作家でごはん!鍛練場

『その歌は響き渡る。』

美羽著

初めて小説を書き上げることに成功しました。
最初は私が下手なのもあって疑問に思うところが多々あると思いますが、最後にアッと思ってくださればいいな…と。
暇つぶし程度に読んでください。さらに暇があれば感想ください…

僕は長い眠りから覚め、たった一ヶ月恋をするために死ぬ。恋を見つけるために声が枯れるまで歌い、恋をして死ぬ。みんなそうだ。中には長生きするやつもいたけど、これが僕らの生き様だった。
僕らは恋して、歌って、死ぬ生き物。


ある日、俺は美しい子に出会った。太陽の光で反射してキラキラしてるし、軽やかに舞う彼女の姿は僕の心を大きく動かせた。
しかし僕のことを見向きもしない。できるだけ近づき、大きな歌声を響かせても彼女黒い瞳には僕が映ることはなかった。
僕は彼女が近づいてくれるのを待ってるけれど、僕を見てくれない。僕に一体、何が足りないのか。彼女が欲するなにかを僕は持っていない。


「なぁ、ハルは好きな奴できた?」

一旦彼女から離れ、親友の元へ行く。この前出会ったばかりなのに命と同等の話をできるくらい仲がいい。もしかしたら波長が合うのかもしれない。
隣でゆっくりと抑揚をつけ、しかし力強く歌うハル。ゆっくりと僕の方を見て歌うのをやめた。

「できたよ。今晩が約束の日なんだ」

嬉しそうに笑った。幸せを噛み締めて、死を覚悟した顔。その顔は夕方の光に負けないくらい輝いていた。
もう、僕らは会うことはないだろう。こいつは死ぬ。お天道様の下か、木の下で。運命であって必然的なもの。

「そっか」

心に大きな穴が空いた。埋まることのない真っ暗な空洞。悲しくなる。彼の死が。友にもう会えなくなることが。

「また会えるさ。だから、お前もあの子に告れよ?」

「ハルくーん!!」

遠くにいる好きな子を思い出していると、高いソプラノボイスの声がした。その声の持ち主は黒髪で透明感のある女の子。僕らはのもとへやってくる。

「マツ!!」

ハルの顔がカアっと赤くなる。こいつは恋をしてる、と肌で感じた。夏だ。暑くなる。
息を切らしながら、ハルの隣にいる僕に気づく。

「えっと、ハル君の友達?」

「あぁ、親友のクマだ」

紹介され、心が驚く。ドクドクと血が流れる。ああ、まだ話していたい。愛に触れないで。死なないで。
1番の友を失う失望感の心から、なんとか声を絞り出した。

「ども」

「ふふ、変わってる名前だね。私はマツ…ハル君と仲良くしてくれてありがとう」

ぎゅっと手を握られた。ひんやりと冷たい温度が俺の手を凍らせた。

「私、本当にドジで…この前襲われてるところをハル君に助けてもらったの。私、運命だって感じたんだ」

彼女の手が震えていた。すぐに気づかなかったけれど、手を通して脳に直接響くような、小さな震えだった。
彼女が震える理由をわかった気がする。きつと、僕だけじゃない。友を失う怖さを俺が感じたように、マツさんは恋した人を失う怖さ、恋した人が飛び立つ怖さ。そして、自分の死に。

「マツ、お前と俺は大丈夫だ」

ハルの声で再確認した。ハルの言葉が俺にも沁みた。僕はわかっていなかった。死ぬ覚悟、失う覚悟。大切なものまでを失ってでも恋をしたいという覚悟を。
気づくのに遅すぎたのかもしれないけれど、ハルとマツさんのおかげでわかった気がする。これが、足りないものなのだ。僕の歌になかったもの。

