作家でごはん!鍛練場

『アンドロイド』

仁志 勇気著

久しぶりに投稿しました。
感想よろしくお願いします。

ある日博士から一通のメールが来た。
「精巧な女性型アンドロイドが完成した、是非見に来てくれないか」
このロボットは以前から博士が制作していたもので、一人暮らしの老人等のためのものだ。高性能な人工知能を配備したロボットらしい。
私はドキドキしながら博士の家にアンドロイドをみにいった。
「よく来てくれたね、おい一号客だお茶で持ってきてくれ」
「カシコマリマシタ、ゴシュジンサマ」
僕は一瞬耳を疑った、高性能ロボットと聞いてきたのだが、聞こえてきたのは無機質なでカタコトな機械音、こんなものなら現行機でももっとましなものはいくらでもある。
それから僕はお茶を運んできたロボット見たがそれは思わず声が出そうになった。その歪さのせいで。
そのロボットは姿かたちは人間らしく、いや、人間以上に美しいのだが、動きは固くまるでロボットその物だ、絶世の美女がロボットの真似を完璧にこなしてる様な、そんな滑稽さであふれている代物だった。
「博士私に見せたかったのはこんなものですか?」
私はあまりのことに失礼を承知で聞いてしまった、今まで博士を見ていた身としては、博士がこんなくだらないものを作るとはとても信じられなかった。
「君、早とちりはよくないよ、この子はまだ吸収段階だ」
博士の説明によると、このアンドロイドはしゃべり方や歩き方に留まらず声や表情、ほか諸々の細かい仕草まで所有者の好みを読み取り変化するというのだ。
僕はその話に一抹の不安を覚えたが、とりあえずその日はそのまま帰ることにした。


それからも何度か博士の所に通った、アンドロイドは歩き方なども段々と人間らしく、美しくなっていき、博士への呼び方も「ゴシュジンサマ」から「あなた」とより親しく変化していく、最近では表情も完璧に作れるようになり、顔まで変わってきたように感じる。
しかし博士はアンドロイドが美しく人間らしくなるのに比例するかのよう醜く豚のようになっていった。
まずアンドロイドが身の回りの世話をすべてやってくれるので何もしなくなった、アンドロイドは買い物から何まで長年連れ添った夫婦のように先回りしてやるのだ、博士はこれからも自分で動こうなんて思わないだろう。
金銭面も問題は無かった、博士には今までの発明で得たお金があったし、アンドロイドがパートに出ていた週三でだ。それに仮に貯金が切れてもアンドロイドの設計図を売れば人生を何十周も出来るようなお金が手に入るはずだ。


私はそんな博士に危機を感じ一計を案じることにした。
博士を私の職場に呼び出した、博士が来ないことは私たちの関係的にまずあり得ないだろう。そして私は博士が留守にしてる部屋に忍び込む。
「お帰りなさい。あら、あなたは・・・」
私はアンドロイドが話し出すよりも早く、ロボット用のスタンガンを電子頭脳のある胸に押し当てた。
「いぎぃぃ、痛い、いたぃぃ!」
アンドロイドは苦悶の表情で叫び声をあげる、それ形相は正に人間そのもので、見てるこっちまで苦しくなってくる。だがしかし、これが仕事なのだ。
彼女は仕切りに「あなた」と叫ぶと、電子頭脳が焼ききれたのかそれ以上何も発さなくなった、美し顔が苦痛ゆがんだまま固まっている。これは最早アンドロイド等ではなく一人の人間だったのだ。死んだ今となってはどうでもいい話だが。
それから私は部屋を見渡した、辺りに金庫らしきものは無い、博士の性格的に外部の金庫を使うことはまずありえないだろう。しかし部屋中を探し回っても探し物は見つからない、時間は刻一刻と過ぎていく。
このままでは博士が帰ってきてしまう、それだけは不味い、これまでの仕事が無駄になってしまう。そんな時、私の頭に電球が灯った。
私は博士の家に火を放つ準備をした。今時珍しい木造家屋である、きっと家と共に私の探し物も火の中に消えてくれるはずるだろう。
愛用のヒャッキンライターで火をつけると、火は見る見るうちに大きくなり屋敷を包んだ、幻想的に揺らぐ炎は彼女をあの世に送り届けてくれるだろうか。
私は家が燃え落ちるのゆっくりと見届け、誰にも見られないよう、その場から離れた。


それから数日後僕のデスクに電話が来た、警察からで、博士が自殺した様だ。
「今回の件は終わったか?」
隣のデスクから上司が話しかけてくる。
「今終わりました、優れた発明家だったので残念です」
「そうか、まあ仕方ない事だ、科学の進化を無作為にしていたら人類が滅びかねないからな、人の手で管理しないとならん」
「はい、分かっています」
「それに、うちの受付に来た博士を見かけたがどっちにしてもあれはもうだめだ。完全に満たされた顔して、あれじゃ飼いならされた豚と変わらんよ」
「はあ確かにそうですね。そう言えば設計図らしき書類は見つかりましたか?」
「ああ、それならついこの前見つかったよ、まあ焼け焦げて中身はまともによめんが。アンドロイドの胸の中に入れて合って壊さなきゃ出せないようになってたらしい。もしかしたら博士もあのアンドロイドと余生を過ごしたかっただけだったのかもしれんな」
「・・・お先に失礼します」
私は仕事場からでた。私の今回の仕事はただ幸せなカップルを引き裂いただけなのかもしれない、だがこれが仕事なのだこれが世の中のためなんだ。
しかし私の眼には今出てきた科学管理庁の建物が今日だけは少しくすんで見えていた。

