- baobab
2004/04/02 10:54
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共同出版の原稿審査 続き さて、審査する側にしても、1日80本も処理しなければならないのですから、きちんと読むことなどできません。中には、書き直せばよくなるんじゃないかと思われるものもあるのですが、きちんと指摘してアドバイスする時間がないのです。なにしろ、時間ごとにノルマが決められてまして、「今の段階で○本以上残っている人はペースアップしてください」と折に触れて担当者がアナウンス。まさに工場で働いているようで、こういう管理体制だけはしっかりしていました。
さて、このような形で処理していると、人間ですから疲れが出てきます。そのため、終わりのほうになってくると、イライラしてくるのです。もちろん、こちらを引き付けるようなものがあれば、逆に爽やかな気分になれるのですが、原稿用紙に殴り書きした小説もどきや、ノートの切れ端に書いた日記(それも句読点がまったくない!)に出会うと、怒りがこみあげてくるのです。
それでも、必ずヨイショしなければなりません。「体験者ならでは言葉の重みを感じました」とか「女性らしい繊細な感覚がよく表現されています」とか。こうしたコメントを考えるのも一苦労なのです。
長くなりましたが、別の「共同出版」のスレッドで、「編集者が明らかに原稿を読んでいないことがわかった」とありましたが、審査する外注の人間もほとんど読んでないので、皆さんよく考えてください。
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- 汰心維新
2004/04/03 02:23
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共同出版の原稿審査 これはこれは…
実際に、現場に居られる方がいらっしゃって下さるとは。 なるほど、参考になりました。 出来れば鍛錬場などにも意見を頂きたいところですが、仕事でいつもやってる苦行をここでも、と言うのは流石に無茶ですかね。 また、なにかありましたら書き込んでください。
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- 通
2004/04/06 13:47
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共同出版の原稿審査 内部告発、何を今更、という気もしますが、それでも共同出版というものの実体を知らない方が、作家志望者の中にも結構いらっしゃるんですよね。 貴重なご意見ありがとうございます。
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- baobab
2004/04/06 19:14
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共同出版の原稿審査 たしかに「何を今更」と思われるかもしれないと思い、書き込みを躊躇しました。 でも、苦労して書き上げた作品も5分しか見てもらえないなんて、こういう現実を知っているのかなと思ったものですから…。審査では一次、二次、三次、四次とありますが、多分、かけるのは5分程度。じっくり読んではもらえません。
作品として送ってきたからには、きちんと意見、アドバイスをするのが礼儀ですし、歯の浮くようなコメントだけで終わらせるのは却って残酷です。
実際に、前作は共同出版、その続編ということで送ってきた人もいましたが、正直に言って、リアクションに困るような作品がありました。登場人物に感情移入がまったくできないわ、行動に必然性がまったくないわ、何よりも読者という存在を無視したまま好き勝手に書き散らしているので、少しは客観性を身につけなければダメと思いました。だって、30歳くらいなんだよ。
で、本にするからには、そういう指示、アドバイスをするのは編集者なんですが、前作で簡単に本になったということは、そういうやり取りは一切は皆無だし、編集者も極めて事務的に「お客様」の原稿を「処理」するだけなんですよね。
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- baobab
2004/04/06 19:21
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共同出版の原稿審査 続きです。
ちなみに、この原稿審査、時給1000円、4日間、10時半〜7時半(休憩1時間)です。 1日ノルマは80本。そのうち、5本を通過させなければなりません。割り当てられた原稿がどんなにひどくても、5本は必ず通過させるのです。 この4日間、30人が集められましたから、通過原稿は600本程度です。
…本日、別スレッドで話題になっていた『創』の記事を探してきたので、この業界のことが少しはわかりました。もっと調べてみようと思います。
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- sapphire
2004/04/12 15:54
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共同出版の原稿審査 それにしても、一作をわずか5分で処理とはひどいですね。3月10日締め切りの新風舎の賞に出してみようかと思ったことがあるのですが、出さなくて正解でした。まあ、その出版社かどうかは分かりませんが。 よほど高度な速読術でも身に付けていない限り、そのようなスピードでは内容はほとんど理解できないでしょう。ましてやコメントを書く時間も含めてだというのですから。そんな時間でコメントまで書けというのはどだい無理な話です。そして、それで決定した受賞作が、本当に良い作品だという保証も無いわけですよね。 共同出版の会社の実態というのは分かっているつもりでしたが、「やはり相手にすまい」という思いを新たにしました。
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- あーるえす
2004/04/14 15:12
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共同出版の原稿審査 実は私、sapphireさんのおっしゃる某S社(笑)の賞(締め切りがもう少し前でしたので、恐らくおっしゃる賞と違うものですが)に、応募しました。 一応、体験談ということで、参考になればと思い、書き込ませていただきます。
小説は長編で、最終的には落選したのですが、予想した通り「共同出版」のお話がきました。 初めて小説を出版社というものに応募したので、右も左もわからない状態です。てっきり自分の小説は認められたものなのだと勘違いし、舞い上がっておりました。 電話がかかってきまして、「二次審査までいきました、おしいところでした」といわれました。 家に届いた総評には、今思えば、至極もっともらしい「ヨイショ」の意見……が書かれてありました。 とにかく見積りを、とのことで案内をいただいたのですが、500部で125万円、オプションがつくと135万だそうです。 そこで一気に目が冷めました。 「私だまされてるのかしら?」って(笑)
実際共同出版をしてメリットもあるでしょうし、「だまされた」とははっきり申しませんが、あきらかに「怪しい」ことは確かかな、とbaobabさんのご意見を見て改めて感じました。 貴重な情報源で、とても参考になりました。
それにしても、しかし、私のあの作品も5分程度で処理されたのかと思うと、ちょっとばかりへこんでしまいますね。
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- sapphire
2004/04/16 12:42
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共同出版の原稿審査 かつて、この手の共同出版の会社では、中身を読みもせずに共同出版(≒自費出版)を持ちかけていたそうです。それによる悪評を拭うために、少しは読んでコメントするようになったようですね。しかし、そう考えると、「文学賞」を設立したのは、単なるイメージ戦略でしかないということになりますね。このスレッドなどで、その悪評が再び広がるでしょうから、その手の出版社は今後どのような巻き返しに出るのでしょうか? 共同出版もかまいませんが、せめて公募による文学賞だけは、それなりの人に読んでもらい、それなりの健威のある賞にして欲しいと思います。それが出来なければ、こちらとしても無視し続けるだけのことではありますが……。
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売れないライターです。
最近、仕事が減ってきたので編集関係の人材派遣会社に登録したところ、さっそく募集があったのが共同出版大手で行っているコンテストの原稿審査の仕事でした。
期間は4日間。同じように集められたフリーの編集関係者約30人が1日80本、1本あたり5分以内で原稿に目を通し振り分けていきます。通過の場合も落とす場合も必ずコメントを入れますから、まさに流れ作業です。
計算するとトータルで1000本弱の原稿を処理していたことになります。
驚いたのが、なんとこれが3次審査であること。
正直に言って、一目見て椅子から転げ落ちそうなものもたくさんあり、普通に日本語が書いてあれば通過させてるようです。