作家でごはん!鍛練場

『改造された人』

へん著

ブラックユーモアな感じで書いてみました。
語彙力をつける事が目標です。

無性にフランクフルトが食べたくなった俺は深夜のコンビニへと走った。
その帰り道でのことだった。
「おう、久しぶり」
片手を軽く上げて俺に喋りかけてきたのは、緑色の奇妙な生き物だった。
「はぁ?なに?気持ち悪っ!」
俺は当然の言葉をぶつける。
こいつはなんなんだ。全身が緑色で、頭が縦に異常に長く、腕が四本生えている。
「俺だよ、俺」
「はぁ?」
この気持ち悪い生き物は自分自身を指さして、知っていて当然だよな?の如く俺に言い寄ってくる。
こんなへんてこな生き物とは今が初見で、これ以上関わり合いたくない。
俺がこの場を立ち去ろうとしたら
「かずとしだよ。かずとし。ほら、中学のサッカー部で一緒だった」
こいつは、自分の事をかずとしだと名乗ってきやがった。
「・・・かずとし?お前・・・あのかずとしか!?」
確かに、俺の記憶の中にかずとしという人物がいる。
こいつの言った通りかずとしは中学の時サッカー部だった。そこそこ人気がある奴だった。
もちろんあの時のかずとしは緑色ではなかったし、一人よりも腕が二本多いなんてことはなかった。
ごく普通のちんちくりん坊主のはずだったが・・・。
「思い出したか?エロ本小僧のかずだよ」
「おおー!エロ本小僧のかず!。それはまさしくかずとし!」
俺は仰天のあまり気持ち悪い生き物、もとい、かずとしに指を差して大声を上げる。
エロ本小僧のかず。
俺達の中学には、コンビニでエロ本を多数万引きしてはみんなに配っていた平成のねずみ小僧のような男がいた。そう、それがかずとしだ。
みんなは尊敬の念を込めてエロ本小僧のかずと呼んでいた。
俺は軽蔑していたが、ちゃっかり本は貰っていた。
「でもお前・・・なんでそんな変な姿なんだ?特殊メイクかなにかか?」
「ああ、この姿だろ。これな、改造してもらったんだよ」
「はぁ?改造?」
「そうなんだよ」
見てくれよこの格好、といった風にかずとしはぐるりと回って両手を下に広げる。
「改造って、誰にだよ?まさか宇宙人とか言うんじゃないだろうな」
自分で言っておきながらマンガやアニメじゃないんだからそれはないなと心の中で否定した。
「そうだよ。宇宙人だよ。宇宙人に改造してもらったんだよ」
「だよな。宇宙人に改造される訳・・・はぁ?お前、宇宙人に改造されたのか」
おいおい、そんな事あるか?宇宙人に改造?冗談か?いやからっているのか?
というより、宇宙人に改造してもらったって言ってたぞ。してもらった?
こいつは宇宙人に頼み込んで改造を施してもらったっていうのかよ。
まず宇宙人っているの?いやいねーだろ。
だが、この姿は宇宙人改造説でしか説明がつかない気もするが。
俺はかずとしに近づいて全身をくまなく凝視する。
「なんだよあんまり見んなよ。緊張するじゃねえかよ」
恥じらいを感じた物言いに俺はなんだか腹がたった。
「これって偽物じゃないんだよな?」
四本ある腕の一本を触ってみる。この質感・・・。作り物には到底思えん。
「作り物じゃねえよ。あんまり触るなよ。なんかドキドキするじゃねえかよ」
その口調に生理的嫌悪感を覚えた俺は、コンビニ袋を下げた左腕でかずとしの腕の付け根を押さえ、右手で腕を思いっきり引っ張った。
「いてててで。いたいよ。なんだよ。本物だって。抜けた入りしねーよ。だからやめて。いたいいたい」
かずとしは顔をしかめて俺にやめてくれように懇願するが、俺は無視して引っ張り続ける。
「いだいいだ。なにやってんだよ。いたいやめてよ」
俺は地面を踏ん張り、尚も無言で引っ張り続ける。
腕の付け根から、めりめりめりという乾いた音が聞こえ始める。
「やめてーちぎれる。うでがちぎれる。なんで無言なの?怖いよやめてよ」
俺は渾身の力を込めて、引きちぎりにかかった。
ぎゃぁぁぁ。とかずとしの断末魔の後、腕がブチッと音を立ててちぎれた。
「なんだよこの腕、簡単にちぎれるじゃないかよ。やっぱり偽物だな」
俺はちぎれた腕を掲げてかずとしの方に向ける。
「本物だよ。見てみろよ。血だって出てるじゃないか」
かずとしの腕の付け根と、ちぎれた腕から緑色の血が出ている。