「大丈夫、ハルは浮気をするようなヤツじゃない。きっと、マツさんを死ぬまで幸せにするよ」

握り返す。夕焼けの熱で上がった僕の体温でマツさんの怖がる心を溶かすように。

「おい、どういう意味だよ」

笑いながらハルが突っ込む。これも最後なのかもしれない。ただ、この瞬間が愛おしい。
マツさんに目を向けると、笑っていた。震えもいつの間にか止まっていた。
僕の思いも伝わればいいのだけれど。

「ふふ、わかってるよ。そうじゃなくて、クマさんにも運命の出会いがありますから」

「ありがとう」

それだけ言うと、自然と手が離れた。
もう、怖くはない。恐れを感じない、それが恋なんだろう。それが、愛なんだ。

「じゃあ、もう行くわ」

まるで一度家に帰る小学生のような響きで、また明日会えるんだろうなって錯覚した。けど、覚悟を共有した僕らは笑って見送ることができる。

「ああ、またな」

2人が飛び立つ背をゆっくりと見守る。やがて見えなくなると、静かに目を瞑り眠る。2人の子供が幸せに駆け巡る姿を想像しながら。


朝になり目を覚ますとすぐに歌い始める。今度は心を込めて歌った。声の大きさとか、上手い下手は関係ない。覚悟を決めて歌えばいい。気持ちが届かなくてもいい。悔いはないだろう、と死ぬ寸前俺はそう思うだろうから。

「いい歌ね、誰を想って歌ってるの?」

振り返れば、想い人がいた。前に見ていた横顔は遠くを見て死んでいるようだったけど、今日は柔らかく笑っていた。瞳に僕が映っていた。
ああ、可愛い。そして美しく儚い。
美しい顔を見ていると、自然と口角が上がる。するりと、告白の言葉脳を巡った。

「…遠くを見る君へ」
「あら、私に好きだって言ってるの?」

ここでキチンと言わなきゃ男じゃない、とハルに言われた気がした。わかってるよ。せっかく来てくれたんだ。僕の思い、全部ぶつけてやる。

「あぁ、そうだ。君が好きだ」

花が咲いた、そんなイメージが脳の中で流れた。満面の笑み、その顔がずっと見たかった。クールな顔が少女みたいに解けて、ただ笑う顔が可愛いと感じる。

「ふふ。私、あなたのこともっと知りたいわ。ねぇ、もっと話そ?」

彼女の手を握る。上等だ。全て失ってでもこの恋を愛に変えてやる。
僕らは一ヶ月しか地上に出れない。それでも恋をする。愛に触れる。
恋をするために歌う。それが僕ら“蝉”の生き様だ。地球上で1つしかない、恋をするために歌う生き物。

その歌は響き渡る。 ©美羽

執筆の狙い

初めて小説を書き上げることに成功しました。
最初は私が下手なのもあって疑問に思うところが多々あると思いますが、最後にアッと思ってくださればいいな…と。
暇つぶし程度に読んでください。さらに暇があれば感想ください…

美羽

119.228.15.240

感想と意見

山口 夕

着眼点はとてもよいと思います。
アイディアとして子孫を残し、歌が連綿と続くのだということを入れてみるのはどうでしょうか。
『自分たちは死を迎えるが、歌は残る』
こうすることで儚さを描きつつ、その尊さをより表現できると考えました。

私の拙い意見が参考になれば幸いです。

2017-08-10 00:44

124.240.230.118

美羽

感想ありがとうございます。

確かに、そこの表現が甘かったと山口夕さんの感想を読んでわかりました。とても参考になります。次回で是非忘れないよう心がけます。

2017-08-10 00:55

119.228.15.240

いけだうし

 いいストーリーだと思います。スラスラと読めました。

 しかし、改行したら一文字分スペースを空けるという基本ができていません。
 それで読む気をなくす人もいると思います。気をつけましょう。

2017-08-10 00:59

153.178.5.36

ドリーマー

こんにちは。作品、拝読しました。

先様が仰るように、目の付け所は良かったと思います。
ただ冒頭の三行は無い方がいいかもしれません。季節柄、『たった一ヶ月恋をするために死ぬ。恋を見つけるために声が枯れるまで歌い』とくれば、ピンとくる人も多いと思うので、結末の意外性が薄れてしまいます。