アンドロイド ©仁志 勇気

執筆の狙い

久しぶりに投稿しました。
感想よろしくお願いします。

仁志 勇気

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感想と意見

加茂ミイル

アンドロイドと人間の違いは何かということについて考えさせられました。

アンドロイドは人間が設計したもので、人間は人間が設計したものではないという点かなとも思います。

だんだんロボットも人間の感情を持つ世の中になっていくんですかね。

2017-07-17 08:50

60.36.85.240

明日香

アンドロイドに襲いかかるシーンで、主人公が女ならば、嫉妬からの破壊を妄想しました。
……「私」表記で勘違いしたのかもしれません。

アンドロイドを破壊するシーンは迫力があり、ドキドキしました。
樹脂が焼ける臭いや、人間味を帯びていたアンドロイドが無機質へと変わる、不気味の谷に近い表情を思い浮かべるて、ぞくっとしました。
なのに、主人公が淡々としている。
探し物をしているのに見つからないから火を放つ。
警察より科学管理庁が偉いような近未来でしょうか。

>>だがこれが仕事なのだこれが世の中のためなんだ。
ストンと落ちるのではなく、「ん? んん? んー?」といった読後感でした。
博士は怠惰になったかもしれませんが、パートにも出て働きますし、介護機能も兼ね備えたアンドロイドなのに、
世の中にどんな悪影響を及ぼすのか、疑問が残りました。
科学管理庁が取り締まっているのなら、主人公を呼んだりしないだろうし、
設計図の受け渡しを拒んだので強行に出たのか…。

表記ゆれや、誤字脱字があるものの、スピード感がありました。
ある程度ネタを決めて、思いつくまま書かれた作品ですか? 
さらさらっと読めて、面白かったです。ありがとうございました。

2017-07-17 11:06

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仁志 勇気

加茂ミイル様

楽しんでいただけたなら嬉しいです

2017-07-17 11:20

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仁志 勇気

加茂ミイル様

感想ありがとうございます

2017-07-17 11:21

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仁志 勇気

明日香様

感想ありがとうございます
嫉妬に見せたのは最後まで主人公の狙いが分からないように見せる仕掛けだったので、そう見えたのなら嬉しいです

最後の行はアンドロイドが全てを理解してくれる人間になったことによって、意欲を失った堕落した人間が出来上がるというのを書きたかったのですが描写が不足していました。

アンドロイドを破壊したのは情報の流出を防ぐため設計図と本体そのものを破壊するためですね、これももう少しわかりやすくしてみます。

2017-07-17 11:29

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おりべ

仁志さん、はじめまして。

タイトルにひかれて拝読いたしました。
SF好きなので、ビビッと。

星新一のショートショート+仁志さんのオリジナリティと読みました。
星新一だったら博士の顛末で終わりそうですが、さらにそこから踏み出した内容でした。
タイトルも登場するものもロボットのアンドロイドですが、これはスマホのアンドロイドともかかっていますか?
スマートフォンに代表される現代の便利ツール、その比喩なのかな、と感じました。
社会や環境が快適、便利になることで、生物としての人類は退化する。
まさしく王道のSFだと思います。

オリジナリティと描いたのは、さらにそこから、そんな世界に住むエージェントの主観に入り込んでいく点です。
世相と自分の仕事、それらのグレーをグレーのまま受け止める主人公。
面白いと思いました。

2017-07-17 12:01

121.106.220.206

仁志 勇気

おりべ様

感想ありがとうございます。

この話は星新一のショートショートを読んでいて思いついた話なのでその感じが出ていたならまさにその通りだなと。

アンドロイドは本来の人造人間的なテイストで使いましたが、便利になっていく機械類の象徴的なものですかね。

ありがとうございました。

2017-07-17 12:16

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八月の鯨

話が・・古すぎる。

結末が・・安直すぎてつまらない。

主人公、普通に考えて「放火犯」だし・・オチに芸がない。

(ごめんね)


「人造人間と、それを愛した博士(ないし主人公)もの」は、これまで、もうさんざん書かれて来たので、
まず、それらの先行作品を読んでみて??
(星新一以外で!)

古典中の古典、ホフマン作『砂男』(コッペリア ディベルティスマン)のあたりからはじめて、
清水玲子の短編漫画『メタルの花嫁』なんかを。

2017-07-17 19:00

219.100.84.60

仁志 勇気

八月の鯨様

感想ありがとうございます、題材古いのは承知の上だったのですが、確かに使い古された内容を扱うにはひねりが足りなかったかも知れません。

進められた作品の方は今後機会があれば読ませていただきたいと思います。

2017-07-17 20:23

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