誰でもいい感覚。

江原さんの本で、占いの結果で彼との相性が悪ければすぐ別れてしまう希薄さといったらよいでしょうか。

作者様はただ示しているだけだと思いますが。

2017-08-11 20:27

180.31.202.32

地獄極楽丸

気持ち悪さの原因がわかりました。
3つ目の指輪がすべての動機や想像を打ち消すような働きをしていて
遠近感がくるった絵を見せられてるような物理的なものだったような気がします。
赤づくめの女が女を殺して男のもとに向かうという事実を歪んだ世界のうえに際立たせるために
意図的にやってるならすごい技術だなあと思います。
いろいろ考えさせられました。
ありがとうございました。

2017-08-11 21:45

1.0.88.18

カジ・りん坊

 とても面白かったです。女の情念みたいな狂気を感じました。

 本文中『赤いワンピースを翻して、トマトみたいな色のピアスをつけよう』の部分と、後々の『花瓶を投げたら動かなくなってしまった』の文章ですが、ちょっと殺害感が弱いのかな?と思いました。

 お気に入りの白いワンピースに赤い水玉があしらわれ、耳元まで飛んだ赤い水玉はラインストーンのピアスのように、美しい私を引き立てた。ぐらい書いてもいいのかな?と思いました。花瓶を投げたらも、花瓶を投げつけてやった。とか、力任せに花瓶を投げつけたぐらい思いっきり感を出してもいいのかな?って思いました。

2017-08-11 22:32

112.137.227.226

shiho

蠟燭様
 
 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。

>女性特有の情念といいますか、そんなものが伝わってきました。
 ありがとうございます。少しでも怖さが伝われば幸いでしたのでそう言っていただけてとても嬉しいです。
 彼女はきっと男性が好きな自分が大好きでその中の世界が何よりも正しいと信じて疑っていないのでそういうこともくみ取っていただけたようでほっとしました。

 ありがとうございました。

2017-08-16 21:24

119.231.163.7

shiho

地獄極楽丸様

 再度書き込みありがとうございます。
 
 地獄極楽丸様が仰ったような技法のようなものは特に意識していませんでしたが、そのような解釈もあるのだなと参考になりました。
 無意識に書いてしまうことが多いのでそのような技法も意図的に使用できるようになれば大きな成長につながるのだと思います。

 ありがとうございました。

2017-08-16 21:27

119.231.163.7

shiho

カジ・りん坊様

 読んでいただき、ありがとうございます。感想もありがたいです。

 殺害感についてですがあくまで彼女は自分が第一であり、「あの子」に対しては興味もあまりないのだと自分で考えていました。
 ですので彼女は「花瓶を投げたら動かなくなってしまった」というのを「人を殺してしまった」という感覚ではなく「道に転がっている石を足で蹴ってしまった」という感覚が強いと解釈しています。
 しかしそのようなとらえ方もあるのだなと参考にさせていただきます。
 
 また「お気に入りの白いワンピースに赤い水玉があしらわれ、耳元まで飛んだ赤い水玉はラインストーンのピアスのように、美しい私を引き立てた。」というような変更に関しまして、そう表現すれば一層血が飛び散っているという感覚を読者に与えることができますね。
 
 今後、執筆する際の糧とさせていただきます。
 
 ありがとうございました。

2017-08-16 21:34

119.231.163.7

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