「あっ、本当だ。じゃあ、宇宙人に改造されたってのは本当なのかよ」
「だから、本当だって言ってるだろ。くそー。俺の改造された腕が・・・。まさか久しぶりにあった友人に腕をちぎられると思ってなかったよ」
かずとしは膝をついて、残りの三本の腕で地面をたたき始めた。
うわー。かなり落ち込んでいるよ。悪い事したな。ちょっとふざけて腕をちぎったらこんなに落ち込むとは。
「あー。あのよ。すまない。でもあと三本も腕があるからいいじゃないか?俺より一本多いんだぞ」
俺はバツの悪い顔でかずとしをなだめはじめる。
「三本ってバランスが悪いだろ。こんなダサい腕で外を出歩けないよ」
いや、全身緑色で頭が縦に異常に長い時点で十分ダサいぞ。と思ったが余計な事だと思い、口をつぐんだ。
「まあ、元気出せよ。また改造してもらえばいいじゃないかよ。その宇宙人によ。今度は腕を6本にふやしたらいいじゃないかよ」
「そんな簡単に言うなよ。改造費高いんだからな。腕6本だと300万はいくんだからな」
「6本で300万か・・・1本50万?」
俺はいまだ持っていたかずとしの腕をしげしげと眺める。
そっとかずとしの横にしずかに腕を置いた。
「まあ、悪かったよ。ほらフランクフルトやるから許してくれよ」
俺は左腕にぶら下がっているコンビニ袋からフランクフルトを取り出してかずとしに捧げる。
「・・・ありがとう」
かずとしは顔を上げてフランクフルトを受け取るとゆっくりと立ち上がった。
「すげー、美味いからよ。食べて元気だせよ」
「ああ。いただくよ」
フランクフルトを頬張ろうとしたかずとしに、一つの大きな影が襲い掛かった。
「うわっ!なんだ!犬!あっ、フランクフルトが!」
かずとしに襲い掛かってきたのは犬だ。
納豆と牛乳を拭いたモップを3日間程、放置したような臭いがしそうな汚い犬だった。
その汚い犬がかずとしが持っているフランクフルトにかぶりついている。
「くそ、こいつなんだよ。離せ!俺がもらったフランクフルトだ!」
かずとしは汚い犬とは反対の方向に体重をかけて、フランクフルトを精一杯引っ張っている。
「おい、かずとし。もういいじゃないか。あげちまえよ。そんな犬がかじったフランクフルト取り戻してもどうしようもないだろ」
「ダメだ!そんな問題じゃない。こんな犬に負ける人のプライドが許さないんだ。だから断じて負けん!」
なんだよこいつ。やっぱり気持ち悪いよ。
「いてっ!こいつ!俺の腕を!!」
汚い犬がかずとしの腕をフランクフルトごと噛みついていた。
犬は噛みついたまますさまじい勢いで、首を左右にブンブン振り始める。かずとしはその反動で振り子のように体を揺らしている。
「いて!やめろ。そんな事したら俺の腕がまたちぎれる!」
ブチッ!
かずとしの腕がちぎれた。
犬はかずとしの腕ごとフランクフルトを持ってどこかに去っていった。
「俺の腕~~!!」
かずとしはそう叫ぶとガクッと肩を落としていた。
「・・・おい。かずとし」
俺はかずとしに近づいて声をかける。
「もう腕が二本になっちゃったよ。はは。三本よりバランスがよくなったかな。今日は本当に災難だよ」
こんな時なんて言葉をかけたらいいかわからなかった。でもなにか言葉をかけなきゃ。
俺はかずとの肩をポンポンと叩く。
「・・・もう一本いっとく?」
「それだけは絶対やめて!」
かずとしは、ひどく怒った様子で俺に言い放った。冗談なのにだ。
こいつ、宇宙人に心まで改造されたんだな、と俺は思った。

改造された人 ©へん

執筆の狙い

ブラックユーモアな感じで書いてみました。
語彙力をつける事が目標です。

へん

60.94.181.236

感想と意見

うし

・・・

これより、三点リーダを二つ重ねたもの(……)が、沈黙の表現としてはメジャーです。

なにか狙いがあってそう表現するのでなければ、「……」こちらを使った方が無難です。

気をつけましょう。

2017-08-09 14:31

153.178.5.36

加茂ミイル

RPGゲームみたいで面白かったです。

2017-08-11 00:47

60.34.120.167

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