キャラのネーミングを見て「あれ?」と思ったので調べたところ、蝉は種類が違っても交尾することがあるんですね(もっとも卵は育たないそうですが)。さらにオスの三割は結婚できないそうで、オス蝉の婚活はなかなか大変なようです。

ネーミングはともかく、御作は同種同士で恋を成就するカップルが前提の話だと思うのです。せっかくのファンタジー仕立てなのでさらに想像を広げて、異種同士で子孫を残せないことが分かっていても、恋を成就するカップルのエピソードや、婚活に励むオスのエピソードを加えてもいいかもしれませんね。

勝手なことを書きましたが、少しでも参考になれば幸いです。

2017-08-10 02:02

223.133.213.234

地獄極楽丸

たった一ヶ月恋をするために死ぬ。“蝉”
ネタバレを防ぐためかもしれないけど
通説の1週間でよかったのでは(笑)
どうせ冒頭1行でばれてるのだから
いくわよネジ

2017-08-10 11:48

1.0.88.18

美羽

いけだうし様

感想ありがとうございます。
いつもの癖で忘れていました。次から気をつけようと思います。ご指摘ありがとうございました。

2017-08-10 15:08

119.228.15.240

美羽

ドリーマー様

感想ありがとうございます。
確かに名前にはひねりがなかったですね。
それに加えもう少し物語を膨らましたほうがいいですね…次からそうしてみようと思います。ご指摘ありがとうございます。

2017-08-10 15:11

119.228.15.240

美羽

地獄極楽丸様

感想ありがとうございます
1週間か1ヶ月かは私も最後まで悩んでいるところでした。では今回は冒頭を削った方が良いということでしょうか…
ご指摘ありがとうございます。

2017-08-10 15:17

119.228.15.240

地獄極楽丸

『その歌は響き渡る。』
わかってほしいと思ってたでしょ(笑)
バレても読ませる力と個性があればいいんじゃないかと
僕は「最後の一葉」(さいごのいちよう/ひとは、原題:The Last Leaf)は、オー・ヘンリーの短編小説。
を想像したけど

2017-08-10 17:58

1.0.88.18

美羽

地獄極楽丸様

最後にアッと言わせたいことにとらわれ過ぎましたね…笑
ともかく、ありがとうございます。未熟さが身にしみました。

2017-08-10 21:25

182.251.251.46

加茂ミイル

愛と恋とかって言葉は、今の自分には重く感じるんですが、
全体的に爽やかな世界観で、愛や恋もいいなって思いました。

2017-08-11 00:34

60.34.120.167

美羽

加茂ミイル様

感想ありがとうございます。
なるほど、愛や恋という重く感じる単語と爽やかな世界観が合わさると少し軽く思えるのですね。
そう言ってくださるととっても嬉しいです。
自分自身爽やかな世界観にピンと来ませんが、ありがとうございました。

2017-08-11 15:57

182.251.251.44

蠟燭

暇なので拝読しました。
そして暇つぶしにコメントします。

まずは処女作とゆうことで、書ききったことにおめでとうございます。

そして、僕なりの正直な率直な感想入れます。
入ってこないです。ストーリーが。
全体的に汚れのない純粋な文章だと思います。ただ共感性がないとゆうか、無感動でフィニッシュしました。

何でしょう。作者様はこの小説を通して何を伝えたいのか?蝉の擬人化表現だけなのか、作者は何者なのか、そんなことも見えませんでした。
(あくまで個人的な感想です)

ですが最後に言わせてください。

がんばるんば✊

2017-08-11 23:47

180.31.202.32

美羽

蠟燭様

感想ありがとうございます。
うーん、そこまでは深く考えてませんでした()ただ、ふと思いついたものを基軸にして話を作ったって感じですね。
セミ目線のお話で、恋と友情を伝えたかったです。
がんばるんばります✌️

2017-08-12 15:32

182.251.251.37

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